はぁ、あの女の子可愛かったなぁ。
名前は何というのだろうか?
見た感じ年齢は同じくらいだと思うが、どうなのだろう?
明らかに日本人ではなかったが、どこの人なのだろか?
知りたいことがたくさんある。
まあ、いいか、あの子と出会えただけで、今は充分だ。
そのまま天にでも上る気分で俺はマイホームに帰宅する。
帰宅した直後、
俺は、母親の前で正座させられていた。
天に昇っていた気分が地面にたたきつけられたようだ。
「で、買い物は??」
買い物をするのを忘れて帰ったために母さんがご立腹なのだ。
・・・完全に忘れてた。
「・・・素敵な出会いがあって、忘れてしまいました。」
「は?」
怖い・・・。
母さん完全に怒ってるぅ。
「いえ、母上違うのです。
素敵なね?出会いがね?」
「はやく、買い物行ってきなさい!!」
せっかく俺が素敵な出会いの一部始終を説明してあげようと思ったのに、途中で家を追い出されてしまった。
人の話は最後まで聞くべきだと思う。
というわけで急いでスーパーに向かうが、ちょうどラッシュ時間なのか人が多い。
・・・最悪だ、さっさと買い物済ませて帰ろうと。
と、速足気味でスーパーの入り口に向かうが、なんとその入口の方に、
え?
あの綺麗な金髪、見覚えがある!
さっきの少女の髪のモノだ!
見間違えるはずがない。
入り口付近で人込みができていたため、頭の部分しか見えなかったが、間違いない。
「あ、あのすみません!」
俺は、無我夢中でその少女を呼び止めた。
呼び止めてどうするか、何をしゃべるのか、何も考えていなかった。
考える前に体が動いていた。
しかし、
「はい?」
振り向いたその顔は、俺が求めていたものでは、なかった。
人違いだったのだ。
・・・いや、違う!
・・・似ている。
公園で出会った少女よりも、明らかに年上で、完全に別人ではあったが、まず髪の色、そして目の色、これは完全に同じだ。
それに、なんというのだろうか、オーラとういうか雰囲気とでもいえばいいのか分からないが、それが似ている気がした。
これは、おそらく・・・
「あの、なにか?」
俺が、まじまじと顔を見ていたのを気味悪がったのか、警戒しながらそう言ってくる。
「あ、あの!
いきなり、失礼なんですが、あなたには妹がいませんか?
俺と同じくらいの年だと思うのですが。」
そう妹だ。
そうとしか考えられない。
この女性は、きっとあの子のお姉さんに違いない!
「亜里沙のことかしら・・・?
というより、あなたは誰かしら、知り合いじゃないわよね?」
・・・亜里沙、
そうか、それがあの少女の名前なのか。
俺が、少女の名前を知れたことに感動していると、
「・・・用がないようだし、行くわ。」
俺が返事をしなかったことから無視されたと思ったのだろう、
そう冷たく言い放ち、帰ろうとしてしまう。
「ちょ、ちょっと待ってください!
俺さっき、あなたの妹さんに会ったんです。」
せっかくあの公園で出会った少女、亜里沙さんと関係性を築けるかもしれないのだ。
この機を逃してたまるか!
しかし、俺の言ったことが気になったのか、亜里沙さんのお姉さんは、足を止め、こちらを振り向いた。
「あなたが、亜里沙と?いったい、何が理由で?」
と、相変わらず警戒心MAXで俺にそう尋ねてくる。
それにしても、亜里沙さんは太陽のように温かい心を持っているようなイメージを受けた。しかし、お姉さんの方は、真逆の、まるで氷のように冷たい心を持っているようだ。
言葉の一つ一つにとげが含まれている。
おそらく普段の俺ならとっとと逃げてしまっているだろう。
だが、今は、逃げるわけにはいかない、なにせ俺は、あの子が、亜里沙さんのことが好きなのだ!
「お、俺あることで悩んでいたんですが、亜里沙さんのおかげで元気をもらえたんです!」
「・・・そう、それで?
亜里沙にお礼を言っていたことを伝えればいいのかしら?」
が、目の前の女性は、興味なさそうに俺を冷ややかな目で見ながらそう言ってくる。
・・・っ、やばい、心折れそう。
ていうか本当にあの子の姉なのか?
