戦う炎の料理人   作:ドミネーター常守

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サンジにモテ期到来?はっはッはッー!サンジはこのままハッピーエンドで終われるのか?



不憫な星の下

 

 

 新たな異名"玄脚(くろあし)"の名を世界に轟かせたサンジは、ルフィと共に現在も女ヶ島"アマゾン・リリー"に滞在している。

 

 ルフィが完全回復するまでは当たり前だが、どうやらそれ以降もしばらく世話になるだろうとサンジは考えているようだ。本心は寧ろ世話になりたいといったところ…。

 

 しかし、ルフィと共に休息中のサンジに、悲運な運命が襲いかかってしまうこととなった。

 いや、サンジの持って生まれた才能───不憫な星の下に生まれたが故に起こるべくして起こったと言うべきか…。

 

 いったい何が起きたのか───女ヶ島の海岸沿いに特別に許可を貰って停泊しているハートの海賊団───その船長"死の外科医"トラファルガー・ローが関係していた。

 

 麦わらの一味の船医"わたあめ大好きチョッパー"の代わりにルフィの手当てを行ってくれたローだったのだが、そのローはあろうことか、サンジを引き抜こうといきなりスカウトしてきたのだ。

 

 事の発端はサンジが差し入れにと、ロー達ハートの海賊団に作った"()()()()"が原因だ。前回の人生の経験故か、もしくは料理人としての癖か、ローの()()()である"焼き魚おにぎり"をうっかり作ったサンジは、ローの胃袋をガッツリ掴んでしまったのである。

 

 サンジも鋭いローを相手にする際はボロを出さないようにと最大限に気を付けてはいるつもりだったが、料理に関してのみは仕方ないものがあったかもしれない。

 ただ、その失態でサンジが過去に戻るという奇跡的な現象を経験しているという事は気付かれなかったが、サンジの作ってくれたおにぎりに感動したローは、ぜひともハートの海賊団のコックになってほしいと思うようになってしまったのだ。

 

 さすがは、"ビッグ・マム"を()()()()()()させかけた料理人───そのおにぎりも、ローがこれまで味わった事のない程の美味だったのだろう。

 

 しかし、当然ながらサンジ本人はローの誘いを拒否。もちろんローも、サンジに拒否されたからといって引き下がりはしない。

 

 ただ、サンジが引き抜かれそうになっているのを、ルフィが黙って見ているはずもなく、そしてルフィが加わってしまった事で、サンジを巡った争いはあらぬ方向へと発展してしまったのである。

 

 事の発端は、ローがサンジをスカウトしてから───しかし、火種が拡大したのは、ルフィの余計な一言を()()()()()が耳にしてしまってから…。

 

()()()()()()()()!絶対に誰にもやらねェよ!!』

 

 ルフィをこよなく愛する"海賊女帝"ボア・ハンコック。

 

 そのハンコックがルフィのこの発言を耳にすると、どういう原理なのか定かではないが、ハンコックの脳内でサンジの存在はルフィにとって()同然の存在であるという奇妙な解釈をしてしまったのである。

 

 ルフィをこよなく愛し、ルフィと結婚し妻になりたいと思っており、自分以外にルフィの妻はあり得ないと思い込んでいるハンコックにとって、この瞬間───"玄脚(くろあし)のサンジ"は自身最大の敵となってしまったのだ。

 

「"玄脚"ィ!!貴様は妾の手で葬り去ってくれる!!」

「ちょ、ちょっと、ハンコックちゃん!?」

「麦わら屋の隣に玄脚屋がいるのが認められねェってんなら、おれが有り難く貰ってやるよ!」

「ふざけんなットラ男!ハンコックもやめろよ!サンジは絶対に誰にもやらねェ!おれのだ!!」

「お前もう黙れクソゴムッ!!」

 

 こうして、アマゾン・リリーにて勃発した"玄脚"争奪戦。内1名は争奪ではなく、本気でサンジの首を狙っているが…。

 

 そして、この争奪戦が勃発してしまった事により、女ヶ島の女達の間でサンジはルフィの恋人、嫁という認識のされ方をしてしまう事態になってしまった。サンジに永住してほしかった女達も、ルフィの恋人、嫁なら仕方ないと一歩引いた接し方へと変わり、サンジの女ヶ島でのモテ期は儚く───あっという間に終わってしまったようだ。

 

 そして、ルフィが怒るからと首を狙われる事はなくなったものの、顔を会わせる度にハンコックからは殺意の籠った視線───覇王色の覇気をぶつけられるという状況のようで、事態を理解しサンジを慰めてくれるのはハンコックの妹達と先々々代のアマゾン・リリー皇帝グロリオーサこと"ニョン婆"のみのようである。

