戦う炎の料理人   作:ドミネーター常守

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プリンちゃんの第三の目の真の力って何ですかね?

まさか夫(サンジ)が炎扱えるから、プリンちゃんは邪王炎…んなわけないか…。



Dが呼ぶ嵐

 

 

 舞台は広場へと移り変わり、世紀の大決戦は激化する。

 

「野郎共ォ、エースを救い出し海軍を滅ぼせェェ!」

 

 白ひげサイドが広場へと乗り込み雄叫びを上げる一方、反対サイドからエース救出へと向かうサンジとルフィ達。

 

「おいおい、あくまでエースの救出が目的であって海軍滅ぼしちゃ…つっても、この戦場に降り立った時点で生きるか死ぬかの瀬戸際みてェなもんだからな…甘いこと言ってられねェか」

 

 海軍が滅びてしまったら市民達の平和はどうなるのか───サンジはこの局面で甘い言葉を呟きそうになるも、その言葉を引っ込め心を鬼にする。

 

 己は海賊であるのだと、麦わらの一味のコックで、船長のルフィを支え、守る為にここに来たのだと自分に強く言い聞かせていた。

 

「ルフィ、お前にとっての海賊王って存在は他の奴らにとっての海賊王とは違ったよな」

 

 少し先を走るルフィの背中を眺めながら、サンジは自分がやるべきことを改めて確信するのである。

 

「この世でもっとも自由な奴…お前はそれでいい、そのままでいろ。絶対に変わるんじゃねェぞ船長。

 お前の進む道に横やりを入れてくるクソ野郎も、背後から襲いかかってくるクソ野郎も全部、俺が…()()がぶっ飛ばしてやる。お前はただ、自分の思うがままに前だけ見て突き進め。目の前に立ち塞がる(強敵)だけに集中し、それをぶっ壊して前に進め」

 

 未来の海賊王"麦わらのルフィ"の矛となり、時には盾にもなり、ルフィに襲いかかる全ての障害を蹴り飛ばし、破壊し、ルフィの走る道を切り開くのだ。

 

「おらァ!麦わらのルフィのお通りだ!!引っ込んでろクソ野郎共ッ!!」

 

 船長の支えとなり、船長が己の思うがままに進めるように他の全てを請け負うその姿───サンジはこの戦場にて一皮剥け、大きく成長するのである。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 白ひげが傷を負い、海軍の策略により危うく内部分裂を起こしかけた白ひげ陣営ではあったが、白ひげが戦場に舞い降り自ら悪い流れを断ち切り、サンジの機転によってすっかり勢いを取り戻すどころか益々勢いを増す白ひげ陣営とルーキー海賊2人を筆頭とした御一行。

 

 海軍最高戦力の大将達も白ひげを筆頭としたトップ3含む隊長達数名を相手にする状況となっており、元帥センゴクにとって実に苛立たしい状況だろう。

 

「【小悪魔風脚(プティ・ディアブルジャンブ)そぎ切り(コポー)】!

 へっ、やらせるかよ!!」

「エーーースゥーーー待ってろォ!!」

 

 執行人の2人がエースの処刑を執行しようと刃を振るうも、サンジは鋭い飛ぶ斬撃でそれを阻止する。

 鋭いその攻撃は処刑台の一部を削ぎ、センゴクの衣服の一部すらも削ぎ落とし、決して海軍の思い通りにさせることはない。

 

「……」

 

 そして、その光景を目の当たりにしながら、火拳のエースは複雑な気持ちを感じると同時に、これ以上ないほどの安心感を覚えてしまっていた。

 

「ルフィ…黒足…」

 

 弟であるルフィが助けに来たのはわかる。本当は来てほしくなかっただろうが、昔から無茶をする義弟のことなのだから、エースの処刑を知ったら大人しくなどしていられないだろうということは火を見るより明らかだ。

 

