私が生きる意味を知りたい。確かに私の願いは叶った。
私の行く道が指示された。しかしそれはどうあがいても絶望の未来にしか辿り着けない。
巨大な影、とんでもない質量を持つ魔女を視て私は最初にこう思った。
これには誰にも勝てない。この魔女に世界を蹂躙され、この世界は消え失せる。そんな絶望の未来だった。
しかし、手段はある。あの魔女が生まれなければいい。
生まれないようにすれば良い。そうだ、あの少女を殺してしまうのだ。たった一人と幾千の命。比べるまでもなく、私は世界を救うために走り出した。
しかし、心の中でそれは正しいことなのか? と自分自身を疑ってしまう。
それが本当に正しいのかと。
そんな時だった。私の能力である未来視がまたもや発動する。
私が視た未来は崩壊する街の中、ただ一人その場で佇んで、先ほど見た光景とは全く違う晴れやかな空が広がっていた。未来視であるのに眩しい。それにとても美しい。
私が視たもう1つの未来とは、希望の未来で、それに到達するには一人の少年を仲間にすれば良いと言うことだった。
しかし、どちらの未来に転ぶかはまだ分からない。
絶望かはたまた希望か。
私はどちらの未来が起こっても良いように、あの少女を殺す準備をしながら少年を探さなければならない。
そしてその時は案外早かった。
キリカがその少年と接触したと言うのだ。そして、キリカはあの少年の上着を放り投げ、ふて寝した。その様子から察するに負けたのだろう。
そしてなんの因果か、小巻さんまでもあの少年と会ったという。
彼女を手刀一発で倒してしまったと聞いた時は想像以上だとかなり驚いた。
名前は八千ましろ。それが私の接触すべき相手。
そして彼の上着になんとなく触れた時にまた未来が見えた。
視た未来は八千ましろの下半身が消え失せ、上半身だけになっている姿。
黄色い服に身を包んだ魔法少女に膝枕をしてもらいながら、その中で息絶えていた姿だった。
満足そうな笑みを浮かべ、見つめるその先にはあの少女と髪の長い少女が手を取り合い喜び合っている光景だった。
頰に一筋の涙が流れる。私はなんという未来を見てしまったのだろう。
こんな……こんな結末があって良いのだろうか。
世界を救った後に待っているのがこんな事だなんて。
しかし、世界を救う為には彼には何も言うことはない。
私も私で動いて、あの少女を殺す。
私が掴むのは希望の未来だけだ。
そんな中、キリカから八千ましろに会わないかと言われたのだった。
────
……目の前のコイツは今なんと言った? 協力……だと?
まさか……コイツ……インキュベーターから僕が宇宙人だとか聞きやがったな!? いや宇宙人でもなんでもないですが! マクシミリアン・テルミドールなんて名前の奴は知りませんが!
まさかあの野郎、他の魔法少女にも僕の存在を明かしてはないだろうな? これ以上デマが広がるのはゴメンだぞ。
「私が貴方に協力を申し込んだのは、貴方にもメリットがあるのよ」
「メリット?」
一体何のメリットがあるのだろうか? 宇宙人だなんてホラを告かれて、現在進行形で黒歴史を量産している僕にはデメリットしかない。
「単刀直入に言うわ。貴方はワルプルギスの夜を倒した後死んでしまう」
「……死ぬ?」
「ええ、ワルプルギスの夜と一騎打ちの末、相打ちでね」
「……なんでそんなことが分かるんだ」
まるで未来を見てきたかのような口ぶり。もし本当に未来を見てきたとしたのならそれは大層な能力だ。ロボット物で主人公かラスボスを務めるに違いない。
そして、この織莉子という少女は紛れもなくラスボスの方だろう。
「……未来を、視たのよ」
やはりそうか。
しかし、魔法少女の魔法というのはそんなに高度なものなのか? 時を止めたり、銃を出したり、傷を癒したり、未来を見たり。
まるで奇跡を制限なく使っているかのように見える。
いや、奇跡と魔法は一緒だったな。奇跡を掌の上で操れるように行使できるから魔法。成る程、魔法というのは厄介だ。
しかし、僕が死ぬ? ワルプルギスの夜との一騎打ちで?