 

「玄脚屋…たまにでいいから差し入れ(通い妻)してくれ」

 

 事の発端のローはというと、とりあえず今回は手を引いたようだが、決して諦めてはいない。

 やはり、胃袋を掴むというのはかなり強大な力を発揮するのだろう。

 

「ちくしょォォ!男からの求愛なんざいらねェんだよ!!」

 

 新人類(ニューカマー)達の魔の手から逃れたと思いきや、下手をしたらそれよりも厄介な者達から狙われるという───サンジは強さが増したのと同時に、狙ってくる相手もレベルアップするという事態に見舞われるのである。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 サンジにとって有り難いのか有り難くないのか、男女問わずの謎のモテ期を迎えているなか、世界各地に散り散りになった麦わらの一味の仲間達はいうと───

 

 "玄脚(くろあし)のサンジ"懸賞金4億3200万ベリー。船長に次いで高額賞金首の仲間入りを果たしたサンジの新しい手配書を目にし、当然の如く驚きの声を上げていた。

 

 その驚きは懸賞金の高さに対してなのか、それとも───

 

「サ、サ、サンジの写真がまともになってる!?どうしてだよォ!?」

 

 残念そうな、悲痛な叫び声を上げるのは狙撃手ウソップだ。

 

「ええ!?サンジがどうして!?あれ?けど…サンジってこんな顔だったっけ?」

 

 サンジの懸賞金が跳ね上がっている事に驚きながらも、すぐ頭に思い浮かぶのがいつも鼻の下を伸ばしているサンジだからなのか、ただ純粋に頭に浮かんだ疑問を口にするのは船医のチョッパー。

 

「おうおう!サンジの野郎やってくれるじゃねェか!」

 

 まともに喜んでくれているのは一味の船大工フランキー。サンジも泣いて、感謝の言葉を返してくれるだろう。

 

「ええ!?いつの間に新しい仲間が!?ヨホホホホ!しかもサンジさんと同姓同名とは!!」

 

 もはや別人とすら思って疑ってないのは、新入りでありながら最年長の音楽家ブルックである。

 

 仲間が評価された事を純粋に喜んでいるのは変態なフランキーのみとは…。

 他の者達はいったいサンジを何だと思っているのやら…。最も、そうなってしまうのもサンジの日頃の行いが原因でもあるのだから仕方なかったりもする。

 

 ただその一方で、サンジの新しい手配書を眺めながら闘志を漲らせる存在が1人───

 

「あのエロコック…へっ、やってくれんじゃねェか!」

 

 その手配書を手にし、自身の約3.5倍の懸賞金額に跳ね上がったサンジに対し悔しさを滲ませるのと同時に、共に切磋琢磨する相手の成長に嬉しさも感じている"海賊狩りのゾロ"。

 

 やはり、ゾロにとってのサンジという存在は、同じ一味に所属しながらも絶対に負けたくないと思う相手なのだろう。

 

 そして、サンジの新しい手配書を目にしたレディー達の反応は如何なものだろうか───

 

「まあ、サンジったら…ふふ、いつもこんな感じだったら、抱かれてもいいのだけど」

 

 大人の女の色気を惜し気もなく醸し出しながらも、サンジのカッコ良さは認めているのか、大人の女の余裕さ窺わせながらそう口にするのは考古学者のニコ・ロビンだ。

 ただ、サンジがロビンの今の言葉を聞いてしまったらどうなるか───それは火を見るよりも明らかである。

 

「な、何よ…ちょ、ちょっと…カッコイイ…かも?」

 

 一方、大人の女の余裕さを見せるロビンとは違い、いつもどんな時もサンジからお姫様扱いされるナミはというと───ほんのり、その手配書を見て頬を染めている。

 

 女好きで、女を前にしたら鼻の下を伸ばしてばかり。だが、紳士的でとにかく女性に優しい───普通にしてたら間違いなくイケメンの部類に入るだろうと、ナミはサンジの事をそのように思っていた。

 

 ただ改めて、"男"サンジの真剣な表情を見せられると、ドキッと胸を高鳴らせるものがあったようだ。

 

「あ、あのサンジくんよ?常に脳内ピンク色で…けど…優しくて強くて…わ、私…どうしてこんなにドキドキしてるのよ…も、もうッ!!どうしてサンジくんの手配書まともなのにするのよ!?前のでよかったじゃないのッ!!」

 

 どれだけ理不尽な事を言っているのだろうか…。そして、サンジが聞いていたら屍になるだろう。

 

