名探偵ヒナギク   作:桂ヒナギク

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長らく間が空いてしまいましたが、更新です。


第06話:寝台特急殺人事件! 前編

 ヒナギクとハヤテは帰京するために、寝台特急に乗っていた。

 理由は、ヒナギクが飛行機に乗りたくないと言ったのが始まりだ。

 二人は食堂車にいる。

 ヒナギクは紅茶、ハヤテはコーヒーを飲んでいる。

 二人の他、食堂車には老齢の男女、高校生くらいの男の子とその両親、そしてスーツ姿の男がいる。

 ヒナギクは六人の姿をチラッと見た。

 高校生の男の子は、スーツ姿の男に声をかける。

「何か用かな?」

「あ、あの……また切手を」

「東京に着いたらあげるよ」

 男の子の父親が言う。

「京介、切手なんかもらってどうするんだ?」

「お父さんには関係ないよ」

「関係……って」

「あなた、京介は切手を集めるのが趣味なんじゃないかしら? そこの男性はきっと郵便局員よ」

 スーツの男は言った。

「そ、そうなんですよ。僕、郵便局員で。京介くんとはいつも窓口でね」

「へえ。そうなんだ? 私も買ってみようかな」

「それでしたら、後で私の部屋に。上物を揃えてありますよ」

 列車が海底トンネルに進入する。

「ハヤテくん、海底トンネルよ。何も見えないわね」

「そりゃトンネルですからね」

 スーツの男が席を立つ。

「さて、戻るかな」

 スーツの男と入れ替わりに、女が入ってくる。

 女は席に着くと、食事を注文した。

「あれ?」

 女はスーツの男が出て行った先を見た。

「洋子、切手を買ってくる」

 京介の父がスーツ男の後を追った。

 *

 ヒナギクは部屋で横になっている。

 その時、どこからともなく、女性の悲鳴が聞こえてきた。

「なに!?」

 ヒナギクは悲鳴の元へ駆けつけた。

「何があったんですか?」

「し、し、し、死んでるの!」

 ヒナギクは女の指差した先を見た。そこには、スーツ姿の男の遺体が倒れている。

 遺体の腹部にはナイフが刺さっている。死後硬直の具合から、一時間ほど経っているとみられる。

「一体なんの騒ぎですか?」

 ハヤテがやってきて遺体を確認する。

「こ、これは!」

「ハヤテくん、乗務員呼んできて」

 ヒナギクが部屋に入り、隅々まで調べだした。

「ん?」

 鍵のかかった箱。

 ヒナギクが遺体を探ると、ポケットから鍵が出てきた。

 ガチャリ、と箱の鍵を開けた。

 中から大量の粉が飛び出した。

(こ、これは!)

 覚せい剤や麻薬などが沢山ある。

「一体何があったんですか?」

 乗務員がやってきた。

「は!」

 驚く乗務員。

「乗務員さん、この車両から、誰一人出入りさせないで下さい」

「わ、わかりました!」

 乗務員がヒナギクの指示を受けて対応をする。

「あ! あとそれから、列車内に警察官がいないかの確認もお願いします!」

「警察ならいるよ」

 聞き覚えのある声。

 ヒナギクの前に平山警部が姿を見せる。

「平山警部! なにしてるんですか?」

「ん? ああ、出張の帰りだよ。しかし、こんなところで会うとは。それも殺人現場でな」

「被害者ですが、殺されてもおかしくないような商売をしてたみたいですよ」

「どういうことだね?」

 ヒナギクは床に散らばった粉や注射器の類を示した。

「か、覚せい剤!?」

 ヒナギクは女性の方へ向かっていく。

「あなたが第一発見者の……」

吉崎(よしざき) (かなで)

「吉崎さん、あなたはどうしてこの部屋に?」

「興味があったからよ」

「何に?」

「えっと……その……」

「薬に手を染めようとしたわけですね?」

「……はい。すみません。でも、殺してませんからね!」

 

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