常に余裕を持って優雅たれ(震え声)   作:常に余裕を持って優雅たれ──

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二人の友

「まさか誰にも当たらないとは。不意打ちだったとはいえ、流石は光の御子とヘラの栄光といったところでしょうか。見積もりを誤りました」

 

もちろん不意打ちで簡単に倒せるとはアルトリアも思ってはいなかったが、2人同時に狙える絶好のチャンスを逃すほど馬鹿ではない。アルトリアは騎士道を大事にはするが、目的のためなら騎士道を捨てるほどの現実的、合理的な人物であった。

 

なぜなら合理的にならねばあのブリテンを王として治めることができなかったからだ。国は凶作が続き、軍を維持することもままならないのに、突如現れたピクト人や大陸から渡ってきたサクソン人の侵略に対応せねばならなかった。

彼らに対応する為に小さな村を干上がらせることで軍を維持させることなどはよくあること。

 

非常な判断をしなければ神秘が失われ続けるブリテンを、守ることなどできなかったのだ。彼女は伝説に謳われるように高潔な騎士でもあるが、時として現実的、合理的な判断をしなければならない王でもある。

 

「ハッ! かの騎士王サマに褒めてもらえるなんて光栄だな!」

 

クー・フーリンとヘラクレスは宝具を発動しようとしたことにより、アルトリアに真名が看板されていたが、アルトリアの真名もまた、ヘラクレスとクー・フーリンにバレていた。

 

先程の聖剣の輝きはあまりにも有名すぎるのだ。聖剣の頂点の輝きを見たならばある程度の知識を持つ者ならすぐに理解できるだろう。

 

「……とぼけても無駄なようですね。ええ、かつて私は騎士王と呼ばれていました」

 

クー・フーリン、アルトリア、ヘラクレス。彼らはただ会話をしているだけのように見えるが、3人が3人とも相当な実力者。一歩でも誰かが動いてこの均衡を崩せば、どうなるか分からない。お互いに相手の出方を窺う膠着状態となってしまっていた。

 

しかし突然その膠着状態が崩れる出来事が起こった。何者かの声が港湾区に響いたのだ。

 

「我を差し置いて王を自称する不埒者が現れるとは。嘆かわしいものだな。真の王たる英雄は天上天下に我唯一人、あとは有象無象の雑種に過ぎんというのに」

「ちょ、ちょっと!なんで今現れる必要があるんだよッ!」

 

 

3人の視点がその声をした方に向かう。視線の先には黄金とエメラルドで形成された空飛ぶ輝かしい船があった。そしてそこに存在するのは黄金の王。そう、人類最古の英雄たちの王。王の中の王たるギルガメッシュとその王に抗議するが頭を押さえつけられて黙殺されるマスターがその船に乗っていたのだ。

 

その傲岸不遜な態度を取ることが当たり前と言わんばかりの王の存在感は何故3人がいままで気づかなかったのか理解できないレベルであった(3人とも頭を押さえつけられているウェイバーのことはスルーした)。

 

「王を自称するもなにも、私は騎士王アーサー・ペンドラゴン当人なのですが……」

「たわけが。この我に対して同じことを二度も言わせようというのか?不愉快だな、雑種!」

 

眉を顰めたギルガメッシュは己の宝具『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』を発動し、自身の背後に黄金の波紋を出現させる。

 

三人とも未知のサーヴァントの未知の攻撃に対して警戒するが──ギルガメッシュはいつまで経っても攻撃を開始しない。

 

「……いや、特別に今は不問に付そう。それよりも……今ここにいるのだろう!友よ!」

 

何故がギルガメッシュは思いとどまり、ここにはいない誰かに向けて声を上げた。その言葉に反応するかのように、大気が揺れる。

 

「⬛︎■⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎───ッ!!!」

 

怪物のような声がその場に響き渡る。この場にいる全てのサーヴァント、全ての大英雄たちを超える強大な霊器を持つ泥の獣がその場に降り立った。その姿を見てギルガメッシュは哄笑する。

 

「フ、フハハハハハハハッ!まさか生まれた当初の姿で相見えようとは!」

 

そう、彼はギルガメッシュの親友にして天の鎖──エルキドゥ。

しかし、そこに現れたのは聖娼シャムハトの姿を真似た人型ではなかった。シャムハトに出会う前の、神々に作られたばかりの頃の泥の獣の姿。理性も知性も持たない神霊クラスの化け物の姿であった。

 

ギルガメッシュの声により現れたエルキドゥはギルガメッシュに対して大地を槍や剣、弓など千差万別の武具を大地から作り出し、変形させて放つ。ギルガメッシュもそれに応じるように自らの蔵から数多の宝具を発射するが──基本出力が違う。圧倒的なエルキドゥの手数にギルガメッシュは幾らか対処しきれずに己の身にエルキドゥの攻撃を近づかれてしまう。しかし、その攻撃をギルガメッシュは空飛ぶ船ヴィマーナに搭載された自動防御宝具を使い防ぐ。

 

攻撃を仕掛けた当人のエルキドゥはギルガメッシュと撃ち合いをしているが、他の三人にも攻撃を仕掛けていた。エルキドゥにはかのギルガメッシュと戦いながらも他の三人にも攻撃を仕掛ける余裕があるというのだ。

 

彼ら三人は各々飛んでくる宝具を剣や槍で弾き、対処する。三人を持ってしても対処するのが精一杯のエルキドゥの攻撃。流石は神霊クラスといったところであった。

 

気分が乗ったギルガメッシュはエルキドゥと撃ち合いながらも蔵からあるものを取り出す。

 

英雄王が蔵から取り出し、手に持ちたるは円柱状の刀身を持つ突撃槍のような形状の異形の剣。宇宙を表しているその剣の名は乖離剣。剣という名前を持つが武器として生み出されたわけではないその神造兵器の三つの石版がそれぞれ別方向に回転し出す。その回転により発生する強大な力場に他の三人は気付くものの、エルキドゥの攻撃により退避が難しい。

 

そして遂に、高まり続けたそれが放たれる。

 

「さあ行くぞ、我が友よ!受け止めて見せよ! 『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』ッ──!」

 

圧縮され鬩ぎ合う暴風の断層が起こり、擬似的な時空断層が現れた。

その一撃は混沌とした世界から天地を分けた究極のもの、“世界を切り裂いた”剣撃。

 

その剣撃を放った友たるギルガメッシュに呼応するように理性もなく、狂化されているはずのエルキドゥも宝具を使用する。

そう、それは『人よ、神を繋ぎ止めよう(エヌマ・エリシュ)』。

エルキドゥ自身を一つの神造兵装と化す宝具であり、"抑止力”を自身に流し込み撃ち放つ、天地を貫く巨大な光の槍となり、対象を繋ぎ止める宝具である。

 

二つの全力の"エヌマ・エリシュ"が衝突する。

 

まるで世界が崩壊したかのような光景だった。世界の終末──ラグナロクのような。

 

 

 

 

 






使い魔で見ていたその頃のトッキー「アイエエエエ!? 英雄王!?英雄王ナンデ!?何故アーチャーが二人? ええ?バーサーカーのエルキドゥ(白目)?」

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