CRY'sTAIL   作:John.Doe

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輪廻の狭間
輪廻の狭間


『……間に合いませんでしたか。いえ、厳密には、この時が来てしまった、と言うべきでしょうか』

『また、間に合わなかった……? 二兎を追うもの、というやつでしょうか。いえ、まだ……』

 

 

『……理念(イデア)はほぼ全て回収されましたか。そうでしょうね、あの悪辣な悪魔達が、見逃すはずがない』

『そう。見えるものは、全て回収された。これも、前回までと同じ。悪魔達と人間や幽鬼では、見える物も見え方も違う』

 

 

『零姉さんも同じでしたから、驚きはしませんが……力及ばず、看取る事も出来ないと言うのは、役目とは言え堪えるもの、ですね』

『それに、死したものが担う役割というのは、私の特権でしょう。私の義務で、権利でしょう。貴女達のものではありません』

 

 

『これで、4()()()真理念(アレセイア)。管理者達が見つける事の出来ない、辿り着くことのできない理念(イデア)が昇華した奇跡。待っていて下さい、零姉さん、小夜さん。私は、きっと――――』

『今となっては説得力に欠けるかもしれません。それでも。私は貴女達を――――』

 

 

『……真理念(アレセイア)。貴方は応えてくれはしないでしょうが。これを拾い集めている私は、1つ目を手に入れた時、2つ目を手に入れた時……()()()()のでしょうか』

『異なる世界の記憶、記録。これは輪廻なのか、再生なのか……いずれにしても、分岐したか否かについては、知ることが出来ない』

 

 

『目覚めた時、真理念(アレセイア)が持つ記憶に触れて、私は大切なものを取り戻した。では、真理念(アレセイア)()()()()()()()()は?』

『きっと、失敗する私と、成功する私に別れるという単純な話ではないのでしょう。まあ、生まれ変われないことに変わりありませんが』

 

 

『……いえ、詮無き事です。私は生まれなかったもの。命が無い故に、理念(イデア)真理念(アレセイア)も生めず、しかし集めることが出来るもの』

『生きている者にとって、いずれも手に入れることはできても、保持することが出来ない。魂が欠けている死者だからこそ。死んでいるから、あの人達の力になれる……』

 

 

『……さあ、行きましょう。2つでは駄目だった。3つでも、完璧な結果になるかは分からない。では、4つなら』

『さあ、逝きましょう。2つでは駄目だった。3つでも、4つでも。では、5つならば、4()を超えた数ならば』

 

 

『きっと、3つ目で飛び立った"久遠"もいたのでしょう。これから5つ目を確保しに行く"久遠"もいるかもしれない』

『願掛けのような頼り方ですし、6つ目を確保しに行くことになったら、その時は私は"久遠"に謝りましょう』

 

 

 

 

 

『ですが"私という久遠"にはこれが最期の旅路。あるいはそう願うことしか、許されないとしても。零姉さん達を、悪意の鎖から断ち切る為なら、私はどこまでも――――』

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