高坂穂乃果に弟がいたならば   作:naonakki

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第38話 運命のデート

「・・・うぅん。もう朝か。」

 

今日は土曜日。

時計を見ると短針は6の数字を差していた。

私はお姉ちゃんや夏樹と違い、休日でも平日と変わらない時間に起きることを習慣としている。

というのも休日に朝早く起きるのってなんだか得した気分になるからと考えているからだ。

だって、今から夜まで果てしない時間を自分の好きなように行動できるんだよ?

お姉ちゃんや夏樹みたいに昼まで寝るなんて論外だ、せっかくの休日の半分を寝て過ごすなんてもったいないことこの上ない。

それに、この休日の朝陽は自分の輝かしい休日を迎えてくれるようで好きだ。

まあ、何が言いたいかと言うと・・・

 

 

 

休日最高だよね~!

 

 

 

私は顔を洗うべく、鼻歌交じりに洗面所へと向かう。

 

ふふ~ん、今日は何をしようかな~?

そんなことを考えながら、私は洗面所の扉を開いた。

 

そこで私は見てしまった。

 

 

 

鏡に向かってポージングを行う夏樹を

 

 

 

しかも全裸で

 

 

 

「ぎゃあああああ!!!???」

 

最悪の朝だった

 

―――――――――――――――

 

「ごめんって雪穂。まさかあんな時間に起きてくるなんて思わなかったから。」

 

「・・・あー最悪。気持ち悪いもの見たから私の視力0.5は落ちた・・・。」

 

「・・・いや、言いすぎだろ。ていうか女子が男子に気持ち悪いって言うのは傷づくからやめろ。」

 

「・・・ていうか何してたの? 勉強のしすぎで頭おかしくなったの?」

 

「そんなわけないだろう? ふっ、今日は俺の人生一番の大勝負の日なんだよ。その為に精神を集中していたんだよ。」

 

そう、今日は亜里沙さんとのデートの日。

この日のために俺は死ぬほど努力を重ねてきた。

そんな重大な日に生半可な精神状態で望むわけにはいかない。

そこでどうすれば万全の心構えができるか考えた時にたどり着いたのが、ポージングだったのだ。

・・・おかげで今ならなんだってできる自信がある。

ポージング・・・素晴らしいぜ、毎日しようかな?

 

「馬鹿なの? 筋肉もないくせに。」

 

ところが雪穂にはいまいち伝わっていないようで、この様である。

残念だ、雪穂も一度やれば分かるだろうに・・・。

まあ、確かに筋肉はあんまりないけど・・・。

筋トレしようかな?

 

―――――――――――――

 

朝9時、場所は駅前だ。

そう、デートの待ち合わせ場所である。

 

朝早く起きたおかげで準備は万端である。

髪はしっかりセットした。

服装だって、前にことりさんがチョイスしてくれた流行のイケテル服装を着ている。

そんなこれ以上ないくらい完璧な俺だったが・・・

 

「で、もう一度聞くけど待ち合わせ時間は、いつって?」

 

「だから11時半だって。」

 

「まだ9時じゃないのよ!!」

 

「まっきーが、絶対来たいって言ったんだろ!」

 

「待ち合わせ時間を言いなさいよ! 9時って言われたから来たのに!」

 

「うるさいな~、だから俺は9時に来たじゃないか。 それに心の準備があるから早く来るのは当たり前だろ?」

 

「限度があるでしょ、限度がっ!?」

 

亜里沙さんとの待ち合わせ場所にて、俺とまっきーは言い争いをしていた。

 

昨日、亜里沙さんとデートをするとまっきーに伝えたところ、絶対に邪魔をしないから、どうしてもついて来たいと言われたので呼んだのだが・・・。

どうやら集合時間が気に食わなかったようだ。

 

「というか本当に風邪は完治したんだろうな?」

 

「完治したわよっ! あんまり疑うから、わざわざビデオカメラにして体温計で熱を測って見せたでしょう?」

 

「・・・まあそうだけど。」

 

「・・・はぁ、あと2時間もどうしようかしら。」

 

「まあ、ちょうどよかった。流石の俺もちょっと早く来すぎて暇だなーって反省してたんだ。いい話し相手がいて助かったw」

 

「・・・ぶっ飛ばすわよ?」

 

しかし、そう言うまっきーはどことなく嬉しそうにも見えた。

なんやかんや風邪で家に籠りきりだったので、面と向かって人と話せるのが嬉しいのかもしれない。

 

 

 

~2時間後~

 

「そろそろ、私は隠れるとしようかしら。じゃあ・・・頑張りなさいよ。今まで努力して来たんだからね?」

 

まっきーは、腕時計を見ながら俺にそう言葉を投げかけてくれる。

その言葉には冗談は含まれておらず、本当に応援をしてくれているのだということが伝わってくる。

 

「・・・ああ、頑張るよ。」

 

「・・・うん、それじゃあ。」

 

そう言って、まっきーは人込みに消えていった。

まっきーは、もう話すことができないからなのか悲しそうな顔をしながら去っていった。

・・・今度、いっぱい電話でもしてやるか。

 

でも、まっきーのおかげでだいぶ緊張もほぐれたな・・・。

感謝するよ、まっきー。

 

 

 

それから15分後

 

俺の待ちに待った亜里沙さんが待ち合わせ場所にやってきた。

しっかり、集合時間の10分前だ。

 

