勇者の星〜剣の勇者の星灯り〜   作:紅猫玉

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第3話

"友達を助けに行きたい"

 

そのセリフ自体は至極真っ当なんだがなんか錬の様子がおかしい。

具体的にはなんか顔が赤い…?

なんでだ…?

 

ふむ、試してみるか。

 

「錬、樹の事はどう思っている」

「?大切な仲間だと思っているが…」

 

じゃあ

 

と俺は錬と歳の近い者を中心にエクレールやウィンディアなども含めた仲間の名前を挙げていった。

結果全員、"大切な仲間"だった。

 

エクレールに対しては改心させてくれた事に対して強い恩義を感じていたり。

ウィンディアに対しては責任を取りたいと思っている。

などそこら辺は相変わらずで他の仲間よりも特別な感情を抱いてはいる様だったが…。

 

***

 

「じゃあ錬この世界で友達だと思っている奴はいるか?」

 

「…!?」

 

錬があからさまに言葉に詰まった。

あーコレはまさか。

 

「とっ友達だなんて、みんなをそう思う資格なんて…俺にはない…から…」

 

どんどん小声になっていく錬。

 

つまり命を預けあえる程の死線を共に潜り抜けた中であっても錬の中では"大切な仲間"ではあっても"友達"ではなかったのか。

 

しかも自分には友達と名乗る資格は無いと思い込んでいるからとか。

 

元々ぼっちだったんだろうな、とか改心してからはやけに責任感が強すぎるとは思っていたが。

 

友達…友人かどうか一つとってもここまで考え込んでしまうとは。

なんとも難儀な性格だな。

コレは錬の方から友人だと思う資格が無いと線引きしてしまっていただけで、コイツの事を普通に友人だと思ってた奴は元の世界でも結構いたんじゃ無いのか? いや元の調子乗ってた頃の錬を友人と思っていた奴がいるかどうかは未知数だが…。

 

***

 

ちなみにこの話の間。四聖勇者の中で最も歳が近くなにかと話をする機会も多かった樹は、錬に友達認定されていなかったと知ってとても微妙な顔をしている。

 

「確かに大切な仲間である事には変わりないですけど、あれだけ会話したりしてたんですし友達だと思ってくれてても良いじゃ無いですか…。

いえ僕の方から友人だと思っていると伝えた事は確かにありませんが。ですが…」

などとブツブツ呟いていた。

それをリーシアがなだめている。

「ふえぇ〜イツキ様〜あまり気を落とさないでください〜」

 

***

 

で友達認定一つとってもここまで拗らせている錬が自分から友達だと認めているそいつは、おそらく錬に友人だと思われていない(錬本人がその資格が無いと思い込んでいる)事に気づき自分から友人だと思っている事を伝えたとかか?

念のため確かめるか。

 

「じゃあなんでそいつは友達なんだ?」

「あっアイツが、ゆっ友人だと友達だと言ってくれたんだ…!」

 

やはりそうか。

錬…良い友達を持ったな…。

 

というかもしかして…。

俺はある事を思い出して錬に聞いてみる。

 

「錬、お前の友人というのはもしかして以前話していた、俺に似た知り合いって奴か?」

 

「!?そっそうだがよく分かったな。さすが尚文だな。」

 

いや何がさすがなのかわからないんだが。

 

そう、天木錬 コイツには元の世界に俺に似た知り合いがいるらしいのだ。

錬曰く、"召喚された直後の俺と今の俺を足した様な性格の奴"らしい。

錬はそいつをライバル視していて、自分の得意なフィールド「ブレイブスターオンライン」というゲーム内で勝った事を誇っていた。実際にはもっと難易度の高いゲームではそいつの方が錬よりずっと強かったらしい、ブレイブスターオンラインにはフロート系の武器が無かったから勝てたとかなんとか。

 

あと、なにかとそいつの戦い方などに憧れている様な部分があった。

まあ今の錬はあの頃とは比べものにならないくらいフロート系の武器も扱えるんだけどな、俺やイミアの作ったアクセサリーの補助込みでだけど。

 

余談だがそいつに似ているという理由で錬は当初俺に苦手意識を持っていたらしい。しかし内心そいつの事を悪い奴ではないむしろ良い奴だと思っていた為、そいつに似た俺が冤罪を掛けられた時に同じように良い奴だと思っていたのに…と勝手に裏切られた様な気持ちになっていたと後に話してくれた。その後も第2王女誘拐事件の時なども最後まで懐疑的だった理由の一つに俺自身のひととなりを見てだけでなく、そいつに似ている俺が本当に悪人なのだろうか?と最後まで疑っていたりもしたらしい。

まあ今となっては過ぎた事だ。

 

話を戻そう。

確か鳳凰戦の前や過去の世界に村ごと飛ばされた時などに、「元の世界に俺に似た知り合いがいる」と話していた。

そう、"知り合い"である。

錬は一貫してそいつの事を知り合いと呼んでいた。

 

思い返せばあれだけ相手のことを良く知っていて、ゲーム内で対戦したりなどの交流を持っていたのなら、相手からは友人と思われていても不思議じゃない。

 

おそらく、"クソ女神の攻撃で死んだと思われたが精霊の力で間一髪、元の世界に戻された間"にそいつと更に交流を深める機会があったのだろう。

でその中で相手が察して、錬をちゃんと友人だと思っていると伝えたとか。

 

錬…本当に良い友達を持ったな…。

 

なにせ錬は俺達が迎えに行くまで2年間も待たされたわけだからな。

人間関係が発展していてもおかしくない。

 

「で、そいつがどうかしたのか?」

 

「ああ…!俺はアイツを、こんな俺を友達だと言ってくれたアイツを助けたいんだ…!!」

 

「なんか話が無茶苦茶飛んでる気がするんだが…」

 

すると錬は思いつめた表情になり何かを迷っていた様だが、拳を血が出るのではないかと言うほど握り締めると。やがて決心したのか顔を上げて俺の目を真っ直ぐに見ながら口を開いた。

 

「そう、だな。尚文達にはやはり話しておくべきだな。アイツの、勇(ユウ)の事をーーー」

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