今日のみんなとの食事会、本当に楽しみしていた。
楽しみすぎて、昨日は全然眠れなかったほどだ。
当然ミューズのみんなとの食事が楽しみだったというのもあるが、一番の理由は、夏樹君がいるからだ。
最近は、スクールアイドル活動、衣装づくり、そしてバイトに行っていた為、あまり夏樹君と関われていなかったから余計に楽しみな気持ちが膨らんでしまったのだ。
だというのに、気になることを聞いてしまった。
さっき絵里ちゃんが言っていた、夏樹君に勉強を教えているということだ。
・・・どうして?
私では頼りなかったの?
そう考えただけで、胸がズキズキと痛み、泣き出しそうになる。
私なりに頑張って色々準備して、教えていたつもりなんだけど・・・。
成績が上がって嬉しそうに報告をしてくれる夏樹君を見て、私もとても嬉しく幸せだったのに、それは私ではなく、絵里ちゃんのおかげだったのかな・・・。
私があまりに辛そうにしていたからだろうか、穂乃果ちゃんが声をかけてきた。
「ことりちゃん、どうしたの?」
心配そうに私の顔を覗き込んでくる穂乃果ちゃん。
さっきまで凛ちゃんと一緒に一心不乱にバクバク食事を摂っていたのに、その手を止めて私を心配してくれるなんて、なんて優しいんだろう。
「ううん、別に何も無いよ?
・・・そういえば穂乃果ちゃんは、夏樹君がどうして絵里ちゃんに勉強を教えてもらってるか知ってる?」
「うん!
穂乃果が夏樹に絵里ちゃんを紹介してあげたのっ!
夏樹はことりちゃんにもっと教えてもらいたがってたんだけど、ことりちゃん忙しいでしょ?
だから絵里ちゃんにお願いしたの!」
・・・え?
夏樹君は私に勉強を見てもらいたがっていた?
・・・そっか、そうだったんだ。
「えへへへへ。」
「・・・え、急にニヤけてどうしたのことりちゃん?さっきまで、世界の終わりみたいな雰囲気だったのに。
・・・もしかして食事にイケナイ薬とか入ってた!?」
穂乃果ちゃんが何か失礼なことを言っている気がしたが、どうでもよかった。
まったく、下げて上げるなんて夏樹君も酷いことをするね、これ以上夏樹君を好きにさせないでほしいよ、まったく。
そう思いながら、夏樹君の方に視線を向ける。
そこには、
真姫ちゃんと夏樹君が超密着して何かしていた。
・・・・・。
・・・まったく、
・・・下げて上げて下げるなんて、どういうつもりなのかな、夏樹君?
それに真姫ちゃんも何なの!?
あ、あんなに密着して、なんて羨ましい・・・。
ていうか二人って知り合いだったのかな?
とにかくこれは、夏樹君にお仕置きが必要だね・・・。
後、真姫ちゃんにも詳しく色々聞かないとね・・・。
今日の食事会は非常に楽しみでした。
その理由は、当然夏樹と会えるからです!!
何故か、夏樹には最近ずっと避けられているので凄く寂しかったんです。
まあきっと、照れていたのでしょうね。
気持ちはわかりますが、私に寂しい思いをさせるとは罪な人です。
ですが、その分今日はいっぱい夏樹とはお話をしましょう。
・・・あぁ、何を話しましょうか?
そんな感じに私は、ぷわぷわーおしていたわけですが、気になることを聞いてしまいました。
それは、夏樹が絵里に勉強を教えてもらっているというではありませんか!?
しかもその後、穂乃果とことりが二人で話し合っているのが聞こえましたが、ことりも夏樹に勉強を教えているそうです。
・・・なぜですか?
・・・なぜですか!!!
ことりも絵里もずるいです!
私も夏樹に勉強を教えたいです!
そ、そしてその流れで、あ、あんなことや、こ、こんなことも・・・。
「海未ちゃん、どうしたの?
・・・ニヤニヤして、その、気持ち悪いよ?」
はっ、いけませんね、ついつい妄想の世界に入ってしまいました。
・・・ていうか穂乃果、今私のことを気持ち悪いって言いました?
「なんでもありません。
それにしても穂乃果、酷いじゃないですか、勉強なら絵里でなくて幼馴染の私に声をかけるのが、筋ではないのですか?」
そう、なぜ絵里なのか、私がいるではありませんか。
「・・・あ~、一応それも聞いたんだけど海未さんだけは、勘弁って夏樹に土下座されっちゃってね、あはは。」
と、気まずそうに、しかし素直に答えてくれる穂乃果。
・・・ふむ、つまり夏樹は土下座をしてでも私に勉強を教えてもらうのが嫌だったというわけですか。
それは、なぜか?
