今回も視点が一部変わります。
私はアンチ作品を書くときはキャラ贔屓は基本的にしません。
いつものように閲覧は自己責任でお願いします。
ー比企谷八幡 sideー
今現在、俺は机にうつ伏せている。
何故なら今日は、俺の大嫌いなグループ学習の班決めだからだ。
チェーンメールの騒動が解決し、クラスの奴らの興味は次の職場見学というイベントに向いている。
クラスのやつらは『班決めはどうする?』とか『〇〇に行きたい!』等と無駄にでかい声で騒ぎながら自分の希望する場所を黒板につるんでいる奴らとの名前と一緒に書いていくが、周りの奴らと違って組む相手も居ない俺には、何もする事が無い。
そもそも専業主夫を希望する俺は職場見学なんて行く必要性も感じない。だから、無難に『自宅』と職場見学の希望調査書には書いたのだが、それをあのアラサー独身が許さなかったのだ。
だから、何もせずに空いた枠に自分が入るのを、こうして待っているのだ。
だんだんと眠くなってきたところで、誰かが肩を優しく揺すってきた。
「八幡、八幡」
ソプラノの声で名を呼ばれ、沈みかけていた意識がゆっくりと浮上する。
「あ、起きた」
瞼まぶたを開けると、そこにはニコッと天使の微笑みで笑う戸塚彩加が居て、俺の顔を覗いていた。
「ど、どうした?」
天使の微笑みを間近で見て思わず昇天しそうになった意識を何とか保って聞き返す。
「ねえ、八幡は誰とグループを組んだの?」
今現在、俺の所属している2-Fの教室では定期試験後に行われる職場見学のグループと訪問先を決めている。
先日のチェーンメールの騒動が終結し、クラスも少し落ち着いた雰囲気を取り戻して、周囲の奴らは誰とグループを組むのか、どこへ向かうのかで騒がしく話している。
そんな雑音を他所に外を眺めながら座っていると、俺と顔を合わせながらマイエンジェルこと戸塚が聞いてきた。
「決まってねぇよ、俺はどうせ余ったところに放り込まれるだろうからな…………ん?八幡?」
たしか戸塚は俺を『比企谷君』と呼んでいたはずだったが……
「う、うん。材木座君が八幡って呼んでたから、仲の良い人同士なら名前で呼んだほうがいいかなって思ったんだけど」
「おい、ちょっと待て。俺と材木座は仲は良くないぞ! 絶対に!」
むしろあいつのことなんざ思い出したくもない。
できれば一日中、いや一生無視するまである。
「じゃ、じゃあ名前で呼ばないほうが、いい?」
わざとなのか、それともこれで素なのか。戸塚は上目遣いで尋ねてくる。
健気な天使の頼みをここまでされて断れる気なんてなれなかった。
「い、いや、別に構わない」
「そっか、じゃあこれから八幡って呼ぶね。それと、グループが決まっていないなら僕とグループを組まない?」
「戸塚と?」
「うん。僕も誰と一緒に行くか決まっていないんだ。…………八幡が迷惑でないならどうかな、って」
戸塚と班を組むだって?
