高坂穂乃果に弟がいたならば   作:naonakki

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第12話 恋する乙女

南ことりは眠れない毎日が続いていた。

 

おかげで毎日寝不足で正直まいってしまっている。

 

これも全部夏樹君のせいだよ・・・。

 

あの事件後、夏樹君のことが頭から離れない。

 

喧嘩なんてしたことがないだろう夏樹君が自分よりも二回りは大きい男の人に一歩も引かず立ち向かったこと。

 

真剣に怒ってくれたこと。

 

そして、自分たちのために涙を流してくれたこと。

 

それらを思いだすと、胸のドキドキが止まらない。

この胸の高鳴りのせいで眠れない毎日が続いているのだ。

かれこれ事件から1カ月近くたっているのだが、ずっとだ。

 

さらに最近はこの胸の高鳴り以外にも悩みの種ができている。

というのも夏樹君とあの事件以来まったく連絡を取り合っていないのだ。

幸い夏樹君の怪我は重傷ではなく、心配ないということだけは穂乃果ちゃんから聞いた。

だが、肝心の夏樹君本人と全くコンタクトが取れていないのだ。

ラインでメッセージを送ろうにもなぜだか無性に恥ずかしくなり、結局送れないのだ。

 

・・・はぁ、何なんだろうこれ?

こんな感情初めてだよ。

 

夏樹君のことを思い浮かべるだけで、胸が高鳴り、心がモヤモヤし、顔が熱を持つことがわかる。

 

元々夏樹君とは、穂乃果ちゃんの弟ということで小さいころから付き合いがあったが、弟の様に接してきた。

決してそれ以外ではなかったはず、なんだけど・・・。

 

・・・・・。

 

お風呂に行こうっと。

少しはさっぱりするかも。

 

~二時間後~

 

「ちょっとことり!?

そろそろ出てきてくれない??

早くお風呂入ってその後ビール飲みながらテレビ見たいんだけど!」

 

二時間お風呂に入っていても、心のもやもやが晴れることはなく、なんとなくずっと湯舟に使っていたのだが、お母さんが外から猛抗議してきた。

それでもなんとななくお風呂から出たくなかったので、そのまま湯舟に浸かっていると、

 

「は~いお邪魔しま~す。」

 

と、言ってお母さんが浴槽に入ってきてしまった。

 

「ちょっとお母さん!

勝手に入ってくるなんて非常識だよ!」

 

「ことり、怒るわよ?」

 

これって理不尽だよね?

 

お母さんが聞いたこともない古い歌を歌いだしたあたりで、我慢できずにお風呂から出ようかなって考えていると、

 

「・・・ことり、あんた夏樹君のこと好きになったでしょう?」

 

と、歌うのを急にやめてそんなとんでもないことを言ってきた。

 

「な、ななな何言ってるの?? いいい、意味わかんないんですけど?? けど??」

 

「落ち着きなさいことり。」

 

お母さんは何を言っているのだろう?

私が、夏樹君のことを、その、す、好きだなんて・・・。

そ、そんなこと・・・。

 

「ことり、あなた寝言でずっと夏樹君の名前を呼んでいるのよ?」

 

「えっ、嘘!?」

 

「嘘よ。」

 

・・・・・。

嘘はよくないよね?

 

「ことり、悪かったからタオルで叩くはやめて頂戴。」

 

私お母さん嫌い。

 

「でもね、ことり?

急がないと夏樹君を他の子にとられちゃうかもしれないわよ?」

 

お母さんは、シャンプーを泡立てながら私に諭すようにそう言ってくる。

 

「別に私夏樹君のこと好きじゃないもん・・・。」

 

そうだよ、夏樹君は私にとって弟のような存在、向こうだって私のこと・・・

 

「じゃあ質問を変えるわ。

夏樹君が知らない女の人と付き合っていて、手を繋いでイチャイチャしてそして最後にき「やめてっ!!」

 

なぜだろう、夏樹君が知らない女の人と付き合ってると聞いたとき、胸がズキリと痛んだ。

最後まで聞くことが堪えられなかった。

 

・・・嫌だよ、そんなこと想像したくないよ。

 

「ことり、ごめんなさい。

まさか泣くとは思わなかったわ。」

 

「な、ないでないっ!」

 

「さいですか。」

 

なぜ泣く必要があるのか。

目にお母さんのシャンプーが入っただけに違いない。

 

「じゃあまた質問を変えるわよ?