 だが、その弟であるルフィの仲間───その内の1人だけではあるが、その仲間までどうしてここに来ているのか…。

 

 たった一度会っただけの関係でしかないサンジがどうしてこの戦場に…。死ぬかもしれないのにどうして…。

 

「オラァ、ルフィの邪魔すんな!三枚におろすぞ!!」

 

 立ち塞がる海兵を蹴り飛ばし、時には蹴りで切り裂き、果てには燃やしながらルフィの道を切り開く強力な義弟の仲間。

 

「どけェ!エースはおれの兄ちゃんなんだよ!!絶対に殺させねェ!!」

 

 そのサンジをどこまでも信頼し、ただひたすらに真っ直ぐ処刑台を目指すルフィ。

 

「ルフィ、お前は船長として立派にやってんだな」

 

 弟の成長した姿、その弟を支えてくれる仲間の姿を目の当たりにし、兄であるエースは改めて───初めて麦わらの一味の面々と出会った時以上の強い安心感を覚え、そして全てを受け入れる。

 

 己を助けようとしてくれる仲間達の姿に生きたい気持ちが増しながらも、大切な弟の姿に安心感を覚え、エースはただじっと己に来るべき運命を待つのだ。

 

 それが、どのような形になろうとも…。

 

 

 *

 

 

 何かを察知したサンジがルフィを手で制止して動きを止める。

 

「なんで止めんだよサンジ!?」

「…ちっ、()()なのが出てきやがったぜ」

 

 広場へと移り、更に熾烈さを増すこの大戦争。当然、サンジとルフィの行く手を阻む敵も強さを増していく。

 中将クラス以上の猛者が現れるのも当然のことだ。

 

「フッフッフ、シャボンディ諸島でおれの"人間屋(ヒューマンショップ)"をオシャカにしてくれたらしいじゃねェか…麦わら、黒足」

「どけよッ!!

【ゴムゴムのツインJET(ジェット)(ピストル)】」

「フフフフフ…速い…が、パワーが足りねェな。この程度じゃこっから先は進めねェぞ、ルーキー」

 

 ルフィの強力な拳が炸裂するも、それを受けてもまったくダメージを負っていないその男───

 

「テメエの相手は俺だ!!」

「黒足かッ!!」

「(()()は返させてもらうぜ!)

堕天使風脚(アンジュ・デシュ・ジャンブ)焼鉄鍋(ポアル・ア・フリール)スペクトルスピア】」

 

 前回の人生に於いてサンジが苦渋を飲まされた相手───"悪のカリスマ"、七武海で最も危険とされるドンキホーテ・ドフラミンゴに鋭い槍と化した足で、踏みつけるようにして蹴りを放つ。

 

 奇しくもその技は、前回サンジがドフラミンゴに放ち傷一つ負わせることのできなかったものだ。

 

「ぐっ!」

 

 だが、同じ轍を踏むはずがなく、前回とは大違いの威力だ。

 

 黒炎を上げる黒槍(黒足)の連続の突きが"天夜叉"ドフラミンゴに傷を与える。

 

「こ…のックソガキがァ!!

五色糸(ゴシキート)】!!」

 

 常に不敵な笑みを浮かべるこの男の眉間に深いシワが刻まれているその様からも、サンジに激しい苛立ちを覚えているのは明白だ。

 

 傷を見る限りそこまで深くはないが、それでもサンジがドフラミンゴに傷を与えることのできる実力を───同等の力を有しているのは確かな事実としてドフラミンゴのその身に刻まれているのである。

 

 だが、相手は七武海。体の一部を貫かれ焼かれようとも、それだけで倒れる相手ではない。

 

「ぐわッ!?」

「な、何をするドフラミンゴ!!」

「気でも狂ったか!?」

 

 しかし、サンジはドフラミンゴの反撃を察知しており、すでにその場には居らず、近くにいた海兵達が身代わりとなり切り裂かれていた。

 

「クソッ!あのガキどこに…ッ、上か!?」

 

 素早く空中歩行で上空に舞い上がっていたサンジは、地上に向けて舞い降りる。

 

「おれの上に立つとは…クソ生意気なガキだ!!」

「へっ、それが俺の…俺達麦わらの一味だ!!

