高坂穂乃果に弟がいたならば   作:naonakki

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俺の周りの男子共はみんな俺を羨む。

なぜかって?

俺もそれを不思議に思い、皆に聞いたことがある。

それを聞くとみんな怒り狂ったが、わめき散らすみんなの言葉をまとめると、どうも以下のことが原因らしい。

~人気スクールアイドルであるミューズの人たちと交流があるから~

なるほど、確かに姉ちゃんを含めたミューズの人たちとはよく関わってるし、これだけ聞くと、周りの男子が俺を羨む気持ちもわかるかもしれない。

・・・だが、待ってほしい。

上手い話には裏があるのと同じで、決して俺は今の自分が羨ましがられる状況にあるとは思えない。

・・・いや、まじで。

・・・じゃあ、聞かせてやるよ、俺とミューズとの関わりのすべてを。

よく聞いとけよ!!!


第1話 幼馴染

第一話 幼馴染

 

・・・やっと学校終わった。

 

長かった学校の授業も終わり、ようやく待ちに待った放課後だ。

特に部活にも入ってない俺は、そのまま教室を出て、帰路につこうとするが、

 

なんか校門が騒がしいな・・・。

 

靴に履き替え、校門に向かっていたが、どうも校門のあたりに人が集まっており、ザワザワしている。

 

何かあったんだろうか? ・・・まさかな。

 

嫌な予感がしつつも、校門に近づくと、その人だかりの一人が俺に気付き、

 

「あ、来たっ!」

 

と、俺の方に指を差し、大声で叫びだした。指を差すな指を。

でも、これは、やはり・・・。

 

そんな俺の嫌な予感が的中しているのを伝えてくるように、皆が俺の姿を確認すると、人だかりが綺麗に二つに分かれていく。モーゼになった気分だね。

 

そして、出来上がった道の先にいたのは・・・

 

「あ、夏樹くん、お疲れ~♪」

 

満面の笑みで俺を迎えてくれる、ことりさんだった。

 

「・・・お疲れ。」

 

しかし対照的に俺は疲れ切ったようにそう返事をする。嫌な予感的中~。

 

ことりさんは、そんな俺の心中を察してか察していないのか、いい笑顔でこう言い放ってきた。

 

「じゃあ、この後ことりの家に集合ね♪夏樹君一人で来てね?遅刻したらお仕置きだからね♪それじゃあ♪」

 

と、わざと周りの人にも聞こえるように大きな声で俺に伝えてくる。

そのまま俺の返事を待たずして、180度ターンして、そのままスキップで去って行ってしまった。何が、じゃあ、なのか・・・。

 

「・・・・・。」

 

「・・・・・。」

 

その場に取り残された俺、そして周りの大勢の人も黙って、ことりさんが去るのを静かに見つめていた。ただただ静寂である。

 

そして、ことりさんの姿が見なくなったのを確認し

 

「・・・よし、じゃあ俺も帰るか。じゃあなみんな~」

 

俺が、さっさと帰ろうとすると

 

ガシッ

 

・・・何かに肩を掴まれた。そして

 

「やあやあ、高坂君、君が帰るのは家じゃないだろ?土だろ?」

 

「その通り、今日がお前の命日だ。」

 

「そうだぜ、高坂~、覚悟しとけよ♪」

 

俺がゆっくり振り返ると、そこには、嫉妬に燃える無数の童貞共が・・・。

 

「うるせえっ、お前らに俺の気持ちが分かってたまるか!」

 

掴んできた手を振りほどきながらそう叫び、脱兎のごとく走り出す、ひたすらに。

 

「待てっ、こら!てめえを殺して俺がお前になるんだ!!」

 

「この、うんこ野郎!見せつけてんじゃねえぞ!!」

 

「そうだ!!〇ね!!俺もことりさんにお仕置きされてえよ!!」

 

などと、訳の分からないことを言いながら俺を追いかけてきた。・・・やばい、捕まったらまじで死ぬ。

 

 

 

その後、死ぬ気で走り切った俺は、何とか醜い豚どもから逃げることに成功した。

 

「はあ、はあ・・・あいつら、石投げるのは反則だろ・・・。」

 

俺は、たまたま通りかかった、公園のベンチに横たわり、息も絶え絶えに、休息をとっていた。まじで疲れた・・・。

 

