ライネス師匠と   作:煉獄の師匠・清盛

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皆さま、初めまして。
煉獄の師匠・清盛と申します。

拙い文章ですが最後まで読んで頂ければ幸いでございます。(短めですが…)
私の欲望が詰まった話だと思ってください。


The Haunted House
第1話「師匠と弟子」


2019年10月某日 午前9時14分 時計塔 とある一室

 

「やっとお出ましか、我が弟子?師匠を待たせるとは……君も随分と偉くなったものだねぇ」

 

 金髪の少女が男に対しイタズラっぽく言い放った。その顔には言葉と同様にイタズラっぽい笑みが浮かんでいた。

 

「すみません、師匠。師匠からの呼び出しとなる度にどうしても胃が……」

 

「身体は正直、と云う訳か。まだ…慣れないのかい?君はとんだ胃弱だよ」

 

「ストレスや不安、緊張状態になると…どうしても」

 

「ほほう?私に呼び出される事がストレスなのかい?心外だなぁ~、傷つくよ」

 

  少女はそんな事を言っているが心ではそうは思ってない。寧ろ男の反応を見て楽しもうとしている様だ。それに対し男は全力で首と手を振り全力で否定した。すると少女は「冗談だよ」、と小馬鹿にする様に笑った。言われた本人は眼を丸くしポカーンとしていた。

 

「君は馬鹿しょ……いや、素直だね。気を付けたまえよ?他所なら構わないが…この時計塔には君の良心に漬け込もうとする輩が少くとも居るからね」

 

「は、はい!気を付けます」

 

 そう男が返事すると「うんうん、素直なのは良いことだ」と少女は頷いていた。

 

「ところで師匠…用件とは何の事でしょうか?」

 

「おっと、そうだった。実はだね、君と私でとある屋敷を調べて欲しいと云う依頼があってね」

 

「調査、と云う事ですか?でしたら…師匠のお兄様とそのお弟子さんの方が……」

 

「おや?君は私に調査は向いてない、そう言いたいのかい?」

 

 違う、そう男は全力で否定する。その反応を待ってました、と言わんばかりに少女は小悪魔的な笑みを浮かべた。男がそういう反応を知った上で敢えて弄り倒す言葉を言う。

 男が師匠の兄と弟子を出したのは数々の難事件を解き明かした、という事を何度も耳にしているからだ。

 

「冗談は置いといて、君の疑問は尤もだ。依頼主は屋敷の家主でね、彼は我が愛しの兄上に調査を依頼した。が…生憎と兄上は手放せない案件がある様だ。そこで兄上は私と君を推薦し、家主からの依頼をこちらに渡してきた。と云う訳さ。どうだい、納得したかい?」

 

「なるほど…偉大な()()()からの推薦ですからね。師匠の足手纏いにならない様、頑張ります」

 

「期待しているよ、我が弟子。さて…依頼の内容は先ほど話した通り屋敷の調査だ。この屋敷はコービット屋敷、と呼ばれていてね。何やら…異様な事が起きているらしい」

 

「異様な事…ですか?」

 

 男が聞き返すと少女はコクリと首を縦に振り話し始めた。

 マカリオ一家は2017年にこの屋敷に越してきた。来てから1年ほどたった頃、父親が大きな事故に遭い、その後まもなく激しい狂気に陥ってしまった。彼は精神病院に入れられた。それから1か月もしない内に、今度は母親が狂気になった。2人ともわけのわからない事を口走る中で、燃える目をした化物がどうしたとか言っていた。そして屋敷の中で異様な事が起こるのだと言う。2人とも2階の寝室の1つへは絶対に入ろうとしない。

 

「以上だが……どうかな我が弟子?背筋が凍りついたかな?」

 

「やめて下さいよ、師匠。怪談っぽく話さないで下さい!」

 

 男がムキになって口調を少し強くし起こるが、少女は「ごめん、ごめん」と笑いながら返事をした。反省の色は無い様だ。

 