【空中歩行・落雷(サンダーボルト)】」

 

 空中から地上に向け空中歩行を行使し急降下するサンジ。それはさながら、舞い落ちる雷のようで───

 

「は、速ッくっ!

【蜘蛛の巣がき】!!」

 

 蜘蛛の巣状の糸を張り巡らせ瞬時に防御へと転じるドフラミンゴ。この一瞬でそれに反応できるのは、さすが七武海の実力者といったところ。

 

「【"武装鋭化"堕天使風脚(アンジュ・デシュ・ジャンブ)点火(フランベ)…】」

 

 高い防御力を誇るドフラミンゴの蜘蛛の巣。しかし、落雷の如き急降下に回転力をプラスしたサンジのそれは容易く焼き切り、地へと振り落とされる。

 それはもはや蹴りではなく、ギロチンのようで───

 

「くらいやがれ!

粗砕(コンカッセ)】!!」

 

 身の危険を感じたドフラミンゴはその場所から素早く撤退し、距離を取る。

 

 その光景───一瞬すぎる攻防は、ドフラミンゴがルーキー相手に逃げたと思われても仕方ないものだ。

 

「うおっ!?」

「なッ!?な…んて威力だ!!」

 

 ただ、蹴り一つで地面を大きく割り、黒炎を燃え上がらせるその衝撃的な光景に、周囲の者達が手を、足を止めてしまう。ドフラミンゴの行動に納得せざるを得ないだろう。

 

「ちっ、避けやがったか…つっても、今はあんな奴の相手してるとこじゃねェからな!ルフィが()()()!!」

 

 ルフィのピンチを察知したサンジは素早くその場から立ち去って行く。ドフラミンゴなどお構い無しに───借りはこれで十分に返したつもりのようだ。

 

 そして、立ち去るサンジの背を眺めながら、あんな一撃をくらっていたらと海兵達は背筋を凍らせ唖然としている。

 

「フッ…フッフッフ…フフフフフ!!」

 

 だが、誰よりも身の危険をその身を持って味わった人物───ドフラミンゴは体の至る箇所から血を流しながら不気味な笑い声を上げるのだ。

 

「クソガキが…"()"は余計なことしやがる」

 

 Dはまた必ず嵐を呼ぶ。

 

 極一部の者達がたまにその言葉を呟く時がある。恐らく、"D"に隠された何かをドフラミンゴは知っているのだ。

 そして、ドフラミンゴが思い浮かべているDとは、今この場に於いてモンキー・D・ルフィしかいないだろう。

 

 サンジの船長である麦わらのルフィ。もし、ルフィが本当に嵐を呼ぶ者なのだとしたら、サンジは───そして麦わらの一味全員が嵐となるということか…。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 懸賞金3億ベリーの超問題児ルーキーに襲いかかる海軍の猛者達。

 

「ウゥ!!」

 

 ルーキーでありながら、よくもここまで戦場をひっかき回してくれたものだと、その猛者達もある意味感心してはいる。

 しかし、ここから先はもう───

 

「その度胸だけは認めてやってもいいけど度胸だけじゃねェー、麦わらのルフィ」

 

 地に倒れ込んだルフィを見下ろす大将・黄猿は、もはや指一本動かせぬルフィを蹴り飛ばす。

 

「ルフィくん!!」

 

 そのルフィを受け止めるジンベエ。

 

「オオ…ジンベエ。おめェともあろう男が…そんな無謀なだけのゴミクズに協力するなんてねェー」

「黄猿ッ貴様ァ!!」

 

 兄を救う為だけに無理に無理を重ねてこの戦地にまでやって来た勇敢なルフィを侮辱する言葉にジンベエも怒りを露にする。

 

