高坂穂乃果に弟がいたならば   作:naonakki

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第13話 ことりの過ち

俺は、静かにインターホンを押した。

するとほんの一瞬で

 

バンッ

 

ドアが開いた。

 

ドアを開けたのは、ことりさんだ。

 

インターホンを押した瞬間にドアが開いたものだから普通にびっくりした。

来るの待ってたのか?

 

・・・それにしても久しぶりに見たなことりさん。

 

「夏樹君、来たんだね!」

 

俺が少々状況に戸惑っていると、そう声をかけてくる。

この甘ったるい声を聞くのも一カ月ぶりくらいだ。

 

「うん、久しぶりだね。」

 

「そうだね、一カ月ぶりだもんね・・・。」

 

お互い久しぶりに会ったことで、どこかぎこちなさがある。

 

だが、俺は冷静にこの状況を受け止めることが出来ていた。

さあ、言うんだ。

 

「あの、ことりさん。

この間は、きつく言ってごめん。

俺、ことりさんのこと、その、大切な人だと思ってるからさ。

あんな言い方しちゃったけど、それは分かってほしい。」

 

俺はそう言って頭を下げた。

・・・嘘を言ったつもりはないが、大切な人っていうのは言いすぎたか?

あれ?意識してきたらなんか急に恥ずかしくなってきた!?

あ、ああ、なんか、もう、死にたい!

 

俺は顔が赤くなるのを感じつつもちらりとことりさんの方を向いた。

 

そこには

 

顔を真っ赤にしたことりさんがいた。

鯉のように口をバクバクしている。

 

どうしたんだ?

もしかして、俺が恥ずかしいこと言ったからか!?

 

「あ、ああ、あの、わ、私も夏樹君のこと、その、すk、じゃなくて大切だと思ってるよ?

あ、あと、夏樹君が謝るようなことじゃないよ。」

 

と、俺の言葉を馬鹿にするわけでもなく、顔を赤くしながらことりさんも俺のことを大切だと言ってくれた。

この言葉に俺は純粋に嬉しく少し感動してしまった。

 

少し間を開けて、ことりさんは続けて口を開き、

 

「それにまだお礼を言えていなかったけど、本当にありがとうね?

あの時本当に不安で怖くて、夏樹君が来てくれなかったと考えると・・・。」

 

と、体を自分で抱きしめながらそう言った。

その体はかすかにふるえていた。

 

・・・俺が駆け付けた時、あれは間違いなく性的暴行を受ける直前だった。

あの時のことりさんと海未さんは今まで見たことがないくらい、恐怖におびえていた。

今でも、トラウマとして残っていても不思議ではない。

 

「・・・大丈夫だよ。

またああなったら、俺が叫び続けてやるよ。」

 

俺は恐怖をやわげるためにも少し冗談も交えつつことりさんの頭をなでてあげた。

姉ちゃんは、怖がっているときこうすると安心するのでことりさんにもしてみた。

 

ことりさんは、顔をより一層赤くしそしてトロンとした顔で俺をポーっと見ていた。

姉ちゃんにはなかった反応だ。

 

・・・よくわからんが、とりあえず安心してくれたのだろうか?

まあさっきのように怖がっているわけではなさそうなので、よしとする。

 

と、なんとかひと段落着いたところで俺は、ずっと気になっていた疑問をぶつけることにした。

 

「ことりさん、なんでメイド服なの?」

 

そう、なぜかことりさんがメイド服を着ていたのだ。

そのせいで今までのやり取り中も2割くらいそれに意識を持ってかれていた。

 

「・・・ふぇ?

あっ、これ可愛いでしょう?」

 

トロンとした表情からことりさんも今自分の服装を思い出したようにそう聞いてくる。

 

・・・そりゃあ似合ってるし可愛いけど。

 

「ごめん、正直違和感しかない。」

 

「えぇっ!?」

 

そう驚いた後、ことりさんはすぐさま普通の服装に着替えてきた。

 

・・・何だったんだ?

