サンジは白馬に乗らず、自らの脚で駆け抜け囚われの姫を救う…かな。
少し前の原作で、久々に金獅子の名が出てきてたけど、再登場はあるのかなァ。
恐らく、それ関連の過去編は必ずやるだろうから若き日の金獅子が出てくるだろうけども…出てくるかな?
かつて、海賊王ロジャーと渡り合った伝説の海賊"金獅子"のシキ。
世が大海賊時代を迎えて以降、この20年もの間行方をくらませていた金獅子であったが、数ヶ月前に突如復活し、それ以降立て続けに騒ぎを起こしている。
新世界にて白ひげ海賊団傘下の海賊団を潰し、復旧が進むマリンフォードへの襲撃。
そして、海賊王ロジャーの故郷である
海賊は海の支配者であるべきという考えのもとに世界征服を目論み、伝説の海賊が今再びこの世界へと舞い戻り、そして世界に牙を剥く。
※※※
とある島に停泊する巨大な船───いや、戦艦とでも言うべきだろうか…。その脇には、小さな空島"ウェザリア"も浮かんでいる。
その戦艦には、ライオンのたてがみが生えたドクロ、その後ろに船の舵輪があしらわれている海賊旗が掲げられており、何者かは一目瞭然。
伝説の空飛ぶ海賊───"金獅子"のシキの海賊船だ。
しかし、その金獅子がどうしてこのような場所に留まっているのだろうか…。
「すげェ嵐だったな!到着があと少し遅かったら、おれ達もヤバかった!」
「だな。けど、その嵐のおかげで金獅子が足止めをくらい、しかも地上に…海に降りてくれやがった。これで、奴の船に乗り込める!!(つっても急がねェと…多分、ナミさんは
金獅子の海賊船から感じ取れる愛しい姫君の気配。
サンジはこれからサボと共に金獅子の海賊船へと乗り込み、ナミを助け出し、そして金獅子を撃破するつもりだ。
サボが共に行動してくれるのは、革命軍としても、
サンジとしても心強い、これ以上ない程の助っ人だ。しかも、金獅子が現在この海域で行動している情報を得られたのも革命軍のおかげで、革命軍には世話になりっぱなしだ。
「この一件が無事に片付いたら、近々…革命軍に礼をしないといけねェな」
「なら、サンジの料理が一番だろうな。きっと皆喜んでくれるはずだぞ」
「最高級のフルコースを用意してやる」
「そりゃあ楽しみだなァ」
これから伝説の海賊"金獅子"と一戦交えるというのに、この2人は余裕の感じ取れる表情を浮かべている。
決して、油断はしていないだろう。相手は年老いた存在───そのように慢心を抱いているわけでもない。
ただ、サンジもサボもお互いを信頼しているのだ。たった2人───されど2人。
「行くか」
「ああ。麦わらの一味の姫の奪還に行くとするか」
そう口にしたサンジの瞳がぎらりと怪しい輝きを放つ。それはまるで、獲物を前にした
*
金獅子のシキの海賊船内では、ウェザリアの気象学者達が馬車馬のように働かされている。
それは強制労働で、決して逆らうことなどできない。逆らったが最後、金獅子によって葬り去られるだろう。
「ジハハハハ!さすがはウェザリアの気象学者達だ!今の嵐に気付いたのはさすがとしか言えねェな、誉めてやる!」
つい今しがた去った嵐を、地上に───海に降りてやりすごした金獅子のシキは、その嵐に気付いた気象学者達を称賛する。ただ、その気象学者達の表情は浮かないものだ。
金獅子の"フワフワの実"は嵐を苦手としている。その欠点をカバーする為に、選りすぐりの気象学者達を集め───いや、強制的に自分の配下に置いている。金獅子という大海賊の力による恐怖での支配だ。
「ジハハハ、しかし…ウェザリアの学者達が手に入っただけじゃなく…あの"
金獅子がウェザリアの学者達ではない人物に目を向ける。その視線の先には、オレンジ色の髪の美女が柱にロープで縛られいた。
「ベイビィちゃん、そろそろ…教えちゃくれないかぃ?」
「ッ、誰がアンタなんかに!!」
「"
「ッ!?」
その美女が金獅子に楯突いた瞬間、金獅子から放たれるとてつもない威圧感───"覇王色の覇気"がその場にいた学者達の意識を次々と刈り取ってしまう。
世間から姿を消し20年。ブランクがあるとはいえ、かつて海賊王ロジャーや白ひげと渡り合った伝説の大海賊───その力は伊達ではない。
「はあ、はあ…う…」
「おっとっと、こりゃいけねェ。せっかく迎え入れた学者達の意識を刈り取っちまった。ジハハハハ!