全然性格が違うじゃないか。
「ち、違います!
いや、確かに感謝はしていますが・・・。
あの、俺、亜里沙さんのことが好きになったんです!」
言ってやった。
なぜ、お姉さんにこんなことを言ってるのか、よくわからないがとにかく言ってやった。
もしかしたら、ずっと興味のなさそうな表情をうかべているお姉さんに一泡ふかせたかったのかもしれない。
そして、その思惑は、うまくいった。
お姉さんは、ぽかんとした表情を浮かべていた。
しかし、それも一瞬、またすぐに冷たい表情に戻ると
「いきなり、なにを言うのかと思えば・・・。
名前も分からない人にそんなことを言われても気味が悪いだけよ?
・・・私は帰るわ。」
と、言って再び帰ろうとしてしまう。
「ちょっと、待ってください!
俺は高坂夏樹といいます!
本気なんです!マジなんです!」
と、必死に呼び止めようとするが、
急に体を大きく動かしたせいか、着替えを怠り、まだ着ていた学校の制服のポケットから何か紙が落ちてお姉さんの方に転がっていった。
ぎゃーーー、あの紙はあかん!
「これは?
・・・246位、ね。
高坂君だっけ?
あなた、随分頭がいいのね?」
今日渡された成績表を見られてしまった。
・・・これは、まずい。
お姉さんの好感度が明らかに下がっているのが分かる。
いや、元から低いけども!
「べ、別に勉強なんてできなくても困らないんだからね?」
慌てすぎて訳の分からないツンデレみたいなことを言ってしまう。
恥ずかしい・・・。
「ふん、そうやって言い訳をして、学業もまともにできない子が亜里沙のことを好きとい言える資格すらないわね。」
と、馬鹿にするようにそう言い放ってきた。
「べ、別に学業なんて関係ないでしょう!」
俺が、そう大きな声で反論するが、
「話にならないわね。
じゃあね?
もう二度と話しかけないで頂戴。」
と、バッサリ切り捨てて去ろうとする。
「じゃ、じゃあ分かったよ!
勉強頑張るよ!」
絶対あきらめるものか!
なおも食い下がる俺に、お姉さんは面倒くさそうにだが、振り返ってくれる。
「・・・はぁ、頑張るって具体的には?」
「え、あの・・・て、テストで学年3番以内に入ってやるよ!
それができたら、亜里沙さんに告白しても問題ないですよね!」
3位、適当に言ったが、それがどれほどの数字なのかは分からないが、険しい道であることには違いない。
だが、やってやる。
亜里沙さんのためなら。
「ふ~ん、まあいいわ。
精々頑張ってね、無駄だとは思うけど。
何よこれ、全教科の平均点が6点って。
サルでももう少し点数がいいんじゃないかしら?」
と、俺にくしゃくしゃになっていた成績表を投げて返してくる。
・・・このっ、いちいち、むかつく人だ。
・・・何も言い返せんが。
「約束だからな・・・、絶対やってやる。」
「あっそう、じゃあ私は帰るから。」
と、俺の言葉なんてまるで響ていないかのか、興味なさげにとっとと帰ってしまった。
く、絶対に学年3番に入ってやる。
・・・て、あ。
あの人がどこのだれか分からないじゃん。
仮に3番に入れたとしても、あの人がどこにいるのか分からいのでは、報告ができないから意味がない。
ま、いいか。
何とかなるだろ。
それよりまずは、勉強だな。
そうと決まったらすぐに帰って実行だ。
時間は限られてるんだ、ダッシュだ!
俺は、全力で家に帰った、人生で初めて全力で勉強をするために。
やってやる・・・、そしてあの馬鹿にしたお姉さんを見返してやるぜ!!
「で、何か言い残すことは?」
再び買い物を忘れた俺は、本日二度目の正座で母さんに説教を受けていた。
「せめて弁解の余地をください、母上。
素敵なね?出会いをしたお姉さんがね?」
「いいから、早く買い物に行ってきなさい、ダッシュで!!
次忘れたらお小遣い十分の一だからね!!」
「御意」
俺は命令通りダッシュでスーパーに向かった。
お小遣いが150円にならないように。
つづく