WinterGhost Frontline   作:琴町

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副官のお仕事/指揮官のお仕事③

 ノアの苦虫を噛み潰したような表情を思い出して、416は苦笑した。

 

「指揮官は渋々って感じだったけれど」

「そっかぁー。

 今まで一人で全業務を回してたから、これをきっかけにあの人の負担が減ればいいんだけど」

 

 安心したような顔で、MDRがマフィンサンドの残りを口に放り込む。

 

「へぇー!あの指揮官って戦闘だけじゃなくて仕事もできるんだね!」

 

 そう声を上げながら、UMP9が自分のトレイを持ってやってきた。パンケーキとソーセージ、サラダにオレンジジュースというチョイスが何とも彼女らしい。

 一人で416の向かいに座る9に、MDRが訊ねる。

 

「UMP45は?」

「45姉はもう部屋に戻っちゃった。何かやることがあるんだって」

 

 準備を怠らず油断もしないアイツのことだ、今日の出撃に向けて銃の整備でもしているのだろう。

 それよりも416は、9の零した単語の方が気になった。

 

「戦闘って?」

「聞いてないの?Spitfireたちがキミらを助けに行ったとき、指揮官も一緒に出撃してたんだよ」

「それは知ってるわ。おかしな話だとは思うけれど」

 

 MDRの言葉を継いで、9が人差し指を立てる。

 

「あの工廠には、ここの人形たちが到着した時点でハンターしかいなかったんだって。

 で、PKPたちが全員で私たちをここまで運んできたの。途中でちょくちょくローエンドと交戦しながらね」

「……待って。

 それじゃあハンターはどうしたのよ。背中を見せて逃げられる相手じゃないでしょ。

 ――まさか」

 

 ここまでの情報で論理的に考えれば、結論は一つしかない。

 416が自身の予想の荒唐無稽さに目を見開くと、9が手を叩いて先を継いだ。

 

「そう、そのまさか。指揮官が囮になったんだよ。

 しかも無事に帰って来たってことは……ハンターを追い払うか倒すかしちゃったってこと!」

「コアを持って帰ってたし、殺したんじゃない?」

「は!?」

 

 驚きのあまりフォークを止めた416とは対照的に、MDRは何でもないことのように笑う。

 

「まー、他所から来たんじゃ信じらんないよねー。

 S09地区だっけ?激戦区じゃんね」

「うんうん、アソコは大変なとこだったよ!でも、ココも似たようなものだと思う。

 やっぱり近くに大きな町があるからかな?」

「“アンバーズヒル”だねー。

 貧富の差がかなり激しいから社会としてはどうかと思うけど、資材はたくさんあるから。

 鉄血から見ても狙う価値はあるんじゃない?」

 

 9とMDRのそんな会話も、最早416の耳には届いていなかった。

 

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