4人目の奉仕部員は平穏に過ごしたい…   作:レッドクロス

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遅くなってすいません。

コロナウイルスの影響の課題のレポートを仕上げていました。

今回もオリジナル展開が含まれています。

原作の雰囲気を壊したくない人はブラウザバックを推奨します。


一人の少女に平穏を脅かされたくない。

ー葉山隼人 sideー

 

キャンプファイヤーの準備が終わって、俺はベースキャンプへ戻る。

 

作業はライン引きだけだったので比較的楽に作業は終わらせることができた。

 

やっと一息つける。俺が休もうしたところで誰かが近づいてきた。ああ、これは……

 

 

 

 

 

 

「……葉山く〜ん!ねぇねぇ、ウチさ、さっきまで超具合悪くてぇ〜」

 

「………はは、大丈夫かい?」

 

 

 

 

 

 

一息つこうとした俺に背後から甘ったれた媚びるような声がかけられる。

 

振り返ると相模さんだった。どう見ても体調の悪い奴の態度とは思えない。それにしても彼女はまた作業をサボっていたのか……

 

テニスコートの件から優美子に代わる形で俺のグループに加わり、正直彼女の普段の横暴な振る舞いや言動には鬱陶しいと思う事も少なくないが、だからと言って一応好意を寄せられている以上無下にもできないため、とりあえず彼女が喜ぶような言葉を模索して語りかける。

 

正直、彼女の相手などしていられない。俺にはやるべきことがあるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日の話し合いは実に残念だった。あの纏りのない話し合いのせいで俺の思い描いていた計画が狂ってしまったからだ。

 

留美ちゃんを俺が助けてやることで、俺が以前の俺とは違うことを雪乃ちゃんたちに見せて和解し、更にグループの俺への尊敬を高めるという計画。

 

俺の意見は模範とも呼べるべきものだった筈だ。グループのみんなも賛同してくれたし、俺は今までその方法で揉め事や話し合いを収めてきた。

 

だから今回もそのやり方が通じると思っていたのに、それを奉仕部の連中が真っ向から否定した。

 

 

それどころか、雪乃ちゃんやヒキタニは俺のやり方は間違っているとまで指摘したのだ。

 

 

何故だ、一体どうして、どこがおかしいと言うんだ?

 

 

相手はたかが小学生の女子、俺が『仲良くしようよ』と言ってやればすぐに従って留美ちゃんも孤立から脱出できるはずなんだ。

 

 

これのどこか間違いだと言うんだ。何も間違いはないじゃないか。

 

彼女のことをもっと考えろ?

 

俺はちゃんと考えているよ。考えた上でこうやって行動しているんだ。孤立している留美ちゃんを仲間のところに戻してやればいいだけだろう?

 

そうすれば彼女は幸せになって、俺は過去の過ちを雪乃ちゃんに許してもらえるんだ。

 

 

雪乃ちゃんが言ったように、虐めっこを制裁するだなんて、そんなんじゃあ解決とは呼べない。

 

おまけにそんなやり方じゃ、ちっとも『活躍』できないじゃないか。

 

グループのみんなに、雪乃ちゃんたちに、小学生たちに、俺の手で解決したというところを見せつけなければ意味がないんだ。

 

本来なら昨日の時点で雪乃ちゃんたちを説得できれば問題なかったのだが……まあ、今は良い。

 

雪乃ちゃんを納得させられなかったのは残念だったが、俺がイジメ問題を俺の案で解決させれば雪乃ちゃんも俺を認めてくれるに違いない。

 

 

 

その内に戸部や大岡、姫菜も俺の所に集まってくる。

 

休憩時間が終わって役割分担を決める話し合いが終わり、奉仕部も面々もボチボチも集まったところで俺は話を切り出す。

 

 

 

「―――それじゃ、折角みんなが集まってくれたことだし、昨日の夜の続きといこうか。留美ちゃんのことについて話してもいいかな?彼女を助けられるいい案を思いついたんだ」

 

 

 

「おっ隼人くんそれマジなん?!いっや、カッケーすわマジッべー!」

 

 

「だな」

 

 

