高坂穂乃果に弟がいたならば   作:naonakki

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第2話 帰宅

「あ、もうこんな時間!」

 

ことりさんのこのセリフによって、ようやく解放された俺は、疲れ切った足取りで玄関に向かう。

姉ちゃんとのイチャイチャ話を思い切り喋ることができ、上機嫌なことりさんも俺の後ろに続く。見送りに来るのだろう。

 

すると、たまたまそこにことりさんと瓜二つのスーツ姿の女性が、仕事から帰ってきたのか、靴を脱いでいる場面に遭遇した。

ことりさんのお母さんだ。それにしても、本当にことりさんとそっくりだな・・・。

特徴的なトサカのような髪型まで同じだもんな。

 

「どうも、こんばんは。お邪魔してました。」

 

ことりさんのお母さんに俺がそう挨拶すると、向こうもこちらに気付いたようで

 

「あら、夏樹君、こんばんは。来ていたのね。」

 

ことりさんのお母さんは、そう挨拶を返すと、さらにこう続けた。

 

「・・・前から聞きたかったのだけど、あなた達、いつ付き合うの?」

 

・・・・・何を言っているんだこの人は?

もしかして、俺とことりさんがしょっちゅう一緒にいるから、付き合うのでは?と勘違いしているのか?

だとしたら、勘違いも甚だしい、何せことりさんが好きなのはうちの姉ちゃんなのだ。

 

「ははは、そんなわk「ちょっと!!お母さん!!」

 

俺が、冗談交じりに突っ込もうとすると、ことりさんが大きな声で俺のセリフをかき消した。

びっくりしたぁ。何だ急に。

 

「変なこと言わないでよ!!」

 

なぜか、顔を真っ赤にしたことりさんが母親に対して詰め寄っていた。

どうしたんだことりさん?

・・・あぁ、ことりさんが好きな人は、俺ではなく姉ちゃんなのに勘違いされて怒ってるのかな?

 

俺が一人で勝手に納得していると、

 

「あらあら♪ごめんなさい♪余計なお世話だったかしら♡」

 

「もう!早くどこかに行ってよ!!」

 

二人の親子は喧嘩していた、いや、明らかにことりさんが一方的にからかわれているな。さすが母親。

それにしても、普段俺をからかいまくってることりさんが、振り回されてる姿を見るのは、うん、いいな(笑)

 

ことりさんは、「じゃあ、ごゆっくり~、ホホホ~」とリビングに消えていった母親の姿をしっかり確認すると、くるりと俺の方に向きを変えた。

何をされるのかと思いきや、顔を真っ赤にしたまま、可愛いらしい甘い声でこう叫んできた。

 

「別に、夏樹君と付き合いたいとか思ってないからね!」

 

「急にどうした。知ってるわ。」

 

思わずそんなセリフを秒で返していた。

いや、そりゃああんな会議を50回近くもしてたら、そんな勘違い起こすはずもないわ。と、思っての返しだったのだが・・・

 

「~~~っ!もう!夏樹君の馬鹿!!早く帰って!!」

 

・・・え、なぜに?

 

急に怒り出したことりさんは、何がそんなにご立腹なのか、その場で地団駄を踏んでる。

・・・ちょっと可愛いなと思ってしまった。

ていうかそっちが呼び出していてこの仕打ち、うぅ、酷い。

 

「はいはい、じゃあ帰ります、お邪魔しました~。」

 

これ以上長居しても、いいことがないと考え、そそくさと靴を履き、玄関の外に歩を進める。

しかし、ここでことりさんから

 

「・・・夏樹君、さっきの約束の件、日曜日だからね?」

 

まだ、怒っていることりさんはムスーとしながら、そう言ってきた。

 

「分かってますよ、じゃあ、また日曜日に。おやすみなさい。」

 

「・・・おやすみなさい。」

 

その言葉を最後に、ようやく俺は帰路につくことができた。

さて・・・帰るか・・・。

 

ことりさんは、スタイルもよく、可愛いらし見た目に加え、誰にもフレンドリーに接することから、女子高に通ってるにも関わらず、近所の男子学生から絶大な人気を誇っている。当然うちの高校も例外ではない。

 

確かに、ことりさんは可愛いと思うし、料理も上手、裁縫も得意と凄い人だと思っている。

だが、なぜか俺の困っている姿を見るのが大好きであり、ことあるごとに、ちょっかいをかけに来るのだ。今日みたいに・・・。

後、姉ちゃんが好きと、レズでもある。

まあ、本当に困ってるときは助けてくれたりと、嫌いではないけどさ・・・。

 

 

 

見送りを終えた私が、リビングに入ると、そこにはお母さんがいて、呆れたように私を迎え入れた。

 

「ことり、あんた・・・馬鹿ねえ。」

 

そのお母さんが、私に呆れたようにそう言ってくる。

 

「・・・うるさいよぉ。」

 

ぐうの音も出ない私は、小さな声でそうつぶやき、そのままお風呂場に向かった。

確かに、その通りだなと思いながら・・・。

49回だもんね・・・。

 

「え、ちょっとことり!?今から私がお風呂入ろうと思ったんだけど??」

 

 

 

家に着いた俺は、インターホンを押して応答を待つ。

すると、

 

ドドドドド、バンッ!

 

「おっ帰り~~!!!」

 

勢いよく俺を出迎えてくれたのは、うちの長女だ。

一生元気だな、うちの姉ちゃんは。

 

「もう、こんな時間までなにしてたの?」

 

姉ちゃんらしく振舞おうと腰に手を当て、ぷんぷんしながらそう言ってくるが、

そんなこと、俺が聞きたいわ。

 

「・・・ことりさんの家に行ってたんだよ。」

 

「そうなの?ふ~ん・・・よくことりちゃんと遊んでるみたいだけど何してるの?」

 

と、姉ちゃんは俺に疑いの目を向けてくる。

そりゃあ、自分の弟と友達が二人きりで頻繁に遊んでたら、おかしいと思うよな。

実際、普通ではないが。

 

「別に、勉強教えてもらってるんだよ。」

 

当然、本当のことを言えるはずもなく、適当にそう誤魔化しておいた。

 

「ふ~ん?まあいいや、そんなことより私とスマブラするよ!雪穂にけちょんけちょんにされたから、夏樹でストレス解消させてもらうよ!」

 

「いや、俺風呂入りたいんだけど。」

 

ていうか、姉ちゃんとスマブラしてても面白くないんだよな、Bボタンしか押さないし。

 

「まあまあ、一回でいいからさ。それにもし、私に勝ったらお風呂で背中を流してあ・げ・る・よ?」

 

と、できもしないウインクを決めながら、気持ち悪いことを言ってきた。

よし、潔く負けて、さっさと風呂に入ろう。

 

その後、わざと負けてやったら、弱いだの、相手にならないだのさんざん馬鹿にしてきたので、二回戦目でコテンパンにしてやった。

二回戦後も性懲りなく、戦いを挑んできたが、完膚なきまでに打ちのめしてやった。

 

「うぅ、同じ血を引いているはずなのに・・・。」

 

心が折れた姉ちゃんは、いじけてソファを独占して寝転んでしまった。

邪魔だったので雪穂と協力して姉ちゃんをリビングの外に放り出した。

雑魚相手にゲームをしたため、消化不良だった俺と雪穂はスマブラを少ししてから風呂に入って、その日は寝た。

 

まじで背中を洗おうとしてきた姉ちゃんにスマッシュを決めて場外にしたのは、また別のお話。

 

それにしても・・・

 

雪穂、スマブラ強すぎな。

 

つづく

 


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