槌の勇者が大王様   作:血糊

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銀河の辺境にある星、ポップスターの今頃

 今日はとても素敵な日だ。

 

 

 

 花々は綺麗に咲き誇り、小鳥達も楽しそうにさえずっている。

 

 

 

 こんな最高な日にその二人のような奴は……

 

 

 

 「あーあ、ホントに一体どこに行ったんだろう?」

 

 「大王様、無事だといいけど……」

 

 

 

 ぽかぽか陽気に当たりながら草原のど真ん中で寝転がっていた。

 

 

 

 

 

 セリフの深刻さの割にはだらだらごろごろしている二人に、近づいてくる者が居た。

 

 

 「ああ、ここに居たのか、カービィ、ワドルディ」

 

 「あ、メタナイト!」

 

 「メタナイトさま! どうされたんですか?」

 

 「デデデ大王の居場所を特定できたんだ」

 

 

 仮面騎士、メタナイトが淡々と伝えた事実にカービィは首をかしげた。

 

 この一週間、メタナイトは銀河中の重鎮達が集まる会議とかでこの星は留守にしていたはずなのだが……

 

 

 「へ? なんでデデデが居ないこと知ってるの?」

 

 「知っていないも何も……エスカルゴン閣下からテレビ電話があったんだ」

 

 「あーエスカルゴンからかー」

 

 

 エスカルゴンはデデデの配下の一人であり「~でゲス」という語尾がついた話方をする名前の通りかたつむりのような奴だ。

 

 最近までは避難もかねた里帰りをしていたのだけれど、このところ異変も何もないプププランドに、何年ぶりか帰ってきていた。

 

 

 「それで、デデデ大王の居場所なのだが、どうやら四霊星(しれいせい)に居るようだ。ここからだとハルカンドラよりも遠いから、おそらく何らかのチカラで転移させられたのだろうな」

 

 「チカラって、魔術?」

 

 「大方そうだろう。だがあの星には、精霊の宿る特殊な武器がある。もしかしたら精霊のチカラで強引に呼ばれたかもしれない」

 

 「ふーん」

 

 「それと、あの星には結界が張ってある。ニルのチカラなら壊せなくもないだろうが、そんなことをすると星が崩壊するから駄目だ。だが、時折起こる災害によって、その結界に抜け道が出来るから、そこを通ってデデデ大王を助け出す」

 

 「それじゃあ、マホロアのローアでそこまで行って、カービィのワープスターで行けば良さそうですね」

 

 「……いや、それはまだやめた方がいい」

 

 

 ワドルディの提案をメタナイトは苦い声音で却下した。

 

 

 「へ? どうしてですか?」

 

 「あの星は未知のところが多い。それに抜け道も制限時間がある。少しでも遅れれば抜け道がまた出来るまでは出る事は出来ない。万が一カービィが捕まれば、それだけデデデ大王の救出は困難になる。だから、先程打ち合わせをした。まず行って貰うのは―――」

 

 

 

 

 

 「……メタナイト、君今正気? 仮面外す?」

 

 

 メタナイトの言う先陣をきる者に、カービィの顔が能面のようになった。

 

 

 「私はいたって正気だし流れるように私の仮面に手をかけるなカービィ」

 

 「ぶー」

 

 「いやでも、いいんですか? その、他はともかく彼なら出来なくはないでしょうけど……気分屋だし、もしかしたら指示にそむく可能性だってありますよ?」

 

 

 ワドルディは不安そうな顔になる。「あ、面白そうなの見つけたのサ!」なんていって元の目的をほっ放り出すかもしれない。

 

 だが、メタナイトはワドルディと比べても聡明だ。それくらいの事はもう対処済みらしい。

 

 

 「確かに君の心配も分かる、出来れば不安は出来るだけなくしたい。だが彼奴は強いし、邪魔なものもある程度は蹴散らせるだろう。まあそうならないようちゃんと釘は刺しているさ」

 

 「そ、そうですか……」

 

 「後は、もしも裏切った時の為に、遠隔で魔術が使える通信機を持たせる。魔力を持った者には絶対に壊せないし、やりすぎそうなら魔術で止める。対の通信機はハイネスが持っているから、彼なら問題ないはずだ」

