この作品は、2017年のサンクリにていろはすさんのサークルで配布されたスクスト小説合同誌「36色」にアインスの寄稿したものを掲載させていただいたものです。

もしも、全ての妖魔からの脅威が消え去り、エテルノでの任務が終わる時が来たら。
そのとき、隊長と離れ離れになってしまったストライカーたちは、元のチャンネルに
戻った隊長を追いかけ再び出会うことはできるのだろうか?

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この作品は、2017年のサンクリにていろはすさんのサークルで配布されたスクスト小説合同誌「36色」にアインスの寄稿したものを掲載させていただいたものです。

もしも、全ての妖魔からの脅威が消え去り、エテルノでの任務が終わる時が来たら。
そのとき、隊長と離れ離れになってしまったストライカーたちは、元のチャンネルに
戻った隊長を追いかけ再び出会うことはできるのだろうか?
という「もしも」の物語になります。ちなみにアインスチャンネルとは異なり、
依咲里が主役の別の隊長の物語になります。


36色 灰島依咲里視点「依咲里が欲しいのは」

「じゃあ、今までありがとう。依咲里ちゃん」

「まっ……待ってくださいまし! 隊長様! 依咲里は……依咲里は、まだ!」

 遠くなっていく、隊長の背中。灰島依咲里は、手を伸ばす。

「私は、まだ―――ッ!」

 

 

「……ねえ様。……お姉様!」

「……!」

 依咲里が目を開けると、そこには華賀利がいた。

「また、あの『夢』ですの……?」

「……なんでもありませんわ。あの男は、いなくなってもわたくしを苦しめるのですね」

 フィフス・フォースとしての任務が終わり、元の生活に戻った依咲里たちは、二穂の下でこれまで通り五稜館学園の生徒として生活していた。しかし、エテルノがなくなったことで、依咲里たちと別れていなくなってしまった隊長が、あれから毎日夢に出るのだ。

「……お姉様。実は、二穂お嬢様が、お姉様をお呼びしていますの」

「二穂様が……? わかりました。すぐ向かいます」

 依咲里は、慌てて寝間着を着替えて、二穂の下へ向かった。

 

「待っていたぞ、依咲里!」

「二穂様! 遅れまして大変申し訳ありません!」

 依咲里と華賀利は、かしついて二穂に頭を下げた。

「まあ、急ぎの用事ではない。気にするな。……それより、今からお前に命じなければならないことがある」

 二穂は、こほんと咳払いをした。

「何なりとお申し付けください。この依咲里、二穂様の命とあらば、火の中にも水の中にも飛び込んで見せましょう」

「では、言うぞ。依咲里」

 二穂は、こほんと咳払いをした。

 

「……今日から、お前を緋ノ宮家から勘当する」

 

 

 二人の言った言葉の意味を飲み込むのに、依咲里は三十秒を要した。

「へっ……? な、なにをお戯れを……」

「冗談ではない。お前は、これから緋ノ宮の家を出て、一人で生活するんだ」

「あとはこの華賀利に任せてください。お姉様」

 華賀利がにこりと微笑んだ。

「か、勘当だなんて……二穂様、何故なのです⁉ わたくし、二穂様のお側にお仕えすることが、私の生き甲斐でございます! どうして……?」

 泣き出す依咲里に、二穂はそっと手を肩に置いた。

「いや、お前は従者として本当によくやってくれた……だからなのだ」

「だから……?」

「お前は、あたしなんかよりも、もっと仕えなければならぬ『主人』がいるだろう? あたしがお前の鳥籠になるのは嫌なのだ。お前には、お前の本心で自分が選んだ、自分の人生を歩んでほしいのだ」

「いえ……私が、二穂様に仕えることは、私の本心で」

「……思い出せ。お前が、本当に想っているのは、誰だ?」

「……!」

 依咲里は、そのときに、はっきりと思い描く人物がいた。

 

「ですが、隊長様はもう、元の世界に戻られて……」

「ああ。知ってる。……だがな、あたしだってタダであいつの別れるのは悔しいと思ってな。ティエラ先生に話を付けてある」

「二穂様、まさか……」

「ああ。ステラプリズムを使え。お前が行くべき世界は、そこにある!」

「二穂様のことは、華賀利に任せて、行ってらっしゃいませ。依咲里お姉様❤」

 華賀利が、依咲里の手を握り、二穂もまた、にこりと笑った。

「華賀利まで……! 二穂様。わたくしは……二穂様や、華賀利がいなくても、やっていけるでしょうか……?」

「……お前は、賢い。あたしがいなくても、十分やっていけることは、あたしが保証する」

 二穂は、依咲里の頭をなでた。

 