俺のグループはみんなが盛り上がっている。これなら昨日よりはマシな話し合いができそうだ。

 

 

「それでどうするの?留美ちゃんのこと」

 

役割が大まかに決まったところで、昨日と同じように結衣が議題を上げる。すると、その一言に全員が黙りこんでしまう。

 

まずはみんなに作戦を説明するのが先だろう。それからでも、説得するのは遅くはない。

 

 

 

 

「それで、俺の案についてなんだけどーーー…」

 

 

 

俺は全員を見渡して自分の意見を話し始めた。

 

 

ー葉山隼人 side endー

 

 

 

 

 

 

 

ー比企谷八幡 sideー

 

休憩時間も終わりになり、再び俺たちは午後の肝試しの準備に取り掛かる、といっても午前のうちにあらかたは終わらせていたため、準備はすぐに終わった。

 

準備が終わると俺たちは肝試しの役割分担を決めることになった。

 

 

俺たちの役割は小学生が間違えたコースを進まないようにする、いわば見張り役のようなものだ。

 

この肝試しは中間地点の分岐点で待機する人と小学生を驚かせるお化け役に分かれる。

 

お化け役はノリノリの相模と戸部がやりたいということで、自動的に葉山のグループが担うことになり、戸塚はスタート地点で小学生を送り出す役、俺たち奉仕部メンバーはコースの案内役に決まった。

 

 

「それで、どうするの?留美ちゃんのこと」

 

 

役割が大まかに決まったところで、昨日と同じように由比ヶ浜が議題を上げる。すると、その一言に全員が黙りこんでしまう。

 

まあ、無理も無い。コイツらは昨日の夜に散々話し合っていたのにも関わらず結局建設的な意見は何も出てないんだからな。

 

 

 

 

ちなみに、この話し合いに富良野はいない。

 

なんでも、ここに来る前に由比ヶ浜に『少し引率の先生に呼ばれてるから先に役割を決めといて。私は余った役割で良いから』と言っていたらしい。

 

 

 

そんな中、まず葉山君が口を開いた。

 

 

「やっぱり、留美ちゃんがみんなと話すしかない、のかもな。話をすれば、最後には分かってくれると思うんだ」

 

 

コイツの解決策は、昨日と同じく鶴見留美がみんなと仲良くなれるように手助けすることだった。

 

アホか。周りの連中にその意思がないからああしてハブられてるんだろうが。どこに目をつけてるんだ。

 

 

 

「無理だよ。その場ではいい顔しても、裏でまた始まると思うよ?」

 

 

 

 

 

葉山の意見を切り捨てるは海老名さんだった。この人は葉山のグループの中では、まだまともに考える事ができるみたいだな。

 

 

「じゃあどうすればいいんだろう……。留美ちゃん、このままだとずっといじめられたままだよ……」

 

 

戸塚が悲しそうに目を伏せて言う。流石戸塚だ。

 

 

 

「留美ちゃんがみんなと仲良くなるために、俺たちにできることがきっとあるはずだ。留美ちゃんのためにも考えないと」

 

 

葉山が力強くそう言い切った。それこそ無理なことが、コイツはいまだに分かっていないようだ。

 

 

「無理だな。お前らにどうこうできるとは思えない」

 

 

 

考えるより先に口からそんな言葉が出ていた。

 

 

ぼっちの俺が葉山に反抗するとは予想外だったらしく葉山たちが一斉に驚いた表情で見てくる。そしてそれは、雪ノ下たちも同じだったらしい。

 

「ちょっとヒキタニ。あんた何言ってんの?」

 

 

相模が口火を切った。喧嘩腰で俺に自分の意思をぶつける。

 

 

「何だよ?」

 

 

「何だよ、じゃねーし。あんた、留美ちゃんが可愛そうだと思わないの?」

 

 

「……それがどうした?」

 

 

 

「どうしたじゃねーし!あんたって人の心ないの?マジキモいんだけど」

 

 

詳しい説明もなしにカースト上位陣が下位の人物を虐げるパワーワードの『キモい』という言葉を吐き捨て、俺を睨みつける。

 

コイツ昨日の話し合いで留美の事なんてほとんど気にしてなかったくせに何言ってんだ?そんなに葉山の意見に反対したのが気に食わなかったのだろうか?

