戦う炎の料理人   作:ドミネーター常守

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サンジがどうして燃えるのか…もう大器晩成型のジェルマだったのだと思ったりもしている今日この頃…。



この時代の先を…

 

 

 サンジが覇王色の覇気を発現し、周囲にいた海兵達の意識を刈り取ったその光景に、敵はおろか、味方である白ひげ陣営の者達ですらも衝撃を受けている。

 

 ただ、誰よりも驚いているのはサンジ本人であろう。自身はどうあっても覇王色の覇気を発現することはないと思っていたのだから…。自身には王の資質などはない───ただ、海賊王の支えであろうという強い気持ちしか持ち合わせていないのだから当然だ。

 

 しかし、それを発現したということは、本人の見解とは違ってその資質があったということだろう。

 

 サンジは一度は死に、そして過去に戻ったことで、前回以上にルフィの支えであろうという気持ちが強くなった。そしてそれと同時に、船長が自分の思うがままに前だけ見て進めるように、前回の人生のアドバンテージを活かして他の仲間達を()()()()()()()()()という、サンジ本人はそこまで大それたことだと思っていないだろうが、他者から見たら立派な導き手───"()()()()()()()"という新たな想いが生まれていたのだ。

 船長を支え、そして時には船長の代わりとして仲間達を守り支えるという強い想い。それは、一味のNo.2───副船長という立場に重要な力と才能ではないだろうか…。

 

 サンジ自身、麦わらの一味のコックで在ることに強い誇りを持っていることもあり副船長になろうとは考えてもいないだろうが、戦力面だけではなく頭脳面に於いても一味に必要不可欠なサンジはその器と言える。

 

 ルフィが未来の海賊王ならば、サンジは第二の"()()"となる人物なのかもしれない。その資質が、今ここで開化したのだ。

 

「へっ…こいつは驚きだ…けど、まだまだ上手く扱える気がしねェ」

 

 驚愕しながらも不敵な笑みを浮かべるサンジは、そのまま走り出し再び死闘へと身を投じる。

 

 この戦争は───時代の節目となろうとしていた。

 

 そして、新たな時代の───いや、"D"が再び嵐を呼ぶ前触れ、これは嵐の前の静けさなのだろう。

 

「イワちゃん…」

「ヴァ、ヴァナタ意識がッ!?」

「頼…む…おれに…もう一度だけ…戦う力をくれ!!」

 

 Dは何度でも立ち上がり、決して折れることはない。

 

「ウォォオォオォオォ!!イワちゃん!肉ッ!肉よこせッ!!」

 

 再び立ち上がったルフィは、サンジがイワンコフに預けていた力の源である肉を口にする。

 

「これまで以上に力が漲ってくる!やっぱサンジのメシは最高だッ!!」

 

 ルフィの力の源は肉ではなく───そう、サンジの愛情がたんまりと込められた料理だ。

 そして、攻めの料理法を用いて用意されたそれはルフィに無限大の力を与えるのである。サンジはどこまでも、ルフィの身も心も全て支えているのだ。

 

「もう絶対に…倒れねェ!!」

 

 再びエースのもとへと走り出したルフィ。インペルダウンにて毒に侵され死の淵まで行き、どうにか復活するもこのマリンフォードで限界を迎えてしまい───そして三度(みたび)

 

 ルフィにとって、これは三度目の正直だ。

 

「あ、コビー!!」

「ッ、ルフィさん!あなたを止め…いえ!殺しま」

「コビーどけッ!!

【ゴムゴムの銃弾(ブレット)】!!」

「ぶっ!?」

 

 その強い覚悟は、()すらも躊躇なく殴り飛ばし、もう誰にも止めることなどできない。

 

「サンジィーーー!!」

「ルフィ、来たか!もう()はねェぞ!!」

「わかってる!これで最後だッ!!」

 

 いよいよ、世紀の大決戦も佳境を迎える。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 寄る年波には白ひげすらも勝てない。それは白ひげ自身が誰よりも理解していることだ。

 

 ただ、この戦争だけは───自身にとって()()()()()だと覚悟してやって来たこの戦場に立っている間だけは、体が最後まで持つことを白ひげは強く望んでいた。

 

 しかし、運命とはどこまでも非情で残酷であり、本人の望み通りになど進んではくれないもの…。

 

「ウウッ…ガフッ!クソッ…タレ…!!」

 