 サンジの新しい手配書について一味内では、やはり不評の声が半数以上のようである。ただその理由が面白味がまったくなくなってしまったという理由だ。ブルックに至っては新しい仲間、後輩ができたと勘違いしてる始末。

 

 ただ、意外にもゾロの反応が、手配書の写真などどうでもいいといった様子だったのは驚きである。

 

 

 *

 

 

 サンジの新しい手配書が影響を与えているのは、何も麦わらの一味内だけではない。

 

「サンジ…あの子…本当に立派になったのね」

 

 瞳に涙を浮かべ、サンジの手配書を胸に抱きしめながら震えるピンク色の髪の美女。

 

 彼女の特徴的な"()()()()()()"を見れば、彼女がサンジの血縁者である事は明白だ。

 

 その名はヴィンスモーク・レイジュ。

 

 大昔に武力で北の海(ノースブルー)を制圧した人殺しの一族と呼ばれており、国土を持たない海遊国家"ジェルマ王国"の王族"ヴィンスモーク"家のお姫様───サンジの実姉である。

 

 サンジが唯一、家族と認める存在であるレイジュは、まさかサンジがここまでの悪名を轟かせる存在になるなど思いもせず、ただ純粋に驚いている様子だ。

 その反面、愛しい弟が強く成長した事を誰よりも喜んでいるのである。

 

「ふふ、こんなにイケメンに成長しちゃって…これじゃあ、世間の女達が放っておかないんじゃないかしら?」

 

 "黒足"として指名手配された時は生きていた事に喜び、そして驚き、その手配書の写真に疑問を抱き複雑な心境だったレイジュだが、"玄脚(くろあし)"という新しい異名で更新された手配書は本物のサンジであり、その成長が写真からも懸賞金の高さからもレイジュに伝わっており、彼女にとって何よりもの嬉しい便りになっただろう。

 

「けど…これを見た()()()がどう行動するか…この懸賞金額を考えたら、かなり慎重になると思うけど…でも、滑稽な話ね。早々と落ちこぼれと決めつけて切り捨てたサンジがここまでの器だったなんて…サンジは大器晩成型だったのね。お母様がお父様に抵抗して、強く望んで…命を賭してまで産んだ私達姉弟の中で唯一の"()()"だったサンジが、ジェルマの最高傑作となった。皮肉な話…けど、お父様もいい気味だわ」

 

 サンジの新しい手配書が嬉しい便りである一方で、これを知ったサンジの父親がいったいどのような反応を見せ行動に移すのか───レイジュはそれだけが気掛かりで仕方がないようだ。

 

 ただ、サンジを切り捨てた父親にとって、サンジの成長は実に腹立たしいものであるに違いないと、レイジュは父親を鼻で笑っている。

 

 そして、ここまで成長してくれたサンジをどこまでも誇りに思っているようだ。

 

「サンジ…あなたが幸せに生きていてくれれば私はそれだけでいい。あなたがもう…"ジェルマ"に関わらない事を心から望んでいるわ」

 

 願わくば───姉としての想いはただ一つ。

 

 果たして、姉のその想いは、願いは届くのか───奇しくも、レイジュがその願いが届かなかったのだと知るのは、ほんの少し先となってしまう。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 場所は女ヶ島に戻り───手配書が更新されてから良くも悪くも引っ張りだこなサンジは、海岸沿いにて1人で一服していた。

 

 医者としてやるべき事もなくなったトラファルガー・ローも去り、海岸沿いも随分と静かになったものである。

 

 ローは去り際に能力を使って、ちゃっかりサンジをポーラタンク号に乗せようとしていたらしいが、それに気付いたサンジに踵落としをお見舞いされて大人しく引き下がって行ったようだ。

 

「はあ…ったく、ローの野郎…まあ、うっかりアイツの好物作っちまった俺も悪かったが、まさかあそこまで熱烈なアプローチしてくるとはな」

 

 料理の腕に関しては、サンジはすでに世界屈指の腕前を持つ料理人だ。

 そのサンジのおにぎりはローを惚れ込ませるのに十分な味を持っているのも当然だろう。

 

「アイツがあんな事言うとはな」

 

 鋭いローに、自分の好物を知っていたのかと尋ねられた際、苦し紛れに、ポーカーフェイスを装いながら差し入れにはおにぎりと決まっていると口にしたサンジに対し、ローが毎日差し入れを頼むと言ってきたのにはサンジも面食らっていた。

 

「けど…まったくやれやれだぜ。ルフィの余計な一言でハンコックちゃんに命狙われるわ」

 

 自身のお株を奪いかねない強力無慈悲な蹴りで、本気で襲いかかってくる海賊女帝は実に恐ろしいものだったと、サンジもかつてない程の生命の危機を感じたらしい。

 

