アインクラッドからの転生者   作:アルシャ

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第11話で、キリト君が決闘をするためにメインメニューを操作しているところを少し変更しました。

ウィンドウは他人には見えていないものだと思っていましたが、内容が見えていないだけで、紫に光る板、ウィンドウ自体は見えていました。

なので、パントマイムをしているのか?ではなく、・・・あれは・・・どこかで見たことがあったような・・・と変更しました。
自分のミスです。本当に申し訳ありません。


第12話 VSキリト

 イエスノーボタンの上に、初撃決着モード、半減決着モード、完全決着モードと書かれた文字が3つ並んでいる。

 

 これは、決闘のルールか何かだろうか? 

 これを俺が選ぶのか? 

 

 初撃決着モードと完全決着モードというのはなんとなくわかる。

 

 要するに、1撃攻撃を当てた方が勝ちと言う決闘と、完全に勝負がつくまで終わらない決闘、と言うことだろう。

 

 だが、この半減決着モードと言うのはなんだ? 

 

 何が半減したら決着するんだ? 

 体か? 体が半分になったら勝負がつくのか? 

 

 流石に体が半分なくなれば生きていけないと思うのだが。

 

 いや、何かしらの枷をして戦うのだろうか? 

 

 例えば、動き易さを半減、つまり何か重石を体につけて戦ったり、もしくは武器の切れ味を半減、つまりなまくらな武器で戦うのだろうか? 

 これだろうな。相手の体を半減させるまで戦いが終わらない、と言うことではないだろう。

 

 さて、何を選ぶか。

 いや、キリト少年が決闘しようと言ってきたんだ。キリト少年が望む決闘にするべきだな。

 

 当然、キリト少年が望む決闘は、完全に勝負がつくまで終わらない、完全決着モードと言うやつ以外にはあり得ない。

 

 俺は完全決着モードと言う文字を押した。

 

 すると、60と言う文字が出てきて、それが59、58、と減っていった。

 

 これは、時間制限? この間に決闘を終わらせなければならないのだろうか? 

 いや、キリト少年が動き出す気配はないから、違うだろう。

 

 というより、キリト少年は俺が完全決着モードを押した瞬間、少し驚いている様子だった。

 

「……何故、分かった?」

 

 なるほど、キリト少年は、俺がキリト少年が望む決闘方法を選んだことに気がついているのだろう。

 そして、考えを当てられて少し驚いたと言ったところか。

 

「目を見ればわかる、俺が気づかないと思っていたのか?」

 

 俺の発言に対して、キリト少年は少し驚いた表情を浮かべていた。

 

 キリト少年が戦闘狂である事に、俺が気づかないとでも思っていたのだろうか? 

 俺は戦闘狂ではないが、キリト少年は間違いなく戦闘狂だ。

 

 そんな戦闘狂が、一撃で終わってしまう決闘や、制限をつけた決闘などで満足できるはずがない事など分かりきっている。

 つまり、完全に決着をつける決闘以外選択肢などないことは簡単に予想がつくことだ。

 

 さて、残りの時間は後少し。

 もう直ぐ決闘が始まるはずだ。

 

 その時、キリト少年から強い殺気が俺に放たれた。

 俺に本性を知られてしまっている以上、もう隠す必要はない、と言うことか。

 

 キリト少年の出す殺気は、まだまだ未熟で鋭さが足りていない。

 その程度では、敵に自分の存在を無視させないことも、相手を怯ませることも出来ないだろう。

 

 だが、とても純粋で、強い思いが込められた殺気だ。

 悪くない。

 

「ふ、なかなかに心地良い殺気だな、さあ、どこからでもかかってこい」

 

 そして、数字が0になった瞬間、キリト少年が駆け出してきた。

 

「うおおおおおお!!」

 

 俺は鞘に収まる剣の鞘に右手を添え、キリト少年を待ち構えた。

 

 キリト少年は真っ直ぐ、感情に身を任せて、全力で向かって来ているのだろう。

 しかし、隙だらけだ。

 あまり人との戦いをしてこなかったのだろうか? 

 勿論、剣を持ちたての初心者の動きではないが、それでも……ん? 

 

 その瞬間、キリト少年の剣が仄かな水色に発光した。

 そして、キーン! という音を出しながら、急激にキリト少年の動きが早くなった。

 

 その緩急に、一瞬対応が遅れた。

 

 その為、今からでは剣を抜く余裕がなかったため、俺はギリギリまで引きつけ、キリト少年が剣を振り始める直前に一歩後ろに下がった。

 

 それにより、キリト少年の斜め切りは、俺の目前を素通りした。

 その後、剣の光が消えた。

 俺はそのまま居合斬りで、キリト少年の首を狙おうとした。

 キリト少年はかなりの大振りをした為、少しの間隙ができると踏んで。

 しかし、キリト少年は剣を振るった後、体勢を立て直すでも、もう一歩踏み込んで更に追撃を加えようでも、俺の攻撃を警戒して防御に努めようでもなく、そのままの体勢で固まっており、あまりにも無防備すぎたため、俺は大きく後ろに下がった。

 

 あれは、俺を誘っているのか? 

