※以下はラインのやり取りです。
夏樹 『へい、まっきー。』
真姫 『どうしたの?』
夏樹 『緊急事態』
真姫 『詳しく』
夏樹 『日曜日に海未さんとことりさんとのデートでダブルブッキングになっちゃったorz』
真姫 『wwwww』
夏樹 『助けてまっきー!!』
真姫 『とりあえずうちに集合で』
夏樹 『りょ』
放課後、俺は日曜日どうしようと、途方に暮れていた。
やはり一人で抱えるのはよくないと、数少ない味方のまっきーに相談することにした。
すると、そこは流石まっきー、すぐさま返事をくれた。
家で俺の相談にのってくれるということだろう。
きっと、まっきーならこの状況を打破してくれるだろう。
・・・ちなみにまっきーという呼び方は、
あだ名で呼ばれてみたいと、真姫さんが言うので、試しに呼んでみたら双方気に入ったので、その流れでまっきーと呼ぶようになったのだ、深い理由はない。
なんかよくない?まっきーて?ペンみたいだけど。
というわけで、真姫さんの家にやってきた。
・・・相変わらずでかい家だな、交換してくれねえかな。
叶わぬ願い願いを抱きながらインターホンを押す。
「は~い」
のんびした声で俺を迎えれてくれたのは、まっきーのお母さんだ。
まっきーと同じく綺麗な赤髪であり、とても女子高生の娘がいるとは思えないほど若く綺麗だ。
・・・ことりさんのお母さんにしてもそうだが、なぜ周りの母親は綺麗な方ばかりなのだろうか?
うちの母ちゃんなんか・・・いや、やめておこう、殺されちゃう。
「あらあら、夏樹君、真姫ちゃんのお見舞いに来てくれたの?」
俺が世の中の不平等を呪っていると、まっきーのあ母さんが嬉しそうにそう聞いてくる。
・・・ん?お見舞い?
「来たわね、夏樹・・・。ごほっ、ちなみに私風邪だから。」
「なぜ呼んだ」
まっきーの部屋に来た俺が見たのは、寝間着姿でベッドに横たわるまっきーだった。
・・・どういうことや。
「まあまあ、私が風邪をひいているのなんて些細なことよ?・・・ごほっ。」
「大問題だわっ!もうっ、俺帰るから。ゆっくり寝ないと!」
俺がそう言い、部屋から出ていこうとすると
「ちょっと待ちなさい!せめて日曜の件だけでも詳しく話してちょうだい。」
「・・・なんでそんなに?」
「そんなおもしr、ごほっ、困っている後輩を放っておけないでっしょー?」
・・・今、すごく不自然な咳だったけど、ていうか面白いって言いかけたよね!?
「・・・はぁ、今度ゆっくり話してあげるから今日はゆっくり寝ててよ。」
一応病人なので、できるだけ優しい口調でそう言い、部屋から出ていこうとする、が
「ちょ、ちょっと待って、昨日からずっと部屋にいて、寂しいのよ!だからもうちょっといてよ!」
俺を引き止めようと、寂しそうな表情でそう訴えてくるまっきー。
そう言われた俺は・・・
「ちょっとだけだからなっ!!」
ちょっとだけ、そう、ちょっとだけ、いてやることにした。
「ふむふむ、このツンがだめならデレで行けの戦法は有効みたいね。」
俺が仕方なく部屋にいることにしたのに、まっきーはさっきまでの寂しそうな表情はどこへやら、納得したような表情でそんなことを言っていた。
・・・帰ろうかな。
「ありがとう夏樹、いいデータが取れたわ、これは使えるわ!
で、何しに来たんだっけ?・・・ごほっ」
・・・・・。
俺が無言で帰ろうとすると、
「ちょっと、冗談よ。ダブルブッキングで困っているのでしょ?」
・・・確かに困っている、
くそっ、なぜ周りに頼れる人がこんなのしかいないんだ!
