高坂穂乃果に弟がいたならば   作:naonakki

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どうも、久しぶりの投稿になりました。

最近寒くなってきましたが、皆さん健康には気を付けてくださいませ。
ちなみに作者は健康ですが足が肉離れを起こし、松葉杖状態です・・・、本当につらい。

はい、そんなことはどうでもいいですね!

というわけで、久しぶりの投稿で前話を忘れかけているかもしれませんが、第37話です、どうぞっ!!


第37話 準備は万端

「で、どうすれば亜里沙さんに好印象を与えられると思いますか?」

 

「「「・・・う~ん。」」」

 

「役立たずすぎるっ!?」

 

俺の満を持した質問に対し、三人は同じ動きで頭を抱えてしまった。

希さんはともかく、花陽さんに凛さんまでも・・・。

このポンコツ三人衆どもめ、俺から亜里沙さんを好きになった経緯を聞き出すだけ聞き出してておいてぇ・・・。

俺がジト目で三人を見つめると、全員気まずそうに目を逸らしてきたぞ。

 

「う~ん、そう言われても凛そういうのよくわからないんだよね・・・。」

 

「うん・・・私も申し訳ないけれど、恋愛経験とかあまりなくて。 り、凛ちゃん以外//」

 

「か、かよちん//」

 

「いちゃいちゃするのは後にしてください・・・。 それにしても希さんはともかく、凛さんに花陽さんまで何のアドバイスももらえないなんて。」

 

急にお花畑な雰囲気を漂わせる二人に呆れながらそんなことを呟いていると足に衝撃が

 

「あはは~、夏樹君~? あんまり調子に乗ってたらお姉さん怒るよ~?」」

 

「いたたっ!? ちょっ、足を踏まないでっ! すみません、すみません!!」

 

笑顔で、しかしその額に血筋を浮かばせながら、力いっぱい足をぐりぐり踏み付けてくる希さんに、必死の謝罪を繰り返す。

やっぱり希さんを敵に回してもいいことがないな・・・。

 

それにしても、恋人関係の凛さんと花陽さんに聞けば何かいいアドバイスがもらえると思ったんだが、当てがはずれたな・・・。

まあ、よく考えたらこの二人は最初から相思相愛だったから、恋の駆け引きみたいなことはほとんどなかったからな・・・。

とはいっても、俺の周りに他に恋愛に強そうな人はいないしな。

どうしたもんか・・・。

 

「・・・まあでも、夏樹君なら普段のまま接してたら、亜里沙ちゃんも夏樹君の良さには気付いてくれると思うよ?」

 

ここで、悩む俺に声をかけたのは、意外にも希さんだった。

相変わらず足は踏まれ続けているので、まだ怒っているのだろうが、その顔は真剣だった。

・・・でも痛いから足を踏むのは、やめて頂きたい。

 

「うん、確かに! 亜里沙ちゃんのためにそこまで勉強を頑張ったていう気持ちはきっと亜里沙ちゃんに伝わるよっ!」

 

「そうにゃそうにゃ! きっと大丈夫にゃ!」

 

「・・・まじ?」

 

「うん、まじやで。 だから夏樹君は特別なことをする必要はないんやで!」

 

「うんうん、何もしなくても夏樹君の想いは亜里沙ちゃんに伝わるよ、きっと!」

 

「にゃーっ!」

 

「そ、そうか・・・、何だかいけそうな気がしてきた。」

 

何だか上手く騙されいてる気もするし、凛さんはにゃーにゃーと騒いでいるだけだが、こう言ってくれると本当にいけそうな気がしてきた。

そうだよ、俺はこの半年間亜里沙さんのために頑張ってきたんだ。

それなのに、うまくいかないはずがないじゃないか!

