DEMONSTER HUNTER   作:ウボァー

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鴉は何故鳴く真夜中に

 肉……うめ……うめうめ……生肉うめ……。

 

 つい先ほど仕留めた熊にがっつくディノバルド。それとは違う血の匂いがふわりと鼻腔をくすぐる。これは、そう――人の匂い。

 

 

「あっはっはあ! 鬼狩りといえどこの私に敵う訳ないのよ!」

 

 

 ゆっくりと、声の主に気付かれないように。木の陰に隠れつつこっそりと覗いてみる。

 赤を流して倒れ伏す人間と、その周囲で慌ただしく羽をバタつかせる(おやつ)。この惨状を作り出したであろう女の鬼は、綺麗な着物を何枚も無理やり羽織っているという奇妙な格好をしている。

 

「カアァ! カアァ! 起キロ、起キテクレ! 死ンダナド、コノ斎賀ハ認メナイ!」

 

「は? 何よコレ。煩いわ。汚いわ。だから消えてちょうだい」

 

 鬼は鴉に手を向け、腕を伸ばした。あの鋭い爪で引っ掻かれたらただでは済まないだろう。

 本日のおやつになる予定の鳥肉(未遂)に攻撃を仕掛けようとしている。つまり――敵だ。

 

「ガアアァァッ!!」

 

 吠えながら突進。(今日のおやつ)から離れろ貴様!

 

「何よ! 汚い、煩い、汚い煩い汚い煩いぃっ!」

 

 こちらに首をぎゅるん、と音が出そうな速さで向け、伸ばした腕はこちらへと標的を変えた。だが、鬼の爪はディノバルドの鱗に弾かれる。

 

「硬いっ……私の爪をぉ、よくもぉ!」

 

 感情に任せてニ撃、三撃、と攻撃を続ける鬼。だんだんと力が強くなっているのが分かるが、こちらにダメージはない。ならば、と尻尾を研ぐ動きに入る。

 だがいつもの様に綺麗に研ぐのではない。振り回したら鱗や破片がすっ飛んでいくように、あえて取れかけにして残す。もしこの予想が当たっているならば、これはかなり強力な武器になる。

 

「ゴアァッ!」

 

 あえて今から大振りをするぞ、という隙を見せ、鬼を回避に入らせる。これは尻尾を当てる必要はない攻撃。この行動の真の目的は破片を飛ばすこと。

 

「なによ鈍間! この私に触れようなんてっ、!?」

 

 遠心力で吹っ飛ぶ破片の群れ。油断もあるのだろうが、緩急をつけたことで鬼の目は対応できていない。細かい破片が鬼の顔に、腕に、腹に、足に突き刺さる。それだけではない。刺さった部分がじゅうじゅうと音を立てている。

 

「い、だあああぁぁああ!? なんでよ、なんで焼けているのぉ!?」

 

 突き刺さった破片を取ろうと手で触れ、その手もじゅうじゅうと焼ける。

 

「ああ! 顔、わたしのかおが! なんてひどいことをするのおぉおお!!」

 

 やはり、この尻尾には人間に似ているが人間ではない生き物に対してよく効く何かがあるらしい。

 

「嫌、嫌よ! こんな汚いのは私じゃない! 誰よ、誰なのよ! 綺麗じゃないと、綺麗じゃないと、わた――」

 

 

 綺麗じゃないと価値なんてなかった。綺麗じゃないと売れなかった。汚いモノになんて誰も目を向けないから。

 静かじゃないと価値なんてなかった。静かじゃないと売れなかった。煩いモノになんて誰も耳を傾けないから。

 

 汚したからと殴られて。余計なことは言うなと殴られて。なんの理由もなく殴られて。

 

 だから、だから、今度はやり返したっていいじゃない。綺麗になっていいじゃない。たくさん喋っていいじゃない。昔の私を殺したっていいじゃない! 見たくないの、もうあんな惨めな頃を思い出したくないの!

 

 

 

 でも、なんで。どうして。私が何をしたと言うの?

 こんな化け物に殺されるなんて、いやだ。

 

 

 ――斬。

 

 

 

 人間もどきが何か言っていたような気もするがよく覚えていない。なら重要なことではないのだろう、とすぐに記憶から追い出しておく。

 そう、一番大事なのは(にく)だ。

 

「カ、カアッ!? 肉デハナイ! 我ニハ斎賀トイウ名ガアルノダ! ヤメ、ヤメロ! ソノヨウナ目デミルナァ!」

 

 カラス田楽なる料理があると風のうわさで聞いた。そう、カラスは食える。でも食べるならもっと美味しく食べてみたい。誰か味噌持ってきて味噌。おでんでんででん、おでんでんででん。

 

「奇妙ナ歌ヲ歌ウナァ! ホントウニヤメテ」

 

 ……んあ? 俺の言葉わかってるの?

 

「ナント恐ロシイ怪物、早ク柱ニ伝エナケレ……ピッ、我、ナ、何モシヨウトシテナイゾ!」

 

 本当?

 

「ホ、本当ダトモ! コノ斎賀、嘘ヲ吐イタコトハ一度モナイカラナ!」

 

 おっそうか! じゃあ一緒に熊食おうぜ! 一人だと寂しいんだよやっぱりさ! さっき仕留めたばかりだから新鮮! まあ俺が食い散らかしたからモツとか散らばってるんだけど許して。

 

「くわー、くわー」

 

 哀れ、鎹鴉の斎賀くん。担当の鬼殺隊員の死を悼む暇などなく連れられたのは熊の惨殺死体。しかもそれを作った犯人がすぐ隣にいるのです。しかもそれは、鬼をあっという間に倒せるほどの力も持っています。

 彼は精神的なショックから一時的に幼児退行してしまいました。数時間したら元に戻るでしょう。がんばれ。この世は地獄だ。




現在、陽光山にてディノバルドの落し物(天鱗)が発見されたので隠れ里では誰がこの素材を使って刀を打つかを決める大乱闘刀鍛冶ブラザーズ開催中です。負傷者多数。ストッパーの行方は不明とのこと。


感想で他のモンスター余裕があれば出して欲しい、と要望がありましたので作者が前に呟いていたヤツをまるっと後書きにもってきてまいりました。

どこからともなく飛んできたバルファルクが無限城に激突!バゼルギウス追い打ちの爆撃!あーっと無限城揺れている!こ、この振動は……大いなる存在だーっ!!古龍の存在を感知したネルギガンテも襲来!かかってこい大自然!そう軽々しく口にしてはいけないと無惨様に誰も教えなかったのか!

うん。モンスター達が無限城をいかに解体するかで芸術点競うのでダメですねこれは。
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