 

淡々と答える俺に相模が苛立つ。その様子を見かねた葉山が俺に引きつった顔で話しかける。

 

 

「ヒキタニ、いや、比企谷。どういうことか詳しく教えてくれないか?」

 

 

「ふーん、俺の名前知ってたのか。てっきり読み方知らないのかと思ってたぜ」

 

 

「それは別にいいだろう。今は君の意見について聞いているんだ。何故、無理だと言い切れるんだい?」

 

 

やっぱりコイツは頭の中がお花畑だ。俺は一呼吸置いて葉山に吐き捨てるように言葉を繋ぐ。

 

 

 

「そもそも、お前らは前提からして間違っている。鶴見留美をみんなと仲良くさせよう?そんなことを考えるよりも先にするべきことがあっただろうが」

 

 

「…………それはどういうことだい?」

 

 

葉山が苦し紛れに聞く。コイツ、本当に心当たりがないのか?

 

 

「なら聞こう。いじめを行っている奴らに話をして『いじめをしてはいけないから鶴見留美と仲良くしよう』と理解させることと、鶴見留美が他のみんなと仲良くするようになるのは本当に『イコール』となるのか?」

 

 

「……どういう事?ヒキタニ君」

 

 

「はぁ!?そんなん当たり前っしょ?」

 

 

「イコールもなにも、そうじゃないのか?」

 

 

相模と葉山はその通りじゃないかと俺に反論する。海老名さんは理解できないのか俺に説明を求めた。

 

俺の葉山の意見の反発と今の言い争いで話し合いと呼べるような空気ではなくなっていた。だが、留美のためにもコイツらには言ってやらねばならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……だから、それは…『ごめん。遅れちゃった』……え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、聞き覚えのある女性にしては低めの声が俺の話を遮って聞こえてきた。

 

声のする方を見ると、セミロングの黒髪を靡かせ、いつもの笑顔を浮かべる長身の女性、富良野が険悪な場に似合わない笑顔を浮かべて俺たちの輪に入ってきた。

 

 

「……あ、ごめん。少し遅れちゃった。なんの話?」

 

 

タイミング良いのか悪いのか、富良野が戻ってきた事により一旦話の流れが止まった。相模は不機嫌そうな顔になるが、富良野はお構いなしにいつもの笑顔のまま友好的に葉山に話しかける。

 

富良野を見るなり、葉山が少し顔を引きつらせた。戸惑いながら自分の解決策とそれを肝試しの時に実行するというまだ話し合いに出てないプランを富良野に何故か焦ったように話す。

 

富良野は葉山の意見を共感の素振りをしながら聞いていた。途中で雪ノ下の反論や相模の横やりが入ったが、富良野が上手い口上で納め、葉山の案を続けさせる。

 

葉山が話終わると、富良野は雪ノ下をチラリとみて今度は雪ノ下に意見を求めた。

 

雪ノ下は大体昨日の話し合いで言ったような事を富良野に説明した。

 

途中で葉山に関しての意見がどれだけ無謀なことかの批評が入っていたが、かいつまんで言うと『虐めっこたちに留美の現状を伝え、考えを改めないと親や学校に伝えて処罰を降す』と半ば脅すように言って改心させる教育的指導を行うというものだった。

 

富良野は雪ノ下の意見も葉山と同じように共感の素振りをしながら聞いていた。

 

2人の意見は食い違っている。話し合いで解決しようと言う葉山と、脅しで強引に解決させようとする雪ノ下。相反する意見を出させて富良野は何をするつもりなんだ?

 

葉山の意見を支持するのが葉山グループの全員、雪ノ下の意見を支持するのが由比ヶ浜と言った感じだ。残りの奴らは中立といった感じだが、発言力の強いコイツらの意見だから決まった方に流れるだろうな。

 

この場でどっちかの味方をするつもりか?

 

今までの富良野を見てきた限りだと、そんな行動するとは思えないが、一体何が狙いなんだ?

