(本当にここどこなんだよ)
不機嫌さが絶賛最高潮なデデデが歩いているのは、林が隣接する山道だった。
のどかな風が頬をかすめる、いつもなら心地よいそれも、デデデをさらに苛立たせる要因にしかならない。村も何も見つからず、ただ山道が続く状況にはもう我慢が限界だった。
それだけではない。デデデが苛立っている理由はもう一つあった。
それは、自分が人間になっているという事実だった。
肌は青からベージュに。ツルッパゲだった頭には以前の肌の色と同じ色をしている髪が生えている。ちなみに髪についてはデデデは喜んでいる。
そして体はアドレーヌよりもでかい。たぶん、アドレーヌの言う大人というタイプなのだろうとデデデは見当をつけていた。
ついでに声もちょっと若返っている。いつものあの声と異なっていることに多少は違和感があるが、今のところはどうしようもない。
突然の自分の変化にまだ慣れないことが、もう一つのいら立ちの原因だった。
「あー……本部はどこなんだ。もう疲れたわい」
そう、大きくため息をついた、その時だった。
「――ッ!」
デデデは足を止めると、即座にそこから飛びのいた。
そして直後、つい直前までデデデがいたそこに、短剣が突き立てられた。
突き立てられた短剣には粘り気のありそうな紫色の液体が塗られていた。おそらく毒か。
がさ、と隣の茂みが動いて、二つの影が飛び出した。
「グフフ……そのコートを置いていけば命はとらないぜ」
「死にたくないだろ? おとなしくそれを渡せ」
盗賊のような服を着た二人組が
(単なるごろつきか。セリフにもう少しひねりが欲しかったな。だが、丁度良かった)
「フン。誰が貴様らなどにやるか。むしろその服をワシによこせぇ!」
「「グフォッ!?」」
悪だくみを考えているときの顔つきになったデデデは、その二人の顔面をハンマーでぶん殴った。
軽く一メートルほど宙を舞った二人は、地面に墜落したときには気を失っていた。
これ幸いと、デデデは一度周囲に誰も居ないか確認してから、気絶した盗賊?を茂みの中へと連れ込む。
そして二人の中で装備がいい方の奴の身ぐるみを剥いで、ついでに二人の所持金も頂戴した。
「ぐわっはっはっはっはぁ! 感謝するぞーい♪」
「「うぐぅ……」」
そこら辺にあった蔓を手で引きちぎり、縄代わりに二人を簀巻きにして、山道の中心に放る。
粗末な服を捨て、先ほど剥いだ服を身に着けたデデデは高笑いを上げながら、その場を後にしたのだった。
余談だが、この二人は後に剣の勇者一行に見つけられ、本人らはただの冒険者だと主張したが、剣の勇者本人が嘘だとバッサリ切り捨てた為にお縄についたという。片方が下着一丁だったんだし、仕方ないね。
ちなみに、自警団に連行されていく二人を見つめながら、剣の勇者はこう言ったそうだ。
「……悪いことをしたとはいえ、ほとんど全裸にされてたことには同情するな」
ある意味、錬君も被害者。