まあ、戸塚と班を組むなら文句は無いよな。
「ぐ腐腐腐…………」
「ちょ、姫菜。鼻血出てるし!擬態しなよ!」
「「…………」」
その時、俺たちの背後から不気味な笑い声が聞こえた。
その声のした方を振り返ると惨劇とも寸劇とも言える光景が広がっていて俺と戸塚は言葉をなくす。
その光景は葉山グループの黒髪の女子が不気味な笑い声をあげながら、鼻血まで出して俺と戸塚を気持ちの悪い顔で見ているものだった。
確か、アイツは『海老名』って名前だったな…
その近くにいた由比ヶ浜が鼻血を出している海老名さんを宥めていたが、やがて彼女は『キマシタワー!』と大声を上げて始めた。
ていうかあの海老名って人、腐女子じゃねぇか。
葉山のグループの連中はどんだけ濃いやつの集まりなんだよ。
俺がそう思っている間に班決めは進んで行き、俺の班のメンバーは戸塚に決まり、もう1人は班決めで余った『佐山』という眼鏡をかけたおかっぱ頭といういかにも地味な印象のクラスメイトが入ることになった。
ー比企谷八幡 side endー
ー富良野英理華 sideー
「はい、書いてきたよ。 職場見学よろしくね」
「………うん」
「あんがと……」
私は営業スマイルを浮かべながら、黒板に自分の名前と班の他の2人の名前を書き自分の席に戻る。
今は私の所属している2-Fのクラスは職場見学の班決めをしているところだ、みんな自分の名前や友達の名前をあーだこーだ喧しく騒ぎながら黒板に書いている。
騒がしい雰囲気に巻き込まれるのが嫌な私は早々にカースト下位の自分でも組めそうな人を見定めてその人たちと班を組んだ。
こんなグループ分けでは、私のようなぼっちは絶対に班決めで余るため問題が起きやすい。
なので、早いところ私のようなクラスから浮いている余りそうな人と組んだ方が良い。
私の班のメンバーは『川崎沙希』という眠そうな顔をしている目付きの悪い無愛想な青髪のポニーテールの女子と、クラスの元女王の三浦さんだ。
何故この2人と組んだかというと、私はこの2人なら私とでも班を組んでくれるだろうという確信があったからだ。
川崎さんは比企谷君と同じように協調性や社交性皆無だからクラスでぼっちだし、三浦さんはテニスコートの時以来クラスで孤立しているから班決めには困っていただろうからね。
……にしても、今の三浦さんを見ているととてもクラスの女王だった人物とは思えないな。
派手な金髪は黒髪のショートヘアーというかおかっぱに近い髪型にして、長かった髪をバッサリ切り落としているし、着崩していた服もキチンと正され、スカートの丈も校則の規定通り。
今時の女子高生らしい化粧もしていないし、表情もあの時と違って常に暗い顔をしており、それがより彼女の今の姿を引き立てている。
クラスのトップカーストに属していた女王様の面影は全くと言っていいほどなく、以前の彼女しか知らない人が今の彼女を見たら別人かと錯覚するほどの地味な女子高生へとなっていた。
あのテニスコートの一件から、クラスの立場も友達も発言力も失ってしまった彼女には何の価値もないため誰も彼女をグループには誘わない。
今の彼女に寄ってくる人は誰もいないため、あれだけ自分が嫌悪していた私が誘っても受け入れるしかないのだ。
自業自得だとはいえ、クラスの女王様がここまで成り下がると哀れに見えてくる。
かといって同情はしないけど…
「いや~、にしても、アイツ、マジでなかったな」
「マジそれな!ホンット、有り得ないわ~。マジでヤッベーわ!!」
その時、一際大きな声で男子生徒の声が聞こえた。
思わずその声のした方を見ると、その声の主は3人1組でクラスメイトの名前が羅列されている黒板の前でたむろっている男子生徒だった。
その声の主は、ご機嫌で黒板に自分たちの名前を新たに書いているところだった。
それは、この間のチェーンメールの騒動の時の中心にいた葉山グループの男子の1人である戸部君だ。
その隣には、同じく葉山グループの男子の大岡君、そして葉山君がいる。
大声で話しているのはおそらく昨日のチェーンメールの犯人として言及された大和君のことに関してだろう。
戸部君の台詞に大岡君が大袈裟な程に同意する。
かつてのグループに所属していたメンバーのことなんて元からいなかったように振る舞う2人。
その横では2人を見て複雑な表情を浮かべているクラスの王子様がいた。
「葉山くんもそう思わね?」
「…………」
自分たちに同意を求めて戸部君が葉山君に話を振る。