 

そんな俺の疑問を一蹴するかのように富良野は暫く考え込んだ後、またニッコリと笑顔を浮かべて場の全員を見渡して言った。

 

 

 

「2人とも納得できる意見だよ。確かに葉山くんの言うような話し合いでの解決なら鶴見さんたちが和解しやすいし、彼女らが本当の友達になれるかもしれないよね」

 

 

 

 

 

何と富良野が葉山の意見に賛同をした。葉山と葉山グループの奴らの表情が少し和らぐ。

 

 

 

 

 

「……ちょっと富良野さん。私の意見聞いてたのかしら?それは万に一つの可能性もないって…」

 

 

 

 

 

だが、これに黙っていられないのが雪ノ下だ。雪ノ下は目を吊り上げ自分の意見に反対する富良野を冷たい目で睨みつける。

 

にしても、本当に恐ろしい目つきだ。みろよ、隣の由比ヶ浜なんてめちゃくちゃビビってんじゃねぇか…

 

富良野は今度は雪ノ下の方を見てニッコリと微笑み言葉を繋ぐ。

 

 

 

 

 

「雪ノ下さん。決めつけるのはどうかと思うよ?それに葉山君の意見は確かに雪ノ下さんがなるようなデメリットもありそうだけど、間違ってはいないじゃない」

 

 

「……なっ!」

 

 

「雪ノ下さんの言うように更なる虐めに発展するかもしれない。でも、そうなるかどうかは分からないよね。それなら脅すなんて事をするよりまず話し合いをさせる方が鶴見さんたちのためになるんじゃない?」

 

 

「そうだし!富良野、アンタ話わかるじゃん!見直したよ!」

 

 

さっきから葉山の意見を擁護するような発言をする富良野。相模は完全に自分たちの味方に富良野がついたと思ったのか機嫌を良くし富良野を手をつかむ。

 

だが、富良野がそう言うたびに雪ノ下の機嫌はどんどん悪くなっていった。冷気を纏ったようなオーラを出し。不機嫌な顔を隠そうともしていない。

 

「……そう。貴女は他の人たちと違って少しは賢いとは思っていたけど、私の見込み違いだったようね」

 

雪ノ下は富良野に『失望した』と言いたげに吐き捨てた。踵を返すようにその場から去ろうとすると、富良野が『ちょっと待って』と雪ノ下を止める。

 

 

 

 

「雪ノ下さん、何を勘違いしているか分からないけど、私は貴女の意見を否定したつもりは全くないよ?むしろ、貴女の意見にも私は賛同してるんだよ」

 

 

……は?

 

 

「え?」

 

 

雪ノ下が足を止めてキョトンとした顔で富良野を見つめる。葉山たちも富良野の発言に目を丸くしていた。

 

 

「ち、ちょっと待つし!ふらのん、さっき隼人君の意見に賛同したじゃん!さっきと矛盾してるよ⁉︎」

 

 

「うん?矛盾してるってどう言う事?私は葉山君の意見に賛同したけど、雪ノ下さんの意見にも賛同するって言っただけだよ?」

 

 

由比ヶ浜が富良野に突っ込む。矛盾なんて難しい言葉をよく知ってるなと言いたいが、俺にも富良野の発言の意味が理解できなかった。

 

相反する二つの意見のどっちにも賛同するってどう言う事だ?コイツは一体何を言ってるんだ?

 

俺と由比ヶ浜だけではなく、全員が同じ考えなのだろう。富良野のことをキョトンとした顔で見つめている。

 

富良野は笑顔を崩さずに言葉を繋いだ。

 

 

「葉山君の意見にも賛同するけど、雪ノ下さんの意見にも私は賛同する。つまり、私はこの二つの意見を両方とも鶴見さんのイジメ問題を解決するのには必要だと思うって事だよ」

 

「……だから…どう言うこと?」

 

 

理解できてない由比ヶ浜が富良野に問いかける。

 

「だからさ、今回のイジメ問題の解決には2人の意見の両方が必要ってことだよ。そもそもさ、こんなに良い意見を出していて、どっちかの意見しか採用しないなんてもったいないと思わない?2人の意見を取り入れて解決するのが最善だと私は思うんだけど」