正直言って死ぬのはゴメンだと思う。読み終えてないラノベもあるし、アニメも見たいものがわんさかある。それらを全消化するまで死ねるに死ねないのだ。
しかし、ワルプルギスの夜を倒すということは暁美さんの鹿目さんを助けるという願いを叶えるということ。
ラノベか暁美さんの願いか……まあ考えるまでもないな。
僕は苦笑して、迷いなく自分が死ぬことを選んだ。暁美さんの事は友人だと思っている。その友人を助けてやりたいと思うのは当然のことなのではないか。
僕の死で誰かが幸せになるのならそれで充分だろう。
「……その微笑み……やはり、思った通りね」
「……美国さん、君がどんな未来を見たのかは分からない。だけど、友人の為なら命を投げ棄てる事も躊躇わないのさ。僕は今世紀史上最大の大バカ者だからね」
「じゃあ貴方は!」
「だから協力というのも断る」
「…………」
苦虫を噛み潰した表情でこちらを見る美国さん。
恐らく協力関係というのも僕を心配して……というものもありそうだが、裏の真意が見え隠れしている。
ただ僕の死を宣告しに来たわけでは無いだろう。もっと他に、美国さんには別の目的があるように僕には見えた。
「それに、僕はもう他の魔法少女と協力関係にあってね。申し訳ないが、二重契約はお断りしているんだ」
僕は自分の為に嘘をついた。少し、美国さんを泳がせてみようと思ったのだ。そうする事で、別の目的が見えてくるに違いない。
それに、あまり暁美さんを裏切りたくないのもある。僕は王道を往く主人公が大好きなのだ。
機動武闘伝Gガンダムのドモンのように熱くクールで、天元突破グレンラガンのシモンのように成長して、銀河英雄伝説のラインハルトのように知的で同じくヤンのように秀才で。
僕はそんな所を目指したい。たとえその先は死であったとしても、甘んじて受けようではないか。
さて、フロイライン。君はどんな未来を見た?
僕が美国さんと見つめあっていると、先に動いたのは彼女の方だった。
僕に踵を返し去っていく。その光景を見たウルも急いで着いていった。そして、数歩歩いて顔だけ振り向いた。
「数日後、私たちは見滝原中学に強襲をかける。その時になって私たちを止めることが出来るのならばやってみなさい」
そう言って美国さんは闇夜に姿を消した。
……何故、彼女は自分たちが不利になりそうな事をバラしたのだろうか。まるで、目的が僕の学校の中にあるように思える。狙いが僕では無いとしたら、魔法少女の方だろうか。
いや、魔法少女ならば学校を占領せずとも、誰も居ないところで二人掛かりで襲えば良い。
僕には美国さんが誰からに止めてもらいたそうな雰囲気を出しているようにしか思えなかった。
僕は街頭の弱い光に照らされながら「来るなら来い」と小さく呟いたのだった。
主人公設定
名前:八千ましろ
年齢:15歳
身長:175㎝
体重:77㎏
髪色:グレー
中二病少年であり、中学一年生に銀河英雄伝説とかSF系の小説を読み漁って立派な中二病になった。主に心の中で男には卿、女にはフロイラインと言ってたりする。カッコいい名前考えるの大好き、主にドイツ語から取ったりしてるけど英語もいける。見滝原中学の制服めちゃくちゃカッコいいので大好き。
おばあちゃん(鬼)にめちゃくちゃ鍛えられたらしく、ましろの一番好きなラノベにもあった銀河連邦式徒手空拳を主に使用して戦う。
引くぐらい強い。