 心臓付近を押さえながら、白ひげが地に膝を突き吐血するその姿は、生ける伝説が年老いたという、人間である以上必然的な時の流れを感じさせられる光景だ。

 

「オヤジィ!?」

 

 動揺が走る白ひげ陣営。彼らにとって一番恐れていた事態がこの重要な局面で起きてしまった。

 広場へと乗り込み、火拳のエースが目と鼻の先にいる状況でのこの展開は、白ひげが海軍の策略で刺されてしまった時よりも大きな動揺を白ひげ陣営側に与えてしまう。

 

「くっ!」

「勝敗は一瞬の隙だよねェー」

「ッ…ウゥ!!」

 

 白ひげのもとへ駆けつけようと隙を見せてしまった1番隊隊長"不死鳥のマルコ"は背後からレーザービームによって貫かれてしまう。

 ルーキー海賊側に回っていた黄猿だが、白ひげ陣営の主力を一気に叩けるこの状況に参加しないはずがない。

 

 そして立て続けに、白ひげ陣営は崩れることとなる。

 

「マルコッ!?」

「他所見なんてしてる余裕あるか?なァ、"ダイヤモンド・ジョズ"」

「ぐァ!!」

 

 青雉と互角に渡り合っていた3番隊隊長のダイヤモンド・ジョズまでも一瞬の隙を突かれ、青雉に左腕を瞬時に凍結させられてしまった。

 青雉はそのまま一気にその勝負を決めにかかり、ダイヤモンド・ジョズを完全に氷結させてしまう。

 

「崩れたな…白ひげ海賊団」

 

 主力が崩れた一方で、海軍の最高戦力はまだまだ余裕さを残している。

 

「寄る年波は貴様でも越えられんか…白ひげェ」

 

 そして、地に膝を突いた白ひげの前には赤犬が立っており、右腕をマグマの腕へと変化させ瀕死の白ひげに襲いかかる。深々と刺さった赤犬の腕が、海軍側へと一気に流れを手繰り寄せようとしていた。

 

 白ひげがここまでの深手を負ってしまうのは、後にも先にもない。最強は老い、その最強は最早過去でしかないのだと誰もがそう思ったことだろう。

 

「何をぼさっとしている!グズグズするな!全員で白ひげの首を取れェーーー!!」

 

 センゴクが叫ぶと同時に、赤犬に続き白ひげに総攻撃を仕掛ける海兵達。

 斬られ、刺され、撃たれ───普通の人間ならば即死であること間違いなしの容赦のない攻撃だ。

 

 だが、それは相手が白ひげだからこそ───相手は世界最強の海賊"白ひげ"エドワード・ニューゲートなのだから徹底的にやるのである。手加減など一切不要。寧ろ、死にかけの老人だからと手加減しようものなら海軍側が返り討ちにあってしまうことだろう。

 

「オヤジィーーー!!」

 

 海軍による白ひげへの一斉攻撃が行われるなか、どうにか白ひげを助けようと駆け寄る息子(船員)達。

 

 だが、白ひげはそれを一喝し制止する。

 

「来るんじゃねェ!!」

 

 確かに白ひげは老いた。しかし、白ひげが未だに四皇の一角として君臨し続けるのは、老いたとはいえその力が世界を滅ぼせる強大なものだからだ。

 

 そして、海軍はその力を目の当たりにすることとなる。生ける伝説のその底力を…。

 

「こいつらァこれしきで…おれを殺せると思ってやがる…助けなんざいらねェよ…おれを誰だと思ってやがるハナッタレのクソッタレ共が…おれァ"白ひげ"だァァ!!」

 

 白ひげが一閃。たった一振りで海軍の猛者達を薙ぎ倒すその姿───どれだけ傷を負おうとも、斬られ、刺され、撃たれ、貫かれようとも決して倒れることのないその姿───これこそがまさしく最強の姿なのだ。

 

「おれが死ぬ事…それが何を意味し、世界に何を及ぼすのかおれァ知っている。だったらおめェ…大切な息子達の明るい未来を…()()()()()()の誕生を見届けねェと、おれァ…死ぬにも死ねねェじゃねェか…なァ…エース」

 

 最強の貫禄を見せる白ひげ。

 

 そしてその最強の背後には、最強の誇りを守らんとする息子(船員)達が立つ。

 

「気が利きすぎだアホンダラ共」

 

 だが、白ひげが弱っているのもまた確かな事実。白ひげは今、精神が肉体を上回り、火事場の馬鹿力で立っているようなもので、それでも確実にその身にダメージが蓄積されている。