「お~い、夏樹く~ん!」

 

「あ、亜里沙さん!!」

 

俺の姿を確認し、小走りで寄ってきた亜里沙さんに手をぶんぶん振って迎える。

 

「お待たせ! 待たせちゃった?」

 

「いや~全然? 俺も今来たところ!」

 

「ハラショー良かった!」

 

いやぁ~それにしても、亜里沙さんはいつにも増して可愛いな・・・。

今からこんな可愛い子とデートできるというだけで楽しくなってくるね。

 

「それで、今日はどこに行くの?」

 

「ああ、ちょっと待ってね。」

 

ここで、俺は希さんと凛さんと花陽さんが作ってくれたデートプランが記されたメモを開く。

・・・さてさて、最初の目的地は、と。

 

 

 

・・・ん?

 

 

 

・・・GOHANYA? 

・・・前に花陽さんと行った?

デートに・・・GOHANYA?

 

・・・・・・。

 

ていうか待て、嫌な予感がするぞ!?

俺は急いで全ての項目に目を通す。

GOHANYAの次が焼き肉、次にラーメン、そしてその辺を散歩して雰囲気良くなったところで告白・・・だと?

 

 

 

・・・あの、くそ3人衆めぇ。

食べてばっかりじゃないか!? ていうか三人の好物の店に行ってるだけじゃないか!

こんなプランじゃどう考えても、お腹パンパンで気持ち悪くなるだけじゃないか!?

いい雰囲気になるわけがない!?

 

・・・どうしよう。

 

俺の中で上手く行きそうだったイメージが音もなく崩れていくのを感じる。

あの三人に頼った俺が馬鹿だった・・・。

というか事前にメモの内容に目を通すべきだった。

しかし時すでに遅し。

自力でこの状況を何とかしなければいけない。

 

・・・無理だ。

 

今までデートなんてしたこと・・・はあるな・・・しかも割と最近。

とにかく、亜里沙さんとどんなところに行けばいいのか検討もつかない!?

 

「・・・あの~、どうしたの夏樹君?」

 

俺が、パニックに陥り混乱していると、亜里沙さんが不思議そうに声をかけてきた。

 

「・・・あ~、その、ね。 あ、亜里沙さんは休日とか普段どいうところに行くの? お昼とか。」

 

今から、ちょうどお昼時なので、そう質問を投げると

 

「え、私? う~ん、お姉ちゃんと一緒に行くことが多いけど、普通に家で食べることが多いかな?」

 

「そ、そっか・・・。」

 

・・・だめか。

確かに、絵里さんよく家でご飯を作るって言ってたっけ・・・。

・・・・・・。

・・・こうなったら俺の好物のところに行こうかな。

ええい! なるようになれだっ!

 

「亜里沙さん! 今から寿司屋に行こう!」

 

「すしや?」

 

「そう、日本の代表料理、寿司!」

 

「ハラショー、知ってる! この前テレビで見たよ! うんうん、行ってみたい!」

 

・・・お?

意外と好感触?

俺の大好物である寿司屋に行こうという提案だったが、うまくいったようだ。

良かった・・・まじで。

 

「それでそれで?? そのお寿司屋さんはどこにあるの??」

 

あぁ、きらきらした顔でそう聞いてくる亜里沙さんを見ていると全てが癒されるなぁ~。

さっきまで希さんら三人にどう復讐してやろうか考えていたが、どうでも良くなってきた。

 

「え~とね、あの辺だね。ここから歩いても10分くらいかな?」

 

俺が指を差しながら、そう言うと

 

「ハラショー、じゃあ早速行こう! もう私お腹ぺっこぺっこ!」

 

そう言って、テンションマックスの亜里沙さんは凄い勢いで走り出してしまった。

 

・・・しまった

亜里沙さんは制御が効かないんだった・・・。

 

「ちょっと!! 亜里沙さん待って! うぇーーいと!!」

 

亜里沙さんを見失わないように全速力で亜里沙さんを追いかける。

・・・なんやかんやあったけど、楽しいデートにしてみせるぜ!

 

 

 

~真姫サイド~

 

はあ・・・楽しそうね夏樹。

あんな顔の夏樹、初めて見たわ・・・。

 

・・・って、ん?

どうして急に走り出して・・・?

って、見失っちゃうじゃない!?

 

私は、二人に見つからないように、そして二人を見失わないように、適度な距離を保ちながら、町中を駆けていくのだった。

 

 

 

~絵里サイド~

 

亜里沙から夏樹と二人でお出かけって聞いたからついてきちゃったけど・・・。

夏樹も亜里沙も楽しそうね・・・。

特に夏樹・・・。

ふふ、あんな浮かれちゃって・・・。

はぁ・・・・・。

 

・・・あら?

亜里沙が急に走り出したわ!?

夏樹も!?

 

しまったわ、今日は尾行用に町中のマダム風に変装したからヒールなのに!?

くっ、走りづらい・・・。

 

私は、カツカツとやかましい音を立てながら二人の後を全力で追いかけるのだった。

 

・・・周りの視線が痛すぎるわ。

 

つづく

 




38話読んで頂いてありがとうございます!

というわけでデート始まりました!
ちょっと予告っぽくなりますが、次回は告白までいこうと思います。

では、また次話でお会いしましょう!
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