高坂穂乃果に弟がいたならば   作:naonakki

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第24話 かよちん

色々あり、明日にこにーのもとに急遽集まり、「にっこにっこに~♪」を練習するという、事態になってしまった。

そして、ことりさんと海未さんも急に参加すると名乗り出てきた。

 

なぜ、わざわざ参加してきたんだ?

もしかして、二人はまじでにこにーを尊敬しているのだろうか?

いや、まさかなw

 

「ちょっと、夏樹あの二人どうしたのよ?」

 

まっきーも二人の行動が不思議に映ったのか、小声で俺にそう聞いてくる。

 

「さあ、あの二人もにこにーのこと好きなんじゃないの?」

 

俺が適当に同じく小声で答えると

 

「ちょっとっ!そんなの困るわよ!

何とかしなさいよっ!」

 

しかし、そんな俺の冗談にまっきーご乱心である。

耳元でいきなり大きな声を出さないでほしいものだ。

 

「馬鹿だなまっきー、あの二人を俺にどうにかできる訳ないだろう?」

 

「ったく、使えないわね。」

 

自分の髪の毛をくるくるしながら呆れたようにそう馬鹿にしてくる。

・・・まっきーのくせに調子に乗りやがって。

 

「うるせぇっ!

そもそもまっきーが、こんな食事会開くから、どんどん面倒なことが起こるんだ!!」

 

そうだ、こんな食事会を開くから悪いのだ。

確かに美味しくて、口がとろけそうで最高の食事で毎日食べたいとも思うが、

こんなことが起こるなら来なかった、絶対だ。

 

「はあぁぁ!?

片手に料理を持ちながら、何言ってるよの!

思い切り楽しんでるじゃない!」

 

当たり前だ、せめて食事をしなければ、ストレスで死んでしまう。

・・・うおっ、この魚うめえ!

 

「なに目の前でおいしそうに食べてるのよ!

そんなこと言うなら、その料理返してよ!

残りは私が食べるわ!」

 

「あぁっ!?

酷いっ、まっきー酷すぎる!

それだけが楽しみで今日来たのに!」

 

食事がとられたら、ここに来た意味が完全になくなる。

俺が、何とか食事を取り返そうと半泣きでまっきーに縋りつくと、

 

「・・・そんなに気に入ったなら、今度から家に来たとき何か美味しいものを用意してあげましょうか?」

 

まっきーは俺の必死な様子を見て、少し考えてそんなことを提案してくれた。

 

「え、まじで?」

 

まっきー、あなたが神か!?

 

「まあ、毎回ここまで豪華にってわけにはいかないけどね。」

 

・・・あれ何だろう、急にまっきーが神々しく見えてきた。

 

「まっきー、まじ愛してるっ!!」

 

俺は、感動のあまりまっきーに思い切り抱き着く。

周りの目があることなど、頭の中から抜け落ちていた。

 

「ちょ、ちょっと// 何してるのよ!?」

 

まっきーも急なことで、びっくりしているのかあたふたしている。

いやぁ~まっきーまじ最高、頭すりすりしてやれ。

やっぱここ来て正解だったな、最高だぜ!

 

「ねえ二人とも、ナニシテルノ?」

 

そんな状態だったからだろう、後ろから近づく不穏なオーラをまとわせる存在に気付かなかったのは。

 

「「??」」

 

俺とまっきーは、声がしたほうに同時に向く。

 

「ドウシテフタリハ、ダキアッテルノ?」

 

目の光を完全に失っていることりさんと海未さんがそこにいた。

 

・・・え、怖っ!?

なに、今から殺されるの??

 

二人から放たれる異常な雰囲気につい、まっきーを抱きしめている腕に力を込めてしまう。

同じく恐怖を感じているのだろう、まっきーの方からも俺の腰に手を回してきて力強く抱き返してきた。

その手は震えていた、無論恐怖でだろう。

 

「あ、あの何か御用で?」

 

俺が何とか絞り出すようにそう二人に声をかける。

 

「トリアエズハナレタラ?」

 

ことりさんが、聞いたこともないくらい低い声でそう言ってくる。

 

「「はい!」」

 

ことりさんがそのセリフを聞くや否や、音速で俺たちは離れる。

やばいやばいやばい、怖い怖い!

 

しかし、俺たちが離れたことをきっかけに、二人の目に少しだけ光が戻った。

・・・よくわからんが助かった?

ていうか何で怒ってるんだ??

 

俺たちが、二人を前に気を付けの姿勢で立っていると、今度は海未さんが口を開き

 

「では、あっちの部屋でじっくり話し合いましょうか?」

 

と、満面の笑みでそう提案してくる、ちなみに目はまったく笑っていない。

 

・・・え、何を話し合うの?