 

「せやで、夏樹君やったらきっといけるで~。まあ最悪振られた時は、代わりにうちが付き合ってあげてもい・い・で??」

 

「ははは、希さんが?? 冗談はそのエセ関西弁だけにしてくださいよw」

 

「・・・。」

 

「痛い痛いっ!? 両足で踏んでくるのは反則ですよっ、希さん!?」

 

だめだ、さっきの流れのせいで希さんを馬鹿にする発言が止まらない・・・。

希さんめっちゃ睨んでるし・・・こえぇ。

 

「でもでも、やっぱり告白するには、デートをしていい雰囲気にしてからしたほうがいいよね!」

 

俺が足を踏まれいてる件については一切触れず、花陽さんがそんなことを言ってきた。

これに希さんと凛さんも食いついてきて、

 

「確かにそうやね! やっぱり雰囲気作りは大切やね!」

 

「確かにそれは言えてるにゃ!」

 

「じゃあじゃあ、まずはショッピングを楽しんで、その後に――」

 

「「うんうん!」」

 

三人は、楽しそうに俺を置き去りにしてデートの内容を勝手に決め始めた。

だが、これは正直ありがたい。

告白の成功率を少しでもあげるために、少しでもいい雰囲気の中で告白をしたい。

そのためには、デートをすることが避けられないが、正直どんなデートをすればいいか見当もつかないのが正直なところだ。

そのため、こうしてデートの内容を決めてくるの願ったりかなったりだ、若干不安だが・・・。

 

それにしてもはやく足を踏むのをやめてくれないだろうか、希さん・・・。

 

~1時間後~

 

「できたで! 夏樹君、完璧なデートプランやっ!!」

 

「うんうん♪ これなら亜里沙ちゃんもきっと楽しんでくれるよ!」

 

「よく分からないけど、かよちんが言うなら間違いないにゃ!」

 

「さ、三人とも、最初役に立たないとか言ってすみませんでした。本当に助かります・・・。」

 

凛さんはまじで最後まで役に立ってなかった気がするが、まあいい。

俺は三人が、いや二人か?が作ってくれたデートプランが書かれたメモに目を落としながら感謝の言葉を述べる。

 

「いいんやで、これで青春をつかみとってや?」

 

「そうだね♪ 夏樹君は私達のキューピットだもんね! 次は夏樹君が幸せにならないとね!」

 

「そうと決まれば早速明日決行するにゃ、デートの申し込みをするにゃ!」

 

今までにゃーしか言ってなかった凛さんが突然、そんなアグレッシブなことを言ってきて、電話をかけ始めたぞ!?

まさか亜里沙さんに電話をかけてるのか!?

 

「ちょっと、凛さん!? 明日とか急すぎるよっ! 俺にも心の準備があるわけで!」

 

「はい、亜里沙ちゃんに繋がったよ?」

 

が、俺の抗議も虚しく、凛さんは真面目な顔でそう言いながら電話を差し出してきた。

・・・嘘だろ?

 

俺が急な展開について行けずに固まってると、

 

「まあまあ夏樹君、善は急げって言うしいいんじゃない?」

 

「た、確かに・・・、亜里沙ちゃん可愛いから、いっぱい告白とかされるだろうし、遅れればそれだけ、他の人と付き合う可能性が増えるかも・・・。」

 

亜里沙さんが・・・他の人と・・・??

俺は、あの天使、いや女神が他の男と恋人になっている光景を想像してしまう。

 

「えっ!? ちょ、なんで泣いてるの、夏樹君!?」

 

「まじか夏樹君・・・。」

 

あれ? おかしいな、目から汗がとまらないぞ・・・。

ていうか亜里沙さんが他の人と付き合うとか、もはやこの世は地獄じゃないか・・・。

確実に精神が崩壊する自信がある・・・。

そんなことになってたまるかっ!

そうだ、そのためには早く亜里沙さんに告白して想いを伝えなければいけないじゃないか!!

 

「ありがとう、凛さん、俺目が覚めたよっ!!」

 

「そうにゃ! その勢いが大切にゃ!! 夏樹君!」

 

俺は、自分でもきっと覚悟を決めたいい顔になっているという自信を持ちながら凛さんからスマホを受け取る。

 

「涙と鼻水出してるくせに表情は凛としてるとか軽くホラーやな・・・。」

 

「の、希ちゃん、本当のことでもそんなこと言っちゃだめだよ・・・。」

 

何だか外野がうるさかったが無視だ、亜里沙さん、君をもうすぐ俺の恋人にして決めるぜ! このデートはそのためのチェックメイトだ!

