何度も言っておりますが…本来の予定では1か月に1回のペースで執筆し投稿です。
いきなりで申し訳ございませんが…ありがとうございます!!
私の欲望まみれのこの小説、拙い小説を…お気に入りやしおりを挟んで頂きありがとうございます。
UA数も短期間で500を行くとは思わなかったので、驚きましたが嬉しくもあります。
UA数がキリの良い数字に達成した時は番外編でも書こうかな、と思います。
今回も最後まで読んで頂けると嬉しく思います。
長い前書き失礼致しました。
午前8時42分 時計塔 学生寮 初の部屋
初は布団の上で胡坐をかき、手のひらを上にした両手を膝の上に置き目を閉じていた。所謂瞑想をしていたのである。周囲の音を遮る為、イヤホンもしていた。20分の瞑想を終え、ゆっくり目を開いた時だった。
「おはようだね、我が弟子♪」
「─────!!」
目の前にライネスの顔があって驚き、そのまま倒れ頭をぶつけた。
「……ッ!!」
「おやおや、大丈夫かい?それだけ盛大に倒れれば目が覚めただろう?」
「大丈夫かい?」と声をかけているがクスリと笑みを浮かべていた。
「し、師匠……いつからそこに?」
ぶつけた頭を擦りながらライネスに尋ねた。
「典型的な質問だな~。いいだろう、答えよう。君が瞑想を始めてまもなくからだよ」
「ずっと…居たんですか?声をかけずに?」
「入室時にノックはしたぞ?尤も君はイヤホンをしていた様だからな、気が付かなくて当然か」
「それはそうですが…いらしたのなら遠慮なく体を叩いてくだされば……」
「ほほう!!そうかい、では…その際は遠慮なく叩くとしよう」
ニヤリとライネスが笑みを浮かべた。これは嫌な予感がすると初は乾いた笑い声しか出せなかった。
「さて、昨日言った通り黙想チャペルへと行こうではないか」
「はい!」
初は立ち上がるとライネスと共に部屋を後にし黙想チャペルへと向かった。
午前10時15分 黙想チャペル
黙想チャペルは曲がりくねった薄汚い通りの突き当りにあった。風雨にさらされ、雑草や木が生い茂っている為、灰色の瓦礫は建築物の壁や土台の跡と云うよりも自然の石の様に見える。
「ここが黙想チャペル、ですか…」
「あぁ、何かあるといいんだがね」
2人は黙想チャペルへと足を踏み入れた。崩れかけた壁を通りかかった時、初が声をあげた。
「あれは…落書きでしょうか?」
「随分と悪趣味な落書きだな……」
明らかに最近になって白いペンキで描かれていた。落書きは3つのYの字から成っていて、Yの2つの頂点が両側にある別のYの頂点と触れ合う様な形で三角形に並んでいる。そうやって出来た真ん中のスペースにはじっと見つめている様な目が描き込まれていた。
「…ッ!!」
眺めていると額の辺りにチクチクとする様な感じを受けた。
「き、君も頭痛かい?」
「えぇ…」
ライネスも初と同じく痛みを感じていたのか額に手を当てていた。
2人を襲っているのは、頭痛の様でもあるが、やはり頭痛とは違っていて、チクチクと神経に障る嫌な感じだった。
「くっ…この落書きの仕業だろう、急いで調査をして離れよう。無理そうな時は我慢せず言いたまえよ」
「はい、師匠も…」
2人はチクチクと神経に障る嫌な感じに耐えながらチャペル内を調査する事にした。しかし、調べまわっても見つかるのは花崗岩のブロックとか、半分焼けて腐った木材とか、古いゴミなどばかりであった。
「目ぼしいものは中々見つかりませんね…」
「あぁ…仕方ない、ここは引き返し─────」
ライネスが「引き返して」と言った刹那、ミシッと音を立てて2人は地中へと落下した。土の下に弱った床板があって、それが崩れてしまったのだ。
落下中、ライネスに怪我をさせまいと思った初は、彼女の体を自身の方へ引き寄せ、自分がクッション代わりになる様に下側に回り込み、落下した。
「─────ッ!!ぶ、無事…ですか、し、師匠?」
「あぁ、何とかな……それよりも君は大丈夫なのかい?」
「えぇ…」
「全く君には呆れたよ……その華奢過ぎる体で自分を犠牲にする様な真似をして……どうしてだい?」
「師匠を助けるのに理由は必要ですか?」
「─────」
初の真っすぐ過ぎる視線と言葉にライネスは返す言葉が見つからなかった。返答の代わりに初の額を指で軽く小突いた。小突かれた初は目を丸くした。
「普段であれば、君を弄り倒す言葉を1つ2つ浴びさせたいが…私でも空気くらいは読むさ。ありがとう、我が弟子。助かったよ」
「……///」
ライネスの柔らかい言葉と笑みで初は照れたのか目を逸らした。
「さて…急いでここから出ようと思ったが、この
ライネスが立ち上がりそう言ったので、初も周囲を見渡した。陽の光により部屋の内装が丸分かりになった。
初が地面に手を着き立ち上がろうとした時だった、何かに触れた。触れたものを見ようと視線を移した。
「なッ…!!」
初が驚いた声を出したのでライネスもそれを見た。一瞬だけ驚いた顔を浮かべたが直ぐに目を細めゆっくりと口を開いた。
「遺体が2体。絹のローブを纏っているな…昨日記録で見た火事で死んだカルティストの遺体だな」
「なら、まだ遺体が出てくる可能性も……」
