槌の勇者が大王様   作:血糊

7 / 24
デデデは気ままに冒険をしています。
ところで狂花水月とかCROWNEDとか水晶零式って神曲だと私は思う。


目の前に宝があったら取るのが当たり前

 デデデは高所にて昼寝をしていた。

 

 

 「グゴオォォ……ズビイィィ……」

 

 

 酷いいびきをかいて、口からよだれをたらしながら寝る様子はとても幸せそうにも見える。

 

 朝起きた後、山奥まで一人で探検しに行き、時々襲ってくる奴は張っ倒していくのを繰り返し、登山していたところ、おやつごろには山頂についていた。

 

 

 (自然の中で寝るのも意外と気持ちいいわい……)

 

 

 いつも日向ぼっこしてスヤスヤ寝ているピンクボールの気持ちも分からなくはなかった。

 

 しかし、そんなデデデを無謀にも叩き起こす輩がいた。

 

 ブーンと羽が小刻みに空気をたたく音が聞こえてきた。

 

 それは人の半分ほどの大きさの蜂。その六本の節足のなかの四本には人間のような手があり、その二本の手にはレイピアが、残りの二本には煌びやかな杖が握られていた。

 

 

 「ミィ、ツケ、タァ……アアア、シィ、ネェッ!」

 

 「遅いわい」

 

 「ナッ――」

 

 

 謎蜂の放ったレイピアによる突きを横に転がることで避けると、即座に側面を叩く。不意を受けた謎蜂は近くの木に叩きつけられ、あっけなく絶命した。

 

 デデデは蜂の羽音が聞こえたことで覚醒していた。だが、そんなに羽音は大きいわけではなく、深い眠りについている奴なら起きるはずはない。

 

 ならばどうしてデデデは気づいたのか? 答えは簡単だ。

 

 

 「蜂にはいやな思い出があるからな……不意打ちを受けるつもりはもうないぞい」

 

 

 実はデデデは以前、とある蜘蛛に攫われて、自分の二、三倍は大きい蜂に突き出されかけたことがあるのだ。

 

 突き出される前に食いしん坊ピンクが助けに来てくれた為に間一髪だったものの、その後は蜘蛛に操られ敵対。だが難なく倒され、気がついたときにはボロボロの巨大蜂がワールドツリーという巨大植物と合体するシーンの真っ最中だったため、めっちゃ怖かったという記憶があった。

 

 

 (この剣、レイピアだったよな。セクトニアもレイピアを使ってたらしいし……偶然だといいんだが)

 

 

 デデデは潰れて地面に落ちた謎蜂を覗き込む。

 

 大きい蜂……クィン・セクトニアは煌びやかな杖とレイピアを武器としていたらしい。

 

 この謎蜂が同じような武器を持っていることを、単なる偶然だということを祈りたい、と思っていたところで、そういえば魔物を注視すると名前が出てくるという情報を思い出した。

 

 この機会に確かめるのもいいか、とデデデは謎蜂をまじまじと見る。

 

 そして表示された名前は。

 

 

 『スモール・セクトニア』

 

 

 周囲から迫ってくる無数の羽音を聞いたデデデは、即座にそこから全力で逃走した。

 

 

 

 

 

 ☆大王様逃走中……★

 

 

 

 

 

 山を駆け下りて、逃げ込んだのは洞窟だった。そうする方が沢山の木々のある山の中で追ってくる蜂たちを欺けると考えての事だった。

 

 狙い通り、蜂たちはデデデが下に逃げていったと思い込み、洞窟を通り過ぎていった。

 

 だが、問題があった。今は山を逃げ回り続けて既に夕方に差し掛かっていた。念のために今日はこの洞窟で野宿をすることとしよう。

 

 

 (……この洞窟、何処に続いてるんだ)

 

 

 昨日と同じく、焚き火を起こす。火の弾ける音とデデデの呼吸音だけが聞こえる中、デデデはふと気になった。

 

 いつもなら何かを食べて暇を潰すところだが、今日は誰も居ない。娯楽も無い今、退屈を紛らわせるものとしたら、探検くらいだろう。

 

 ということで、デデデは焚き火にくべていた木の一本を手に取り、洞窟の中へと足を進め始めた。

 

 

 (何も無い……)

 

 

 十分くらい歩いたが、何も見つからない。

 

 岩壁が剥き出しになっているのでかなりごつごつしているが……綺麗な水晶や鉱石がちらちらとあったので叩いて回収した。

 

 でも、魔物が一匹も出ない。仕方なくデデデは鳥もどきの燻製を食みながら進む。

 

 そのうち、デデデの鋭い嗅覚に昨日のダチョウもどきのような匂いがあたった。

 

 

 (まさか、ここが住処なのか?)

 

 

 ちょっと意外だったが、これは運がいい。なぜなら、住処ならば卵があるかもしれないからだ。

 

 卵は栄養満点食材だ。デデデも好きだったりする。

 

 デデデは目を露骨に光らせ、走り始めた。

 

 

 「ぶびゃっ!?」

 

 

 そして程なくして不可視の壁に激突した。

 

 

 (何が起こった!?)

 

 

 勿論デデデは混乱した。すぐに目の前に手を伸ばすと、見えない壁に手をつけることになった。

 

 見えない壁の先には、鳥の巣があった。その上においてあったのは、一個の白い卵。ダチョウもどきの匂いはそこから漂ってきていた。

 

 ……デデデは直感した。この不可視の壁は、卵を封印するための結界なのだと。

 

 とても重要なものなのかもしれない。いやきっとそうなのだ。だが……

 

 

 (んなもん知るかぞい!)

 

 

 見つけたからには奪い取るのは当たり前だ。デデデはハンマーを振りかぶって、思い切り結界に叩きつけた。

 

 ガシャァァァァン! と、結界は派手に破壊された。酷い。

 

 デデデはご機嫌で卵を奪い取る。どうやらここで行き止まりのようだったので、デデデは踵を返すと焚き火のある場所へとスキップしながら戻った。




流石にデデデだって、どうして封印されていたのかが気になるので、食べはしません。
明日は人里探しをするようです。
ちなみにスモフォニアはセクトニアの遠い親戚なだけで別に重要でも何でもない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。