高坂穂乃果に弟がいたならば   作:naonakki

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第27話 お泊り会2

「ふむ、では勝負の内容はどうしましょうか?」

 

「ババ抜きにしようよ海未ちゃん。」

 

「望むところです!」

 

「ちょっと待とうか二人とも。」

 

放っておいたらどこまでも加速していきそうだったので、ストップをかける。

ていうか、ババ抜きを勝負内容にするなんて、ことりさん勝つ気満々じゃねえか・・・。

海未さん全部顔に出るから、絶対勝つんだよな。

 

「邪魔しないでください、これは私達二人の問題なんです。」

 

「そうだよ、夏樹君はおとなしくしておいて!」

 

「いやいや、思い切り関係あるだろ!?

なんだよ、一緒に寝るって!?

一人で寝るわっ!」

 

「はい、ことりの分の手札です。」

 

「ありがとう、海未ちゃん。」

 

・・・聞いてねえし。

 

俺の抗議も虚しく、二人は既にカードを配り終えていたようで、ゲームを開始していた。

こうなってしまったら、何を言っても無駄だろう。

しょうがないので、とりあえず二人のババ抜きを観戦することにした、まあ勝負の行方は分かっているが。

 

~3分後~

「やった~♪私の勝ちだ!」

 

「くっ、どうして・・・。」

 

予想通り、ことりさんの勝ちで勝負は決着した。

海未さんは、膝から崩れ落ちて悔しそうにしていた・・・。

そろそろ、顔に思い切り出ていることを教えてあげた方がいいんじゃないだろうか。

 

「じゃあ、その、夏樹君、一緒に寝ようか//」

 

トランプを片付ける海未さんをバックに、ことりさんは、顔をほんのり赤らめて、恥ずかし気にそんなことを言ってくる。

 

「いや、寝ませんよ?」

 

「どうしてっ!?」

 

ことりさんは、まさに驚愕といった風に驚いている、まじかこの人。

ていうか、なんで俺と寝たがるのか・・・。

海未さんは、俺のこと好き好き言ってるから分からんでもない。

しかしことりさんは姉ちゃんが好きなのだから、姉ちゃんと寝たいはずなのでは・・・。

 

「とにかく、ことりさんとは寝ません。

俺は一人で寝ます。」

 

そう言って俺は、部屋を出ようとする。

さっさと、トイレに行って寝よう、明日も多分大変だろうし・・・。

 

「・・・ふーん、そんなこと言うんだ。」

 

ことりさんは、不満そうにつぶやいているが、知ったことではない。

そう高を括っていたのが間違えだったらしい。

 

ドンッ

 

背中に衝撃を受け、一瞬何が起きたか理解できなかったが、柔らかい感触とほのかな温かみが背中越しに伝わってくるのがすぐに分かった、これって・・・。

 

「・・・夏樹君が一緒に寝てくれるまで離さないから。」

 

ことりさんが、抱き着いてきてる!?

え、え、えええっ!?

何してるんだ、ことりさんはっ!?

あ、ああ、何か色々やわらけえ・・・。

 

「・・・あの、ことりさん離してください。色々やばいです。」

 

「一緒に寝てくれるならいいよ。」

 

「・・・それはちょっと。」

 

「じゃあ離さない。」

 

なぜここまで強情なんだ!?

ていうか、ことりさんが耳元で喋るもんだから、耳に吐息が当たって、もう、あれ、よろしくない。

こういうことを一番注意してくれそうな海未さんは、まだババ抜きに負けたことにショックを受けているのか、トランプでピラミッドを作ってるし!

 

「なんでもするので、一緒に寝るのだけは勘弁してください。」

 

「・・・言ったね?

じゃあそれでもいいよ、明日早速いうことを聞いてもらおうかな?」

 

「・・・はい。」

 

何を命じられるのか考えるだけでも嫌だが、一緒に寝るよりはましだろう。

ことりさんから、解放された俺はトイレをに行き、その日は寝た。

ことりさんと海未さんもその後は特に騒ぐこともなく、その日はおとなしく寝てくれた。

 

~1時間後~

 

・・・寝れねえ。

何だろうか、女子三人と一緒の部屋で寝てるというのは、変に緊張するもんだ、全員知った仲のはずなんだが・・・。

ちょっと、外に行って空気にでもあたるか。

 

というわけで海未さんの家の庭に出て、ぼうっとしていた。

 

・・・よく考えたらこのまま帰ったらよくね?

ナイスアイディアだじゃね?

よし、帰ろう、今すぐに。

 

「夏樹、ここで何をしているのですか?」

 

「うえぇえ、う、海未さん!?

べ、別に帰ろうとなんかしてませんよ??」

 

なぜ、ここに海未さんが!?

帰ろうとしたのが、ばれたか?

