高坂穂乃果に弟がいたならば   作:naonakki

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第14話 思わぬ再会

勉強を開始してから、二カ月ほどがたった。

 

春休み中も休まず毎日勉強をしたおかげか、成績も順調に伸びてきた。

何よりことりさんの教え方がとても分かりやすく、効率よく勉強を進めることが出来たのが大きい。

 

そんな順調に成績を伸ばしている俺にも最近悩みができている。

最近姉ちゃんがスクールアイドルなるものを始めたらしいのだが、ことりさんもそれに参加しているらしく、俺の勉強を見てくれる暇が無くなってしまったのだ。

ことりさんも頑張って週に一回程度は時間を作ってくれているが、忙しい中申し訳ないし、欲を言えばもう少し勉強を見てくれる時間が欲しかった。

 

海未さんにも勉強を見てくれるよう頼みたかったのだが・・・

 

二カ月前ことりさんと同様久しぶりに再会し和解したのだが、なぜか俺のことを運命の人だと言ってあり得ないほどアタックしてきたのだ。

自分には好きな人がいると言っても全く聞いてくれないので、最近はなるべく海未さんを避けるようにしている。

 

「はぁ、どうするかな~。」

 

朝ごはんを食べているときに思わず俺がそう口に出すと、

 

「どうしたの、なにか悩み?」

 

姉ちゃんが食いついてきた。

 

「俺の勉強を見てくれる人いかなって思って。」

 

「夏樹ここのところずっと勉強頑張ってるもんね~。」

 

「本当に、この前もお父さんとお母さんがようやく夏樹が勉強をしてくれたって泣いてたもんね~。」

 

雪穂も会話に入ってきて、しみじみそんなことを言ってきた。

 

・・・俺ってそんなに心配されてたのか。

 

「ことりちゃんスクールアイドル始めたから忙しくなっちゃったもんね。

衣装も作ってくれてるし。」

 

「そうなんだよ、姉ちゃんがもっと頭良かったら教えてもらったのに・・・。」

 

「む~、悪かったね馬鹿で。

・・・あっ、だったらいい人がいるよ!」

 

と、姉ちゃんがいいアイディアを思いつたとばかりに立ち上がりながら俺にそう元気よく言ってくる。

 

「まじ?」

 

「うんうん、最近一緒にスクールアイドルをすることになったんだけど、すごく頭がよくてきっと夏樹の勉強も見てくれるよ!

・・・ちょっと気が強いかもだけど。」

 

ふむ、気が強いというのは気になるが俺の勉強を見てくれるというのなら頼まない手はないだろう。

 

「じゃあ、その人に頼んでもらっていい?」

 

「うん♪もちろんっ!」

 

「ありがとう。」

 

「どういたしまして♪」

 

・・・なんやかんや姉ちゃんにすごく助けられてるな。

今度何か礼でもするか。

 

その後姉ちゃんはすぐにその人に確認をしてくれたようで、週に一回くらいなら見てくれるとのことだった。

 

ちなみにその人の名前は、

 

絢瀬 絵里

 

という名前の人らしい。

 

今日、早速勉強を見くれるらしく、俺はその絢瀬さんの家に向かっている。

 

「いや~絵里ちゃんの家初めてだから楽しみだな~。」

 

姉ちゃんはこの後、海未さんと用事があるらしいが時間に少し余裕があるらしく挨拶だけしていくそうだ。

絢瀬さんと会うのは初めてなので、正直それはありがたかった。

 

そして、しばらく歩いたのち目的地に着いた。

 

「へ~、ここが絵里ちゃんの家か~。」

 

と言いながらインターホンを押す。

 

俺が少し緊張しながら待っていると、

 

「は~い。」

 

と、中から声が聞こえてきて、足音がどんどん近づいてくる。

 

・・・今の声、聞き覚えがあるようなないような。

 

・・・気のせいか?

 

俺が、その問いに答えを出す前にドアが開いた。

 

「穂乃果、いらっしゃい。

あなたがなつっ・・・え。」

 

「・・・・・うそん。」

 

俺たちを出迎えてくれたのは、忘れもしない亜里沙さんのお姉さんだった。

 

・・・・・・え、どういうこと?