「女ヶ島の女の子達に変な勘違いされるわ」

 

 ルフィの嫁発言で勘違いされ、モテ期が一瞬で終わりかけてしまったサンジはかなり焦ったものである。

 一応、誤解は解けたようだが、まだ怪しんでいる女の子も多少はいることだろう。

 

 そして、ローからのスカウトときての争奪戦勃発だ。

 

 今日一日で起きた事件にサンジはお疲れ模様。しかし、サンジに休んでいる暇はなく、一服したら気持ちを切り換えて計画を練らなければならない。

 

 麦わらの一味の頭脳(ブレーン)は大忙しなのである。

 

「疲れた…だが、ゆっくりと休んでる暇はねェな。ルフィもかなり回復したし、そろそろナミさん達に()()しねェといけないからな…ただ問題が1つ…」

 

 そう、計画に関してはそこまで入念に練る必要はない。ただ、サンジの懸念はその計画に必要な()()が揃っていない事なのである。

 

「ジンベエはいなくて当然だが…"()()"だけは、この計画には欠かせない」

 

 そう、サンジはすぐにでも再びマリンフォードに乗り込み、そして世間をまた賑わせるつもりなのだ。

 それは、前回の人生でルフィが"冥王"シルバーズ・レイリー、そしてジンベエと共にマリンフォードに乗り込み行ったとある事を、今度はジンベエの代わりにサンジが同行し行うつもりなのである。

 

 世間には、己達が新しい時代を作るという意思表示だと思い込ませ、真の目的は仲間達への伝言を届ける為。

 

 ただ、前回と今回ではエースが生存しているという大きな違いがある。しかし、この計画に関しては冥王が同行してくれたならば、その変化も大した問題ではなく、寧ろまったく関係ないだろうとサンジは考えている。

 

 世間は冥王の登場で、麦わらのルフィが次代の海賊王として冥王にまで期待されていると強く認識し、ルフィの意思表示というフェイクに注目し、真の目的には誰も気付けないとサンジは考えているのだ。

 

 そしてこの計画が成功すれば、サンジは()()()()()()()()にもなると考えているのである。

 恐らく、新しい手配書でサンジの存在をジェルマも把握しているはず。場合によっては、世界政府に掛け合いすぐに"ONLY ALIVE(生け捕りのみ)"と書き換えられる可能性もある。だが、頂上戦争後すぐにこれだけの問題を起こしたとなれば、これだけ世界政府と海軍に楯突いたとなれば、いくら世界政府加盟国の王族の頼みといえども聞き入れてもらえないはず。サンジはそう考えているのだ。

 

 ただ、その為にはやはり役者が揃わねばならない。

 

「問題はその冥王…ん」

 

 だが、その問題に関しては深刻に考える必要などないだろう。何故なら、彼らは天が常に味方している麦わらの一味。

 

 女ヶ島の海岸沿いから見える距離───"凪の帯(カームベルト)"で、大型の海王類がたった今()()に殺されたのである。

 

 そして、その人間は着実にこの女ヶ島へと向かっているようだ。

 

「へっ、タイミング良すぎだろ」

 

 だが、サンジはその人物に心当たりが───いや、見聞色の覇気ですでに誰なのか答えは出ている。

 

 年老いた存在といえど、その力は今も尚世界屈指であること間違いなし。

 

「いやァ参った…ん?おお!黒足!いや、今は違ったな…話題沸騰の"玄脚(くろあし)"」

 

 現れたのは、サンジが強く望んでいた人物で───

 

「ルフィ君がこの島で療養していると推測してやって来たが、やはり君もいたか。

 会いたかったぞ、玄脚…いや、サンジくん」

「…しばらくは野郎からのそういうのは遠慮願いたいんだが」

「ん?」

 

 ただ、お疲れ気味のサンジには、言葉を選ばねばならない。

 

 






一応、女ヶ島でのモテ期はたった数行で終わったけど、モテ期は終わってないよ。
寧ろ増してる?前回の記憶と経験のおかげで、すでに攻めの料理を習得しているサンジですが、それが今回の事態を招いています。
攻めの料理はカマバッカ王国フェロモン(男が男を寄せ付ける)を増させる作用でもあるのか?ルフィが今まで以上にサンジに胃袋を掴まれ執着し、ローもこれまでの人生で食べたおにぎりの中でも最高のぶっちぎり断トツNo.1のおにぎりを差し入れされ(しかもサンジのうっかりで、ローの大好物の焼き魚おにぎり)胃袋を掌握されてしまうという事態に…。

冥王からのサンジくん呼び。ルフィくんって呼んでるしね。この冥王はサンジに若き日の自身を重ねたり?
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