オレ、コワイ。

 

「ちょ、まっきー助けてくれよ。」

 

俺が、小声でまっきーに必死に助けを求める。

 

「冗談じゃないわよ、あんたで何とかしなさいよ。」

 

「何言ってるんだよ、俺たち一蓮托生じゃねえか。」

 

「ふん、知らないわね。」

 

まっきーは、まったく助けてくれる気はないとの姿勢を崩さないようだ。

 

くそ、なんて薄情な・・・、こんな人間には絶対ならないぜ。

 

「何を勘違いしているのかわかりませんが、話があるのは真姫、あなたですよ?」

 

俺たちの会話は丸聞こえだったのか、海未さんからそんな指摘が入る、無論目は笑っていない。

そして、これを聞いたまっきーは、

 

「ヴェェェ!?」

 

絶望していた、無理もない。

 

「まっきーご指名だぜ?行ってきな、一人で。」

 

なんだよ、最初からまっきーが目的だったのか、びびって損したぜw

 

「ちょ、ちょっと夏樹本当に助けて!?」

 

「お、このデザートうめえww」

 

「夏樹いいいいっ!?」

 

いやぁ、人の不幸をシロップにしたデザートは最高だぜ・・・。

 

俺は、二人に連行される絶望したまっきーを余裕の表情で眺めながら食事を続けることにした。

これが勝ち組と負け組の差だろう。

何に勝ったか知らんが。

 

その後、なぜか絵里さんも明日の「にっこにっこに~♪」練習に参加すると言い出したり、ことりさんと海未さんとの話し合いから帰ってきたまっきーが、ずっと部屋の隅で体育座りして、うなだれていたなどはあったが、食事会は無事お開きとなった。

 

「じゃあ、夏樹私たちは、このまま海未ちゃんの家に行くからね!」

 

「へいへい。」

 

姉ちゃんと海未さん、ことりさんはこのまま海未さんの家でお泊り会をするらしい。

 

そうなると、帰りは一人かな。

少し暗くなってきていることもあり、一人で帰るのは、少し物寂しい気もするが仕方がない。

 

「あれ、夏樹君とかよちん、帰る方向そっちなんだね、じゃあね~二人とも!」

 

凛さんが、元気よくそう挨拶して他の人たちと一緒に帰っていった。

 

・・・最後まで元気な人だな、って、今なんて言った!?

かよちん・・・??

 

俺が、ゆっくり横を見ると、

 

「あ、あの・・・帰り、一緒だね。」

 

そこには、気まずそうにもじもじしているかよちんさんがいた。

 

OH~。

 

まじか・・・。

 

しかも二人きりって。

 

「・・・あの、帰ります?」

 

「・・・う、うん。」

 

相変わらず、かよちんさんは俺と目を合わせてくれず、よそよそしい態度だ。

 

それから、俺たちは帰路についるわけだが・・・

 

き、気まずい!!

 

まず、会話がない。

頑張って話しかけても、「う、うん」「そ、そうだね。」くらいの返事しか返ってこず、会話のキャッチボールが成立しないのだ。

その結果、沈黙が生まれるわけで。

やっぱり、あの時のことを気にしているのだろうか。

 

「あの、かよちんさん。

この間の時は、すいませんでした。」

 

もう、素直に謝ることにした。

このまま有耶無耶にしてもよくないだろうと判断したためだ。

 

「え?な、なにが?」

 

しかし、かよちんさんは俺の謝罪に対してきょとんとしている。

何に対して謝られているのか理解できないようだ。

 

「いや、前に町中で急に変な感じで声をかけちゃったことですよ。」

 

「え? あ、その時のことか。

でも、どうして謝る必要があるの?」

 

・・・え?

変態野郎だから謝っているんですが・・・。

 

「私は、夏樹君を見てかっこいいと思ったよ?」

 

・・・かっこいい??

 

予想外の回答に思わず俺はこの日初めてかよちんさんの顔をまっすぐ、しっかり見た。

 

かよちんさんは、変わらず、恥ずかしそうに少しおどおどしていたが、うっすら優しい微笑みを浮かべこちらを見つめていた。

 

「可愛い・・・。」

 

「えぇっ!?

きゅ、急にどうしたの??」

 

原理は分からないが、顔を一瞬で真っ赤にしたかよちんさんが、あわわとびっくり仰天し、手足をばたばたしていた。

 

・・・思わず声に出ちゃったぜ♪

 

つづく

 




第24話読んで頂きありがとうございます!

食事会編では、まっきーとの絡みを意識しました。
自分で言うのもなんですが、このまっきー大好きです(笑)

さてこの作品ですが、話数も重なってきて少々複雑になってきています。
ここからは慎重に一話一話をじっくり考えていき、投稿していこうと思いますので
少し投稿ペースが落ちるかもしれません、申し訳ありあません・・・。

では、引き続き作品を楽しんでいただければ嬉しいです!
もしよければ感想やコメントもお願いします!

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