 

自分でも気持ち悪い、訳の分からないことを心の中で叫びながら、スマホを耳にあて

 

「亜里沙さん! 明日俺とデートをしましょう!!」

 

言ってやった・・・。

三人の力を借りなければこんなに力強く、亜里沙さんをデートには誘えなかっただろう・・・。

ありがとう、三人とも。

三人も、「おおっ」と、男らしい俺の言動に感嘆の声をあげている。

ふっ、今の俺は輝いているぜ!

 

しかし、スマホからは何の反応も帰ってこない。

・・・まさか、この男らしいデートの誘いに亜里沙さんまで戸惑っているのだろうか?

ふっ、無理もない、か。

今の俺はイケメンすぎるからな。

 

ところが、待てど暮らせどスマホからは、うんともすんとも反応が返ってこない。

・・・いくら何でも遅くないだろうか?

流石におかしいと感じた俺は、スマホを耳から離し、画面を見てみると

 

「・・・とっくに通話が終了している・・・だと・・・??」

 

画面に表示されていたのは、通話が終了しました、という無機質な文だった。

 

・・・そういえば、凛さんが電話をかけてから俺が受け取るまで、だいぶ時間がたっていたような。

その間にしびれを切らし、亜里沙さんは通話を切ってしまったのだろう。

 

あれだけ、流れがよかったのに。

 

あれだけ勢いがあったのに。

 

あれだけ、なんか上手く行きそうだったのに。

 

ここで、ふと三人を見てみると

 

「ふw いい顔して主人公みたいなオーラ出しながらデート誘ったのに通話切れてるとかw」

 

「だ、だめだよ希ちゃんw 夏樹君は真剣なだから、ふw」

 

「wwwww」

 

三人とも笑ってた、しかも凄く馬鹿にしたように。

嘘だろ・・・、さっきまで全員一致してる感じで雰囲気も良かったのに・・・。

凛さんに至っては爆笑してるし。

急に凄い孤独を感じるんだが、心細いっ!

 

「ま、まあそういうところも含めて夏樹君の魅力やと思うでw」

 

「ふふw 凄い自分に酔ってる感じがしてたもんねw」

 

「wwwww」

 

「う、うるさいっ!! 三人とも黙ってろ//」

 

笑いを堪えている三人に(凛さんは思う存分笑ってるが)そう怒鳴り、再度亜里沙さんにデートの誘いの電話をかけた。

 

幸いにも明日亜里沙さんは、予定がなかったようで快くデートの誘いを受けてくれた。

不幸中の幸いで、この三人の前で恥をかいたおかげ?で全く緊張せずに亜里沙さんをデートに誘えたのはよかった・・・と、思おう。

 

失ったものはかなりあったが、これで明日亜里沙さんに告白することが決まった。

 

いよいよだ・・・。

 

そうと決まれば早速今日は帰って明日の準備をしなければ・・・。

必ず成功させてやるぜ!!

 

 

 

~南家~  

 

ことりが部屋に閉じこもってからもう3日か・・・、やっぱり夏樹君に振られたことが一番の理由よね。

 

ことりが、夏樹君とのデートから帰ってきてからずっと部屋に閉じこもっていた。

最初は風邪を引いていたので仕方がなかったが、風邪は昨日には完全に治っていた。

それでも部屋から出てこないということは、やはりそういうことなのだろう。

 

・・・まあ、初恋だもんね。無理もない、か。

こういう時は、時間が解決してくれるのを待つのが一番いいのよね、今はそっとしておいてあげましょう。

そんなことを考えながら、ビール缶に口を付けた時だった。

 

「・・・お母さん。」

 

「ぶっ!?」

 

いきなり背後から、部屋に閉じこもっていると思っていた娘に声を掛けられ、思わずむせてしまった。

 

「ごほっ、ごほっ!? は、鼻にビールが入ったわ・・・、い、痛い。」

 

変なところにビール入ったせいで苦しんでいたが、そんなことはどうでもいいとばかりに、ことりは淡々とこんなことを言ってきた。

 

「お母さん・・・、一学期に言ってくれたあの件って今からでも有効かな?」

 

つづく

 




はい、というわけで第37話でした!

次回はようやく、ようやく亜里沙ちゃんとのデート、そして・・・
というところまで来ました!

まさかここまで来るのに、37話もかかるとは思わなかった・・・。

というわけで、早く更新できるよう、がんばりますので、また次話でお会いしましょう!!

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