やっとこさ10話です。小説書くのってやっぱり大変だなァ。
今更ながらに、前話でカニちゃんことイナズマの出番奪ってた…まあ、無理する必要ないし休息中ってことで…。カニちゃんも毒にやられてたわけだし。
そして辿り着く───
「ルフィ!エースを解放しろッ!!」
「おう!」
囚われしエースを救う為に、サンジとルフィが処刑台へと上り詰める。
白ひげ陣営、海軍陣営双方共に大きな犠牲を出している世紀の大決戦に差し迫る終幕の時。
「鍵があるんだ!」
「ルフィ、お前!」
驚くエースを他所に、ルフィは"海賊女帝"ハンコックから渡されていた鍵を取り出し、海楼石の手錠を外そうとする。
「グズグズすんな!って、何やってんだよ!?」
「海楼石に触れないようにしないと…集中してるから話しかけんな!」
しかし、この局面でこのような事態になろうとはサンジも想定外だ。
ルフィは海楼石に触れないようにと慎重になるあまり、鍵穴になかなか鍵を刺せずにいる。
「エースの腕を掴んで固定して鍵を差し込めば楽に外せるだろ!!」
「あ、そっか!」
「アホッ!さっさとっ…ちっ!
【
その隙を逃さないように、黄猿が鍵目掛けてレーザービームを放ってくるが、それに気付いたサンジは足を素早く振り抜き、剣の形を象った電撃のビームを放ちやり過ごす。
「早くしろルフィ!!」
「小僧共ッ!私が逃がすと思うなァ!!」
ただ、そちらはやり過ごせても処刑台には海軍元帥"仏のセンゴク"が存在している。
まさに最後の砦といったところか…。
「ちっ!これが海軍元帥の能力かよッ!!」
"君臨する正義"を掲げる、海軍唯一の王の資質を持ちし元帥が、その正義と王の資質を具現化したといっても過言ではない姿へと変貌した。
神々しく金色に輝くその存在。
サンジとルフィの前で能力を解放したセンゴクが毅然たる態度で立ち、そして牙を剥く。
「私の手で処刑するまでだッ!!」
ガープ同様にこれまで数多の海賊を───過去の凶悪達を打ち倒してきた伝説の海兵。その拳がサンジとルフィ、エースを殺さんと襲いかかってくる。
「ああ!?」
「ッ、鍵が!?くそッ!!」
しかもそんな危機的な局面で、サンジがセンゴクに気を取られた一瞬を黄猿が突き、鍵を破壊されてしまう。エースもまだ解放できておらず、まさに万事休す。
だが、天はこの2人にチャンスを───
「…うゥ…いったい何が…いきなり気を失ってしまったガネ」
「え!?お、お前"
「ん?…麦わらと…え!?ギャーーー!あ、アレはいったい何カネ!?」
ルフィの覇王色の覇気によって意識を刈り取られた処刑執行人の内の1人が目を覚ましたが、その人物はどういうわけかサンジとルフィの顔見知りだった。
それも、かつての
そして、彼の能力を覚えていたサンジはニヤリと笑みを浮かべ、センゴクへと視線を戻しそちらに集中するのだ。
サンジはどうにかなると確信したのである。
「へっ!天は俺達の味方ってか?おい、3!すぐにエースの手錠の鍵をお前の能力で作り出してエースの手錠を外せ!!
ルフィ、俺1人じゃ無理だ!手ェ貸せッ!!」
「おう!!3!エースを頼んだぞ!
【ギア
「くっ、悩んでる暇はないようだガネ!
麦わら!決してお前の為ではないことを覚えておくことだガネ!これは…
その瞬間、Mr.3だけではなくルフィの頭の中にもインペルダウンで囮を務めた勇敢な
2人の脳裏を過るその者の最後の言葉───
『必ずアニキ救って来いやァーーー!!』
その言葉がルフィの背を押し、Mr.3を動かす。
「笑うわけねェ!!」
「そっちは任せたガネ、麦わら、黒足ッ!!」
元帥センゴクを迎え撃つサンジとルフィ。エースの手錠の鍵を作成し解放を急ぐMr.3。ガープとは違い、センゴクには甘さも慈悲も一切ない。サンジとルフィが稼げる時間はどれくらいか───エースの運命はこの3人の手に委ねられ、そしてセンゴクが海賊王の血を根絶す為に動く。
超問題児ルーキー海賊2人と海軍元帥が激突する。
「行くぜ!大仏野郎ッ!!
【
「エースは殺させねェ!!
