戦う炎の料理人   作:ドミネーター常守

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良いとこ少ない新世界編のサンジだけど、サンジの得意な見聞色の覇気は実際どうなんだろうか…。

深く言及はされていないけど、結婚式でカタクリの放ったジェリービーンズを避けれたのはサンジの見聞色の凄さを物語っているようにも思えたりしております。

カタクリは未来視開眼している相手だし。



この海で最も恐るべき恐力

 

 

 ルフィを追いかけるサンジがルフィを発見するも、それと同時に彼の目に映ったのはルフィの前に立ち塞がる男───七武海最強にして、世界最強の剣士"鷹の目"のミホークだった。

 

「マリモがボロ負けした鷹の目…だが、今なら奴の凄さがハッキリとわかっちまう。

 同じ七武海でも、あのフラミンゴ野郎とは桁違いの強さだってのがビンビン伝わってきがやる。まったく嫌になるぜ」

 

 前回の人生でモリア以外の七武海のメンバー2人、"天夜叉"ドンキホーテ・ドフラミンゴ、"暴君"バーソロミュー・くまと戦闘経験のあるサンジは、戦地にて黒刀を抜いた鷹の目を目の当たりにし、世界最強の剣士の強さをハッキリと感じ取っているようだ。

 

 だが、相手が世界最強であろうと、船長のピンチに駆けつけないわけにはいかない。

 

 (ソル)でルフィと鷹の目の間に移動したサンジは、ルフィに襲いかかる世界最強の黒刀を黒刀並の強度と鋭さに強化した黒足で受け止める。

 

「【"武装鋭化"堕天使風脚(アンジュ・デシュ・ジャンブ)】!!」

「サンジ!?」

「ほう…麦わらの仲間の黒足か。おれの一太刀を受け止めるとは…その黒足、まるで黒刀のようではないか。大したものだな」

「ッ、そりゃどうも。(つっても、こんな威力の斬撃を何度も受け止めるのは無理だぞ!?足が切り落とされなかっただけでも驚きだ!!)」

 

 いざ受け止めてみた世界最強の一撃はどこまでも強く、その強大さにサンジは気圧されそうになる。

 それでも、サンジは引くわけにはいかない。

 

「【点火(フランベ)最上級挽き肉(エクストラアッシ)スピア】!!」

 

 サンジは両足を使って鷹の目の一点に集中的に蹴りを放つ。その蹴りは一撃放つ度に黒炎が上がり爆発的に威力を増していく。その上、武装色の覇気で鋭化させた足による蹴りは、まるで槍の一突きのように鋭いものだ。

 

「貴様が剣士だったならば、相当な実力を有していそうだ」

「へっ!俺はコックなんでね。手は一切、戦闘には使わないって決めてんだよ!!」

「なるほど。だが、これほどの実力を有するコックなどなかなか居るまい。貴様ら麦わらの一味はやはり面白い」

 

 サンジの鋭い蹴りを全て防ぎきった鷹の目はまだまだ余裕そうな表情で、そして心底嬉しそうに笑みを浮かべる。

 鷹の目が期待している麦わらの一味の()()がこの場所にいないことは残念だろうが、次に会った時は()()()()に心踊る戦いになりそうだと、鷹の目は期待に満ちた目をサンジとルフィに向けていた。

 

 いや、サンジとルフィを通して()()()()()()()に向けているのである。

 

「くっ、世界最強の剣士の強さはとんでもねェな」

「こんな強い奴とやり合ってる場合じゃねェのに!!」

 

 だが、楽しんでいる鷹の目とは違い、サンジとルフィは大剣豪と戦っている場合ではない。

 強者蠢くこの戦場では仕方ないことではあるのだが、その強者達の中でも鷹の目は別格なのだ。

 

「ルフィ、お前はここから抜けることだけに集中しろ。ほんの一瞬…その時間を作る」

「…わかった。おれはサンジの指示に従う」

 

 サンジが稼げる時間はほんの一瞬。ルフィはそれを信じ、ただひたすらに走るだけ…。

 

「話し合いは終わったか?」

「へっ、通させてもらうぜ鷹の目」

「通れるなるば通ってみろ」

 

 その瞬間、ルフィが全速力でその場から走り去った。

 

「残念ながら射程範囲だぞ」

 

 その言葉通り、そして器用にルフィのみを狙って飛ぶ斬撃を鷹の目が放とうとする。

 だが、ルフィはサンジが攻撃する為の囮であり、そして───

 

「させっかよ!