 

「それでは、いいですね?」

 プリズムルーム。時空管理官ティエラが、依咲里に問いかけた。

 依咲里は、最後に一度だけ、後ろを振り向く。

「行ってこい! ……幸せにな!」

「お姉様~❤ 華賀利はいつでも、お姉様が大好きですわ~❤」

 二人のその言葉を聞くと、依咲里は涙をこらえて、ティエラに言った。

「はい。宜しくお願い致します」

「では、転送します――」

 ステラプリズムが起動し、依咲里の身体が宙を舞う。

 

「二穂様―――依咲里の不忠、お許し下さい……!」

 

 

 

「わっ」

 依咲里は、ぽよんっと何か柔らかいものの上に着地した。

「うっ……なんですの?」

 後ろを振り向くと、黄色い何かが横たわっていた。

「………あっ」

「あっ」

 黄色いものの正体は、着ぐるみ。みると、かわいらしいクマのキャラクターの生首が、ごろりとその着ぐるみを着た男性の横に転がっていた。

「きゃー! ゴロリンちゃんの頭が取れた~!」

「大人が入ってる~!」

 その瞬間、口々に周りの子供たちが騒ぎだした。『バナナランド』と書かれた風船を持っているところを見ると、どうやら遊園地の中のようだ。

「あっ……ああっ……」

 依咲里は、自分のしでかしてしまったことに、ようやく気付いた。

 

「アクシデントでーす! 速やかにお客様はこちらに移動お願いします!」

 係員が素早く二人の間にバリケードを作って隠した。

「あ~……参ったね、こりゃ。……君、ちょっとこっちまで来てくれるかい?」

「は、はい……!」

 着ぐるみの男は、穏やかに話しているが――内心どれだけ怒っているかと思うと、依咲里は半泣きになりながらうなづくしかなかった。

 

 

「さっきはどうも。休憩入れてもらえるいい口実になったよ」

 依咲里は、従業員の控え室で、男に話しかけられていた。

「あああ……ほっ本当に申し訳ありませんでした……! この依咲里、一生の不覚、いかなる処罰も受ける所存でございます……!」

「そんなに落ち込まないでもいいよ。ウチはしょっちゅう首が取れる着ぐるみがいることでも有名だからね~」

「そ、そうなのですか?」

 でも、本当に男が怒っていない様子を見ると、依咲里は少し安心した。

「でも、空から落ちてきたよね、君。怪我とかしなかった?」

「わ、わたくしは大丈夫ですわ……」

「そうか、よかったよ。……依咲里ちゃん、だっけ? 遊園地のパスは、持っているのかい?」

 依咲里は、首を横に振った。

「じゃあ折角なんだ。楽しんでおいでよ。これ、乗り放題のフリーパス、従業員用だけど、使っておいで」

 男は、依咲里の腕にフリーパスを付けた。

「そ、そんな……ご迷惑をかけた上に、このような施しまで……申し訳ありませんわ」

「気にしないでよ。……言っては何だけど、なんか空から女の子が降ってくるなんて、ドキドキしちゃったし……」

「……そのような不純な動機で、パスを渡しても大丈夫なんですの?」

 依咲里はジト目で彼を見つめた。

「大丈夫! 先輩とかよくやってるから! ……いいから依咲里ちゃん、楽しんでおいで! 僕はもう一回着ぐるみで仕事してくるから!」

 照れた顔を隠すように、男は着ぐるみを被った。

「6時になったら、またここにおいで! じゃ!」

「ああっ、待ってくださいまし!」

 

 

 依咲里は、男を追いかけて控え室を出ると、広場に出た。

「ここにはいませんわね……。このフリーパス、どうしましょう……」

 周りを見ると、ジェットコースターで叫ぶ人、はしゃぐ子供たち、にぎやかな遊園地の中は、色んな刺激がありそうだった。

(思えば、二穂様とはなかなかこのような場所へは行けませんでしたわね……)

 二穂様を差し置いて、自分だけがこんな場所で遊んでいられる。という背徳感が、依咲里の背中をぞくりと走った。

「……仕方ありませんわね。あのお方の厚意を無下にもできませんし……」

 そう言いつつ依咲里は、思わず口元を緩ませながら、小走りでアトラクションに向かっていった。

 

 