だが、話を振られた葉山は黙ったままだ。
「葉山くん?」
「……あ、ごめん。少しボーッとしてた」
「もしかして、あの事気にしてんの?」
「い、いや……」
「パないわ~。あんな事しでかした奴のこと気に掛けるなんて、葉山くん、マジパないわ~。」
戸部君の賞賛に葉山君は笑顔で応えるが、その表情は、私にチェーンメールの犯人をカミングアウトされた時のようにどこかぎこちない。
だが、すぐにいつもの爽やかな笑顔で『そ、そんな訳ないだろ、もう俺もあんな奴ことなんて忘れたよ』と戸部君たちに返す。
少し顔が引きつってたけどね…
戸部君たちは葉山君が自分たちに賛同してくれたことに調子付いたのかさらに大きな声で大和君への罵倒を始めた。
一通り大和君の悪口を言って気が晴れたのか、その後は『職場見学では〇〇がどうだ』や『〇〇に行けば〜』など、今度は小学生のようなトークを始める。
そんな彼らの会話を暇つぶし程度に聞くのに嫌気がさし、そこに意識を向けるのを辞めて、今度は彼らの話題に上っていた渦中の人物の席を見る。
「………………」
私の斜め前の席に座る大柄な男子生徒に、以前はあの王国の国民の一人だった男に。
以前はあの華やかな王国の国民の1人だった大柄な男は、もうあの華やかな空間にはいない。
今の彼はあの華やかな王国に属していた時とは、全く違う死人のような顔で椅子にポツンと座っている。
果たして彼は今の戸部君たちの喧騒をどんな気持ちで聞いているのだろう。
柄にもなく私はそう思うと、この席に座る大和君が教室で暴れた翌日に意識を飛ばす。
チェーンメール騒動の次の日に、昨日の騒動こととチェーンメールのことで、担任や大和君の親も交えて話し合いが行われたそうだ。
大和君は最後まで『チェーンメールは俺がやったんじゃない!』と主張し、大和君の両親も息子の無実を信じていたため、クラスメイトの証言から大和君を疑っていた担任との話し合いは平行線のままで、完全に膠着状態となっていたそうだ。
だが、大和君の父親が『息子がチェーンメールを流したという証拠でもあるのか⁉︎』と担任に訴えたことで漸く話し合いが進んだらしい。
そう言われて、担任が大和君の携帯を調べたらチェーンメールを彼が送ったという痕跡はどこにもなく、結局は彼を無実として処理することになった。
履歴を消したのか、もしくは誰かの携帯からメールを送っていたのか等と不信感は残るが、問題事を大きくしたくない学校側も大和君がやったという証拠がないため彼を無実と信じるしかなかった。
結局はチェーンメールのことは証拠もないため、それについての処罰は学校側からは下されなかったのだ。
だが、教室で暴れたことは事実なので三日間の謹慎が大和君への処罰になり彼の両親もそれを飲んだ。
だが、クラスメイトはこの処罰に納得しなかった。
大和君との話し合いが終わったあと、教室で彼を責めたてた2年F組の生徒たちも、酷く疲れた顔の担任から『証拠もないのに人を犯人扱いするな、大和が帰ってきたら謝るように』と毒にも薬にもならない説教をされたからだ。
このクラスの中では大和君が犯人であることは、もう決まっていることなのに、自分たちも責め立てられたのだ。
当然、彼らが納得できるはずがなく、クラス全体が大和君への不快感をさらに募らせる結果になった。
そしてこのザマだ。
このクラスでは大和君のチェーンメール犯人だということはもう決定されており、担任からああ言われても誰も彼を擁護しようとも謝ろうともしない。
その証拠に謹慎明けに彼が学校に登校すると大和君はクラスメイトから『クラスの恥』と罵られ、もう彼の居場所は学校にはなかった。
グループからはゴミを見るような目で見られ、近づいても露骨にグループのメンバーは自分を避ける、相模さんや悪口を書かれていた男子たちに至っては暴言や暴力を振るうこともあったそうだ。
さらに、その日から彼の卑劣な動機がすぐさま拡散されていった。
特にチェーンメールにも書かれていた二股の件は伝染していくうちに誇張され、『他にも手を出した女子がいる』とか『金にものをいわせてレイプ紛いのことまでした』とかとの噂も立っている。
まあ、殆どはクラスメイトが昼食の話の肴にしているのを盗み聞きした話だからどこまで真なのかは分からないけど…
ともあれ、チェーンメールの騒動が解決したと同時に大和君の地位は失墜した。
その証拠に、彼が助けを求めた葉山君や由比ヶ浜さんたちも見て見ぬ振りを決め込んでおり、誰も彼の擁護をしなかった。