 

 

「……あのさ、横から申し訳ないんだけど、隼人君と雪ノ下さんの意見を二つとも取り入れる解決策は無理だと思うよ?2つとも意見は真逆だし」

 

 

今度は海老名さんが富良野に突っ込む。そこがみんなの疑問だ。当事者である雪ノ下と葉山もその点には納得できてないようだからな。

 

 

「真逆だからこそだよ。私は2つの意見を取り入れるべきだと思う。まず2人の計画に共通している夜の肝試しでイジメっこたちと鶴見さんたちの様子を伺う。そこでまず葉山君たちがイジメっこたちを説得する。そこですかさず雪ノ下さんが教育的指導としてイジメっこたちに自分のしたことの罪の重さをわからせる。葉山君と雪ノ下さんの力量があればイジメっこたちを納得させられる説明ができるはずだし、こうすれば、葉山君の説得により良心が芽生えるかもしれないし、雪ノ下さんの指導により自分たちの罪を自覚して反省するかもしれないよね。二重に説得を重ねたら流石の彼女たちも反省して鶴見さんのイジメを辞めると思うよ?」

 

 

 

富良野は笑顔のまま葉山も雪ノ下の意見を兼ね揃えた解決策を提示した。その場が静寂に包まれる。

 

 

「素晴らしい!」

 

 

 

その時、拍手とともに平塚先生が俺たちの会話に入ってきた。平塚先生は感激したように富良野を見つめる。

 

つーか…この先生、一体いつからいたのだろうか?いたのなら葉山と雪ノ下の言い争いの時から止めて欲しかったが…

 

 

 

「富良野。私はお前を見直したぞ。奉仕部に入部してから成長したな。膠着していた話し合いを纏め上げ、さらに双方納得いく解決策を提示するとは。解決策もなかなかのものだった。私も鼻が高いぞ!」

 

 

平塚先生は富良野の背中をバンバンと叩いて称賛した。富良野は『痛いですよ』と言いながら照れたように頬をかいた。

 

 

「富良野の意見に反対のものはいるか?私はこの案が最も納得できる案だと思うが…」

 

 

平塚先生に反対の声を挙げる者はいなかった。流石の俺もここで反対の声を挙げたらあの独身に殴られること間違いなしなので何も言わない。

 

 

「反対のものはいない。これで決まりだな。では、あとは君たちで解決したまえ」

 

 

 

平塚先生は豪快にそう言うと満足そうに踵を返した。

 

おいおい…そこまで俺たちにやらせるつもりなのか…?この独身は…

 

俺はあまりにも放任主義な平塚先生に思わずため息が漏れる。だが、俺のそんな意思にお構いなしに平塚先生が賛同した事により、富良野の提示した意見が採用される流れになっていた。

 

 

 

葉山は自分の意見が採用されたことと、意見が纏まった事に満足そうにしているし、雪ノ下は富良野を悔しそうに一瞬見つめ、葉山と同じだと言う事に不服そうにしながらも、富良野の解決策に納得したらしい。

 

馬鹿な由比ヶ浜は『ふらのん天才!』と言っているし、相模や戸塚たちは富良野の意見に納得したらしくこの計画の杜撰さに気づいた様子はない。

 

ただ1人、海老名さんだけが顎に手を当てて何かを考えこんでいるようだが、言い出す気はなさそうだ。

 

話題の中心にいる富良野は由比ヶ浜にまとわりつかれていた。困ったような笑顔をしながら由比ヶ浜を引き剥がす。

 

 

 

 

 

 

 

纏まった意見に満足している奴らを見ながら俺は内心で呟く。

 

俺は富良野の意見に賛同できない。

 

 

一見まともそうに見えるが、富良野の話した計画は穴だらけだ。下手をすれば留美がさらに虐められる結果になるのにそれを指摘していない。

 

富良野が話しているのはそれこそ葉山と雪ノ下の意見のメリットだけ、デメリットの事を何一つ提示していない。

 