堕天使風脚(アンジュ・デシュ・ジャンブ)・メテオスラッシュ】!!」

 

 素早く上空へと飛び上がっていたサンジが、鷹の目目掛けて黒炎を纏った無数の飛ぶ斬撃を隕石の如く放つ。

 

 その斬撃に対し鷹の目も飛ぶ斬撃を放ち応戦する。そして生まれるほんの僅かな時間。

 サンジが全力の攻撃を放つ為のほんの僅かな時間を稼ぐ為にルフィが囮となり、そこからほんの一瞬だけサンジへと意識を向けさせ彼が囮を代わることでルフィはその場から走り去る。

 

 互いが互いに囮となることで生まれたほんの僅かな時間。ただ、それは全てルフィを先に進める為のもの…。

 

「どこまでも船長に忠実で、どこまでも船長を支える男だな。貴様といい、ロロノアといい、麦わらは船員(クルー)に恵まれてるじゃないか」

 

 船長が己の目的のみに集中できるように、降りかかる火の粉はサンジが請け負い、そして払うのだ。

 

「へっ、俺の船長は誰よりも自分勝手で自由奔放な奴だからな。俺達船員(クルー)が支えてやらねェといけねェんだよ!」

 

 鷹の目に対してそう言い放つサンジだが、それは紛れもない事実。しかし、サンジ含む一味の全員がルフィに魅了され、そして心から支えたいと思っているのである。

 

 ルフィが何れ海賊王になることを信じ、それを誰一人として疑ってなどいないのだ。

 

「そうか。黒足…麦わらはお前のおかげで先へ進むことができた。そこは誉めておこう。だが、1つ聞いておく…お前はここから先に進むことができるのか?今の麦わらにとって、貴様の力は"火拳のエース"を助ける為に必要不可欠だ。その力を失えば…奴はどうするのか…」

「ッ、うおッ!?」

 

 一呼吸置いた鷹の目が黒刀を一振り───それを身を逸らして避けるサンジだが、大剣豪のその一振りは氷塊を切り裂き、サンジをその先には進めさせるつもりはないようだ。

 

 鷹の目の言うとおり、今のルフィはサンジの助力なくしてエースのもとに辿り着けるかは怪しい。

 ジンベエ、イワンコフ、白ひげ海賊団の助力もあるが、この戦場でそれを常に期待するのはナンセンスだ。

 

「まだまだだ…黒足」

 

 黒足のサンジという力を失った麦わらがこの先に進むことができるのか…。そして、サンジ自身もこの戦場で生き抜くことができるのか───鷹の目に試させれている。

 

「ビスタ!援護しろよい!!」

「了解!任せとけッ!!」

 

 しかし、白ひげ陣営にとってのサンジとルフィという存在はすでに欠かすことのできない戦力として認識されている。

 

 能力や技ではなく、その場にいる者達を次々に己の味方につける不思議な魅力。その魅力がルフィからサンジへと伝染し、この海で最も恐るべき力となり発揮されるのだ。

 

 不死鳥のマルコの指示で助太刀に入った剣士が鷹の目の相手を代わってくれたことでサンジは鷹の目の凶刃から逃れ、その場から素早く走り去る。

 

「…白ひげ海賊団5番隊隊長"花剣のビスタ"」

「お初に鷹の目のミホーク。黒足の代わりに俺が相手になろう」

 

 麦わらの一味。それは一味全員が不思議な魅力を持ち、不思議と手助けしたくなるような───その不思議な魅力は鷹の目が危惧するように強大な力となりて、この戦場にてその真価を発揮していた。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 マリンフォードに於て勃発した白ひげ大艦隊 VS 海軍本部、王下七武海の頂上決戦はますます熾烈を極めている。

 

 海軍が戦場に新型兵器"パシフィスタ"を投入したことで、白ひげ陣営に向いていた流れが変わりつつあるのだ。

 

 海軍の天才科学者Dr.ベガパンクが開発したサイボーグが白ひげ傘下の海賊達に猛威を奮い戦力を削っているのである。普通の銃や刃物ではまったく通用しない頑丈な身体を持ち、鉄を溶かす程の高熱のレーザー光線を両掌と口から照射する事ができる通称"PX"。

 

 白ひげの機転により、湾内に追い詰められ一網打尽にされるという最悪の事態は避けたようではあるが、状況はあまり芳しくない。

 

 海軍はパシフィスタ投入の他に、何かを仕掛けてこようとしているのだ。

 

 火拳のエースの処刑も、すぐにでも決行されそうな雰囲気である。

 

「はあ、はあ、エースがやべェ。急がねーと!!」

 

 息を切らしながらも、体に鞭を打って前に進むルフィ。だが、またしてもルフィの前に立ち塞がる人物がいた。

 

「!?」

「振り出しに戻りなよォー…」

 

 この局面で間の抜けた喋り方をしてくるのがまた苛立たしい大将・黄猿である。

 

「ぶっ!?」

 

 光速の蹴りで吹き飛ばされるルフィ。誰かが受け止めてくれなかったならば、本当に振り出しに戻されそうな勢いだ。

 

「ルフィくん!!」

 

 魚人のジンベエが受け止めてくれることでほんの僅かしか吹き飛ばされることなく事なきを得るが、立ち塞がる黄猿を前に立ち往生といった様子だ。

 

 ジンベエも黄猿が相手では───

 

「しつこい男は嫌われんぞ!