・・・簡単ですね。
それだけ、私と二人きりになるのが恥ずかしかったのでしょう!
まったく、夏樹はなんて恥ずかしがり屋さんなのですか!
本当に可愛いですね!
「海未ちゃん、一層ニヤニヤしてるよ?
大丈夫?・・・本当に。」
穂乃果は心配そうにこちらを気にかけているが、どうでもよかった。
さあ、早く夏樹にしゃべりに行きましょう!
さっき、夏樹がにこの物真似をするという奇行をしたため、声をかけるタイミングを失いましたが、もう我慢できません、いきますよ!
私が、愛する夏樹に目を向けると、
夏樹と真姫が凄く密着していた。
・・・・・。
・・・ほう。
・・・なるほど。
夏樹はこの光景を私に見せつけて嫉妬感を煽っているのでしょうか?
だとしたら、その作戦は大成功ですよ、夏樹。
・・・ですが、何事も限度があることを教えてあげないといけませんね。
私だって、我慢できないことはあります。
それから真姫にも詳しく話を聞く必要がありますね・・・。
夏樹とにこ、それに真姫が色々騒いでいるのを遠巻きに見ていた。
真姫がどうしてあれほど夏樹と仲が良さそうなのか分からない。
もちろん二人が付き合ってるなんてことはあるわけない、夏樹は亜里沙のことが好きなのだから・・・。
だからといって正直、真姫と夏樹が密着して何かをしている光景を見るのは辛かった。
私だって、夏樹のことは好きなのだから・・・。
・・・私も、スキンシップとしてならあれくらいしてもいいのかしら?
そんなことを考えているとことりと海未が夏樹のところに行き、なにやらぎゃーぎゃーと騒いでいる。
どうやら、あそこにいるメンバーで明日集まるらしい。
・・・残念ね、明日は夏樹に勉強を教えてあげようと思っていたのに。
おいしい食事を作れるように練習していたメニューだってあったのに。
・・・私も明日夏樹と会いたいわ。
しかし、私と夏樹はあくまでも勉強を教える、教えられるだけの関係。
それ以外で夏樹と関わるのは、何だか色々と自分の中で歯止めが効かなくなる気がした。
それこそ亜里沙を押しのけてでも私と・・・。
だが、そんなことは望んでいないし、する気もない。
・・・そう、これでいいんだ、遠くから夏樹の楽しそうな顔が見られれば。
「え~りち、どうしたん、怖い顔してるで?」
そんなことを考えていると希が肩をポンと叩きながら私の顔を覗き込んできた。
・・・そんなに怖い顔をしていただろうか?
「・・・いえ、何もないわ。気にしないで頂戴?」
無理やりなんとか笑顔を作り、誤魔化す。
しかし、そんな作りものの笑顔が希に通用するわけもなく、
「もう、どうしたん?
・・・今のえりち、凄い辛そうやで?」
簡単に嘘が見破られてしまった。
・・・希には、敵わないわね。
今はミューズのみんながいるものの、元はこちらでの唯一の親友だ。
思いやりがあり、本当に私を理解してくれているがこの時ばかりはそれが逆につらかった。
「まあ、色々あってね・・・。」
観念して、しかし内容は誤魔化しながらそうつぶやいた。
しかしここで私が無意識に夏樹のほうに目を向けたのが希にばれてしまったらしい。
「ん~?
・・・はは~ん、なんとなくわかったわ~。
えりちもいつの間にか大きくなってたんやな?」
と、ニヤニヤしながら私に詰め寄る希。
「な、なんのことよ?
希には関係ないでしょう?」
まさか、私が夏樹を好きだとばれたのかしら?
いや、いくら希での今の一瞬で・・・ありえるわね。
「えりち、深い事情は分からないけど、我慢はよくないと思うよ?
やりたいことを全力でやったらいいと思うよ?
現に、そうやってみんなをここまで導いたいい例もあるやん?」
そう言いながら、希は視線を穂乃果に移した。
穂乃果は「?」と、よく分かっていないようだが、私には希の言うことが痛いほどわかった。
「・・・ふふ、そうね、希の言う通りね。
じゃあ私もあっちに行ってくるわね?」
「うん、いってらっしゃい。」
そう見送られながら私は夏樹のもとへ歩みを進めた。
いや~、初めて夏樹君に会ったけど、凄い子やな~。
モッテモッテやん。
三人も虜にするとはな~・・・いや、四人かな?
まあいいわ。
それよりも、夏樹君を観察しないとなっ!
面白そうやしっ!
つづく