名探偵ヒナギク   作:桂ヒナギク

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第04話:桂 ヒナギク、最初の事件!

 千葉県成田空港。

 ヒナギクとハヤテは北海道行の便に乗って出発を待っていた。

「ヒナギクさん、飛行機の方が速いからって、飛行機にしましたけど、高い所大丈夫なんですか?」

 ハヤテは問うが、ヒナギクはアイマスクをして爆睡していた。

 やがて飛行機が動き出し、成田を離陸した。

 ヒナギクは夢を見ている。

「キャアアアア!」

 悲鳴を聞いたヒナギクは、すぐさま駆けつけた。

「どうしました?」

 悲鳴を上げた女性が腰を抜かした状態でトイレの中を指差す。

 ヒナギクがその先を見ると、苦しそうな表情をした男の遺体が便器に腰掛けていた。

 彼女は中に入り、男の遺体を調べた。

 頸椎(けいつい)に損傷が見られる。

 そこに偶々乗っていた千葉県警の刑事がやってくる。

「君、何してるんだ?」

 振り返るヒナギク。

 刑事はヒナギクに警察手帳を見せた。

 名は石垣 守男(いしがき もりお)。階級は警部だ。

「千葉県警の石垣だが、君は?」

「桂 ヒナギク……探偵ですよ」

「民間人が事件に首を突っ込んだらいかんよ。さあ、退いてくれ」

「体が温かいので、死んで三十分ってところでしょうか。頸椎が損傷を起こしているので、窒息死だと思います」

 ダストボックスを開けるヒナギク。

(かす)かな甘い香はクロロフォルムによるものでしょう。そこから推察出来る手口は、被害者を眠らせた状態で頸椎に尖ったものを刺して窒息死させた、というところでしょうか」

「そ、そのくらいワシも気付いてたよ。じゃなくて、捜査の邪魔だから退いた」

 ヒナギクはトイレを出た。

 石垣はトイレに入り、遺体を見た。

「ふむ、確かに君の見立て通りだな」

 石垣がダストボックスの中を見ると、そこにはクロロフォルムの臭いがついたハンカチが入っていた。

 石垣は手袋をはめてハンカチを取り出した。

「桂さんと言ったか。アンタ、事件に詳しいみたいだから、話を聞かせてもらえる?」

「詳しいって、現場の状況を見て推理しただけですよ」

「そんなこと言って、本当はアンタが殺しちゃったんじゃないの?」

「言い掛かりだわ! 私はね、今まで一回も法や条例に違反したことはないわよ!」

 そこへ騒ぎを聞きつけた四人の男女が現れる。

 浅沼(あさぬま)荻田(おぎた)島田(しまだ)亀井(かめい)だ。

「君たちは何だね?」

「友人がトイレから戻ってこないから様子を見に来たんだ」

 亀井がそう言ってトイレを覗く。

「黒沢!?」

 続いて三人が見る。

「黒沢くん!」

「嘘……だろ?」

「何でよ?」

「どうやら、あなた方は被害者と顔見知りのようですな。少々お話を聞かせてもらえるかな?」

「あんた何なんだ?」

 石垣は四人に警察手帳を見せる。

「千葉県警の石垣だ。あなた方は今から三十分前後、何をしてた?」

「俺は寝てたぜ」

 と、浅沼。

「私はDSで名探偵コナンを」

 と、荻田。

「弁当食べてた」

 島田。

「本読んでたわ」

 亀井。

「そうか。取り敢えず、あなた方の荷物検査をしてもよろしいかな?」

 石垣は四人の所持品検査を行った。

 浅沼が、たばこ、ライター、財布、カメラとそのデータを保存するmicro SDカード、歯磨きセット。荻田が、ゲームにお菓子、財布、歯磨きセット。島田が財布、手帳、歯磨きセット。亀井が警察手帳、手錠、歯磨きセット、本、筆記具だ。

「ほう。亀井さんは同業者ですか」

 亀井の手帳には北海道警察と刻印されている。

「ということは、あなた方は北海道へ帰省する訳だな?」

「ええ」

「では被害者の所持品も確認させてもらおうか」

 荻田が黒沢の荷物を取ろうとして手を止めた。

「どうしたんだ?」

「前に黒沢くんの荷物がズタズタに切り裂かれていたことがあったのを思い出しちゃって」

 右手を下ろし、左手で取る荻田。

 一部始終を見ていたヒナギクは言った。

「荻田さん、黒沢さんを殺害したのは、貴方ですね?」

「な、何を言ってるの?」

「凶器は貴方の着けている下着のワイヤーです。身体検査をすれば分かると思いますが、どうしますか?」

 荻田は崩れた。

「何で分かっちゃったの?」

「貴方が右手で黒沢さんの荷物を取ろうとしてやめたのを見た瞬間に全てを悟りました」

冴子(さえこ)、どうして殺したのよ?」

「黒沢くんが妹を(いじ)めで自殺に追い込んだからよ」

「洋子ちゃんって自殺だったの? 俺達は病死だって聞いてたけど……」

「違うわ。自殺よ。赦せなかった。だから殺したの」

 立ち上がった荻田は、石垣に手を差し出した。

 石垣が荻田に手錠をかけたところで、ヒナギクは夢から覚めた。

「よく寝た」

 アイマスクを外すヒナギク。

 飛行機は新千歳空港に着陸していた。

「ヒナギクさん、降りましょう」

「うん」

 二人は荷物を手に飛行機を降りていくのであった。

 

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