アインクラッドからの転生者   作:アルシャ

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最近仕事が忙しくなってきた為、更新頻度が落ちます。
申し訳ありません。

デュエルについて調べて見たら、完全決着モードには制限時間がないようですね。知らなかったです、本当にすみませんでした。
完全決着って言っているんだから制限時間なんてあるはずがないのに。
という訳で、内容が変わっています。すみません。

変わった内容の簡略的なものは後書きの一番最後に載せておきます。

本当にすみません。


第13話 空腹

「まだ戦う意思があるのなら、剣を拾え」

 

 キリト少年は、剣を拾った。

 その後、キリト少年は豹変した。

 

 先程までは、荒れ狂う戦闘狂といった雰囲気であったのに、これ以降は冷静な狩人といった雰囲気に変わった。

 

 まぁ、だからと言って、先程までよりも強いかと言われれば微妙なところだが、動きは悪くない。

 

 冷静な狩人となったキリト少年は、先程までよりは守りが固くなり、完全に虚を突かなければ首への寸止めは行えなくなった。

 攻撃も、なんとかこちらの虚を突こうと頑張っている。

 しかし、一番初めの緩急のように、俺の予想を上回るような行動がない。

 

 やはり最初の緩急がキリト少年の必勝の策で、その策が破られたことが少ないから、通用しなかった相手との戦いに慣れていないのだろう。

 

 キリト少年はどうやら、常にあの剣が光っている時の速度が出せるわけではないようだ。

 あの急激な加速は、剣が光っている間だけの限定なのか、もしくは俺にそう思わせたいだけなのかはわからないが、剣が光っている時しかキリト少年は加速しない。

 

 剣の正確性もそうだ。

 あの剣が光っている時は、体全体を使ってしっかりと剣を振るっているのだが、それ以外では少し剣に振り回されている。

 剣を、己の体の一部のように扱えていない。

 

 恐らくキリト少年は、いつも持っている剣と重心の位置や重さが変わっており、その感覚の違いが太刀筋を狂わせているのだろう。

 良く見るとキリト少年の今の武器は、あの口植物達が出た森で使っていた武器と違っているから、まだその武器に慣れていないんだろう。

 

 そして、剣の光が収まった後、キリト少年の体は毎回一瞬硬直している。一瞬とはいえ、戦場においてその一瞬は致命的だ。

 なぜ硬直するのかはわからない。急加速の副作用なのだろうか? 

 俺はその隙を逃すほど甘くはない。

 だからかは分からないが、キリト少年は途中から剣を光らせるのを完全にやめた。

 

 剣を振るった後に、一瞬であろうとも体が動かなくなるのは、本当に致命的だ。

 その1撃で勝負を決められるのならいいだろうが、決められなければ、一瞬の隙を敵に晒すことになる。

 

 一瞬の隙に対応できない敵との戦いならば問題ないが、俺がその一瞬を逃さないのだから、光る剣を使わなくなったキリト少年の判断は間違ってはいないだろう。

 

 そして、恐らく武器を持つ相手との戦いは行ってきたのだろうが、体全てを使って戦う相手とは、あまり戦ったことがないのだろう。

 キリト少年は、俺の剣の動きは良く見ている。

 だが、攻撃に体術を織り交ぜたり武器を空中に放り投げたときに、その動きが予想外だったのか、大きな隙ができた。

 こういった行動をとる敵とは戦ったことがないのだろうな。

 

 とにかく、キリト少年には圧倒的に経験が足りない。

 

 だが、言ってしまえばそれだけだ。

 キリト少年には、光るものを、圧倒的な才能を感じる。

 

 キリト少年は、この戦いの最中だけでどんどん成長している。

 色々な策を考えるだけの頭もあるし、そして何より反応速度が速い。

 

 反応速度、俺は常にキリト少年の気配や殺気から次の行動を予測できるため、俺の方が圧倒的に有利なのだが、そんな状況でも、完全に虚を突かなければ、キリト少年は俺に食らいついてくる。

 つまり、気配や殺気を読まずに戦えば、反応速度はキリト少年の方が上という事だ。

 

 反応速度というのは、戦いにおいてかなり重要なものだ。

 

 相手の反応速度が早すぎると、こちらの全ての攻撃に対して対応してくるし、相手の虚を完全についたカウンターでもタイミングを少しでも誤ればカウンター返しが飛んでくるから本当に困る。

 

 ああ、懐かしいな。

 この少年を見ていると、カズヤのことを思い出す。

 

 カズヤとたまに喧嘩して戦った時は、俺の攻撃のほぼ全てに対応されて殆ど勝てなかったからな。

 何をやっても全て対応してくるのは、とても戦いづらく、とても楽しかった。

 