他のクラスメイトも誰も彼に救いの手は差し伸べなかった。
所属していた部活の部活メイトからも白い目で睨まれ、半ば追い出されるように退部。廊下を歩けば常にみんなから後ろ指を指される日々。
軽蔑の眼、陰口、そして根も葉もない濡れ衣の噂……。まさに至れり尽くせりだ。
大柄な体格も何だか以前より少し縮んで見える気がする。まあ、こんなにストレス晒されていればやつれていくのは当然だろう。
トップカーストという輝かしい王国から追い出された哀れなゴリラは、今では以前の傲慢な女王様と同じように1人でポツンと1人で椅子に座っている。
職場見学の班決めには、人数が足りず余ったグループに入れられたらしいけど、そこでも良い顔はされていなかった。
つまり、大和君は完全にクラスで孤立したのだ。
だが、誰もそれについて悲しむ様子はなく、むしろ悪口メールの主犯を天罰をくだせたという身勝手な正義感に酔いしれて正しいことをしたというような顔をして、いつも通りに過ごしていた。
担任も目立ったイジメには発展していないため、見て見ぬ振りを決め込んでいる。
それでもしばらくは、葉山君だけは下僕の裏切りとも取れる行いへのショックから立ち直れなかったのか表情は暗いままだった。
しかし、彼はこのクラスでは王子様のように扱われている。
その証拠にー…
『いや〜、葉山君あんな奴のことまで気にかけてくれるなんてマジ優しいわー!』
『やっぱ隼人君ってカッコイイよねー! あんなクズのことまで心配してくれるなんて〜!』
とのことだ。
あの場で彼を助けてあげることが出来たのにも関わらず、自分は保身のために彼を切り捨てた王様はこの有様だ。
グループの友達に裏切られた被害者にも優しい王子様、今まで以上に持て囃され、株もうなぎのぼり。
まあ、葉山君がこう思われるのは当然だろうね。
人間は自分が気に入った相手には他にも良いところがあるんだと勝手な先入観をプラスの面ばかりを見るからね。
現に葉山君の表面はプラスばかりだ。
イケメンで勉強もスポーツもできて、少なくとも表向きは誰に対しても優しい。
裏の顔はどうだか分からないけど、それを周りの誰かに勘付かせるようなことはない、いわゆる絵に描いたような完璧な人間だ。
戸塚君のテニス騒動の時は私によってあんな結末になったけど、それも彼からすれば『公平な提案』をしたということになっているのだろう。
少なくとも周りの大多数の人たちははそう見ていた、だから三浦さんの滅茶苦茶な要求が通ったし、相手側に何の利益もないテニス勝負にまで持ち込めた。
いわば、彼の周りに敵がほとんどいない、周りにいるのは自分を慕う者たちばかりだ。
そのため、皆が大和君の事で気に病んでいると思い込んだ。
実際には違うのだろうけどね……
………本当に貴方がクラスの雰囲気を優先する調子の良い王子様でよかったよ。
せっかく解決したチェーンメール騒動を大和君への罪悪感からクラスメイトたちに喋られたりでもしたら、私が屋上で葉山君を言いくるめるためについた嘘がバレてしまうからね…
そうなれば、大和君への悪意の矛先が私に向いてしまい、私はあっという間に針のむしろだ。
そんなの冗談じゃない、何で貴方達の友情ごっこのために私の平穏が脅かされなくてはならないのだ。
ーーさて、もう職場見学の班決めは終わったし、やることもないなら勉強でもしますか…
私は頭の中の考えを頭を振って払拭すると、テキストとルーズリーフを鞄から取り出して勉強を始めた。
「…………」
ふとその時、私の目の前を大和君が死人のような顔をしながら、フラフラと覚束ない足取りで教室から去っていった。
その様子を中位組のグループやかつてのグループのメンバーの数人がヘラヘラと嘲笑うのを横目で見たところで、軽くため息をついてシャーペンを持ち、勉強を始める。
今の光景を見て『やっぱり私の流儀は間違ってなかったな』と心の中で呟きながら…
中間試験まであと少し、放課後になって帰宅途中、いつもより大きめのバッグをコインロッカーから出しながら、私は個室のあるネットカフェに入って試験に向けて勉強しようかと考えていた。
共働きの義父母は、今朝から出張で明後日まで帰ってこないし、義弟の信頼も『今日は友達を家に泊めるから帰ってくるな』と私に言ってきたから今日はあの家に帰れない。
そのため、今日は安価で寝泊まりができるネットカフェか個室ビデオ店に泊まらないといけない。
『空いている部屋がありますように』と心の中で祈る。