「否定できんだろうな」
ライネスが淡々と言い放った。
記録で17人のカルティストが銃撃あるいは火事で亡くなっている。少なくとも複数体の発見されてない遺体があるのだろう。
初は覚悟を決め立ち上がった。
「さぁ、調査しよう。歩けるかい?」
「はい、問題ありません」
そう言ったものの問題がない訳ではなかった。足は大丈夫だったが左手首から腕にかけ痛みが走っていた。調査に支障がないと判断したのでそう言っただけであった。
調査をしていく内に部屋の隅にキャビネットと腐りかけたデスクが置いてあった。キャビネット内を見ると教会に関する記録を見つけた。
「これは教団の活動に関する日誌だな。どれどれ……。ふむ、ビンゴだ」
「何が書かれていたんですか?」
「ウォルター・コービットがコービット屋敷の地階に埋葬された、と書いてある。本人の希望と
「図書館にあった民事裁判所の記録の裏付けが取れましたね。本人の希望は分かりますが…
「ふむ」
ライネスが顎に手を当て眉を顰めた。
「何かを表現する言葉には間違いないだろう。尤もそれが何なのかは分からないが……。君が言った通り裏付けが取れた、それだけで十分だろう」
キャビネット内を粗方調べたのでデスクを調べる事にした。デスクの上には非常に分厚い本が鎖に繋がれていた。
「腐りかけている上、虫食いが激しいな……。内容は期待しないで見て────!!」
ライネスが表紙に手をかけた時、言葉を止めた。それを見た初が不思議に思い声をかけた。
「どうかしたんですか、師匠?」
「この表紙を触ってみたまえよ」
「はい」
ライネスに言われるまま、初は表紙を触った。
「本の表紙にしては変な感触ですね…しかし、どこかで触った事があるような……」
「この本の表紙はねぇ…人の皮で出来ているよ」
「─────!!」
人の皮、と聞いた瞬間、初は慌てて手を表紙から放した。衝撃のあまり呼吸が乱れたが深呼吸をし呼吸を整えてから口を開いた。ただ、手には何とも言えない嫌悪感が残っていた。
「何故、この様な本が……」
「それはカルティストのみぞ知る、だ。だが、鎖で繋がれた人の皮で出来た表紙……ただの本ではないな」
ライネスは目を細め静かにそう言った。カルティストが何の為にこの本を所有しているのか、常識と云う物差しでは測れない。この本はそのままにしておいた。
地階の調べられる所は全て調べたので2人は落ちてきた穴の下に集まった。
「意外と高い所から落ちたんだな~、トリムマウ」
ライネスが試験管から水銀を垂らすと、それはメイドの姿で現れた。
トリムマウ…ライネスの使用人兼ボディーガードでエルメロイ家の至上礼装である。
「私と彼を抱え脱出するぞ」
「YES」
そう言うとトリムマウは2人を抱え、軽くジャンプをし地上へと躍り出た。
「ご苦労」とライネスはトリムマウを試験管に戻し、急いでここを後にしようとした。調査を終えたのもそうだが、脱出した安心感からか、チクチクと神経に障る嫌な感じが襲ってきたからである。しかし、敷地内から出ると今までの痛みが嘘みたいにきれいさっぱりなくなった。
敷地から出るとライネスが、やや呆れた様な口調で言ってきた。
「左腕を見せたまえ。君、ずっと左腕を庇っていただろう」
「えっ?」
「いいから、早くしろ!」
ライネスに言われ恐る恐る左腕を見せた。するとため息と冷ややかな声が聞こえてきた。
「酷いなこれは…何故黙っていた?おっと、言い訳は不要だ。君の事だ…私に余計な心配をかけまいと黙っていたんだな?」
初は黙って頷いた。
「はぁ、帰ってから治療と説教だな。コービット屋敷の調査は君の怪我が落ち着いてからだな」
午後1時4分 時計塔
2人が時計塔へと戻るとフードを被った少女が出迎えてくれた。
「お帰りなさい。ライネスさん、初さん。お2人ともお洋服が汚れていますが……」
「ただいま、グレイ。あぁ、少々訳ありでね。それよりも…治療具を持って来てくれるかな?」
「えっ…お怪我をされたのですか?」
グレイが心配そうな視線をライネスに向けた。それに対しライネスは首を横に振り、初の服を捲り左腕をグレイに見せつけた。グレイの目には変色した初の左腕が映った。
「これは……急いでお持ちします!!」
グレイは急いで治療具を取りに行った。
ライネスとグレイによって治療が行われた。初はその際にグサッと刺さる説教と云う名の罵声をライネスから浴びさせ、言い返さず項垂れて聞いていた。それをグレイは苦笑しながら黙って見ていた。
「怪我の具合から見る限り……コービット屋敷の調査は2日後にしよう、いいね?」
「はい…」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
今回の話は如何だったでしょうか?
少しでも楽しんで頂いたのであれば嬉しくあります。
本来はこの回にトリムマウとグレイを登場させる予定はなかったのですが、執筆中に気が変わり登場させました。
次回の投稿はいつになるかは分かりませんが…投稿した際は宜しくお願い致します。
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