輪廻の狭間
『……間に合いませんでしたか。いえ、厳密には、この時が来てしまった、と言うべきでしょうか』
『また、間に合わなかった……? 二兎を追うもの、というやつでしょうか。いえ、まだ……』
『……
『そう。見えるものは、全て回収された。これも、前回までと同じ。悪魔達と人間や幽鬼では、見える物も見え方も違う』
『零姉さんも同じでしたから、驚きはしませんが……力及ばず、看取る事も出来ないと言うのは、役目とは言え堪えるもの、ですね』
『それに、死したものが担う役割というのは、私の特権でしょう。私の義務で、権利でしょう。貴女達のものではありません』
『これで、
『今となっては説得力に欠けるかもしれません。それでも。私は貴女達を――――』
『……
『異なる世界の記憶、記録。これは輪廻なのか、再生なのか……いずれにしても、分岐したか否かについては、知ることが出来ない』
『目覚めた時、
『きっと、失敗する私と、成功する私に別れるという単純な話ではないのでしょう。まあ、生まれ変われないことに変わりありませんが』
『……いえ、詮無き事です。私は生まれなかったもの。命が無い故に、
『生きている者にとって、いずれも手に入れることはできても、保持することが出来ない。魂が欠けている死者だからこそ。死んでいるから、あの人達の力になれる……』
『……さあ、行きましょう。2つでは駄目だった。3つでも、完璧な結果になるかは分からない。では、4つなら』
『さあ、逝きましょう。2つでは駄目だった。3つでも、4つでも。では、5つならば、
『きっと、3つ目で飛び立った"久遠"もいたのでしょう。これから5つ目を確保しに行く"久遠"もいるかもしれない』
『願掛けのような頼り方ですし、6つ目を確保しに行くことになったら、その時は私は"久遠"に謝りましょう』
『ですが"私という久遠"にはこれが最期の旅路。あるいはそう願うことしか、許されないとしても。零姉さん達を、悪意の鎖から断ち切る為なら、私はどこまでも――――』