 勿論、記憶が無くなるくらいに全てを本能に任せて戦えば、また結果は違うのだろうが、喧嘩でそんなことをしていたら、殺し合いになってしまうからな。

 

 キリト少年もあと5年、いや3年ほど経験を積めば、カズヤのように、いや、カズヤ以上になれるかもしれない。

 

 だが、今はまだまだ足りない。

 これでは熱くはなれない。血がたぎるような、痛みさえもが気持ち良い戦いは、今のキリト少年とはできないだろう。

 

 俺は軽く剣を振りあげ、キリト少年の意識が剣に向いた瞬間に、キリト少年の足を払い、体勢を崩したキリト少年の手を剣の横で叩いて、持っている剣を手放させた。

 

「くっ、っ!?」

 

 俺はそのままキリト少年を組み伏した。

 そして、剣をキリト少年の顔の横の地面に突き立てた。

 

 俺がキリト少年を組み伏せている関係上、キリト少年の顔が俺の目の前にあるのだが、今だにキリト少年の顔には諦めの色が一切ない。

 

 これほどまでに圧倒的な実力差を見せているにも関わらずだ。

 キリト少年の瞳には強い闘志が浮かんでいる。

 

「……惜しいな、実に惜しい」

 

「……何?」

 

 このままキリト少年を殺してしまうことが、実に惜しい。

 

 勿体ない。

 キリト少年には戦い才能があり、圧倒的な力量差を前にしても諦めることをしない強靭な精神力も持っている。

 

 そんな将来とても素晴らしく強くなるであろう人間を、いまだに未熟なうちに殺してしまうのは、本当に勿体ない。

 

 勿論、キリト少年から挑んできた戦いだ。

 キリト少年も当然死ぬ覚悟くらいはしているだろうし、むしろ殺さないことの方が相手に対する侮辱になることくらい分かっている。

 

 だがそれでも、だ。

 

「やめだ」

 

「……は?」

 

 俺は立ち上が理ながら、地面に刺した剣を抜き、鞘に収めた。

 

「今のキリト少年を殺してもつまらん」

 

「っ!」

 

 そのまま俺はキリト少年に背を向けて歩き出した。

 

「強くなれ、キリト少年」

 

「待て!」

 

 しかし、俺はキリト少年に呼び止められた。

 

「どうした? ああ、俺が一方的に勝負を切り上げるんだ、この決闘は俺の負けだ」

 

 完全に決着をつける前に、つまり、殺す前に勝手に俺が勝負を投げ出したんだ、当然俺の負けだろう。

 

 そう言えば、決闘で負けたということはアインクラッドの情報をキリト少年に伝えなければならないのか。

 

「参ったな」

 

 別に教えるのは構わないのだが、俺の知るアインクラッドの情報は膨大だ。

 全てを教えていたら何日掛かることやら。

 今は早く先に進みたい気分なんだが、いや、約束は約束だ。

 

 俺はキリト少年の方に向き直った。

 

 すると、キリト少年と俺の間にWINNER/Kirito 試合時間/429秒という紫色の文字が書かれた透明な板が浮かんでいた。

 

 なんだこれは? ……ふむ、この文字はキリト少年が勝利したと言っているのか。

 何故こんなものが浮かんでいる中などの原理は相変わらず分からないが、キリト少年の勝利というのは正しいな。

 

 さて、アインクラッドの情報、何から話すか。

 とりあえず、昔シムセスから聞いたアインクラッド昔話からするか。

 

「その昔、大地には森エルフの何とか王国や、黒エルフの《リュースラ王国》人間の《九連合王国》、ドワーフの何とか王国やその他の種族が暮らす国があった」

 

 案外覚えているものだな。

 

「しかしある時、色々な国が大地ごと円形に切り抜かれて空へ浮かべられた、そして鉄やら石やらで補強され、それらが何回層にも重なった」

 

 話していると、だんだん思い出していく。

 

「それ以降、人間だけではなく、エルフもドワーフもおまじないのほとんどが使えなくなり、人間の国は滅び、階層ごとの交流もほとんどなくなった、それがここ、アインクラッドだ」

 

 まあ、これはあくまで前世の世界での話だ。

 だが、色々と似ているところが多いし、キリト少年は俺の持っているアインクラッドの情報をよこしてもらうと言っていた。

 

 だから何の問題もないだろう。

 さて、次は何を話せばいいか……そうだ。

 

 キリト少年が聞きたいことを答えればいいのか。

 

「さて、何が聞きたい?」

 

「……ゲームクリア以外でログアウトする方法は?」

 

 ん? 何の話だ? アインクラッドの話じゃないのか? 