それにしてもベイビィちゃん…今の覇王色によく耐えたじゃねェか!さすがは、今のルーキー世代No.1…"麦わらのルフィ"の
「わ…私…は…絶対にアンタなんかに…は…屈しない…わ」
「ジハハハハ!気の強い女は嫌いじゃないぜ!」
この美女───ルーキー海賊団"麦わらの一味"の航海士"泥棒猫"のナミだが、あの金獅子の覇王色に耐えた気力は称賛に値する。
しかし、金獅子を相手にその気力がどこまで持つか…。
「だが…その威勢もいつまで持つかな、ベイビィちゃん」
そんなナミに対し、歪で邪な笑みを浮かべる金獅子。
「これから"
「なッ!?」
「ジハハ、そう睨むな!ちょっと行って…
決して冗談ではない。金獅子ならそれも可能だろう。
全盛期の力に比べたら遥かに劣っているだろうが、それでも海賊王世代の四皇的存在。ロジャー、白ひげ、ビッグ・マムとしのぎを削った大海賊なのだ。
「白ひげのおかげで海軍の戦力は大きく削られた。今、おれの前に立ち塞がる敵はいねェ。またとねェ機会だ!!」
「や、やめ…て」
先のマリンフォード頂上戦争にて、世界は大きく荒れている。白ひげという抑止力が消え、黒ひげという脅威が誕生し、"インペルダウン"レベル6から凶悪犯罪者達が世に解き放たれてしまった。
この機を狙って、赤髪以外の四皇───ビッグ・マムとカイドウがどう動くかもわからないなか、金獅子にまで回せるような余裕は、今現在の海軍にはない。
そして、この機会を狡猾な金獅子が見逃すはずなど絶対にないのである。
海軍にとっては"平和の象徴"と称される一方で、海賊達にとっては"最弱の海"と蔑視される"
「宝目当てのミーハー共なんざ邪魔だ。この腐った新時代とやらを潰し、おれが海の支配者として君臨する!!」
海賊の本分は"支配"だと金獅子は豪語する。
「ジハハハハハハ!!」
抵抗する力もなく、故郷が大海賊に狙われるのをただ黙って見ているしかないナミは涙を流す。
その悲劇を、惨劇を───ナミはこれから目にしなければならない。何と酷いことか…。
ナミの頬を伝う一筋の涙…。
「…!…え?」
だが、その涙が下に落ちることはなく、
「!」
突如姿を現したその人物に、金獅子も驚き椅子から立ち上がる。まるで、
「ナミさん、泣かなくても大丈夫だ。絶対にあんなニワトリ野郎に好き勝手にはさせねェ」
「サン…ジ…くん?」
ナミの拘束を解いたその人物───サンジは、自分の足で立っているのが限界だったナミを優しく、壊れ物でも扱うかのように抱え、そして金獅子へと鋭い視線を向ける。
「テメエ…ニワトリクソ野郎。よくもナミさんに涙流させやがったな…絶対に許さねェ!」
かつてない怒りを覚えたサンジは、大海賊金獅子に殺気を───覇王色の覇気を放つ。
頂上戦争にてその資質に目覚め、ルスカイナ島でレイリーからの指導を受けるサンジは、まだまだ未熟ではあるが覇王色の覇気をコントロールできているのだ。
「ほォ…覇王色か。なかなかやるじゃねェか」
金獅子海賊団の下っ端達が次々と、サンジの威圧感に耐えられずに気を失い倒れてしまう。
だが、金獅子は余裕な笑みを浮かべている。
「麦わらの一味
「テメエの相手は俺で十分だ。船長が出る必要なんてねェよ」
「…ジハハハハ!ガキが生意気言いやがる!たかだか4億ベリー程度のガキが、おれ様を相手に自分だけで十分だと!?威勢のいいガキは嫌いじゃねェが…口には気を付けろッくそガキがッ!!【斬波】!!」
サンジの一言に不快感を覚えた金獅子は、そこが船内であることなどお構い無しに、サンジがナミを抱えていることすらも気にせずに、義足代わりにしている足の刀から飛ぶ斬撃を放ってきた。
ナミを抱えたサンジはこのまま戦うわけにもいかず、"
サンジに抱えられたナミは、本当のお姫様のようで───サンジはさながら白馬に乗った王子様か…。
いや、サンジは白馬になど乗らない。己のその脚で駆け、姫を守り抜く
「サンジくん…どうして…ここに?」
そのサンジに大切に抱えられたナミは、サンジがどうしてここにいるのかと聞く。
「金獅子の狙いがルフィである可能性が高い。それに気付いて、革命軍の力を借りて金獅子の居場所を探ってたんだ。ルフィには修業に集中してほしいから、俺とサボ…サボってのは革命軍の幹部候補でルフィのもう1人の兄なんだが、俺とサボ…革命軍で金獅子は対処しようって。まあ、それはいいとして、そしたら金獅子がウェザリアにいることが判明して…で、ウェザリアにはナミさんが飛ばされた可能性があるって思ってたら案の定ってわけさ」
