最近、妙に鬼が減っていく。
死んだ鬼共は雑魚も雑魚。十二鬼月には何も影響はない。だが、意識を傾けると「助けて」だの「死にたくない」だの叫びながら逃げ惑う音が聞こえてくるのは不愉快極まりない。
そうして騒ぎながら散る鬼達から見、聞こえた景色には共通しているものがあった。
咆哮と金属音、高熱による光だ。
まず、鬼殺隊ではない。どれも人が起こせるようなものではないからだ。
鬼でもない。血鬼術なら可能かもしれないが、死んだ鬼達の近くに更に鬼がいた、という気配は感じられなかったからだ。
私の知らぬ何かがいるのは間違いない。だが、その正体が掴めていない。……腹立たしい。煩い声がどこから聞こえてくるかで『何か』がいる大体の方向は掴める。
「――正体を突き詰めろ。そしてそれを殺せ。殺した者には褒美として私の血を分けてやろう」
私の血、という極上の餌をぶら下げれば役立たず共も少しはマシな働きをするだろう。
……そういえば最近玉壺の姿を見ていない。壺は送られてくるのだが、肝心の玉壺はあちらこちらへと移動を続けている。……それに何故か奴の作った壺の価値も段々と上がっている。芸術、とやらに磨きでもかかったのか? 資金が尽きないのは良いことだが、何故玉壺は移動を続けて……? まあ、どうでもいいことだろう。
――あ、ふ……ふぇっくしょん! ……ずび、誰かウワサした?
のっしのっしと移動しつつ、鬼を見つけたら即殺。もし俺に練気ゲージあったら多分ずっとマックス状態ですよ。
「も、もしかしてアレのことか……? 大金星じゃねえの俺! 血、あのお方の血ィをォ……!」
ヒャア! 何故か最近
「チョ、マッ、走ルノ早ッア゛ァーーーーーッ!!??」
あ、斎賀君が背中にいたの忘れてた。メンゴ☆
左側から尻尾を回して噛み付く。ぎ、ぎ、ぎ、と研ぐと同時に力を溜め――一気に放出する。
左側から右側に一回振り回し、脚で急ブレーキをかけて、反動を利用して次は先程と反対回転で同じように振り……あー綺麗にコンボが続かない! くそう! プリーズワンモアセッ!!
「……ヒエエ……自己研鑽ヲ止メナイ……」
ん? ごめん鬼がうるさくて何言ったか聞こえなかったー!
「ナンデモナイデスゥー!」
そっか! ……ところで本当に柱ってこっちにいるの?
「オ、恐ラク……多分……キット……」
『おお……日々研鑽を積む、なんたる美しき姿……! これぞ芸術家よ! これは私も負けておれぬ。ヒョッヒョッ』
………………待て誰だ斎賀君の後で喋ったの!?
バッと振り返ってみると、そこにはよく分からない色使いのへんちきりんな壺が転がっているだけだった。あらまあマカ不思議。
「壺? デスカ」
これ、マカ練金ツボだったり……しないか。そっかー。ちょっとしょんぼり。まあ俺ディノバルドだから使いこなせはしないんだけどね!
あ、もしかしてコレ斎賀君にちょうどいい大きさじゃない? コレ持っていく?
「ソノ、トテモ嫌ナ気配ガスルノデスガ、ッテヤメテ魚クサア゛ア゛ア゛ア゛――」
うん、似合ってる似合ってる。で、このツボの歪みを利用して上手いこと背中の突起の隙間にこう……ハマった。よしよし。
これが斎賀君の今日からの巣、兼シートベルトだ。いやあいい拾い物したなあ! いい事したらいい事あるもんだね!!
どこでも玉壺、欲しい? 作者はいらない。