葉山や雪ノ下たちが、こっそりといじめグループの連中をルートから外れさせ、教育的指導をしたとしてもそれが留美を虐めている奴らに効果があるとは思えない。

 

俺の経験からして効果はゼロだ。その場では泣いて謝っていても、そのグループの奴らは、葉山たちが去った後に留美を憎しみの目で見るだろう。

 

『チクリ野郎が』、『高校生にまで泣きつきやがって』、大体こんな所を考えるだろう。

 

そして周りの皆に発破を掛ける。『鶴見留美は再び敵となった、排除しろ』と、そうなれば以前より苛烈なイジメになる、そうなれば完全に逆効果だ。

 

 

 

……このようなデメリットに富良野が気づかないとは思えない。なのにコイツはその意見を後押ししようとしている。

 

……コイツらしくない杜撰な解決策だ。

 

何だかまるで、この計画を無理やり押し通そうとしているような…

 

 

 

 

林の中で留美を見送った時と同じような嫌な予感がする。

 

だが、この場は平塚先生が賛同した事により、コイツの出した意見に纏まりつつある。俺が何を言ってもコイツらは聞く耳を持たないだろう。

 

……こうなったら俺も早めに動いておいた方が良いかもな…

 

 

 

 

 

 

話し合いが終わり、全員が肝試しに備えてそれぞれのグループに戻っていく。俺もそれに乗じて次の目的地に向かう。

 

その時、富良野とすれ違う。

 

170cm以上の身長を持つ富良野は俺と背丈がほぼ一緒だ。すれ違い様に俺の耳元に口を寄せて、まるで呟くように言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……比企谷君、貴方は自分のやってる事が正しいと思ってる?だったらそれは間違いだよ」

 

 

「……は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は思わず間の抜けた声で反応する。

 

富良野は俺の脇を通る時に俺にそう話しかけると、振り返りもせずに林の中に1人消えていった。

 

 

 

ー比企谷八幡 side endー

 

 

 

 

 

 

ー鶴見留美 sideー

 

真夏の昼の熱い太陽が自然に溢れた自然公園を照らす中、私は昼食を食べて、自由時間になって部屋に戻ると誰もいなかった。

 

以前の私なら寂しいと思ったのかもしれないけど、今はこの状況を少し嬉しがっているというのは変わっているのだろうか。

 

なんにせよ、一人で静かに過ごせるのはちょっと気分がいい。こっそり持ってきた本でも読んでいよう。

 

でも、先生が来たらきっと面倒なことになるから周りに気を配りつつね。

 

 

 

「………」

 

 

しばらく読書に勤しんでいると、やっぱり引率の先生が来た。

 

先生は、こんな時に一人で本を読んでいるのが大層不服らしく、『友達と遊びなさい』というパワーワードで私を半ば強引に部屋から追い出した。

 

部屋を出て、外へと向かう。

 

さて、これからどうしようか。とりあえずしばらくして先生がいなくなったら部屋に戻って本でもとってきてどこか誰かに見つかりにくい木陰の下にでも行こうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『彼は君のことなんて何一つ考えてないんだよ。親身に君に向き合ってるように見えて内心では君のことを陥れようとしているんだよ』

 

 

『鶴見さん、君は昨日は誰も信用できないって言っていたのにその舌も乾かないうちに他人に助けを求めるんだね』

 

 

『そもそも今の現状は君の自業自得でもあるよね?自分だけが悲劇のヒロインだと思ってるの?だったら君は本当に惨めだね』

 

 

『それって自分だけが良ければ良いって事でしょう?結局君も『君自身が愚かだ』と言っていた人たちと同類って事だよ』

 

 

 

 

 

…ふとその時、私の脳裏にある人の言葉が蘇ってきた。

 

これは、昼食前に八幡と別れた後、林の中であの人に言われた言葉だ…

 

 

あれからあの人に言われた言葉が頭にこびりついて離れない。

 

仮面のような笑顔を顔に貼り付けたあの人は今の私の心を見透かしたようにそう言った。

 

 

「……分かってる……そんな事分かってるんだ…」

 

 

 

あの人の言い分に私は何一つ言い返さなかった。いや、言い返せなかった。

 

