本作品は「小説家になろう」の投稿作品「シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜」の秋津茜の二次創作です。

秋津茜とかが「今日はすき焼きです!」って言うだけで何か捗るものがありませんか?一流のカプ厨ならこの台詞から秋津茜ルートを見出せるはずです、僕は見出しました……いや前フリじゃないです、書く余裕がないです《硬梨菜氏Twitterより》

捗ったので書きました。もう同棲してます。

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削除したと思って諦めてたらバックアップされてた件。

削除前と全く同じです。お騒がせして申し訳ない。教えてくれた方ありがとうございました!


共に走る未来(再掲)

共に走る未来(変更前:共走)

 

「ただいまー」

 

 ロックロールでクソゲー買ったらすぐに帰るつもりがもうこんな時間か。まさか玲さんも来ているとは思わず、結構話し込んでしまった。

 そう言えば、玲さん全然バグらなくなったけど、デバックされたのかな? 対して岩巻さんは相変わらずというかなんというか、具体的には来週は臨時休業らしい。

 

「お帰りなさい楽郎さん! 今日はすき焼きです!」

 

玄関で靴を脱いでいると、エプロンを着けた紅音が迎えてくれた。いつもより元気………かと思ったが紅音はいつもこんな感じだな。

 

「おう、ただいま。遅くなって悪いな」

 

「いえいえ、もうすぐ帰ってくるかなと思ってましたから!」

 

「今日はすき焼きだって? 楽しみだ」

 

「あと少しで出来上がるので、先に手を洗ってきて下さいね」

 

 おう、と返事しながら洗面所へ向かう。にしても、すき焼きは久しぶりだ。家ではしゃぶしゃぶばっかで、たまに石狩鍋にするくらいだったからな。魚介類、特に鱈や鮭が美味いし。大体の魚に対応出来るしゃぶしゃぶの対応力よ。

 

 兎も角、料理上手でまともな味覚の紅音が作るすき焼きは美味いだろう。努力もしてるしな。めふんは好みに合わなかったようだが、あれは好みが分かれるので仕方ない。

 

 むしろエナドリ愛飲してる俺の方が………いや、うん、考えないようにしよう! レジスト解禁されたからって配合考えたりなんてしてないしてない。でもアルコールと混ぜる前提のエナドリとか頭おかしいよ。

 

「美味そうな匂いだな」

 

「えへへ、ありがとうございます。楽郎さんが出掛けたすぐ後にお義父さんが新鮮な鱈を持って来てくれたんですよ!」

 

「へぇ、父さんまた釣りに行っ……」

 

 んん、何か今おかしかったような………待って、すき焼きで鱈? 聞き間違いか? 例えば、えっと、蛸とか。蛸も無理がある気がするが、おでんに入るし、みりんだこって珍味もある。俺が知らないだけですき焼きに入れる家庭もあるかもしれない。

 

「はい、予想以上に鱈が釣れたそうで。嬉しそうにお裾分けしてくれましたよ!」

 

 それは、釣りでテンション上がってたのもあるんだろうけど、純粋に喜ぶ紅音の反応が嬉しかったんだと思う。俺達家族は日常的に父さんが釣って来た魚を食べてたから反応が薄いし、なんなら釣り過ぎて消費が大変な時はしばらく肩身狭そうにしてたからな。大量の小ぶりな鯵を持ち帰った時なんて………まぁそれはさておき、聞き間違いじゃないらしい。

 

「なぁ紅音。鱈ならしゃぶしゃぶとかじゃないのか?」

 

「それも悪くないですけど卵やお豆腐もあったのですき焼きにしました!………あの、もしかしてすき焼きは嫌い、でした?」

 

「い、いや、すき焼きは嫌いじゃないぞ」

 

 と申し訳なさそうに、それでいて少し悲しげに聞いてきたので慌てて否定する。こんな顔されたら嘘でも嫌いとか言えないんだが。そして嘘とバレたら即イタリ………ダメだ、現実に目を向けなければ。

 

「すき焼きに鱈入れるのは聞いたことなくてな。驚いたんだ」

 

「お義父さんは入れたことがあると仰ってましたよ。私はお婆ちゃんが大阪出身なので魚すきをよく作ってくれたんです!」

 

「魚すき?」

 

 聞けば、大阪の郷土料理で魚すきという魚介系のすき焼きがあるらしい。とすると煮付けに近い感じか?