まずことりと夏樹君が付き合ってるとします。」

 

「え」

 

わ、私が夏樹君と!?

そんなこと急に言われても困るに決まっている。

うん、心の準備が必要だ、それも分からないお母さんはなんて無粋なのだろう。

 

「ふう、お母さんはしょうがないよね?

・・・続けて?」

 

「・・・やっぱりやめていいかしら?

もう夏樹君のこと好きってわかったでしょう?」

 

「はやく。」

 

お母さんはジト目で私を見たのち、ポツポツ喋ってくれた。

 

「まず、ことりと夏樹君と手を繋いで歩きます。」

 

「うんうん♪」

 

「そして人気のいないところで二人気になり、いい雰囲気になります。」

 

「・・・うん。」

 

あぁ、想像すると胸がどきどきで爆発しそうになるけれど・・・悪くない!

 

「二人はお互いの唇をちかづけていk、ぶっ!?」

 

先ほどと同様最後まで聞くことが堪えられず、タオルで思い切り母親の顔をたたいてしまった。

スパーンッていったよ。

 

「・・・ことり、私今すごくストレスが溜まっていっているわ。」

 

お母さんは叩かれた箇所をさすりながら文句を言ってくるが、これはお母さんが悪い。

あのままでは私が夏樹君とき、ききき・・・、とにかくこれはセクハラだ。

許されないことだ。

おかげで私の鼓動は爆発寸前だ、どうしてくれるのか。

 

「とにかく、ことりは自分の気持ちに素直になりなさい。

幼馴染は結ばれる運命なのよ。

遠慮は不必要なのよ?」

 

「そのあたりもう少し詳しく。」

 

まったく、お母さんはそんな重要なことをサラッと言ってくれないでほしいものだ。

今のことについて詳しく聞かなければ。

 

 

 

それから30分かけて幼馴染同士は結ばれてもいいのだと分かった。

何故かお母さんは最後の方ゲッソリしていたが、これは大収穫だ。

おかげで自分の気持ちをはっきりさせ、それを認めることができた。

 

うん。

 

私、夏樹君のこと大好きです♪

 

そうと決まれば早速夏樹君に会わなければ!

そして想いを告げないと!

 

母曰く、幼馴染同士は恋愛において強いアドバンテージだと教えてくれたのだ。

これは余裕だよね?

ちなみに、お母さんは最近らのべ?というのを読んだらしく、それに幼馴染同士が結ばれる旨が書いてあったらしい。

きっと素晴らしい書物に違いない。

 

でもどう夏樹君と会えばいいのかな。

 

・・・・・。

 

う~ん。

 

 

 

~3時間後~

 

うん、穂乃果ちゃんも誘ってついでに夏樹君も一緒に遊ぶっていう流れにするのはどうだろう?

でもそれじゃあ、二人きりになれないよね。

・・・いっそ途中で穂乃果ちゃんを撒く?

いや、流石にそれは・・・う~ん。

 

♪~♪~♪

 

「わっ、びっくりした、電話?」

 

穂乃果ちゃんからだ。

 

そしてなんとその内容は、夏樹君の勉強を見てほしいとのことだった。

夏樹君と勉強が全く結びつかなかったが、これは千載一遇のチャンスだ。

 

でも、明日早速勉強を教えることになってしまった。

準備時間が全然ない。

とにかく、服装だけでも決めておこう。

服装だけ決めて、後は明日準備をしないと!

 

結局、服装を決めることが出来たのは夜中の3時だった。

 

つづく

 




初めまして!

12話目にして初めてのコメントです(笑)
他の作品を読んでいたら結構皆様コメントしていたので、真似しました(笑)

まず、ここまで読んでいただいた皆様ありがとうございます!!
沢山のお気に入り登録や、何人かの人にも感想を頂きとても嬉しいです!

これからもどんどん投稿していきますので、楽しんで頂ければと思います!
では、引き続き夏樹の活躍?をお楽しみください!

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