中二病少年が本物に出会う話   作:うみうどん

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五話 転校生の賭け

 初めて八千ましろと出会った時は、CDショップの立入禁止区域でインキュベーターをまどかに近づかせない為に排除を試みようとしていた時の事だった。

 

 初めはどのループにも存在しないイレギュラーとして少し目を入れていただけなのだが、まどかと一緒に居るところを見ると、彼も関係者なのだろうと思ってしまった。

 さもなれば、彼が干渉してきた場合は排除すればいいだけの話。

 

 どうせ、彼は少女では無いので魔法少女程の脅威にはならないだろう。そう思っていた。

 

 彼は強かった。

 私がそう陳腐な感想を持つぐらいに八千ましろは圧倒的な力を持っていた。

 なぜ生身の人間の状態で使い魔を粉々にできるぐらい粉砕できるのか、本当に不思議でならなかった。

 

 それと同時にまどかが彼の裾に手をやり私を怖がっている姿が目に入った。

 私は悲しい気持ちになると同時に、そこは私の場所だったのにと八千ましろに嫉妬の念を向けたのだ。

 

 それと同時に私の中で八千ましろへの警戒度が上がる。

 彼は危険だ、早めに排除しなければこの先どうなるのか分からない。

 私は不確定要素はあてにしない。全てはまどかを救う為。その為に私はこうして何度も繰り返してきたのだから。

 

 だから早めに彼には退場してもらおう。

 そう思い、彼の背後から軍からくすねてきた銃を時間停止の能力を使い、彼の頭に突きつけた。

 何も殺しはしない。ただ少しだけ脅して、今後一切鹿目まどかに近づかせないようして、魔法少女との関わりを持たなくするだけのことである。

 

 しかし、私の考えは甘かった。

 彼は私がトリガーに指をかけたのを見て、後ろ向きの状態から私の銃をいつのまにか抜き取った。

 時間停止をとも思ったが、こうも密着していては使えない。

 だから彼が離れた隙を狙い、奪い返そうと思った。でもそれも無駄だった。

 

 八千ましろはその場で銃を分解してしまった。

 実銃をだ。

 本来なら実銃を見た人間は殺されたく無いと思い、命乞いかその場から脱兎のごとく逃げ出すだろう。

 しかし彼は銃を見てこう言い放った。

 

「所詮はおもちゃ」

 

 何と言った? 

 今目の前の彼は何と言った? 

 

 銃をおもちゃ……。人一人軽く殺せる最悪の武器をおもちゃと言い放った。

 間違えた、私はまた間違えた。

 

 私のすべき行動は、彼と手を組むべきだったのかもしれない。

 あちらも不確定要素のイレギュラーであるとすれば、この時間逆行を何度も繰り返している私もイレギュラーの存在だ。

 

 だから、もしかすると。私の現状を話さえすれば、彼は協力してくれたのでは無いだろうか? 

 それも一つの可能性の筈だった。それを私はみすみすと逃し、彼を大幅の警戒状態にまで引き上げてしまったのかもしれない。

 

 失敗した。私はまた……。

 

「茶番が終わっているこの状態で続けるとは、流石にもう疲れたぞ」

 

 茶番? この現状を茶番だと目の前の男は言い放った。

 この男は私がどんな思いでまどかを救う為に……何度も何度も人が死ぬところを見てきたのを茶番だと言ったような気がした。

 

 私は許せなかった。

 

 しかし、彼が言ったのは私に向けてでは無かった。

 

「ああ、すまない。茶番じゃあないな、少なくとも君は本気だな」

 

 スーッと頭に登っていた血が降りたような感覚がした。

 

 私の心を読んだかのような口ぶり。

 彼と私は一回どこかで会ったことがある? 

