アルピノライブ終了後の春分を越えていないある日。
1号こと、源さくらはいつもより早く目が覚めて台所に向かっていた。彼女は本日の調理番ではないが台所に向かっている途中でいい匂いのするほうに向かって歩いて行くと一人女性が座っていた。
視線を向けると4号こと紺野純子が朝早くからお湯を沸かして紅茶を飲んでいると思ったら、そこにはいつもなら獣の様なうなりや仕草をして純子やさくらを甘噛みしている0号こと、山田たえが座っていた。
それだけだったら彼女は特に気にもせずに彼女に近づいて
「たえちゃん、おはよう珍しいねこんなに早起きなんて。」
と挨拶をした後いつもならしゃべれない成にしゃべろうとするが今回は違った。山田たえはさくらが挨拶をした後カップをテーブルに置き優雅に立ちあがり
「あら、さくらさん。おはようございます。こう寒い日はショウガ湯で暖まるのが良いですね。」
と、さくらは今まで全く喋らず(喋っていても言語になっていない)のたえが本物のゾンビの様な仕草とは全くの別人に見えるほど優雅に座りかつ静かにショウガ湯を飲んでいた光景に驚がくした。
「ええええええええ!!たえちゃん?!どやんしたと!!」
「あらあら、さくらさん。いきなり大声上げてどうしました?」
「だ、だ、だってたえちゃん今までしゃべらんかったよね?」
「あら、そうでした?それより一緒にしょうが湯飲んで暖まりません?」
「え、はい頂きます。」
いつもと違うたえに戸惑いつつもせっかく朝のお茶に誘われたので彼女も断らずたえの隣に座ってあらかじめ用意されていたマグカップにしょうが湯をいれて飲み始めた。
「さくらさん、落ち着きました?」
「正直まだ落ち着かんよ。本当にたえちゃんなの?」
「はい、フランシュシュの0号山田たえですよ。」
「もしかして記憶も?」
たえが口を開こうとした時に廊下から誰かが走って来た音が聞こえ口を閉じ戸が開くのをまった。
その時さくらとたえがいる部屋に2号こと二階堂サキが血相変えて入ってきた。(もちろんゾンビィ状態)
「おいさくら、どうした?でけー声上げて。お、なんだ、たえも一緒か?」
「サキさん、おはようございます。今日も寒いですね。」
「おっす、たえ。確かにきょうは寒か。・・・・・ん?さくら。聞き間違いじゃなかよね。たえがしゃべったよな?」
さくらもたえが普通にしゃべっていることをまだ理解出来おらずどやんすどやんすとプチパニック状態だった。
「なぁ、たえ。」
「はいサキさん。」
「ホントは純子がたえの身体と頭を交換してカツラかぶって入れ替わっとる事なんてなかよね?」
「うふふ、そんなことしていないですよ。純子さんとはどこも交換していませんよ。私は間違いなくフランシュシュ0号の山田たえですよ。」
「いつから喋れるように?」
「明確に喋れるようになったのはアルピノが終わって年が明けた当たりですね。」
「じゃあ記憶戻ったのか?」
「それは・・・・・ごめんなさい。まだ生前の記憶は全く覚えていませんけど、皆さんと苦楽を共にしたことは記憶にあるのですけど。」
「つまり、さくらの生前の記憶を取り戻す前の頃と一緒みてーなもんか。」
「そうですね。」と短く肯定した。
「さくら」とサキが彼女に声をかけて「いいじゃねーか、たえもやっとしゃべれるようになったやしそがんきにせんと今まで通りで。」
「そやね・・・・・うん。改めてヨロシク、たえちゃん。」
「はい、こちらこそ。」
その時、4号こと紺野純子がサキ達のいる部屋に入ってきて「さくらさん、サキさん、たえさんおはようございます。」
「おはよう純子ちゃん。」「おっす、純子。」「おはようございます純子さん。」さくら、サキ、たえの順番で挨拶を返した。
「あ、あのたえさん。もしかして喋れるようになったと言うことは記憶が戻りましたか?」
「そうなのですけど、ごめんなさい。記憶の方はまだ・・・・それに、このやりとり純子さんで3回目だからミーティング前の時間に喋ろうかと思いますね。私が挨拶を返せばいぬ、じゃなくて幸太郎君は私をいじると思うから。」
「三回目ですか・・・・・」と純子が少々へこみ気味になったがほかの三人は気にせずにした。しかし、この時たえはさりげに巽幸太郎の本来の名字を言いそうになったことにさくらも気付かなかった。
「たえってグラサンのことクンでよぶんか?」
「ええ。でも私、記憶無いですけど、幸太郎君曰く。死んだ年齢が29らしいので今の幸太郎君よりは年上だから君付けで呼ぼうかと思いまして。」
「まじかよ、てっきりさくらや愛より下だと思ったと。」
「あ、でも私を呼ぶ時、変な風にかしこまらなくて良いですから今まで通りの呼び方でいいですよ。」