 ログアウト、あの亡霊も言っていた言葉だな、相変わらずそれがどんな意味なのかは分からないが。

 

「知らん」

 

「……嘘だ」

 

「何? 俺が、勝負の約束事を違えるとでも思っているのか?」

 

 その侮辱を前に、俺は思わず目が細くなり、語調が荒くなった。

 

「っ!? だ、だが、あんたは知ってるはずだ! 茅場側のあんたなら元の世界に帰る方法を! 何かあるだろう! 緊急用の脱出手段とか!」

 

 元の世界に帰る方法? 

 

「第百層に行けばいいだろう」

 

「そんなの! ……っ、それ以外には、無いのか?」

 

「知らん」

 

「……なら、あんたはどうやって帰るんだ、いつでも帰れるんだろう」

 

「何を言っている? 第百層に行くしか、元の世界に帰る方法などないだろう」

 

 確か、あの亡霊がそう言っていたのではなかったのか? 

 まだしっかり亡霊の言葉を理解できてはいないが、逆立った赤髪の親切な男の話と合わせれば、そうなると思ったのだが。

 

「……アンタは……」

 

 それ以降、キリト少年は黙り込んでしまった。

 

 ふむ、とりあえずはもう聞くことが無いのか? 

 なにもアインクラッドのことをキリト少年から聞かれなかったのだが。

 まあ、いいか、一応の約束は果たした。

 俺の持つアインクラッドの情報を少しではあるが話したからな。

 

「またアインクラッドの事で聞きたい事があればいつでも答えよう、では、さらばだ、強くなれ、キリト少年」

 

 俺は今度こそキリト少年に背を向けて歩き出した。

 

 

 ──────────────────

 

 

 その後、俺は次の街へ向かいながら、モンスターを倒し続けた。

 

 あまり周囲にモンスターの気配がしない場所が所々にあり、そう言ったところで仮眠を取っているため、眠気はない。

 だが、空腹が酷い。

 

 あれから、約2日間くらい時間が経っただろうか。

 流石に2日間戦いながら歩き続けていると、俺は迷子になってしまったのだろうかと不安になった。

 だが、遠くに次の街が見え始めてきたので、俺は迷子ではなかったことが証明された。

 

 だが、2日は長かった。お腹がとても空いた。

 まだ、この世界に来て何も食べていない。

 気が狂いそうになる。

 

 だが、何故か体が動かない、と言ったことはない。

 ここまでお腹が空いているのにもかかわらず、体の調子は一切悪くなっていない。

 

「俺の体、本当にどうなってしまったんだ……」

 

 それだけじゃない、俺は、いつの間にか顔も変わってしまっていた。

 

 昨日、偶々泉の近くを通りかかったため、そこでたらふく水を飲んだのだが、水面を覗き込んだ時に、とても驚いた。

 誰か知らない人の顔が、泉に写り込んだのだから。

 

 一瞬、俺が気配を読みきれない相手が近くにいるのかと思い、飛び上がりながら剣を抜いてしまったが、周囲に誰もいないことを確認してもう一度泉を覗き込むと、見間違いではなく俺の顔が変わっていた。

 

 訳がわからない。

 

 痛覚が消え、顔が変わり、空腹でも体には異常がない。

 流石にこれらを訳がわからないと放置するのはまずい気がする。

 次の街に着いたら、すぐに情報収集をすることにしよう。

 

 俺は遠くの街に向かって歩き出した。

 

 そして、しばらく敵を倒していると、途中から敵の足元に、敵の体の一部が落ちるようになった。

 

 爪や牙、皮や瞳など、種類は様々だが、何故か青く爆散した場所にそういったものが残るようになった。

 

「……何故だ?」

 

 また訳がわからないことが。

 

 一瞬、確率で敵の体の一部が残るのかとも思ったが、一度出始めて以降は、必ず落ちるようになっていたため、違うだろう。

 ここまで確率が偏ることはよっぽど無いだろうから。

 

「はぁ、何故こうも、分からないことだらけなのだろうか」

 

 俺はきちんと常識は持っているはずだ。

 なのに、この世界は俺の常識とは何もかもが異なる。

 

 俺は天井を見上げながら、ため息をついた。

 流石に、分からないことが多すぎる。

 早く街に行って、情報収集をしよう。

 いや、敵の体の一部が残るようになったんだ、先にこれらを売り払って飯を食べよう。

 

 まあ、何にせよ、敵の体の一部だけでも残るようになったのは嬉しいことだ。

 これらを売れば、ある程度のお金は稼げるだろう。

 