【ゴムゴムの
「調子に乗るな小僧共ッ!!」
雷に引けを取らない強力な電撃を纏った強烈な連続蹴りと巨大化させた拳が伝説の拳と正面衝突。
その瞬間、稲妻のようなものが発生して、けたたましい轟音が鳴り響き衝撃波が広場へと拡散する。
海軍元帥の覇王色とルーキー海賊2人の覇王色の衝突によって生み出された衝撃は、処刑台の脚をも破壊してしまい───
「う、うおぉぉ、やべェ処刑台が!?3!エースは解放できたか!?」
処刑台が崩れ、落下するサンジ達。そこに向けて、大量の砲弾が放たれる。処刑が失敗した今、形振り構っていられない海軍はエースだけではなく、サンジとルフィ諸共殺しにかかってきたのだ。
海楼石の手錠によってエースは生身。その状態でこれだけの砲弾を浴びてしまったら命はないだろう。
「いかん!」
巻き添えを食らうまいと距離を取るセンゴク。その直後、砲弾は崩れた処刑台を木っ端微塵に破壊してしまう。
サンジ、ルフィ、エース、そしてMr.3を巻き込んで爆炎を上げた。
「よしッ!!」
「火拳は生身だ!生きちゃいない!!」
歓声を上げる海兵達。対して、白ひげ陣営は悲痛な叫び声を上げる。
「エーーースゥーー!!」
「う、嘘だろッ!?」
「麦わら!黒足ィ!!」
しかし、海兵の誰かが爆炎の中に見える何かに気付くと、状況は逆転するのである。
「あ!爆炎の中にッ
「な、何ィ!?」
敵味方関係なく、戦場に立つ全ての者達の視線が、その箇所へと向けられていた。
「お前は昔からそうさ…
「はあ…はあ…あ!」
「おれの言う事もろくに聞かねェで…しかも、
姿を露にしたその男に、片方は大歓声を上げ、片方は絶望に満ちた表情を浮かべている。
その瞳に映るのは、"D"の意志を継ぎし兄弟と支える者の姿───
「エースーーー!!」
「へっ、囚われの身だった…死ぬ一歩手前だった奴が偉そうに言ってんじゃねェよ!!」
「…それも…そうだな」
ついに、火拳のエースが解放された。
※※※
ついに解放───いや、助け出された火拳のエース。
その光景は未来永劫語り継がれることだろう。未来の海賊王と海賊王の船のコックを務める世界最高の料理人のルーキー時代の武勇伝の一つとして…。
そして、その3人を視界に捉えた生ける伝説"白ひげ"も頬を緩ませる。
ついに訪れた
「グララララ!ハナッタレの小僧共…いや、黒足!麦わら!よくやったァ!!
おらァ、何をぼさっとしてやがる息子共ッ!さっさとアイツらの逃げ道を確保しやがれェ!!」
弱り果てた傷だらけの姿でありながらも、白ひげはこの時を喜ばずにはいられない。
時代は終わり、そしてまた始まるのだ。新たなる希望が───激しい炎が、この大海賊時代を更に熱くする。
*
サンジとルフィ、そして助け出されたエースは共闘中だ。その3人はこれまで以上に躍起になり襲いかかってくる海兵達の相手をしながら逃げ道を探す。
しかし、新進気鋭の超問題児ルーキー海賊2人の勢いは止まることなく、そこに火拳のエースの力まで加わってしまったことで手に負えない状態だ。ルフィに関してはイワンコフに打ってもらったテンション・ホルモンだけではなく、力の源であるサンジの
世界最悪の犯罪者の息子モンキー・D・ルフィ。海賊王ゴール・D・ロジャーの息子ポートガス・D・エース。
そして、ヴィンスモーク家"ジェルマ"の最高傑作と呼ばれるに相応しい覚醒を見せるヴィンスモーク・サンジ。
サンジがヴィンスモーク家三男にしてジェルマ王国の第三王子であることに関してはまだ知られてはないことだが、この3人はどうあっても逃がすわけにはいかない存在として、即刻抹殺対象として狙われている。近い将来、この3人は確実に強大な力を持った脅威となり、世界の秩序を乱す混沌となり嵐を呼ぶこと間違いなしなのだ。
3人共、王の資質を持っているのも理由の一つだろう。
「強くなったな、ルフィ!」
「いつかエースも超えてみせるさ!」
「いつかじゃなくて必ず超えてもらわなきゃ困るぜ、船長!」
退路を確保しようと、襲いかかってくる海兵達を次々と薙ぎ倒しながら進む3人。
ちなみに、エースの手錠を外してくれた影の功労者Mr.3は、サンジが蹴飛ばし、白ひげ陣営に保護されている。不死鳥のマルコが海楼石の手錠のせいで身動き取れずにいることもあり、サンジがマルコのもとに蹴り飛ばしたのだ。借りは返したといったところか…。