「家主はこの屋敷を購入する前に、あれは悪霊に取り憑かれた屋敷だと云う噂は聞いていた様だ」

 

「え!?噂を知っていたのに買ったんですか?何故に…」

 

「安かったから、だよ。いや~実に単純明快だね」

 

「いわくつきでも購入するとは……その家主は肝が据わっていますね」

 

「そうそう。何処かの弟子とは大違いさ」

 

 そう言いながら少女は男を見る。男は図星だったのか視線を外した。相変わらず少女は男の反応を見て楽しんでいる。

 

「師匠、マカリオ一家が異様な事を体験した様ですが……肝心な家主はその体験はしたんですか?」

 

「それについてだが…家主自身は屋敷に取り憑いている()()を見た事はない。それに屋敷で起こった異様な出来事も見た事ない。そもそも彼はマカリオ一家の者たちが見た事を正確に知っている訳でもないんだよ」

 

「と、なると…先ずはマカリオ一家から話を聞く事からですね」

 

「そうだね、当事者から話を聞くのが一番だ。では…行くとしようか、マカリオ一家が入院している精神病院へと」

 

「は、はい。しかし、その精神病院はどちらに?」

 

「ここから車で15分走らせた所にあるよ。さあ、ついてきてくれたまえ」

 

 少女が言うまま男は少女の後をついていった。

 

 

 

午前9時43分 車中

 

「ま、まさか……リムジンに乗れるなんて!!」

 

 男は驚きながらも嬉しそうな口調で言った。その姿は少年そのものだ。

 

「おや~?随分と興奮気味じゃないか、我が弟子。そんなに乗りたかったなら、いつでも乗せてあげるぞ」

 

「ほ、本当ですか!?あっ、いえ…そうではなく単純に驚いているんです。リムジンを所有し乗せて頂けるとは…流石はエルメロイ家次期当主のお嬢様、と云ったところですね」

 

「ほほう!それは皮肉かい、土御門家次期当主の御曹司様?」

 

 土御門家次期当主と呼ばれた男は全力で否定した、皮肉を言ったつもりは毛頭ない。素直な感想を口にしただけだ。エルメロイ家次期当主と呼ばれた少女は彼が皮肉や冗談を言える程、口が上手くない事を知っている。弟子弄りは場所を問わず年中無休である。

 弟子弄りが続いている中でもリムジンは走る。やがて、目的地に差し掛かると少女は弟子弄りをやめ仕事モードに切り替えた。

 

「さて、目的地はもう直ぐだ。今の内に訊きたいことはあるかい?」

 

「大変恐縮ですが…マカリオ一家の訊きこみは師匠にお願いしていいでしょうか?まだ、発音が…」

 

「確かに君の英語(イングリッシュ)は米語よりだからね。構わないとも、それくらいお安い御用さ」

 

「ありがとうございます」

 

 少女が快く引き受けてくれたので男は安堵した笑みを浮かべ軽く頭を下げた。

 

「下手過ぎる僕の英語を理解し真摯に教えて頂けるのは師匠だけですからね。いつかは…きちんと話せる様になりたいので、その日までよろしくお願いします」

 

「照れるじゃないか///。君がそう思ってくれるならば嬉しいよ、こちらこそよろしく頼みたいな」

 

 弄る側と弄られる側ではあるが…なんだかんだ師匠と弟子の信頼関係はしっかり出来ている様だ。

 確認事項を終えると目的地へと到着した。二人はリムジンから降り精神病院を前にした。

 

「さぁ。行こうか、我が弟子」

 

「はい。師匠」

 

 ライネス・エルメロイ・アーチゾルテと土御門 初は病院へと足を踏み入れた。

 

 

 




第1話はどうでしょうか?
拙く本当に申し訳ございません。

第2話は調査がメインになるかと…投稿はいつになるか未定ですが。

皆さまの感想、リクエスト、アドバイスなどお待ちしております。

私は豆腐メンタルなので優しいお言葉でかけて頂けると幸いでございます。

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