戦う炎の料理人   作:ドミネーター常守

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新世界編に入ってからのサンジってなんだか本当に悲惨ですよね。料理の修業があったから仕方ないとはいえ、主戦力と言われつつルフィとゾロとの差が広がりっぱなしで、レイドスーツ手に入れたとはいえ、サンジとゾロ…どちらが強いか…。

カマバッカ王国に飛ばされるわ、女に対する免疫落ちるわ、鼻血噴き出して出血多量で死にかけるわ、輸血してくれたのオカマだったわ、パンクハザードとドレスローザでの戦績悪いわ、ホールケーキアイランドでは急激な成長ないわ…唯一良かったことといえば、プリンちゃんがガチで惚れたこと?
そしてキスされたこと?キスされたよね?

そんなサンジに救いの手を!と、思って書いてみました!!



12人目の超新星降誕編
地獄から這い上がる黒足


 

 

 拝啓───ナミさん、ロビンちゃん。

 ナミさんは"()()"、ロビンちゃんは"()()()"の保護下にちゃんといるでしょうか?

 二人のことが心配だ。

 

 ただ、二人が心配で夜も眠れない───と言いたいとこだが、俺は今、またしても()()()()()()()()しまい、別の意味で夜も眠れない状態だ。

 

 二度あることは三度ある───俺は今、まさにそれを経験、いや、体感、体験中です。

 

「ちくしょーーーう!なんで俺ばっかこんな目に合わなきゃいけねーんだよッ!?」

「ねぇ、あなたもそうなんでしょ!?」

「違うつってんだろうがッ!!俺が愛するのはレディのみだ!!オカマなんてもうこりごりだッ!!」

 

 一度目は()()()。俺達が"七武海"のバーソロミュー・くまによって散り散りに飛ばされてしまった時───俺からしたら()()のこと。

 

 そして二度目は、魚人島で出血多量で死にかけた時。認めたくないが、俺はそこでオカマに救われた。

 一度目も、何だかんだでオカマ達には救われ、鍛えられ───それについてのみは感謝している。

 

 ただ、三度目はなくていいはず。

 

「それなのにどうして…よりにもよって"()()()()()()()"に飛ばされた時に()()()んだよ!?」

 

 死んだらきっと地獄行きだろうと思っていた。ただ、過去に戻っても地獄なんてあんまりだ。

 

 ナミさん、ロビンちゃん───どうか俺を助けてください。

 

「ようこそ!カマバッカ王国へ!!」

「ウオオオオオ!!」

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 麦わらの一味。それは、話題沸騰の超問題児ルーキー一味である。

 

 懸賞金3億ベリーの船長"麦わらのルフィ"を筆頭に、"海賊狩りのゾロ"、"そげキング"、"泥棒猫のナミ"、"綿あめ大好きチョッパー"、"悪魔の子"、"鉄人(サイボーグ)フランキー"、新入り"鼻唄のブルック"。そして、"黒足のサンジ"。

 少数精鋭でありながらも一味全員が賞金首、個々の能力が高いことで注目を浴びている一味だ。

 

 "偉大なる航路(グランドライン)"の中でも有数の文明大国である"アラバスタ"に於いて、元七武海のサー・クロコダイルの討伐。

 そして、世界政府の直轄地である司法の島"エニエス・ロビー"を陥落させ、更には"シャボンディ諸島"にて"天竜人襲撃事件"を起こし、常に話題に事欠かない傍迷惑極まりない一味として世界政府、海軍には認識されている。

 

 ただ、そんな麦わらの一味なのだが、シャボンディ諸島にて天竜人を襲撃後、その事件現場であるシャボンディ諸島から忽然と姿を消してしまったらしく、海軍本部大将"黄猿"が差し向けられたのにも関わらず、逃げ切ることができたのかと一部の者達を困惑させているようだ。

 

 麦わらの一味はいったいどうやって逃げ切ったのか、それは当人達しか───いや、当人達がそれを、真実を知るのは()()()のこと…。

 

 

 *

 

 

 麦わらの一味がシャボンディ諸島から姿を消して3日後───一味のコックであり、主戦力、そして頭脳(ブレーン)でもある"黒足のサンジ"は"偉大なる航路(グランドライン)"の前半に位置する島、モモイロ島"カマバッカ王国"にて、()()()()で地獄の鍛練を遂行中であった。

 

「サンジきゅん、スッゴいじゃないのォ!!」

「オカマに誉められても少しも嬉しくねーんだよ!!

