名探偵ヒナギク   作:桂ヒナギク

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第03話:夜の白皇学院

 夜の白皇学院。

 警備員が見回りをしている。

「ん?」

 不審な物音を聞いた警備員が音のした場所へ向かう。

 校長室。扉を開ける警備員。

 室内で金庫をいじっている何者か。

「何をしてる!?」

 何者かは警備員に気付くと、ナイフを取り出して駆け出し、そのまま警備員に突っ込んでナイフを腹部に刺した。

「うっ!」

 ナイフを抜く何者か。

 警備員は痛そうな表情でその場に倒れ、血文字でT5110 75と残して息絶えた。

 何者かは金庫を()じ開け、中に入っていた現金三百万を盗み、ダイイングメッセージに気付くことなく逃走した。

 朝になり、校長が部屋にやってくる。

「うわ!」

 死体を見てビックリする校長。そして更に金庫が抉じ開けられているのを見てショックを受ける。

 校長は携帯を取り出し、警察に通報をした。

 やがて警察が到着し、捜査が始まった。

 登校したヒナギクが騒ぎを聞き付け、校長室の前にやってくる。

 入り口は立ち入り禁止の黄色いテープで封鎖されていた。

「お巡りさん、何があったんですか?」

「校長室に強盗が入ったんです」

「中を見せていただくことは?」

「一般人は立ち入り禁止だよ」

 捜査をしていた平山警部がヒナギクに気付いた。

「桂くん、おはよう」

 校長室から平山警部が出て来て入り口の警官に言った。

「君、この子は探偵の桂くん。入れてあげて構わないぞ」

「え! あの有名な!?」

「いつも難事件の解決に協力してくれてるんだ」

「じゃあ中へ」

 警官がテープを持ち上げる。

 平山警部がヒナギクと共に中へ戻る。

「被害者はこの学校の警備員ですか……」

 ヒナギクは部屋の様子を見て推測した。

「つまりこういうことですか。犯人が校長室に侵入し、見回り中の警備員と鉢合わせし、顔を見られたために殺害して金庫の中にある金目の物を盗んで逃走した」

「凄い……!」

「これはダイイングメッセージ?」

 ヒナギクが床の血文字に気付く。

(T5110 75か……)

「このTと数字の意味が分からないんだが、桂くんはこれが何か分かるかね?」

「私もまだこれが何かは……」

(T5110 75……)

「平山警部、通報者は?」

「第一発見者の校長先生だよ。話によると、いつも通り出勤したら警備員の方が亡くなっていて、金庫の中の三百万円が持ち去られていたそうだ」

「昨日の宿直は?」

「君のお姉さんだ。先ほど宿直室へ伺ったら酒に酔い潰れて寝込んでいたよ」

(お姉ちゃん……)

「被害者の死亡推定時刻は?」

「日付が変わって今日の午前三時頃だよ」

「警部!」

 と、そこへ木下刑事がやってくる。

「校門に設置してある監視カメラの映像の死亡推定時刻の時間に出入りする女性が映り込んでいました」

「身元は割れてるのかね?」

「この学校の教師で、名前が五位堂 菜々子(ごいどう ななこ)です」

「ん?」

「桂くん、どうしたのかね?」

(Tって、Teacher(ティーチャー)の略だったんだ。てことは、5110 75で五位堂先生?)

「……桂くん!」

「え? あ、はい?」

「何か分かったのかね?」

「分かりました。五位堂先生を連れて来て下さい」

「木下くん、五位堂さんを呼んでくれ」

「はい」

 木下刑事が五位堂を呼びに行くと、彼女を連れて戻って来た。

「待ってましたよ、五位堂先生」

「桂さん、私に何か用かしら?」

「早朝、校長室に忍び込んで金庫を抉じ開け、現金三百万を盗む際に警備員を殺害したのは、貴方ですね?」

「何を言ってるの?」

 ヒナギクが血文字を指差した。

「T5110 75。これが犯人の名前を示しています」

「い、いつの間に!?」

「亡くなった警備員が残したんですよ」

「……やっぱり悪いことは出来ないわね」

 五位堂は平山警部に向かって両手を差し出した。

「逮捕、して下さい」

「五位堂先生、なぜこんな事をしたんですか?」

「借金を返済しようと思って」

「後は署の方でお聞きします」

 平山警部は五位堂に手錠をかけて連行して行った。

 

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