常に余裕を持って優雅たれ(震え声) 作:常に余裕を持って優雅たれ──
二つのエヌマ・エリシュがぶつかり合い、莫大な破壊が周りに広がっていく。
アルトリアは二つの攻撃が放たれた直後、すぐさま防御の為にある宝具を取り出した。
「『
アルトリアがその宝具の真名解放をすると、持っていた鞘が数百のパーツに分解してアルトリアの周囲に展開される。
この鞘は、世界では無い妖精郷に自分を隠すことであらゆる攻撃・交信をシャットアウトして対象者を守る宝具。聖剣をも上回る騎士王最強の宝具である。
一方、クー・フーリンは最速の名に恥じぬ速度でとにかく離れようとする。そしてかなりの距離を取ったが二つの宝具の衝突は強大であり、その余波の規模は大きくクー・フーリンでも逃げきれなかった。ここで終わりかと思われたが、しかし──クー・フーリンにはまだ手があった。
「クソッ、仕方ねぇ……『
突然、クー・フーリンを中心に巨大な城郭が構築される。クー・フーリンが住んでいたとされるアイルランドの城が現れたのだ。
そして勿論ヘラクレスもクー・フーリンと同様に跳躍して距離を稼ぐ。しかし、アルトリアやクー・フーリンと違ってヘラクレスは防御宝具を持っていない。故にできるだけ多くのコンテナの後ろに回り、石斧と剣を顕現させて、自身の前にガチリとクロスさせて突き立てた。
三者とも、お互いできるだけの方法を使用して防御を固めたのだ。そしてその防御を瞬時に固めた彼らにも宝具の衝突の余波が訪れる。
二人の宝具の撃ち合いで多少相殺されてるとはいえ、世界が断裂するほどの攻撃の余波が。
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時臣視点
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………は?????
いやいやいや、初手エヌマエリシュとか色々突っ込みたいことあるんだけど、まずなんでアチャクレスいるん?
あんなの勝てるわけないじゃん、誰だよ召喚したの。絶対許さん(激おこ)。めちゃくちゃ燃費悪そうだが、まあアインツベルンならホムンクルスを魔力タンクにできるし、ケイネスさんならロードだからまあ大丈夫か。ロード・エルメロイII世みたいなへっぽこロードとは違って普通のロードは本当に化け物揃いだからな。それくらい余裕だろう。
そういえばエルメロイで思い出したけど、ウェイバーはギルガメッシュを召喚してたが、アーチャーがヘラクレスならなんでギルガメッシュがいるんだ?まさかバビロニアみたいにキャスターになっているんだろうか。いや、あのギルガメッシュのことだから「我になれないクラスなぞないわ、たわけ」とか言いそうだし、実際なんでもできるからなぁ……。キャスター以外のクラスの可能性もある。
ええと、とりあえず整理しよう。
まず、セイバーが騎士王アルトリア・ペンドラゴンで、鞘持ち。
なんでこいつ鞘持ってるんだ。生きてるから持ってこれないんじゃないんか???
アーチャーがギリシャの大英雄ヘラクレス。無理ゲーかな?
ランサーは光の御子クー・フーリン、パーフェクト仕様。強い(確信)。
ライダーは不明。
アサシンも不明。
キャスターはワンチャン、英雄王ギルガメッシュ? 友が一緒に召喚されてるのでテンション上がってるし、これクソゲーや。
バーサーカーは天の鎖エルキドゥ。なおランサーの状態でも強いのにバーサーカーで召喚されたため神霊クラスの最強泥人形な模様。なんで神霊クラスが聖杯戦争で呼ばれてるんですかね……帰ってくださいお願いしますから()
うーん、頭が痛いですね……。これもはや最強決定戦みたいな感じでキングハサンとかこねぇかな(やけくそ)。
マスターについては、ウェイバーがギルガメッシュってことは確定したな。原作だと衛宮切嗣はアルトリアだけど、今回はどうなっていることやら。監視カメラ(地主の特権)と使い魔で街をくまなく監視してるんだけど衛宮切嗣は警戒してるのかぜんぜん捉えてられないんだよね。これもうテレビ局とかの昔の知り合い探してもらう番組とかで探してもらった方がいいのでは……。
なお、ケイネス先生は奥さんのソラウと一緒に冬木に入ってくるのを目撃したぜ。まあそれ以来見かけないんだけどな。ケイネス先生はかませに見えてめちゃくちゃ優秀なので、こちらも警戒しているのかもしれん。原作でかませっぽくなっちゃったのは、まじでケイネス先生に対して衛宮切嗣が致命的に天敵だっただけだから……。
ケイネス先生が生き残ってる世界線欲しい……欲しくない?