 

 

最初はクラスにいじめられている子がいた。仲間に入れてもらえず、物を隠されたり、裏で悪口を言われていた。

 

可哀想だと思ってはいたけど、同時に巻き込まれるのが怖いから関わり合いにならないようにしていた。

 

やがてその子は虐めの耐え切れずに不登校になった。

 

そしたら、クラスの皆が自分がその子をいじめていたとでっち上げ、今度は自分がいじめられるようになった。

 

先生もいじめをやったのが自分だと信じているから、助けてくれなかった。

 

無視され、陰口を言われ、物を隠されて―――今に至る。

 

抵抗しようとした、抗おうとした。でも、それは全て数の圧力により押しつぶされた。だからもう全部どうでも良くなって現実を受け入れた。

 

 

 

 

私に残されたのは少しでも自分のダメージを軽くするための自己防衛だけだった。

 

みんなが馬鹿だ、周りのみんなはガキだ、そう思う事で自分のプライドと心を守ろうとした。

 

それをあの人は『悲劇のヒロインぶっている』と吐き捨てるように言った。そんな事ないと言い返したかったが、言い返す言葉が見つからなかった。

 

 

 

 

 

 

「………っ!」

 

 

 

あの人の事を思い出すだけで無償に腹が立って外に出る。頭の中はもうぐちゃぐちゃだ。

 

あんな事を言われたら、もう誰を信じたら良いのか分からない。もう誰を頼れば良いのか分からない。

 

私は一体どうすれば良いの…?

 

 

 

「あれ、留美ちゃん?」

 

 

乱れた感情を少しでも落ち着かせるために、外を当てもなく歩いていると、葉山さんに声をかけられた。

 

 

正直、1番会いたくない人だった。でも、変なことをしてそれがみんなの耳に入ればと考えると、拒絶の言葉は喉の奥に引っ込み、代わりに身震いしてしまった。

 

 

「……はい?」

 

 

「みんなは、どうしたの?いっしょじゃないの?」

 

 

空気を読まないのか察しが悪いのか葉山さんが、されたくない質問をする。みんなと一緒ならこんなところに一人でいるものか。

 

 

「朝食を食べて部屋に戻ると誰もいなかったよ」

 

 

「……そっか、はぐれちゃったんだね。俺さ、みんながいるところを知っているから、良かったら、案内しようか?それとも、みんなを呼んで合流しようか?」

 

 

 

……それ、絶対にやめて。完全に事態は悪くなるから。

 

 

「ううん良いよ……私は一人で大丈夫だから…」

 

 

「遠慮しなくて大丈夫だよ!さあ、おいで」

 

 

精一杯の拒否をしても葉山さんは気にした様子は何もなく、葉山さんは遠慮なしに手を伸ばしてくる。この手を握れば、間違いなく連れていかれる。

 

虐めっこたちのいる悪の巣窟に、あんなところに戻るのはごめんだ…

 

 

 

 

「ごめんなさい、ちょっとトイレ」

 

 

 

 

そう言い残して私はその場を離れる。後ろで名前を呼ばれるが、振り向かない。気分はまさに馬車から逃げたドナドナ(子牛)の気分。逃げないと、馬車の運転手が追ってくる。

 

でも、私は気づかなかった。

 

本当に私を追ってきているのは、すぐ後ろの馬車の運転手ではなく、その運転手の影に隠れている傀儡子である事を……

 

 

 

 

ー鶴見留美 side endー

 

 

 

 

 

 

ー富良野英理華 sideー

 

「ーー…ここまでは計算通り……」

 

 

 

予想通りに進んでいく計画に私は小さく微笑む。比企谷君が懸念材料だったけど、ここまで来れば彼のことなど関係ない。

 

 

 

 

 

「……比企谷君、やっぱり私には君の考えは理解できないなぁ…まあ、君の人間性は大体理解できたけど…」

 

 

 

 

 

 

こんな話を聞いたことはないだろうか?