いや大丈夫、たぶん・・・。

 

「なるほど、帰ろうとしていたんですね?」

 

OH MY・・・。

やべえ、何されるか分からないぞ・・・。

 

「まあいいでしょう、それより夏樹少し話しませんか?」

 

しかし、予想と違い海未さんは、そう言ってあっさり許してくれて、縁側に腰をおろし、その隣に座るように促してくる。

海未さんと二人きりで話か・・・。

 

「海未さん、どうしてここに?

寝てたんじゃないんですか?」

 

しょうがないので、海未さんの隣に少し距離を取って座り、とりあえず当たり障りのないことを聞いてみる。

 

「物音がしたので、起きてみれば夏樹がいなかったので・・・。」

 

「それはすみませんでした。」

 

どうやら、ここに来る際に海未さんを起こしてしまったらしい。

 

「いいえ、いいのです。

それより夏樹、なぜ最近私を避けるのですか?」

 

「・・・いや、まあ。」

 

その話か・・・。

海未さんの言う通り、最近俺は海未さんを避けている。

というのも少し前から海未さんから謎に猛アタックを受けているからだ。

その度に、別に好きな人がいるって言っているんだがな・・・。

 

「・・・あまり避けられると私も寂しいのですよ?」

 

だったらアタックするのをやめてもらえないだろうか。

後、徐々に近づいて来るのも是非やめていただきたい。

でも、この際だから色々聞いておくのもありかもしれない。

 

「海未さんは、ちょっと前から俺のことを好きって言っていますが、好きになった理由って聞いていいですか?」

 

「理由ですか?

・・・ふふ、気になるのですか?」

 

海未さんは、好きになった理由を聞かれて少し嬉しそうに、そして悪戯っぽく笑いながら逆に俺に質問をしてきた。

 

「・・・まあ。」

 

堪えろ、俺・・・。

 

「内緒です♡」

 

「・・・。」

 

うおおおおお、この感情はどこにぶつければいいんだ??

なんか、すごい無駄な時間を過ごしてる気がする。

でも癪だが、なぜこんなに好意を向けられているか気になるんだよな・・・。

 

「夏樹は、私のことが嫌いなのですか?」

 

こっちが、悶々としているといつの間にか密着するほど近づいていた海未さんにそんなことを聞いてきた。

 

「・・・嫌いではないですけど。後、海未さん近いです。」

 

「では、好きか嫌いでいえばどっちなんですか?」

 

俺の言葉に構わず、ぐいぐいくる海未さん、まっきーとことりさんもそうだが、最近の女性は男性にこんなに密着するもんなのだろうか?

・・・だとしたら素晴らし、ごほん、ふしだらな時代になったもんだな、まったく。

ていうか、また困る質問を・・・。

 

「いや、その二択はちょっと・・・。」

 

「どっちなんですか??」

 

「そりゃあ、どっちかと聞かれれば・・・、

好き、ですかね。好き寄りってだけですからね!!」

 

なんだこれ、めっちゃ恥ずかしいんだけど??

変なツンデレみたいになったし!

 

「そうですか・・・そう言われると、何だか少し照れ臭いですね//」

 

いやいや海未さん、何顔赤くしちゃってるんですか、好き寄りって言っただけだからね?

 

「海未さん、何度も言っていますが、俺には別に好きな人がいるので。」

 

俺がもう何度目かわからないセリフを言うと、

 

「・・・仮に、夏樹が本当に私以外の人が好きだとしても、私が諦める理由にはなりませんね。」

 

と、真面目な、凛とした表情でそうまっすぐ目を見て言われてしまった。

 

「・・・そうですか。」

 

そう言われてしまうともう何も言えない、何が海未さんをこうしたんだろうか・・・。

 

「夏樹、何度も言っていますが、私は本当に夏樹のことが好きです、いえ大好きです!

必ず、夏樹を私に振り向かせて見せますからね?」

 

海未さんは、俺の目をじっと見つめながら、ゆっくりと、まるで俺の心にそのセリフを刻み込むようにそんなことを言ってきた。

 

「っ!?」

 

思わずドキッとしてしまった。

海未さんの、ぱっちりした目、サラサラな髪、小さな顔、どれも見慣れているはずなのにやたら海未さんが綺麗に見えてしまう。

亜里沙さんと出会ってなかったら、本当に好きになったかもしれないな・・・。

ぶっちゃけ、すげえ嬉しい。

今まで告白とかされたことないししょうがないよな?

 

「さあ、今日はもう寝ましょうか。」

 

俺が、内心ドキドキしていると、

海未さんは立ち上がりながらそう言ってくる。

 

「そうですね。」

 

・・・寝られるだろうか、あの部屋で。

しかも、外の空気に当たって気持ちを落ち着けるどころか再加熱されてしまったしな。

まあ、もう夜もかなり遅いし、眠気も多少はあるから、いけるだろう、きっと。

 

「ふふ、私と一緒に寝ますか?」

 

「オコトワリマシマス!」

 

その後、部屋に戻った俺はぐっすり眠れた、なんてことはなく、寝ぼけたことりさんに抱き着かれてしまい、緊張でほとんど眠ることができず夜が明けていったのだった・・・。

 

つづく

 


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