 

その後、ことりさんに亜里沙さんのことは伏せ、勉強をしたい意思を伝えた。

ことりさんも協力してくれるようでこれから始まる春休み中も可能な日は勉強を見てくれることになった。

ことりさんには本当に感謝だ。

・・・まあ、衝撃的な告白もあったが。

 

~少し前~

 

はぁ、まさかメイド服がだめだったなんて。

早く見てほしくて、ドアの前でスタンバイしてたのに・・・。

可愛いと思ったんだけどな・・・。

 

・・・ん?でも冷静に考えたら家でメイドって意味が分からなくない?

 

・・・・・。

 

南ことりは今更気付いてしまった。

昨夜深夜テンションで、判断力が鈍った状態で服装を選んでしまった失態に。

 

うぅぅ、最悪だぁ~、死にたいよ~//

 

その後五分ほど恥ずかしさで悶えた後、普通の服装に着替え、自分の部屋で夏樹君の事情を聞くことにした。

 

どうも成績が悪すぎて高校に行けないから勉強を教えてくれとのことだった。

当然、好きな人と一緒にいられる時間が増えるなんて願ってもないことなので勉強を教えることを二つ返事でOKした。

 

その後、現在の夏樹君の知識レベルがどんなものか簡単にテストをした。

結果は目を思わず覆いたくなるような結果だったが、それはこれから頑張っていけばいいだろう。

 

そう、それはいいのだ。

 

事件はこの後起こってしまった。

 

 

 

私は焦っていた。

夏樹君と二人でいるこの状況でどんどん夏樹に対する好きがあふれてくることに。

だからこそだろう、思わずこう言ってしまったのだ。

 

「・・・好き。」

 

意識していなかった。

本当に口から漏れ出てしまったセリフだったのだ。

 

「何が?」

 

だから、夏樹君のこの問いがなんのことか分からなかった。

私が不思議そうな顔をしていると

 

「いや、ことりさん今好きって言ったじゃん。」

 

・・・・・え?

え、え?

・・・嘘?

ま、まさか思わず声に出ていた!?

 

好きというのは本当のことであり、いずれ伝えるつもりでいたが、今ではない。

なんとか誤魔化さなきゃ!

 

「え、ええと、あれだよ?

穂乃果ちゃんのことだよ?」

 

まずい、焦ってよくわからないことを言ってしまった。

 

「・・・え、うちの姉ちゃんが好きなの?」

 

夏樹君はそんな私の言葉に少し驚いたようにそう再度問うてくる。

 

「う、うん、そうなんだ~、あはは~。」

 

いやいや違う、そうではない。

私は何を言っているのだろう?

早く否定してなくては!?

 

「ち、違うの!

本当は違う人が好きで!」

 

「・・・え、誰?」

 

「・・・・・。」

 

「・・・・・。」

 

「・・・穂乃果ちゃん。」

 

私の馬鹿ああ!!!

へたれてしまって本当のことを言えなかった自分を呪っていると

 

「・・・ま、まあ人の愛なんてそれぞれだと思うよ?

あ~、まあ俺もできることなら力になるからさ?」

 

完全に夏樹君に勘違いされている。

私、穂乃果ちゃんが好きなレズになっちゃった・・・。

 

でも、内容はどうあれ力になってくれると言ってくれたのは嬉しかった。

だからだろうか、こんなことを言ってしまったのは。

 

「じゃ、じゃあこれから勉強以外でも私の相談に乗ってくれる?」

 

「え、まあ俺にできることなら。」

 

若干引き気味に対応されているように見えるのは勘違いだと祈りたい。

 

「うん、じゃあまた相談にのってね。」

 

この後、半年に渡って約50回近くも内容のない相談をするとは、ことりも夏樹も知る由はなかった。

また、ことりはこの後も全く素直に夏樹に接することができず、だんだん小学生の男子が気になる女の子にちょっかいをかけるようになっていくのもこのときの二人には知る由がなかった。

 

つづく

 

 

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