 

「そんなに未来が見たいのであれば、今すぐに見せてやるぞ白ひげ!火拳の未来が潰える瞬間をな!やれ!!」

 

 再び、エースへと振り落とされる凶刃。

 

「無駄だ。それをおれが止められねェとでもッゴフッ!!」

 

 やはり、老いには最強も抗えないのか…。これが10年───いや、5年、もしくは3年前の白ひげならばまだ防ぐことができたかもしれない。

 

 だがそれは、人間である以上は必然的なこと。いつまでも最強ではいられない。

 終わりは必ずやって来るのである。

 

「やめろォォーーーーー!!」

 

 だが、また新たに生まれるのだ。

 

「やっぱりお前は最高だ、ルフィ!おらァ、どけックソ野郎共ッ!王の前に跪きやがれッ!!」

「今助けるぞエースゥ!!」

 

 王の資質を持った新たな世代が、最強の海賊に時代のその先を見せるのである。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 敵味方関係なく意識を刈り取られる者達。

 

 モンキー・D・ルフィの王の資質───覇王色の覇気が猛威を振るっている。

 

「おいおいマジか…」

 

 大将青雉も驚きを隠せずにいるが、ルフィはただのルーキーではないのだ。ルフィは、世界最悪の犯罪者と恐れられる"革命家"ドラゴンの息子なのだからその資質を受け継いでいるのは当然のこと。

 

「今のは…どうやら無意識じゃのう…」

 

 だが、今はまだ眠れる力。

 

「恐ろしい力を秘めてるねェー」

 

 しかし、ここで逃がしてしまったらいずれ必ず強大な敵になると判断した海軍は躍起になってルフィの首を狙う。赤犬も黄猿もそれがわかっており、ルフィを───いや、ルフィとサンジをこの戦場にて抹殺すべき対象として認識していた。

 

 もちろん、まずは火拳、そして白ひげといった順番ではあるだろうが…。

 

 ただ、ルフィを狙ってくる輩はサンジが次々と撃退しており、若さの勢いは容易には止められないだろう。

 

「俺の目の前でルフィに手出しさせねェぞ!

小悪魔風脚(プティ・ディアブルジャンブ)回転切り(トゥルネ)】!!」

 

 地に手を突き、目にも止まらぬ速さで回転するサンジは竜巻を起こし、ルフィに襲いかかる海兵達を一掃する。

 

「うわッ!た、竜巻だと!?」

「き、気を付けろッ!この竜巻、斬れるぞ!!」

「くッ、麦わらだけではない!黒足も逃がすなッ!!」

 

 王の資質を持ったルーキーが2人もこの場に存在してしまっているのだ。海軍が躍起になるのは当然だろう。

 

 ただ、サンジとルフィをどうあっても始末したい海軍とは違い、未来に繋ぎたい者がいる。

 

「野郎共ォ!麦わらのルフィと黒足を全力で援護しろォ!!(やってみろ、小僧共!"Dの意志"を継ぐ者ならば…"Dを支える者"ならばこの時代のその先をおれに見せてみやがれ!!)」

 

 世界最強の海賊"白ひげ"エドワード・ニューゲートはサンジとルフィの王の資質から何を感じ取ったのか…。

 

 白ひげが自ら囮となり海軍の戦力を一身に引き受け、そして全てをサンジとルフィに託す。

 世界最強の海賊が2人を試しているのだ。

 

「一大事よ、麦わらボーイ、黒足ボーイ!世界一の海賊がヴァナタ達を試しているッチャブルよ!!」

「!?」

「あ?」

「ヴァナタ達"白ひげ"の心当てに応える覚悟あんのかいって聞いてんノッキャブル!ヒィーーーハァーーー!」

 

 確かに白ひげに試されている。だが、サンジとルフィにとってはまったくもって興味のないことだ。

 2人がやるべきことは決まっているのだから…。

 

「おれがここに来た理由はッ!始めから一つだ!!」

「そうだ。俺のやるべきことはたった一つ…ルフィを支え、道を切り開く!!」

 

 目指すべき場所まで───残り、あとわずか…

 

 






もし本当に大器晩成型なら、それを知った時のジャッジの心境は如何に?

原作でも決行わかりやすいですが、サンジってルフィのことかなり好きですよね。もちろん、仲間全員に愛情持ってますが、とくにルフィに対しては…。
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