「・・・ちゃんと相談乗ってくれます?」
俺が、疑いの眼差しで真姫さんをジト目で見つめると。
「任せなさい?天才まっきーにかかれば、解決できない問題はないわ!ごほっ!」
・・・不安だ。
しかし頼れる人がまっきーしかいないのも事実。
その後、ことりさんと海未さんとのデートすることになってしまった経緯を話す。
「・・・へぇ~、ことりもとうとう動き出したのね。海未は前からだけど。」
俺が、経緯を話し終えると、真姫さんはそんな感想を呟いた。
「どういうこと?」
何のことか分からなかった俺がそう聞くと
「別になんでもないわ、それよりこの状況の打破を考えないとね。」
はぐらかされてしまった。
最近ことりさんの話題でこういうの多いな・・・。
ことりさんに何かあるのか?
「映画館作戦なんてどうかしら?」
俺が、ことりさんについて考えを巡らせていると、まっきーがそんな提案をしてくる。
「映画館作戦?何それ?」
「映画館に一緒にいくでしょ?そこで映画が開始してすぐにトイレに行くふりをして外に出るのよ。」
・・・ふむ。
「そこに、夏樹に変装した私が入れ替わりで映画館に戻るのよ。」
・・・ほう。
「その間に、もう一人の方とデートをするのよ。」
・・・ふむふむ。
「そして、映画が終わるタイミングで、もう一人の方とも映画館に行くのよ。」
・・・ほうほう。
「そしてもう一度同じことをすればこれだけで4,5時間は稼げるってわけ!」ドヤッ
確かに!
「そして日曜日は練習があるからデートをすると言ってもせいぜい4、5時間くらいしかないはず。つまりこの作戦を実行すれば・・・」
「・・・完璧に二人とデートをできる。」
ゴクリと、思わず唾を飲み込む。
完璧だ・・・。
上手くいかないわけがないっ!
「まっきー、あんた天才では・・・?」
一瞬で、俺が抱える問題を解決してしまったまっきーに敬意と畏怖の念を込めて、見つめながらそうつぶやく。
この人すげー。
「ふふふ、当然でっごほっ!!」
「うわっ、汚なっ!?」
決め台詞の途中で思い切り咳をしてしまったまっきーの唾がかかってきた。
最後まで格好良く決めろよ!
「・・・ごめん、でもこれで解決でしょ?」
「・・・まあ、そうだね。ありがとう、本当に。」
正直さっきまで、来たことを後悔していたが、こんなにあっさり解決するとは思わなかった。
やはり持つべきは、頼れる先輩だな!!
「ところで、夏樹。最近あっちの方の進捗はどうなのよ?」
重荷から解放されたことに感激していると、まっきーがそんなことを聞いてきた。
あっちとは、当然俺の想い人との進捗のことだろう。
「いや、全然・・・。」
そう・・・悲しいかな全くといっていいほど進捗はなかった。
「まっきーはどうなの?進捗は?」
「・・・同じく。」
まっきーもどうやら想い人とは、うまくいってないようだ。
難しいよね、好きな人にアプローチするのって・・・しょうがないしょうがない。
自分と同じ状態のまっきーにどこか安心感をおぼえてると、
「・・・とでも言うと思ったかしら?」
なんてことをニヤリとしながら言ってきやがった。
うそ・・・だろ・・・?
「今度、にこちゃんとデートをする約束をしたわ!」
「なん・・・だと・・・。」
俺が、ライバルに一歩先を行かれていることに絶望していると
「ふふふ、夏樹も頑張ってね??」
と、余裕を感じさせるセリフを投げつけてきやがった。
く・・・悔しいぃぃ!!
俺とまっきーは、お互いの想い人を知っている関係であり、お互いの恋路をサポートしあっているのだ。
だが、サポートすると同時にどっちが先に結ばれるかを競い合うライバルでもあるのだ。
だが、どうやらそのライバルに俺は知らぬ間に差を付けられていたようだ。
「・・・俺も本気を出す時が来たようだな。」
「ふふふ、楽しみにしてるわよ?」
その後、他愛もない会話をして、その日は帰った。
今日は、日曜の件も解決したし、いい刺激ももらえた。
フルボッコにされたりもしたけど、なんやかんやいい日だったな・・・。
よし、明日も頑張るかっ!
次の日俺は風邪を引いた
まっきーは風邪が悪化したらしい
つづく