堕天使風脚(アンジュ・デシュ・ジャンブ)・三点スラッシュ】!!」

「黒足ィ、鷹の目と戦ってたんじゃなかったのかぃー?」

 

 鷹の目は今、花剣のビスタと戦っているところ。そのおかげで抜け出すことのできたサンジは当然、ルフィのもとへとやって来た。

 

 途中、パシフィスタに襲われるも、首をへし折り返り討ちにしてきたところだ。

 

「ちっ、さすがは大将…()()()負っちゃいねーか」

 

 黒刀の如き切れ味を持つサンジの堕天使風脚によって繰り出された破壊力、殺傷能力の高い蹴り。だが、それを受けても黄猿は無傷。

 

「あー」

 

 ただ、地面に焼け焦げた黄猿の()()()()()()()()が落ち、所々()()()()()()()()()()おり、黄猿は少し驚いた様子を見せ、そして口を開く。

 

「このスーツとネクタイお気に入りなんだけどねぇー」

「へっ、俺からしたら趣味悪いぜ」

「しかもパシフィスタも数体オシャカにしてくれちゃって…アレ、1体作るのに軍艦一隻分の費用がかかってるんだけどねぇー」

「なら、全部壊したら結構な失費だな」

 

 軽口を叩くサンジではあるが、一筋の汗が頬を伝う。犇々と伝わってくる威圧感。これまで黄猿から放たれていたものとは明らかに違うもので、これまで手加減されていたということを理解させられていた。

 

「随分と速さに自信があるみたいだけど…わっしの速さに勝てるつもりなのかィー?」

 

 黄猿がそう口にしたその瞬間、光速の蹴りがサンジへと襲いかかる。だが、見聞色の覇気でそれを読んでいたサンジは───いや、読んでいたところで体が光の速さに反応してくれるかは別問題。しかし、サンジは見聞色の覇気が変質することによって覚醒した動体視力と突出した反応速度のおかげもあり、それを左足で防ぎきり、そのまま体を錐揉み回転させながら飛び上がったサンジは強力なカウンターを仕掛けた。

 

「くらえ!

堕天使風脚(アンジュ・デシュ・ジャンブ)串焼き(ブロシェット)スピア】!!」

 

 そのドリルキックは堕天使風脚の切れ味も加わることで破壊力抜群だ。

 

「おっとっと」

「くそッ!!」

 

 だが、サンジが戦っている黄猿は、そう簡単にカウンターを受けるような相手ではない。

 黄猿の頬に()()()を作った程度だ。

 

「油断はしてないつもりだったんだけどねェー。心のどこかにルーキーに対する考えの甘さが残ってたかなァ」

「千載一遇のチャンスを逃した気分だぜ。つっても、この程度で勝てる大将なわきゃねーがな!!」

「どうやら、()()()()()()()()を相手にしてるなんて思わない方が良さそうだねェ」

 

 黄猿がサンジを強敵として認め立ち塞がる。

 

 大将に強敵として認識されたことを喜ぶべきなのか悲しむべきなのか…。サンジは冷や汗を流しながら気を引き締め直す。だが、本気の大将が相手など───サンジにとって絶体絶命、窮地に追いやられている。

 

「立ち止まるな!エースの弟、黒足!!大将1人だけに足止めくらっているようじゃエースは救えないぞ!」

「おお!?隊長達!ありがたい!!」

 

 しかしそこに、白ひげ海賊団の隊長達がサンジとルフィの加勢へと駆けつけ窮地を脱するのだ。

 

 隊長達の登場にジンベエすらもホッと一息吐いている。

 

 それでも、この戦争はまだまだ熾烈さを増そうとしていた。

 

 






実際のところ、鷹の目はどれくらい強いのか。懸賞金はいくらなのだろう。

ふと思ったのですが、料理人は手が命…それ故にサンジは戦闘に於て手を使わない。ただ、それだと料理人だけではなく、医者もそうなのでは?現実では、外科医は手が命だし。
ONE PIECE世界の医者は全てオールマイティーにこなしてるけども、チョッパーとか普通に拳でハンマー殴ったりしてるけど大丈夫なの?www
ローさんも片腕切断されちゃってるし…そんなことを思ったり。

見聞色に未来視という上の次元がありますが、サンジはそれが変質し動体視力にも影響が出ております。
どこぞの心を写す瞳のように?

武装色で鋭化させた堕天使風脚には、切る"スラッシュ"と突く"スピア"があります。

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