 いや、記憶にない。これが完全に初対面のはずだ。

 

 だから私は、私の事を知ってるのかと聞いた。

 知ってると答えれば、時間逆行の事さえも知られている可能性がある。

 だから……彼がどこまで知っているのか興味を持ってしまった。

 

「ああ、知ってるよ……また学校でね。転校生」

 

 私は彼が心底怖い。

 まるで、全てが見透かされているような感じがした。

 この感覚は、ワルプルギスの夜と対峙した時と同じような感じがしたのだった。

 

 そこからは、彼には干渉しないことにした。

 彼と離れ、私は一人でやっていく方針に切り替えた。

 彼は未知数すぎる、最初は協力をとも思っていたが、流石に背中を預けて安心できる相手ではない。

 

 だから、魔女を浄化するように倒した彼を見て心底驚いた。

 魔女をも包み込むような、優しさ。

 最初対話を持ちかけた彼の行動を見て、死んだか殺すかとも思ったが。その考えもすぐに振り払われる。

 

 最終的に魔女は彼に介錯を頼み、満足したかのように消えて、彼の手の中にグリーフシードが収まった。

 なんて戦い方をするのだろう。

 それに、魔女の倒し方にこんな方法があったなんて思わなかった。

 

 いや、試しもしなかったのだ。最初から魔女は火力で倒すものだと決めつけて、数々のループの中色んな魔女を殺してきた。

 しかし、対話を持ちかけるなど、思いもしなかった。

 

 彼はグリーフシードを巴マミに手渡したのを見て、思わず前に出てきてしまった。

 出て来るつもりなどは無かったが、一応まどかの無事な姿を見てホッとした。

 あいも変わらず、私を怖がり彼の後ろに隠れている姿を見ると、なんとも言えない気持ちになる。

 

 私は巴マミが投げ渡してきたグリーフシードをまた投げ返し、その場から去る。

 そしてその帰り道、魔女に戦い方を見直そうと思って、路地に差し掛かった時だった。

 

 目の前にインキュベーターと対話している八千ましろを見つけてしまった。

 私は急いで物陰に姿を隠す。

 そして、一匹と一人の会話に耳を傾けた。

 

 しかし、息が荒い八千ましろを見るのは初めてである。

 それほど重要な話をしているのだろうか。

 

「ねえ、コードネーム【テルミドール】」

 

 コードネーム? テルミドール? 最初は何のことだろうと思ったが、徐々に真相が分かってくる。

 結論から言うと八千ましろはインキュベーターと同じ宇宙人だった。

 それに銀河連邦旅団という部隊のリーダーだとも言う。

 

 私は酷く狼狽する。

 しかし、そう考えれば納得行く場面も多い。

 インキュベーターと同じ存在、もしくは技術面で優れている種族が彼なのだとすれば、魔法少女システムを初期の方から解読していて、私と言うイレギュラーが存在していることも認識していたのではないだろうか。

 

 それに、魔女の正体も知っていて、だからあのように語りかけるような戦い方をしたのだろう。

 魔女の中にまだ……いると言う事を信じて。

 

 しかし、まだ彼の目的が分からない。

 インキュベーターと同じように、私たちを家畜同然のものとしか考えていない可能性だってある。

 しかし、インキュベーターが言った言葉に私はまたしても驚くことになる。

 

「……僕たちに気取られたらいけないような重大な使命なのかな? 例えば……地球人を救う為とか」

 

 そう言った時、彼の目が見開いた。

 図星を突かれたのだろう。

 

 ……私は酷くとんでもない勘違いをしていたのかもしれない。

 しかし、そうだろう。

 じゃなければ、あんな戦い方はできはしない。

 

 そしてその後も、インキュベーターの目的を彼は聞かされ、一緒に宇宙を救おうと協力を持ちかけられたが、彼は即答で断った。

 

「これが感情のある者とない者の差だ」

 

 感情を持つ彼なら……痛みを知る彼なら……もしかしたら……。

 

 ────まどかを一緒に救えるかもしれない。

 

 だから、私は賭けよう。

 ……私は彼を。八千ましろを……【マクシミリアン・テルミドール】を仲間に引き込む!




魔法少女から見た八千ましろ

巴マミ→得体は知れないけど、悪い人ではなさそう。
美樹さやか→なんかまた変な奴が出てきたな。
鹿目まどか→ちょっと変だけど頼りになる。
暁美ほむら→ヤベー奴だと思ったら優しいヤベー奴だった。

八千ましろから見た魔法少女達

巴マミ→恐らく中二病患者
美樹さやか→青い人
鹿目まどか→ピンクの人
暁美ほむら→中二病末期患者のヤベー奴
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