 だが、敵である黄猿が何を言おうともそれは当然なのだ。

 

 ルフィが───己が海賊で、相手が海兵である限り…。

 

「ジンベエ!安い挑発に乗んな!!」

「黒足!!お前さん、ドフラミンゴとやり合って無事じゃったのか!?」

「倒しちゃいねェがな。適当なとこでとんずらして来た。それよりもルフィは…ルフィ、生きてっか!?」

 

 ジンベエに声をかけ、その腕に抱えられたルフィへと声をかけるサンジだが、対するルフィはすでに戦う力など残っていない状態だ。

 

「麦わらボーイ!だから言わんコフッチャナッシブル!!あまり無茶するなってあれほどッ、息はあんの!?」

「イワ…ちゃん…はあ…はあ…エー…ス…を…助け…ねェと…エースは…おれ…の…世界で…たった…1人…の…兄弟…なんだ…必ず…おれ…が…助け」

 

 ルフィを心配しそばに駆け寄るイワンコフ。だが、イワンコフの見立てでも、ルフィにこれ以上の戦闘は無理だと判断せざるを得ない。

 気を失って倒れ込んだルフィだが、下手をしたら命すらも危ういギリギリの状態なのである。

 

「ルフィくん…イワンコフ…それから船医の者…何とかルフィくんの命を繋いでくれ」

 

 そんなルフィの意思を引き継ぎ、ジンベエが前へと出た。

 

「ルフィくんをよろしく頼むぞ。わしはここを死に場所と決めておる。この命に代えて…エースくんを救い出す!!」

「おめェも物好きだねェ…けど、向かってくるんなら容赦はしないよォ」

「わしもそのつもじゃ!!」

 

 ジンベエが黄猿へと仕掛けると同時に、傘下の海賊達も次々に攻撃を仕掛けていく。

 相手は大将含む猛者達───その力は強大で、あまりにも高い壁として聳え立っている。

 

 その局面を前に、倒れたルフィを前にサンジはどのような行動にでるのだろうか───

 

「おい、イワ」

「黒足ボーイ、アンタは麦わらボーイのそばに」

「いや…俺はルフィが()()した時、少しでも敵が減っているように暴れるぜ」

「は!?」

「ルフィが復活したら()()()()()()()

 

 そう言って、サンジは斜めがけしていたバックをイワンコフへと渡す。そのバックの中に入っているのは言わずもがな───ルフィのエネルギー源であり大好物だ。

 

「に…肉…」

 

 気絶しながらも匂いを感じ取ったルフィは、ポツリとそう呟いた。

 

「任せたぜ。

 ジンベエには挑発に乗んなっつったが…あの野郎、言ってくれやがるぜ」

 

 サンジは前へと進み、そう口にする。

 

 闘志がめらめらと燃え上がり、そしてサンジの怒りは最高潮へと達するのだ。だが、怒りを上手くコントロールできるサンジは、その怒りで我を忘れずに力へと変える。

 

「口には気をつけやがれ…俺は怒りでヒートアップするクチだぜ」

 

 走り出すサンジ。だが、その様子はこれまでと一味も二味も違い、そして様子がおかしい。

 醸し出される雰囲気は静かで───しかし、放たれる威圧感はどこまでも重く…。

 

「未来の海賊王に何様だクソ野郎共ッ!!」

 

 その瞬間、サンジの威圧感が解放され、周囲の海兵の意識を刈り取ってしまう。

 

 モンキー・D・ルフィの嵐となり、サンジが猛進する。

 

 






ドフラミンゴのイトイトの実って、どうしてあんなに強いんだろうか…。
鳥かごとか何なの?ゾロや藤虎ですら斬れないって…それなのにバギーはバラバラの実で通過できるらしいwww

今回のタイトル。Dが呼ぶ嵐とはサンジのことを意味しております。

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