「・・・・・。」

 

しばらく横になっていると、何とか体力も徐々に回復してきた。

 

さて・・・、

 

ことりさんの家に行くか・・・。

 

そう覚悟を決め、ことりさんの家に向かった。お仕置きされないように・・・。

 

(ことり宅)

 

「ことりさ~ん、来ましたよ~。」

 

「いらっしゃ~い♪ ささ、上がって上がって♪」

 

目的地に着き、そう少し大きめの声を出すと、ことりさんは、すぐに待ってましたと言わんばかりに、嬉しそうに扉を開け、俺を家に招き入れた。

 

「・・・お邪魔しま~す。」

 

少し嫌そうな気持ちを含ませ、そう言いながら、見慣れた玄関に足を踏み入れていった。

 

「うん♪じゃあ早速部屋に行こうか♪」

 

しかしことりさんは俺のそんなセリフを特に気にした風もなく、足早に自分の部屋に向かうのだった、まるで、1秒でも時間が惜しいとばかりに。

 

そして、部屋に着いた俺に待っていたのは・・・

 

「え~、それでは!第49回 ことりが穂乃果ちゃんと付き合うにはどうすればいいのかを考えましょう!の会議を行いま~す♡」

 

地獄だった・・・。第49回て・・・。

 

「なあ、その前に学校に来るのやめない?俺死んじゃう。」

 

その下らない会議が始まる前にそう抗議する。とても重要なことだ。

 

「え、どうして??」

 

ことりさんは、わざとらしく、きょとんと首をかしげてくる。この・・・っ、

 

「知ってるんだからな!!俺が追いかけまわされてるの、こっそり陰で見て楽しんでるの!!」

 

俺が心からそう叫ぶと、ことりさんは、目をパチクリして、

 

「・・・てへっ♡」

 

舌を出して、ばれちゃったか~の表情。ふざけてやがる。

 

「だって、夏樹君の逃げる必死な姿ときたらwww」

 

「最悪だっ、この人!!(今度ニンニク入りチーズケーキ食わしてやるぅ!)」

 

とうとう本性を現したことりさんに悪態をつき、ひそかに復讐を誓うが、

 

「だって、この前の日曜日、せっかく呼んだのに来てくれなかったじゃない?」

 

と、急に笑うのを止めて、まっすぐ俺を見つめ、そうピシャリと言ってきた。

 

その言葉を聞いた俺は・・・

 

冷や汗が止まりません♪

 

「いや・・・あれですよ?ラインでも言ったじゃないですか、寝てたんですよ?」

 

「夕方の5時に?」

 

「・・・はい。」

 

「まだまだ、明るいよ?」

 

「・・・はい。」

 

「6時くらいに雪穂ちゃんから、夏樹なら私と一緒にマリオカートしてますよ~って連絡くれたんだけど?写真付きで、ほら?楽しそうだね~。」

 

「・・・・・。」

 

詰み・・・か。

 

「・・・言い残すことは?」

 

「なんでもするので、着せ替え人形だけは勘弁してください。」

 

以前、似たような状況になった時に、最後まで反抗したら、着せ替え人形にされ(もちろん女性服)、ミューズの人たちのおもちゃにされたトラウマがあったのでそう言ったが・・・あ、もちろん土下座しながらね。

 

「・・・ふふふ、そのセリフを待ってました♪」

 

あ~やべ・・・怖っ。

 

急に、満面の笑みになったことりさんを見て再び俺の冷や汗が吹きだしてきた。何をするつもりなんだ、この鳥は!?

 

「じゃあ、――――――――」

 

ことりさんが言った内容に俺が何かを思う前に

 

「はい♪じゃあ、本来の目的の会議をはじめるよ!」

 

「いやいや、さっきのどういういm「まずは、今日ね~寝癖がついたままの穂乃果ちゃんがすっごく可愛くてね~♪」

 

そこから、会議はどこへやら、俺の言葉は、ことりさんの耳には届かず、一方的に、姉ちゃんとことりさんのいちゃいちゃしたことについて2時間みっちり話を聞かされたのだった。なんで姉ちゃんのそんな話をきかなければならないのか・・・。

 

結局今回も、ことりさんが姉ちゃんと付き合うためになにをするべきか、一度も作戦会議をすることなく、第49回会議は幕を閉じた・・・。

 

つづく

 


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