『いいかノア=クランプス指揮官!
今度という今度は必ず来い!絶対に来い!来なかったら無条件で退職だぞ!
代わりにクッソ無能で性欲だけ旺盛な指揮官をC■■地区の担当にするからな!!
やるからな!!私は本当にやるからな!!??!?』
「どんな奴を送っても僕にとっては同じ意味ですけどね。行きますよ」
半狂乱のヘリアントス上級代行官と、そんなやりとりをしたのが1週間前。ノアと416は、連れ立ってG&K本部の廊下を歩いていた。
辺りを見回しながら、ノアが呟く。
「ちっちゃくなったね」
「G&Kは解体された扱いだもの、仕方ないわ。
”
416は居心地悪そうに髪を弄ぶ。
「そんなことより、何この視線。有名人なの?貴方」
「さてね。知らないや」
解体の憂き目を逃れた基地は多くないが、全体会議となればそれなりの人数が集まる。指揮官だけでなく、その副官も来るとなればなおさらだ。
廊下を歩いていても待機室のソファに腰掛けても、彼らの視線はずっとこちらに向いていた。
「誰あの美人。どこの指揮官?」
「アレってもしかしてC■■地区の‥‥」
「着任から一度も会議に出てこなかったくせに」
好奇、嫌悪、敬遠といった様々な色を孕んだ視線がまとわりつく。
416はノアの袖を掴んで、その表情を窺う。
「随分苛ついてるわね。そんなに来たくなかったの?」
「そりゃそうさ。気付いてないの?視線の3分の1はキミ宛だよ。416」
「え」
視線の先を再確認する。
言われてみれば確かに、視線の何割かは自分に向かってきていた。
しかし、目は合わない。心なしか目線が低いような‥‥。
「っ!」
「反応しない方がいい、余計喜ぶよ。
‥‥はぁ。だから来たくなかったんだ。
ちなみにキミを連れてくるのはもっと嫌だったんだけど」
「う‥‥ごめんなさい」
今回の本部出向、元はノアが一人で行くつもりだった。それを416が「指揮官が単身で出張なんてするものじゃないわ。私も行く」と無理矢理同行したのだ。
自分は404小隊の一員だが、G&K本部ならば姿を見せても問題ないだろうという判断だった。
416が目を伏せると、ノアは仕方がないという笑みを浮かべて416の頬をつつく。
「いいんだよ。結局了承したのは僕だしね。
そもそも、彼らの反応は特殊じゃない。
とにかく、帰るまでは僕にくっついててね。嫌じゃなければだけど」
「あぁ、貴方って本当に人間が嫌いなのね‥‥」
言われた通りノアの腕に腕を絡めると、途端に視線が減る。なるほど単純だ。
「よ、416なのか?」
しかしそんな中震える声で話しかけてきたのは、見知らぬ指揮官だった。
銀髪、もしくは色が抜けた短髪が特徴的な、人当たりのよさそうな青年だ。
ノアが視線で「知り合い?」と訊ねてくる。416が否定の意思を示すと、ノアの気配が変わった。
確かな殺意を以て、ノアは眼前の青年の動向を観察している。
「416!よかった、見つけた!
どこに行ってたんだ?何も言わずにいなくなるなんて‥‥」
「え‥‥っと、誰ですか?貴方は‥‥」
その言葉に余程ショックを受けたのか、青年は目を見開いた。
「そんな、何言ってるんだよ!あんなに愛し合ったじゃないか!
僕が分からな――」
「
青年が416の肩を掴もうとした瞬間、ノアが低く呟く。
気付けばノアと416の位置は入れ替わっており、ノアの二指が青年の瞼に添えられていた。
青年は肩を掴もうとした姿勢のまま、動けない。
「ねぇ、知ってる?そういうのナンパって言うんだよ」
「な、何なんだよアンタ。コレは僕と416の問題――」
「知らないって本人が言ってるよね?都合の悪い言葉は聞こえないかな。
それとも何、キミの故郷では”
「うっ‥‥よ、416‥‥」
青年がこちらを見るが、416は目を逸らした。純粋な嫌悪感からだ。記憶にない相手からありもしないセックスをアピールされることが、こんなに不快とは。少し吐きそうになる。
青年の額に、脂汗が滲む。その量はどんどん増え、次第に体が震え始めた。
ノアが、殺気を浴びせているのだ。こちらには微塵も伝わってこないから、おそらくは青年だけに集中して。
「何やってるんだ!」「おいおい止せ!」
事態を見かねて、周囲の指揮官や人形たちが動き出した。流石に抜銃はしないが、ノアを取り押さえようと近づいてくる。
ノアは416の手を握って、笑顔を作った。
「僕は何の危害も加えてない。ただ自分の副官を守ってるの。
別に刃物だって出してないし、彼が過剰に怯えているだけでしょ」
ノアが手を引くと、青年は尻もちをついて泣き始めた。ヒュウヒュウと喘鳴しながら、胸を掻き毟って涙を流している。「416‥‥416‥‥どうして‥‥」
「何だコイツ。気持ちわる」
ノアの呟きに、416も全面的に同意だった。
「諸君、会議を始める。会議室に――って、何だこの状況は」
資料を抱えてやってきたヘリアンが、目を丸くする。
「やぁヘリアンさん。久し振り!
早速だけど、コイツ
困惑と若干の恐怖が混ざり合った空間で、ノアだけがいつもの笑顔を浮かべていた。
セコムしてますか?
今回は416ガンギマリセコムなノアくんのお話でした。一応伏線もあるよ
モチベが続くうちは、このくらいの文字数でハイペース投稿していこうかなと思っています。よろしくお願いします
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