 

 「あ、ハイネスさんなら問題無さそうですね」

 

 

 ニルを復活させた張本人でもあるハイネスは変人だが魔術に関してはかなりの腕前だ。今の所は三魔官含めて変な動きもないし、一応命の恩もあるのだから、裏切る事はほぼないだろう。

 

 だが、カービィはジトッとした目になった。

 

 

 「えー……ぼく、ハイネスのことちょっと苦手」

 

 「お前の好き嫌いは関係ない。これはデデデ大王の命に関わる。生存を確認する為のものは、どうやらあっちで壊れてしまったから、生存確認が出来ないんだ」

 

 「そんなものあったんだ。でもなんで壊れたの?」

 

 「……かなり頑丈に作られてはいるが、電気に少し弱いんだ。まあでも、カミナリくらいの強い電気が流れない限りは大丈夫だ」

 

 「あーつまり……」

 

 「感電で可能性はある。安否が確認できないのは厄介だ。だから、一刻も早く確認する必要がある」

 

 「ん? 待ってよ、じゃあなんでデデデがそこに居るって分かったの?」

 

 「エスカルゴン閣下が大王のハンマーが使用されたことを確認できる装置を持っていた。あとあのハンマーは特殊な魔術を掛けてるから、使えるのは一応ポップスターの住人だけだ」

 

 

 カービィはもともとここの住人ではないけれど、まあ長いこと住んでいたからか、カービィが持つ特殊能力はノーカンなのだからかもしれない。

 

 それにしても、カービィはすっぴんでデデデにケンカを売られた時は、吸い込みでデデデのハンマーを奪ってコピーしている。でもデデデのハンマーをコピーしてもなぜか搭載されている筈のスイッチも何もないのはどうしてなのだろうか。メタナイトの宝剣ギャラクシアはそのままコピー出来るのに。解せぬ。

 

 

 「はーん……そうだったんだ」

 

 「そういうことなんだ。今回会いにきたのは、それについての報告の為だけだ。抜け道が生成されるのは明日だから、これからすぐに、ローアで出発する」

 

 「そっかー。頑張ってねー」

 

 

 カービィは他人事のように答える。

 

 メタナイトは呆れたように嘆息した。

 

 

 「もう少し危機感を持ったらどうだカービィ……ああ、もしかしたらデデデ城の蔵書に四霊星の情報があるかもしれないから、今のうちに調べてくれ」

 

 「えー面倒臭いー……」

 

 「なら僕が探してみます! プププランドの皆が居ればあっという間に蔵書は読みきれますよ」

 

 

 カービィは本を読む事はお世辞でも苦手だ。それを親友のワドルディは分かっている為、その役を自ら受け持った。

 

 その代わりとして、ワドルディはカービィにもう一つの役割を頼む。

 

 

 「カービィ。リップルスターの女王さまも何か知っているかもしれないから、聞いてみてくれないかな?」

 

 「そっか! じゃあぼく、ちょっとリボン探してくるね!」

 

 「うん、いってらっしゃい!」

 

 「あと、ニルと一緒に行っていいかな? 邪神達からも何か知ってるかもしれないから、聞き出してみたい!」

 

 

 カービィの言う邪神たちというのは、最近色んな星で悪さをしているとても強い奴らの事だ。

 

 本人達が「自分は神」だと言うらしいのでカービィは邪神と呼んでいる。

 

 

 「確かにその邪神から聞いても何か分かるかもしれないね! お願い、カービィ!」

 

 「分かった! 行ってくるねー」

 

 

 カービィがメタナイトが来た道とは正反対の方へとたったったと走り去るのを手を振って見届けていたら、メタナイトが踵を返した。

 

 

 「それじゃあ、私も行くとしよう」

 

 「もう行くのですか?」

 

 「ああ」

 

 「なら、一つだけ」

 

 「なんだ?」

 

 「……虹の剣が今行方不明なんです。僕、それで少し胸騒ぎがするんです。……念のため、注意しておいた方がいいと思います」

 

 「……そうか」




明日ももう一話入れる予定です
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