 

俺も絢瀬さんも、状況が飲み込めずフリーズしていると

 

「ん?二人とももしかして知り合いだったの?」

 

違う、いや、違わないのか?

 

「・・・いや、なんというか。」

 

俺が言葉に悩んでいると

 

「そっかそっか、それじゃあ私は退散しようかな?

本当は、もう少しいるつもりだったけど。」

 

そう言って、姉ちゃんは帰ろうとしてしまう。

 

ガシッ

 

俺は、姉ちゃんの腕を捕まえた。

・・・帰らすわけにはいかない!

 

「ふぇ?どうしたの夏樹?」

 

「・・・なんでもするから、一緒にいてくれ。

添い寝でも抱き枕でも何でもするから。」

 

俺が、すべてを投げうって姉ちゃんに懇願する。

 

「そ、そんな// 夏樹からそんなこと言ってくれるなんて//

やっとお姉ちゃんの愛に気付いてくれたんだね?」

 

と、少し涙ぐみながら感動したようにそう言ってくる。

 

勘違い甚だしいが、もうこの際それでいい。

 

「でもね、夏樹そんなことしなくてもいつでもお姉ちゃんは夏樹と添い寝でも抱き枕でもしてあげるからね?

今は、絵里ちゃんと二人きりで思い切り勉強を頑張ってね?

夏樹も今日は久しぶりに思い切り勉強できるってはりきってたもんね!」

 

違う、そうじゃない。

事態がややこしくて、説明ができない。

あぁ、いったいどうすれば、どうすればいいの??

 

「じゃあ、私は帰るね!

夏樹、じゃあ今日は一緒に寝ようね!!」

 

「ちょ、姉ちゃん!!

カムバーーーック!!」

 

俺が最近勉強で覚えた英語でそう叫ぶが、その思いも虚しく姉ちゃんは帰ってしまった。

 

・・・しかも今日姉ちゃんと一緒に寝ないといけないの?

 

俺がダブルパンチでメンタルブレイクしていると、

 

「・・・あの、とりあえず中に入る?」

 

と、絢瀬さんが気まずそうに俺にそう声をかけてきた。

 

「・・・・・はい。」

 

俺は覚悟を決めた。

 

 

 

「「・・・・・。」」

 

き、気まずい。

 

家の中に招き入れてくれ、今リビングの机に二人で座っているのだが、会話がない。

 

あんな喧嘩腰でいい成績を取ってやると啖呵を切って、別れたの後の再開がまさかこんな形で訪れるとは・・・。

 

次に会うのは学年で3番以内に入ってからだと思ってたのに。

 

だがここで意外と絢瀬さんの方から口を開いてくれた。

 

「2カ月ぶりくらいになるのかしら、あなた本当に勉強をしてたのね?」

 

と、少し意外そうにそう尋ねてきた。

 

「・・・まあ、そうですね、はい。」

 

あんだけ馬鹿にされたからな、とは心の中で言っておいた。

・・・ていうか、あの絢瀬さんがアイドルやってる方が意外だけど。

だって、笑顔とかなさそうだし。

でも、気のせいか前会った時より棘が無くなってる気はする。

この二カ月で何かあったのだろうか?

 

「穂乃果からきいているわ、ここ最近はずっと遊びもせず勉強に集中しているって。

・・・成績はどれくらいになったの?」

 

と、どうやら姉ちゃんからある程度の情報は受け取っているらしい絢瀬さんがそう聞いてくる。

 

「この前中間テストがありましたが、110位でした。」

 

と、俺は以前とった成績をそのまま伝えた。

急に成績が伸びたもんだから先生にカンニング疑われて大変だったな・・・。

 

「・・・本当に勉強を頑張っているようね。

さすがは穂乃果の弟いうか・・・。

やるっていったら本当にやるのね。」

 

絢瀬さんは少し納得したように、そう言ってくる。

確かに、俺と姉ちゃんは性格が似てるとたまに言われるな。

よくわからんが。

 

「まあ、いいわ。

亜里沙のことは認めたわけじゃないけれど、本気だということはわかったわ。

私も勉強を見ると言ったことだし、早速今から勉強を始めましょうか。」

 

と、なんやかんや勉強を見てくれると言ってくれた。

ありがたいが、何か怖そう・・・。

 

いや、上を目指すには厳しさも必要だ。

やってやる!

 

つづく

 


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