 よくよく考えれば昔、家ですき焼きした時に残り汁で煮付け作ってたっけな。郷土料理なら期待出来そうだ。

 

「そ、その一緒に住むようになったし、私の好きなの味を楽郎さんにも知って欲しいと思ったんです!」

 

「……お、おう、ありがとうな」

 

 これが惚れた弱みと言うやつだろうか。眩しすぎて一瞬意識飛びそうになったんだが。これ以上は危ないので洗面所へ入る。

 

 紅音の光属性は恋人になっても健在、どころか光量さらに増してない? ああいうセリフを言ってくれるのは嬉しいが、やはり恥ずかしい思いが強い。それも不意打ちで投下してくるからマウントがとれない。いや、あの二人じゃあるまいし、マウントとりたいわけじゃないんだけどな。

 

 紅音とは対等で共に走って行きたい。俺も紅音も、いきなり走り出すこともあるけど、もう一人が追いかけてまた並ぶ。互いに追い付いて来ると信じてるし、互いに置いていかれるものかと追いかける。時にどちらかが(主に俺が)転んだり怪我した時は、手を取り支え合って走り出す。

 

 そんな一般的な交際とは掛け離れた恋人関係が心地良い。こういうのを相性が良いって言うんだろうか。クソゲーだけで満ち足りていたはずが、今は全くそうではなくなっている。昔の俺が聞いたら正気を疑いそうだ。

 

 リビングへ入ると紅音が鍋を見つめながらどこか表情が曇っている。紅音でもたまに不安になることがあるようで、わかりにくいが表情が曇る。状況から考えるに俺がすき焼きを気にいるか、ってことか? 何故今更それで不安になるんだと思わないこともないが。

 

「心配しなくても紅音の料理はいつも美味しいぞ」

 

「え、あの、ありがとうございます!」

 

 正解だったようだ。空腹は1番のスパイスだとか聞いたことがあるが、それに加えて紅音が作ったいうだけで美味しい。実際に食べても美味しいので、つまり三つの相乗効果が………タブーかな?

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 今日はお義父さんにもらった鱈ですき焼きです。最初はしゃぶしゃぶにしようかと思いましたが、私が好きな味を知ってもらおうとすき焼きにしました。前にお婆ちゃんに作り方は教えてもらったのでバッチリ……だと思います。

 

「……気に入ってくれたら良いな」

 

 思わずそう呟いてしまったのは不安から、でしょうか。人によって味の好みが違うことはわかっています。現に楽郎さんの好物のめふんを食べた時は少しえづいてしまいました。楽郎さんは好みが分かれるからと笑っていましたが、私は少し気にしていていずれ克服したいです。

 

 だから私の料理が楽郎さんの口に合わなくても仕方がない。それぞれの好みをすり合わせて、私達の好みを探っていく。きっとそれが正しくて、とても幸せなことなんだと思います。

 

 でも、それはそれとして、私の好みの味が楽郎さんにとってもそうであったら良いな、なんてわがままですよね。

 

「心配しなくても紅音の料理はいつも美味しいぞ」

 

「え、あの、ありがとうございます!」

 

 顔には出してないつもりの不安を察してくれたこと、そしてその言葉がとても嬉しくて。いつからこんなに楽郎さんのことが愛おしくてしょうがなくなったんでしょうか。きっと私の顔は赤く染まっています。

 

 始めは、尊敬する先輩の一人でした。今なら運命だと思えるシャンフロでの再会も、その時は恋愛感情なんてなくて、ただの嬉しい偶然だと思っていました。

 

 リュカオーン戦は初心者ながらも貢献出来たことが楽しくて。その後の………えと、ユ、ユーザードラゴン戦? やルルイアス攻略も楽郎さんや他の先輩方とゲームをプレイするのがとても楽しかった。

 

 そしてあの竜災。ジークブルムさん、ノワルリンドさんを狙うプレイヤー達、他の色竜、数多のプレイヤー達が入り乱れる、とても大きな規模の戦いの訪れ。

 

 その目前にして、ふと最悪の可能性が頭をよぎり、不安になってしまって。その不安を隠すように以前からの疑問として思い切って楽郎さんに尋ねました。「何故そんなに頑張れるんですか? 目標もなく頑張れるんですか? 」って。

 

───できないから諦めるのか? 違うね、やめたいから諦めるんだ

 

───頑張った先の未来にはいつだって憧れの自分がいるんだよ

 

───今の自分にできるのは、せめて過去の自分に誇れるようにいることくらいだろ?

 

 未来の自分に憧れ、過去の自分に誇る。楽郎さんのその言葉があったから、竜災も最後まで走り抜けることが出来たんです。………あぁ、好きになったきっかけはきっとその時。

 

 それからもその言葉によく励まされました。勉強の時も、練習の時も、全国大会の時も。

そして………告白の時も。

 

 初恋だから戸惑ってしまった時に、背中を押してくれたのはその言葉。気付いたら走り出していたんです。私はサンラクさんが、楽郎さんが好き。

 

だから、必死に背中を追いかけたんです。恋に走る自分に憧れて。

だから、必死に手を伸ばしたんです。過去の自分に誇れるように。

 

───どうしましょう! サンラクさん! どうやら、私はサンラクさんの事が好きみたいです!!

 

 その手を、楽郎さんは立ち止まって、掴んでくれた。それがとても嬉しくて、これから二人で未来へ走れることがとても幸せなんです。

 

 と、考えてるうちにすき焼きが出来上がったようです。………ひとまず今は、このすき焼きを気に入ってくれたらいいなと、想いを込めて。

 

「どうぞ召し上がれ、楽郎さん!」

 

 


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