 だから俺は、敵が落とした部位をできるだけ持っていっている。 

 そのせいで今は両手がふさがっていて、敵の気配を近くで感じたら、すぐに敵の体の一部を地面に置いて武器を抜き、敵を倒して、また持って、というのを繰り返している。

 

 面倒くさい。とても面倒くさい。

 バックが欲しい。もしくは大きめの袋が。

 

 一々地面に置いて、戦って、また持って、というのを繰り返すのは本当に気が滅入って来る。

 だからと言って、これらの敵の体の一部を持っていかないなどという勿体無い事はしないが。

 

 早く次の街にいこう。

 

 

 ──────────────────

 

 

 そうして、次の街についた俺は、早速モンスターの体の一部を道具屋の店主に売り払いに行った。

 

「全部で3219コルだ」

 

 俺は、素材を店主に売り払った。

 

 コルというのは、元の世界で言うところのお金だ。

 

 よし、これでようやく食事にありつける。

 くっ、飢餓感がかなり辛い。今目の前に食料を置かれたら、例えそれが嫌いなものでも飛びつくだろう。

 だから、早く飯屋に入ろう。

 

 その後は、武器もかなり刃こぼれしてきたから、研いでもらわなければならない。

 あんなにも早く刃こぼれさせてしまうとは、驚くほど武器の使い方が下手になっている。

 あの程度の柔らかさの敵なら、たとえ何千何万と切ったところで刃こぼれなどさせない技量と自信を持っていたのだが。

 キリト少年との戦いでも、剣をまともに勝ち合わせたのは数回程度だけだ。

 

 それなのに、ここまで武器をボロボロにしてしまうとは、本当に腕が衰え過ぎている。

 

「毎度あり」

 

 店主がそういうと同時に、目の前に山のようにあった敵の部位は、一瞬にして消え去った。

 

 だが、俺は特に驚きはしなかった。

 

 もちろん、目の前から物が一瞬で消えるというのは、驚くべきことではあるのだろうが、今はそれ以上に食欲に支配されているため、そんなことは正直どうでもいい。

 今更わからないことが1つ2つ増えてもどうでもいいから、早く飯を食べたい。お腹すいた。

 

 そして、俺の視界に、3219コルという文字が浮かんで、消えた。

 

 ………………………………ん? 

 

「店主、コルは?」





敵の足元にアイテムがドロップするようになったのは、主人公のアイテムストレージにあるアイテムの重量が限界値に達した為です。

持ちきれなくなったアイテムがオブジェクト化するのは、ALOのキャリバーの最後の報酬をトンキーの上でもらっている時に説明があったはずで、ALOはSAOの設定をパクっていたはずなので、SAOでもオブジェクト化するんじゃないかと思っています。
違ってたらすみません。

因みに、恐らくイベントアイテムは、アイテムストレージに勝手に収納されずにその場に落ちます。
例えば、リトルペネントの胚珠なんかも、原作では足元に転がってきたという表現があり、それをキリトくんが拾い上げてアイテムストレージを開く余裕はないからとポーチに入れていましたので。

ですが、ラグーラビットとかは、倒したら勝手にアイテムストレージに収まっている為、イベントアイテムだけはその場にドロップするのでしょう。

だから、2022年11月6日まで後3年ちょっとなので、もしSAOでメインメニュー、コル縛りをする方がいらっしゃったら参考にしてください。
イベントアイテムが落ちるクエストはクリア出来ますよ!

そう言えば、後3年ですよ!SAOの時代に追いつくまで!
やりてー!ずっとゲームの中で暮らしてー!
誰か!SAO開発お願いします!デスゲームになってもいいんで!

実際皆さんもデスゲームになってもいいからSAOをやりたい!いや、むしろリアルに帰らなくて済む分デスゲームになった方がいい!という方もたくさんいますよね?自分だけじゃないですよね?

だけど、クリアされたらもっと地獄になるのか。
仕事もクビになってるだろうし、体はガリッガリの骨になっていてリハビリ地獄、やっぱりデスゲームはいいや。



主人公は、キリト少年の才能を感じとり、ここで殺すのは惜しいと感じ、決闘を中断する。
そして、自分の都合で勝手に決闘をやめるのだからと、勝利をキリト少年に譲り、自分の負けを認める。
負けた場合、キリト少年にアインクラッドの情報を話すと言っていたため、アインクラッドの昔話を始めに話し、その後キリトからの質問に答えて、キリトが黙った後、また聞きたい事があれば答えようといい、立ち去った。

というのが変更後の話です。
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