ただ、Mr.3からしたらもう少し優しい対応をしてほしかっただろうが、結果的には保護されたのだから構わないだろう。最優先で狙われるサンジ、ルフィ、エースの3人の側にいるよりも遥かにマシだ。
「ちょいとちょいと兄ちゃん達…逃がすわけにはいかないんだよ。
【アイス
「わっ!青雉だ!!」
当然、サンジ達3人に襲いかかってくる者達の中には海軍最高戦力の大将達もいる。
氷で象られた巨大な雉の嘴による攻撃が襲いかかってくるも、それでもサンジとエースが揃っていれば問題ない。
「下がってろルフィ」
「今はまだおれが守ろう」
炎を扱う2人が大将青雉からルフィを守る。
「油断するなよ、エース。
【
激しく燃え上がる黒炎と鋭い切れ味の蹴りで、青雉の攻撃を焼き斬るサンジ。
「おれの出番ねェじゃねーかよ!!」
サンジは確かにエースに対して油断するなと口にしたが、エースは何もすることなくサンジが対処してしまった。これでは兄としての矜持が───面目丸潰れだ。
「やっぱサンジはスゲェな!!」
「へっ!それよりもさっさと逃げんぞ!!」
「おう!」
助けられておきながら、兄よりも仲間に信頼を寄せる弟の姿に───いや、ルフィから絶賛されるサンジに対し、エースが嫉妬したのはここだけの話である。
「エース!行こう!!」
「わかってる!!」
サンジ達はとにかく逃げることに集中していた。この戦争で犠牲になった者達───エースを助ける為に犠牲になった者達の為にも、エースは何としても生き延びなければならない。
退路は、白ひげ陣営の海賊達がどうにか確保してくれている。
「ん?ありゃァ…白ひげを
「どうしたんだ?」
「スクアード!?」
そんな時、白ひげ陣営の船が一隻───
「オヤジ!みんな、逃げるんだ!この戦場、おれ達が請け負ったァ!!」
だが、この混沌極まる戦場にて、スクアードが殿を務めたところでサンジ達───だけではなく、白ひげ陣営の仲間達が逃げ切ることは可能なのだろうか…。
答えは否。海軍大将3人に中将達、王下七武海、更には元帥までも動き出してしまった今、ハッキリ言ってスクアードの手に負えるはずがない。
ただ、
「うおおおお!?ど、どうした!?いきなり船が止まったぞ!!」
戦場を駆ける船を片手で止める
「オヤジッ!?」
「子が親より先に死ぬだと?どれ程の親不孝をやらかすつもりだスクアード!!ハナッタレ如きがつけあがるなよ…お前の一刺しで揺らぐような命じゃねェ。
誰にでも…必ず
エースは助け出した。もうこの場所に用は一切ねェ!今から伝えるのは最期の
白ひげが口にした最期の船長命令。それが意味するものは───この時代の終わり。
「お前らとおれはここで別れる!全員!必ず生きて"新世界"に帰還しろォ!!」
傷だらけの白ひげは最早"風前の灯火"。
しかし、白ひげのその命はこれまでの人生で一番といっていい程に荒々しく、そして激しく燃え盛っている。
その船長命令は
「おれァ時代の残党だ。新しい時代に乗り込む船におれは乗れねェ…もう、
それが誰に向けられた言葉なのか、サンジはすぐに理解する。
そのサンジの視線の先で、生ける伝説"白ひげ"エドワード・ニューゲートは、腕を振り抜き全力の一撃を海軍本部へと叩き込む。
「随分と長く旅をしたもんだ。グララララ、最期はド派手に行かせてもらうぜ…
身命を賭してその時代に終幕を───
電撃の足技は、
黄猿のように足から電撃のビーム放ったりとかできる刺激系。ニジ曰く、この能力は雷速ではなく光速とのことだが…。
剣の形を象った電撃のビーム。アトレとは装飾金串のこと。西洋料理のテーブルウエアとして用いる金串は、剣の形に仕上げ、金輪や羽根などの装飾が付けられている場合もあるそうです。
センゴクは公式設定で覇王色の覇気持ちらしいですけど、赤犬は持ってないのかな?
サンジ&ルフィとセンゴクの覇王色の衝突ですが、これが白ひげとセンゴクなら空を割ってます…多分。ただ、サンジとルフィがまだ未熟で上手くコントロールできてないので空は割れることなく…。覇王色を発動できたのも火事場の馬鹿力によるもの。あと決して、元帥であるセンゴクが四皇に劣っているというそんな理由はないです。