 あまりにも隙だらけすぎて、逆に罠ではないかと思った。

 

 それにしても、先程は驚かされた。

 剣が光る原理はわからないが、それでもまさかあそこから更に速度が上がるとは思わなかった。

 明らかに全力を出している様子であったと言うのに。

 

 先程の考えは訂正しよう。キリト少年は戦い方が上手い。

 

 先程のあまりにも隙だらけな様子は、こちらの油断を誘う為の策であり、そうして油断した相手を、その急速な緩急により一撃で仕留める、なかなかいい手だ。

 

 あの緩急に初見で対応するのは、余程戦場に慣れ親しんでいなければ難しい。

 先程の俺はカウンターを狙うために、キリト少年を待ち構えていた。

 つまり、キリト少年の動きを注視していたため、俺は先程の攻撃に対応しきれたが、そうで無ければ、もしくは、あの隙だらけな様子に油断でもしてしまっていたのなら、完璧に避けきることは出来なかったであろう。

 

 しかし、あの猿との戦いで油断を戒めた俺には、通用しなかったがな。

 

 しかし、あの一瞬は完全にキリト少年は俺を上回っていた。

 惜しむらくはほんの少し緩急の急を出すのが早かったことだな。

 だが、それでもあの速度で動けるのなら、今の俺にとってはなかなかの強敵だ。

 

 少し楽しくなって来た。

 

 さあ、次はどのような手でくる? 

 先程の一撃で終わりではないのだろう? 

 キリト少年は、これから様々な手を使って、俺の予想を上回ってくれるのだろう? 

 

 俺はこれからの戦いが、とても楽しいものとなる予感がして、とても期待した。

 

 俺が接近してくる気配がないことを悟ってか、固まっていたキリト少年は突然動き出した。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

 キリト少年は剣を左に大きく引き、その瞬間、刀身薄水色の光が包んだ。

 そして、キーンという音を発しながら速度を上げて切りかかってきた。

 

 その緩急は一度見た。

 二度通じると思われているのは遺憾だな。

 

 俺はキリト少年の横薙ぎを、余裕を持って躱した。

 そして、またもやキリト少年は振り切った状態のまま固まった。

 今回は先程より大きく離れているため、固まる必要はないと思うのだが。

 

 その後、またもや唐突にキリト少年はこちらに向かって動き出した。

 

「らあああああ!!」

 

 キリト少年は剣を大きく頭上に振りかぶり、その剣が薄青く輝き、キーン! という音を発しながら急撃に速度を上げて切りかかってきた。

 

 三度目だ。その緩急が未だに通用すると思っているのだろうか。

 そろそろ他の手も見せて欲しいものだな。

 

 俺はキリト少年の縦斬りを右に躱し、その振り切って無防備を晒す少年の懐に潜り込みながら鞘から剣を抜き、キリト少年の首筋の少し手前で寸止めした。

 

「っ!?」

 

「どうした? この程度ではないだろう?」

 

 先程警戒していた罠は、特になかった。

 

 キリト少年は、首に剣を当てられているのにもかかわらず、振り下ろした剣をそのまま俺に向かって斬り上げようと体を動かした。

 その瞬間、俺は剣を引き、右前方に飛び込むように転がって、キリト少年の剣を躱しながら、少し距離をとった。

 

 そして、俺の背後から、キリト少年の足音と、剣を振り上げる音が聞こえてきた。

 しかし、キーンという音は聞こえてこなかった。

 そして何よりも嫌な予感というものがしない。

 

 俺はそのままキリト少年に背を向けながら、ゆっくり立ち上がった。

 

 俺は今、戦いの最中であるにもかかわらず、キリト少年から目を離している。

 俺はあの猿に対して、戦場で敵から目をそらすなど、殺してくださいと言っているようなものだと思った。

 つまり、キリト少年も同じように思っているだろう。

 今の俺は隙だらけだと。

 

 だが、俺はキリト少年の動きを完璧に把握している。

 

 背を向けていてもわかる。

 キリト少年の気配が、その剥き出しの殺気が。

 

 だから見ていなくとも、むしろ見ていない方がキリト少年の動きが分かる。

 

 キリト少年が俺の背に剣を振り下ろそうとした瞬間を狙い、俺は振り返りながら剣を振るった。

 

 そして、甲高い音が辺りに響き渡り、それと同時にキリト少年の手から剣が回転しながら飛び去っていった。

 

 その剣は、少し離れた地面に突き刺さった。

 

「っな!?」

 

 攻撃を繰り出す寸前の一瞬は、腕から力が抜ける。

 だからその瞬間に武器を攻撃すれば、相手の手から武器を吹き飛ばすことができる。

 

 ただ、腕から力が抜けるのはほんの一瞬。

 今回は、キリト少年が分かり易すぎるほどの気配を、殺気を放っていたからタイミングが掴みやすかったが、慣れていなければ難しい技だろう。

 

 キリト少年は、自分の武器が手元から離れたことに動揺してか、一瞬動きを止めてしまった。

 

 その隙を逃すことなく、俺はキリト少年の首筋を狙い一刀を放ち、当たる寸前で動きを止めた。

 

「これで、終わりか?」

 

 お前は、この程度なのか? 

 違うよな? 

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