なんかどの世界線でも死んだりしてウェイバーがロード・エルメロイII世になってるみたいだし。頼むからウェイバーとケイネス二人とも生きて仲良くやる世界線をきのこ書いて(叶わぬ夢)。
ゾォルケンとかいうクソ虫も特に外出する様子はないんだが、こいつほんと何企んでるかわからんからな。安心できん。
他にも第四次に介入しかけたフランチェスカ・プレラーティとかいうやべーやつの動向も全く掴めないし、正直お手上げですね……。
あ、麻婆神父に関してはずっと監視してるけど特に動く様子はないし、しかも驚くことにどうやらマスターですらないらしい。令呪もないし、召喚した魔術的痕跡も見当たらない。
………よし。
とりあえず、今のところはクー・フーリンが帰ってくるのを待って、傷を癒してから作戦を考えよう(思考放棄)。
ん?璃正さんから連絡が来たぞ。定時連絡の時でもないのになんなんだろうか。
☆☆☆
「あ。目が覚めた? ちょうど良かった。今から作品を作ろうと思うんだけど是非君に見てもらいたいんだよね。コトネちゃんも見たいだろうし」
「……!」
優男風の青年に優しく語りかけられたコトネは自分の今の状況に混乱していた。体を縛られ猿轡もされて、声も出せないし体も動かせない。そして、住みなれた自分の家のはずなのに──もはや別ものと言ってもいい血だらけの自分の家。
横を見れば血まみれになって倒れている両親の姿が見える。
優男は突然そんなコトネの両親を躊躇うことなく持っていた包丁で解体し始めた。鼻歌交じりに。
皮膚を剥がされ、腕、足、眼球、内蔵。
全て壊されていく。
コトネの視界を埋め尽くす赤、赤、赤。真っ赤な血とかつてヒトガタだったものの中身。
そして態々この優男はコトネの目の前にその中身を持ってきてニヤニヤと笑いながら随分楽しそうに見せるのだ。
コトネは恐怖と絶望と悲しみとでどうにかなりそうだった。生暖かい物が股の当たりを濡らし、辺りに広がる真っ赤な液体と交じり合う。
そしてどれくらい時がたっただろうか。コトネにはわからなかったが、優男は遂に作品を完成させていた。
己の芸術性、哲学性を存分に込めた作品──人間オルガンを。
「は、はは。できた!できたよ、コトネちゃん!!君のお父さんお母さんのおかげだ、ありがとう!」
異様にはしゃいで夫婦の人間オルガンを見せてくる優男。コトネが全てに諦めてなんの反応も返さないでいると、突然コトネの腕を両断せんとなんども、なんども切りつけてきた。
あまりの苦痛にコトネは目を見開き、口を猿轡で塞がれてるというのに絶叫した。優男はその悲鳴を無視して、両断した腕から流れ出る天然の赤のインクを使ってコトネを中心になんらかの絵を描き始める。
痛みに悶えるコトネにはわからなかったが、それは俗に言う魔法陣のような物であった。魔法陣を描き終わった優男はコトネに近づいてきてまた脈絡のないことを語りかけてくる。
「今から悪魔を召喚するんだけど、君はその生贄ね。ほんとはオルガンとか椅子とかにしようと思ったんだけどさぁ……前家の蔵漁った時に悪魔の召喚書みたいなの見つけてさ。これは確かめてみるしかないじゃん?」
そして、軽い調子で優男はブツブツと召喚の呪文みたいなものを唱え始めた。
すると驚くことに、成功したのか眩い光が辺りを満たし───。
死がそこに存在していた。