「……ッ!」

 最初に乗り込んだのは、ジェットコースター。依咲里の髪を、風が駆け抜けていったとき、依咲里の頭の中は、快楽に包まれた。

「きゃあああああ!!」

 アップ、ダウン、斜め、ゆっくり、急加速。依咲里は、身体が宙を舞うような感覚に、思わず夢中になっていた。

「はあぁ……❤ なんですの、これ……」

 思っていた以上に、遊園地という場所が面白くて、依咲里は思わず微笑んでいた。

「フリーパスですから、乗り放題ですわよね………ちょっともう一回……❤」

 こんな調子で、ジェットコースターに三回、バイキングに二回、コーヒーカップや空中ブランコ、ゴーカートなんかもとにかく乗り回した。

 

「では、次は……❤」

 依咲里は、もはや当初のことを忘れてノリノリで遊園地を楽しんでいた。

「お化け屋敷……ふふ、せいぜいわたくしを怖がらせてみてくださいまし……♪」

 依咲里は、このあと何気なく入ったこの場所に入ったことを、後悔した。

 

 

「ヴァアアアアア!!」

「きゃああああ!」

 中で待ち受ける、悪霊、幽霊、ゴースト。とにかく怖いものが一歩歩くごとに出現し、依咲里は悲鳴を上げ続けて歩いていた。

「こ、こんなに怖いとは……でも、この恐怖もまた快感で……」

 全身が、生きている自分の鼓動と、恐怖で震える寒さが、依咲里の首筋に冷や汗とぞくぞくする快感を感じていた。

「さ、さすがにそろそろ……出口が見えてくるはず……」

 と、依咲里が言ったその時だった。。

 

「ヴアアアアアアアアアア!!!!」

 壁をぶち破っていきなりゾンビが現れた!

「いやあああああああ!!」

 逃げようとした瞬間、二センチ程度の小さな段差に引っ掛かり、転んでしまった。

「こ……こないで……!」

 腰が抜けてしまい、動けない。

「はぁ、はあぁぁ……」

 今にも襲われる。こんな醜いバケモノに、襲われて……

 

「もう、ダメ……❤」

 

 すると、ゾンビが小さな声で言った。

「……依咲里ちゃん。戻ってきて。後がつかえてるから」

「はっ! もしかして、着ぐるみの……?」

「うん、いいからとりあえず早く早く」

 彼に促されて、依咲里はお化け屋敷の出口に向かった。

 

 

 

「……はぁ、やっとすべてのアトラクションを回れましたわね」

「楽しんでくれたかな?」

 後ろから、ゴロリンの着ぐるみが現れた。

「ええ……なんだか、貴方様のおかげで、随分と楽しませてもらいましたわね……」

「いいでしょ、遊園地。非日常の刺激を味わうのって、とっても楽しいよね」

 ゴロリンは、依咲里の肩を抱いた。

「せっかくだし、記念撮影していこうよ」

「……ええ」

 そして、他のスタッフに、依咲里のパトリを渡して、写真を撮った。

「はい、チーズ!」

 

 

『ただいま、午後六時を回りました……閉園のお時間となります』

 六時を告げるアナウンスが、園内に響いた。

「今日は、大変有難う御座いましたわ。依咲里、とても良い時間を過ごさせてもらいました」

 依咲里は、彼に礼をした。

「よかった~。あ、せっかくだからディナーでも一緒にどう?」

「そのような浮いた態度がなければ、ますますよかったのですが」

「あはは、ごめんごめん」

 ゴロリン君は、ぽりぽりと頭をかいた。

「じゃ、閉園の準備が終わるまで、控え室で待っててよ。僕もすぐ行くから」

「はい。わかりましたわ」

 依咲里は、スタッフルームに走った。

 

「……ふう、明日からは、隊長様をお探ししないと……ん?」

 机の上に、スマホが置いてある。

 イヤホンジャックに刺さったキーホルダーには、ゴロリン君のキーホルダーと、依咲里のアクリルストラップ。

「まさか……」

 依咲里は、スマホを持ち出すと、スタッフルームを飛び出した。

「依咲里は……あのお方のくれる刺激がないと……!」

 

                            ~終わり~

 




最近小説あげてないなぁ・・・
最近動画ばっかり作っててインプットが足りなくて小説全然かけないし
スクスト界隈に浸る時間も少なくなっちゃってさみしいなぁ・・・

と思ったので久しぶりにストックを開放です。
もう2年前のイベントだし大丈夫だよね?

どんなに忙しくて協力戦走ってなくても、スクストを愛する心だけは変わらずに
隊長を続けています!エテルノは永遠に!

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