小悪魔風脚(プティ・ディアブルジャンブ)千切り(ジュリエンヌ)】」

 

 無数の目に見えぬ細い飛ぶ斬撃が、目にも止まらぬ速さで宙を飛んでいるサンジの両足から、強靭な肉体を持つオカマ達へと放たれる。

 

「ウオオオオ!!」

 

 怒りでヒートアップすることはあれど、常に冷静沈着なサンジが雄叫びを上げている姿はなかなか見れるものではない。

 それだけ本気で、そして必死で───何かに追われているかのように血眼で死に物狂いの様相だ。

 

「"()()()()()()()"まで3日で着くとはいえ、万に一つ…()()を早めてくる可能性だってあるんだ。

 俺は今日中にお前ら"新人類(ニューカマー)拳法"師範…99人全員に勝ち、ルフィが必ず向かうであろうマリンフォードに行かなきゃならねェ!!」

「まあ!この短時間でわたす達師範の10人を倒したってだけでも凄いのにぃ…今日中に99人倒しちゃうだなんて、本当にワイルドねぇ。ますます惚れちゃうわ!!」

 

 カマバッカ王国のオカマ達は、ただのオカマではない。"攻めの料理"を用いることで、強靭な肉体を持つ新人類(ニューカマー)へと成長を遂げた存在なのだ。

 

 食事とは環境。体格、性格、人体の全てを作り上げるものなのである。

 

「お前らが強いことも、強さの源も知ってんだよ。だが、俺は負けるわけにはいかねェ!

 ルフィには返しても返しきれねえほどの恩があるんだ!アイツが苦しんでる時に…俺がこれ以上立ち止まってるわけにはいかねェんだよ!【"()()()()"堕天使風脚(アンジュ・デシュ・ジャンブ)点火(フランベ)】!!」

「く、黒い炎!?」

 

 サンジの両足が、黒光りする炎に包まれ燃え上がる。

 

「もう二度と…俺は…」

 

 サンジは思い返す、己の数々の()()を。シャボンディ諸島にて散り散りになった麦わらの一味全員が2年間の時を経て、己を鍛え上げ再び集まった───サンジにとっての前回の人生。

 だが、サンジはその2年の修業も虚しく───命を落としてしまったのだ。地獄の2年はいったい何の為だったのかと、悔やんでも悔やみきれないだろう。

 

 しかし、カマバッカ王国で目が覚めた現在、その未来はまたしても回避することはできないだろう。ただ、サンジはその2年という月日がそれぞれにとって非常に大切な月日であることも理解していた。

 

 そして、サンジは強く思う。死という最悪の経験をして過去に戻った今───以前よりも己を鍛え上げ強くなり、待ち受けているであろう強敵達を、()()()()()を、死という運命を回避し、断ち切ることができるのではないかと…。いや、できるできないではない。サンジは必ず生き残るつもりなのだ。

 

「ただ、今は()()()()()()

 

 そう、彼だけは───"麦わらのルフィ"にとってだけは少し違う。これから数日後に麦わらのルフィを待ち受ける運命───それはあまりにも悲惨なもの…。

 

「俺の身に…どうしてこんな()()が起きてしまったのかはわからねェ」

 

 ただ、ある一件にて命を落としたサンジが、こうして過去に戻ったことで、麦わらのルフィの身に降りかかる悲劇を回避できるかもしれないチャンスがやって来た。

 

 サンジがこれから乗り込もうとしている戦地───海軍本部マリンフォードはバケモノ揃いの場所。

 ここが可愛く思えてくるほどの地獄と化すであろう場所へと、サンジは運命を変えようと必死に抗い、赴こうとしているのだ。

 

「俺は必ずルフィを海賊王にしてみせる!コックとしてだけじゃなく、麦わらの一味の主戦力としてアイツを支えてやる!

【スラッシュ・セジール!!】」

 

 己の異名である黒足に更なる息吹きを吹き込んだサンジ。黒炎に包まれた黒足は武装色の覇気を纏い、その武装色の覇気により硬化するだけではなく鋭化させることで、その足を切れ味鋭い刃物のように───いや、黒刀へと進化を遂げる。

 

「あ、あたす燃えてるッ!!」

 

 その蹴りは鋭い一太刀。その速さはまるで居合い───いや、サンジのそれは遥かにそれを超えるもの。

 

 斬撃と化した蹴りと激しい黒炎が、カマバッカ王国にて激しく燃え盛る。

 

「待ってろよルフィ。俺がお前を支えてやる」

 

 全ては船長の支えとなる為に───その日、サンジは火事場の馬鹿力を発揮しやり遂げるのである。

 

 そしてそれより6日後、彼はマリンフォードにて再び船長の隣に並び立つ。

 

 






カマバッカ王国に飛ばされ鍛えられ、出血多量で死にかけオカマに救われ、そして二度あることは三度あって逆行したらまたカマバッカ王国!!

このサンジくん。ホールケーキアイランド編で死んで逆行した設定です。

今、カマバッカ王国でルフィのもとに向かう為に急ピッチで鍛えております。
感覚など、精神、心、頭が覚えていたこともあり、空中歩行、武装色、見聞色の力はまた手に入れております。

そして火事場の馬鹿力により、新たな力開眼。

小悪魔風脚(プティ・ディアブルジャンブ)
嵐脚を放てるように。そもそも原作で空中歩行できるのに、何故これはやらない?

堕天使風脚(アンジュ・デシュ・ジャンブ)
黒炎を纏った悪魔風脚。武装硬化を改良し、足を鋭く"武装鋭化"させ、黒刀へと進化させた。

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