その後朝食当番の子が降りてきて朝食を済ませた後いつものように地下ミーティングルームに向かい巽幸太郎が程なくして入室した。
「おっはようございまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁす!!」
開口一番案の定ウザさ全開の挨拶をぶっ込んできたあとにさくら、ゆうぎり、純子、たえの順で挨拶を返した。
「なんじゃいたえ、おまえ普通に挨拶返しとるが、やっと覚・醒したのか?」
「あ、いえ。そうでは無くて喋れるようになっただけでして生前の記憶は全く覚えて無くて。」
「たえは他のゾンビィの前でしゃべらんのか?ええんやで思いっきり口開いても、なーなーええんやで思いっきり喋っても。」
とあまりにもウザい状況にたえが座ったまま幸太郎の左頬を強烈なビンタ(ゆうぎりに比べると軽い)をお見舞いされて幸太郎は2,3歩程退いた。
「いくら私でもこれ以上しつこいと手を上げますよ。」
「人にビンタしてから言う台詞じゃないんじゃい。」と幸太郎は頬を触りながら言った。
「とまぁ、たえが喋れるようになったことはおめでてーございますと言っておく。本日の予定は昨日のミーティング通り午前中にレッスンして午後には3日後やるミニライブのチラシ配りじゃい。あとレッスン中に純子のブロマイドも撮る予定があるから順次メイクをしておくか俺が施すまでまっとれ。それじゃ各自解散。」
たえとサキ以外のメンバーは自力でメイクしてレッスン室に集まりつつあり3号こと水野愛が1番に入室しほかのメンバーも順次入ってきて愛はたえに
「それじゃあたえ、全体レッスン始める前にまずは貴方がどれ程踊れるか私達に見せてくれる?今後の振り付けでヴァージョンアップや変更する参考にしたいから。」
「分かりました」とたえは準備する。
「他のみんなはたえが踊り終わるまでストレッチや待機で」
「愛さん、頑張ります。」
「そんなに力まなくて良いわ。どれ程踊れるかをみたいだけだから。それじゃ早速(ヨミガエレ)から流すよ。」
そういって愛はカセットテープの再生ボタンを押した。
しかしたえ以外のフランシュシュのメンバーは良い意味で驚がくした。
なんとたえは今までのレッスンをこなしていたこともあったがダンスのキレは愛やさくら並にありソロパートで激しくいけるほどうまかった。
一曲踊り終わりやや息が上がっているたえだがその顔にはまだ余裕があった。
「ど、どうでしょうか?私のダンスは」
「すごーい。さくらちゃんや愛ちゃん並にキレッキレだよ。」「これがたえはんの舞、わっちもおどろきんした。」「すげー。なんもいえねー。」「たえさんがここまで素晴らしい動きを見せてくれるなんて想像出来ませんでした。」「たえちゃんがばいすごか。」
とリリィ、ゆうぎり、サキ、純子、さくらの順で賞賛していた。
「愛さんはどう思いますか?」
愛は今までの彼女の動作を見ていてもあくまでたえなりに頑張って踊っていると評価していたが、喋れるようになった彼女のダンスはさくらや自分と同じかそれ以上にダンスが出来る動きだと理解した。
「そ、そうね。動きのキレ、ステップ、タイミングどれも喋れない頃に比べると格段に良いし私やさくらのようにハードに動いても大丈夫そうね。これなら前々から思案していたダンスのレベルを一段上げても良さそうね。それじゃあ今日は3日後のミニライブ用にタイミングや立ち位置を確認するからみんなは少し休んでいて。さくらは純子のブロマイドよろしく。」
さくらは「分かったと」と返しポラロイドカメラを取りにレッスン室から退室した。
「あら、純子さん背中に糸くずが付いていますね私が取っちゃいますね。」
とたえが純子の背後に回り糸くずを取るどさくさに紛れて背後から乳揉みをした。
「ひゃー!たえさん!!破廉恥です。いきなり揉むんですか?」
「いえ、いままでは手や頭に甘噛みしていたけど意識がある状態で甘噛みするのに抵抗あるので胸なら良いのかなって。」
「理由になっていません」と半泣きながらもたえのセクハラ行為を払いのけられずになすがままになっている。
無論、リリィには目に毒と判断し近くにいたゆうぎりが彼(女)の目をふさいで見せないようにした。
この時取った純子のポラロイドは今までの比にならないほどのやーらしかだったので飛ぶように売れた。
ミ二ライブは今回の衣装は原点回帰と言うことでTシャツとパニエスカートで行うことにしミニライブとは言えいつも通り手を抜かず本気のパフォーマンスを見せるためレッスンやボイトレもしっかり行われ本番当日楽曲は前もって(ヨミガエレ)と(アツクナレ)を歌いミニライブは滞りなく終了した。
こんな感じのお話です。