「ど、どうして私がウェザリアにいることが?」
サンジの言っていることが予想外すぎてなかなか話についていけてないナミではあるが、一番気になったのはそこだろう。
ナミは、金獅子に捕まってしまった時点で死を覚悟していたのである。もう仲間達にも二度と会えないだろうと思っていたのだ。まさかサンジが助けに来てくれるなど───予想できるはずもない。
「それについてはとりあえずあとで説明するよ」
このような質問をされた場合の答えはサンジのなかですでに決まっている。安易なものではあるが、納得はしてくれるだろう。
ただ、今はそれよりも大海賊だ。
「小僧…お前、相当強いな。懸賞金額以上の強さを感じやがる」
「さてな」
金獅子もそれがわかっているからなのか、ふざけた態度を見せることなく、真剣な表情を浮かべている。
睨み合う話題沸騰のルーキー海賊と伝説の大海賊。
金獅子が再び仕掛けようと動き───だが次の瞬間、金獅子の海賊船が大きく揺れる。
「何が起きたァ!?」
「シ、シキ様!砲撃を受けています!!」
「砲撃だと!?いったいどこの誰だ!まさか麦わらの一味か!?」
「そ、それがッまさか…そんなッ…"革命軍"です!!」
「革命軍だと!?」
金獅子の海賊船に砲撃を撃ち込む革命軍。いきなり現れた予想外の相手に、金獅子も理解できていない様子だが、不敵な笑みを浮かべるサンジを捉え理解する。
「ちぃ!麦わらのルフィは革命軍のドラゴンの息子だったな!!頂上戦争に息子が乗り込んでも姿を見せることがなかったようだから油断しちまってたぜ!!」
ただ、金獅子ですら警戒している"世界最悪の犯罪者"革命軍総司令官ドラゴンはこの場所にはいない。
「確かにルフィはドラゴンさんの息子だが…おれの大切な弟だ。ルフィには指一本触れさせねェ」
「ぬっ、テメエは!!」
金獅子の海賊船に乗り込んだのは、サンジともう1人───サボだけだ。
「どうやら間に合ったか。"グランドライン軍"軍隊長と"東軍"軍隊長様のお出ましだ!」
「へッ、お前と俺だけでも十分だったと思うがな」
「まあ、そう言うな…
生まれこそ違うが、サンジにとっても
その大切な場所を失うわけにはいかない。
「チッ!クソガキ共がァ!!」
「年寄りが無理したところで、ろくなことにゃあならねェぞ。つっても、テメエが年寄りだからって容赦しねェ…テメエはやっちゃならねェことをやったんだからな」
すると、ナミを抱えるサンジの手に少し力が入ったことにナミが気付く。
女を泣かせた罪は重い。その女が、ナミであったことがサンジの逆鱗に触れ、かつてない怒りを感じさせている。
「ハッ、知ったことか!おれァこの海の支配者だ!支配者たるおれ様にやっちゃならねェことなんざねェんだよ!!」
「そうかよ…ナミさん、悪いけどここでジッとしててくれ…あの害悪を処分してくるから」
「サンジ…くん?」
ナミを優しく座り込ませたサンジは、気付くとその場から姿を消していた。
パッと、光が一瞬だけ───
「ッ!?」
「とっておきの苦味を味わいやがれ!
【
金獅子の背後へと一瞬で回り込んだサンジは、脚を滑らかにしならせ、目にも止まらぬ速さで鞭のような特殊な蹴りを金獅子の背中へと叩き込む。
するとその瞬間、けたたましい轟音が鳴り響いた。
それはまるで光の速さで打ち込まれた鞭の一撃。じわじわと、金獅子の背中に伝わってくる激痛。
「ぐわあぁぁぁぁぁ!!」
「苦味が効きすぎたか…だが、まだまだ足りねェな。
【
そして、追い討ちとばかりに真上に飛んだサンジは落雷の如く急降下し、金獅子の脳天に強烈なかかと落としを叩き込む。
サンジの脚から放たれる電撃はまさしく雷が地に落ちたかのような光景だ。
【
怒れる
ストロングワールド見直したりしてました…………すみません、それは本当なのですが、この作品での2年後サンジを妄想してたら、マトリックス見たくなってそれ見るのに夢中になって執筆の手が止まってました。すみません。
わたくし的なイメージとして、この作品での2年後のサンジの服装は、マトリックスのキアヌ・リーブスというかネオというか、リローデッドとレボリューションのロングコートが似合うんじゃないかというイメージ。
足技得意だし!!一作目のネオ VS モーフィアス、跳躍しながらの3連キックとかカッコ良かったなァ。