まあ、こんなのは慣れっこなので、今更自分が哀れだなんて思わないし、対処法もちゃんと考えている。
義父母も信頼が友達を呼ぶたびに私を家から追い出しているのは知っているが、私にその時のお金は渡さないため、こっそり義父か義母のヘソクリからお金を調達しているのだ。
これは幼い頃から信頼もよくしていることなので、たとえ盗んだことがバレても信頼の仕業だと思い込んでくれているため、義父母はヘソクリが減っていても何も言わない。
盗み出すのは簡単だった。
まあ、信頼が私に自慢げに『義父母のヘソクリの隠し場所』と『自分が盗んでも叱られない』ということをペラペラ喋ってくれたからなんだけどね。
この時ばかりは、信頼の思慮の浅はかさに感謝した。
これ以外にも、私が家から締め出されてネットカフェやらで夜を過ごすのは、今の家族ではよくある事だ。
義父母や信頼の誕生日などの記念日などでは『俺たち家族の団欒の邪魔をするな!』と義父から言われているからだ。
今では、いつでも外泊できるように、自分でバイトした金で買った日曜消耗品と義父母から買ってもらった最低限の着替えが備わったバッグを納戸に常備するほどだ。
そして、学校に登校する時にコインロッカーに自分のバッグを預けて帰りに取りに行き、安価で休める場所で夜を過ごすのだ。
小学生の頃は公園で水で空腹を満たして寝泊まりしていたが、警察に補導されそうになってからそれは出来なくなった。
それは私のためにも絶対に避けたいことだ。
警察に補導なんてされたら義父母や信頼が私にしている虐待のこともきっと露見する。
そうしたら、義父母は逮捕されてしまう、そうすれば私の将来はどうなるのだ。
犯罪者に育てられたとなれば、たとえ被害者だとしても世間は優しい目では見てくれない。
そうなれば、私の将来は苦しいものになってしまう。
それを避けるために、たとえ奴隷になってでも今の家族には逆らわない方が身のためなのだ。
私が今の状態から抜け出すには、勉強するしかない。
私の志望校する大学は、国立の大学なのだから。
私立の大学なんて学費が高すぎてあの義父母が出してくれるとは思えない、私が大学に進学するには学費が安く就職にも有利になりやすい国立の大学しかないのだ。
私は自分の将来のためなら努力は惜しまない。
本来なら誰もが持っている『親』というスポンサーを私は持っていない。
自分でも思うけど、私は社会のカーストの最底辺に位置しているのだ。
その最底辺の私が人並みに這い上がるには努力しかないからね。
利用できるものは全て利用する、成績が良ければ推薦枠も取ることは出来るので、単なる定期テストも一点でも高い成績を取りたいのだ。
ーーと言っても、日頃から勉強に励んでいる私からしてみれば、今回の中間試験の範囲はそんなに難しいものではなかったから、少し心に余裕ができているけどね。
ーーピロロロロロロロ………!
「…っ⁉︎」
その時、突然私の携帯の着信音が鳴り響いた。
私は驚いて携帯を見る。
いきなり鳴ったから驚いたんじゃない。
私の携帯番号を知っているのは10人もいない、にもかかわらず、鳴ったから驚いたのだ。
慌てて携帯を開いて画面を見ると、そこには『由比ヶ浜結衣』と最近登録した人物の名前が表示されていた。
変な相手からの着信音じゃないことにホッとすると、通話ボタンを押して応答した。
「もしもし?」
『あっ! ふらのん! ねぇ、奉仕部に新しい依頼が来たんだ!』
「……新しい依頼?」
こんな時間に依頼?
今日は奉仕部に依頼人はこなかったんだけど…
『とりあえず、ふらのんも来てよ! 場所はねー…』
私が疑問に思ってると由比ヶ浜さんが、ここに来いと場所を伝える。
私が来ることはもう決まってるのか、相手の了承も得ずに話を続ける由比ヶ浜さんに内心憤りつつも了承の返事を返す。
幸いその場所は近くのカフェだったので、5分くらいで行けそうだ。
ーーまた、厄介な依頼とかじゃなければいいんだけど…
この奉仕部に入部してからロクな依頼がない、今度はそうじゃないように心の中で祈りつつ私はそのカフェに足を進めた。
でも、私のその願いは簡単に裏切られる結果となった。
この奉仕部にいる限り平穏は訪れないのに……
今回はここまでです。
いつも以上にめちゃくちゃで申し訳ありません…
感想やメッセージまでいただきありがとうございます。
ご指摘、感想がモチベーションに繋がるのでコメントをいただけたら嬉しいです。