槌の勇者が大王様   作:血糊

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ナカーマが増える日


デデデ大王、久しぶりに無理をする

 回復魔法をかけてもらったものの、体を完全に治すことは出来なかった為、数日ほど村で療養することになった。療養の原因となった出来事のお詫びとして、無料で寝床を提供された。

 

 久しぶりのベッドが心地よいあまり、デデデは丸二日程眠り続けてしまった。いくらなんでも寝すぎである。

 

 その割には三日後の早朝にきっちり起きたわけだが。

 

 

 「ふあぁぁ……よく寝たわい」

 

 「ピィ!」

 

 「んあ?」

 

 

 ベッドの下に足を下ろし、大きく背伸びをしたデデデの膝に、いつの間にか小さな鳥の雛がちょこんと座っていた。

 

 頭に卵の殻を帽子のように乗せていることから、どうやらついさっき孵化したらしい。

 

 

 (雛の時はまあまあ可愛げがあるな)

 

 

 くりくりとした金色の瞳に、炎みたいな鮮烈な赤色の羽毛。パタパタと元気に小さな翼を羽ばたかせている。

 

 成体になった奴と比べて大違いだ。以前ペットとして買っていたタコを思い出す。正体は残虐な魔獣だったが。

 

 デデデは試しに帽子のようになっている卵の殻を取り、槌に吸わせてみた。

 

 

 『魔物使いの槌』

 

 

 

 別に効果とかに興味は無いが、素材も見た目も、あまり他のフィロリアルとそん色ないように思える。

 

 

 「……ご丁寧に守られていた割には、別に特別そうな感じはないな」

 

 「ピイ?」

 

 

 手に乗せてもう一度まじまじとよく見るが、別段特別そうな感じはない。雛は可愛らしく首を傾げるだけだ。

 

 これがあんな凶暴な奴になるなんて、信じられなかった。が、事実なのだから仕方ない。

 

 ところでデデデはあることに気づく。

 

 

 「そうだ、こいつの名前はどうしよう」

 

 

 これから飼うのだから、名前をつけなければ。ずっと鳥とかフィロリアルとか呼ぶのはデデデだろうとも気が引ける。

 

 なので、命名するつもりなのだが、何にしよう?

 

 

 (アカとかレッドは流石に安直過ぎるな)

 

 

 名前は赤に順ずるものにしようと思っている。

 

 しかし、どんなものにしようか。

 

 

 (炎みたいな色でもあるし、フレアにでもするか? いや、もう少しひねりを加えてみるべきか)

 

 

 うんうん唸り続けて、ついに正式な名前がデデデの中で決められた。

 

 ということで、赤フィロリアルの名前は。

 

 

 「貴様の名前はフレイアに決定ぞい!」

 

 「ピイィ!」

 

 

 フレイアになった。

 

 名前をつけられたことを認識した上でフレイアは嬉しそうだ。

 

 せいぜい、蹴られることのないように、大切にしないといかんな、とデデデはまず、フレイアの頭をぽんぽんと叩いてやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 病室から出ると、早速治療師や村の住人に心配されたが、もう問題はないと答えておいた。

 

 その後は、地図や双眼鏡、調味料などの日用品とかを買って、デデデは村を出ることにした。

 

 フレイアを頭の上に載せて何をするかというと、決まっている。

 

 

 「フハハハハハ! 大人しくワシとフレイアの経験値になれえええぇぇぇぇぇぇぇいっ!」 

 

 「ピィッ!」

 

 

 牧場主はパーティに入っている仲間と共に戦うと、経験値がその仲間にもはいるらしい。

 

 ということで、デデデは山奥に殴りこみに行った。

 

 意外と山奥にはドラゴンや小さな鳥もどきが沢山居た。特に鳥もどきはこちらを見た途端襲い掛かってきたので、撲殺が楽であった。

 

 

 「ピィ!」

 

 「おー、貴様はその肉を食べていればいい。その代わり、荷物の番を頼むぞい」

 

 「ピ!」

 

 飛び降りたフレイアは沢山の肉を一人、いや一羽で啄ばんでいる。近くの奴等殲滅したから、まあここにいさせてもいいだろうとデデデはそのまた奥へと突き進んでいく。

 

 

 

 

 

 ☆大王様殲滅中……★

 

 

 

 

 

 デデデはお日さまが隠れて、そして顔を出す時まで戦い続けた。

 

 その結果、デデデが物凄く疲弊する代わりに、フレイアはあっという間に成体になっていた。

 

 だが、山の主兼竜帝であったエンシェントドラゴンとの戦いで、死ぬ直前でデバフを掛けられ解体するのにかなり時間が掛かったのと、昨日のフィロリアル達の暴走で出来た傷が完治しているわけではなかったのもあって、デデデは体にほとんど傷は無いが内側が既に悲鳴を上げていた。

 

 

 「グアア!」

 

 「あ……ふれいあ、か…ぜぇはぁ……いくらきさまの……ふつうのやつとのちがい……っを、かくにんする……ためとは、い、え……さすがにほねが、おれたわい」

 

 「グア!」

 

 

 よたよたとドラゴンの肉を運んできたデデデを見て、言われたとおりその場で荷物の番を続けていたフレイアが駆け寄る。

 

 以前鳥もどきを倒した時に手に入れた奇妙な形の剣を使って、捌いた肉をさっさと荷物の中に突っ込んで背負うと、一歩を踏み出そうとしてそのまま前のめりに倒れるのを、途中で受け止められる。

 

 

 「あー……ふれいあ、ワシをはこべ」

 

 「グアー!」

 

 

 了承の意を示した朱色のフィロリアルの背中に乗ると、長い首に腕を回して体が落ちないようにする。それから何処に行けとも言わずに、全てをフレイアに委ねたデデデはそのまま泥のように眠りに付いた。




槌は小さくしてマントの中に入れてるデデデ大王。いくら好奇心があったとはいえ、久しぶりの無理をしてしまっていた。
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