 

『世は全て事も無し』という言葉を。

 

この話を私はこう解釈している。

 

人生というものは、私たち人間が夢想するよりも平坦であるものなんだと。

 

それこそ平塚先生や葉山君たちが望むようなドラマ性に満ちていたりしないんだよと。

 

なぜ人は、あんなにもドラマやアニメといった空想世界に想いを馳せるのか。平塚先生がアニメが好きなように、そこには、現実にはありえない創作物の中だけ許される『if』があるからだ。

 

運命的な恋愛も、できすぎのコメディも、悲劇的な結末も、すべてはお話の中の世界というフィルターがかかっているから、安心して空想を享受することができる。 

 

要するに他人事なのである。誰かのドジも、愛憎も、悲劇も、自分に起こりえないとわかっているからこそ楽しむことできる。

 

 

何も珍しいことじゃない。今回の鶴見さんのイジメ問題に関しても同じことが言えるからだ。

 

虐めが悪いことなのは幼稚園生でも知っている事実。でも、それがなくならないのは何故なのか。

 

答えは簡単。人間とは常に誰かの優位に立ちたいと思う人間だからだ。それに虐めっ子も周りでそれを見ている人も所詮は別世界の話だから手を差し伸べないし、せいぜい『可哀想』って思う程度だ。

 

だからこそ周りの人間は自分の世界に影響のない人間を虐めて快感を得たがる。

 

その人間の性がある限り虐め等はなくならない。大人でも子供でもそれは変わらないのだ。

 

被害者が嫌がれば嫌がるほど、加害者は『いけないことをしている』や『悪趣味なことをしている』というような背徳感に酔いしれ、さらに過激なものになっていく。

 

まあ、綺麗事が好きな教師や偽善者が「そんなことはありえない」「そんなはずがない」なんて寒いセリフをよく言うが、フィクションのお話の中の登場人物ですら、使い古された常套句だろう。

 

 

 

 

 

今回の虐め問題を止めようとしている葉山君がそれに当てはまる。

 

ぶっちゃけ彼らの描いている解決方法はフィクションの中の解決方法だ。虐めっ子を説得させて和解させるなんて、そんな事か出来るならとっくの昔に彼女たちもやっているし、私たちが介入する問題にもなってないからね。

 

彼は綺麗事の塊だ。昨日の話し合いからそれがよく分かる。彼の意見は美しく模範というようなやり方だが、そんな模範のようなやり方だけで解決できるほど甘くはない。

 

奉仕部の雪ノ下さんたちにも同じ事が言える。というか、こっちは葉山君よりたちが悪い。

 

葉山君たちはまだ鶴見さんのために、良くない動きであっても彼女のために動いていることから、その点は評価に値するけど、雪ノ下さんたちはそれすらもしていない。

 

雪ノ下さんは昨日の話し合いで、否定意見を出すばかりで意見を出さず、場の雰囲気を悪くしただけだし、由比ヶ浜さんは話し合いに参加できていたかどうか怪しく、雪ノ下さんについて行っているだけだった。

 

それに、今回の鶴見さんの問題に関して、さっき私が思った通り『所詮は別世界の事だ』と無意識にみんな思っている。

 

彼らは準備が終わった後に呑気に川で遊んでいたからだ。問題を私たちに丸投げした平塚先生も一緒にね。

 

本気で彼女のことを助けたいと思っているのなら、昨日の話し合い体たらくを反省し、みんなで協力するのがセオリーだ。まあ、常識的に考えたらこんな問題をただの高校生の私たちが解決するというのがおかしいのだが。

 

てか、雪ノ下さんに関しては奉仕部の理念を無視してまで、自分から手を貸すと言っているのに、それを無視して川で遊ぶという事をしているから始末が悪い。これこそが彼女が嫌う無責任というものなのではないだろうか。

 

雪ノ下さんは、これまでの依頼でもそうだったが、今回も正攻法で問題を解決できると思っている。

 

葉山君と言い、雪ノ下さんと言いそんなことをしてキャンプが終わった後、鶴見さんの立場がどうなるか考えもつかないのだろうか。目先のことを乗り切ればその後のことなど考えていないのだろうか。

 

雪ノ下さんは敵を完膚なきまでに叩きのめすと言っていたけど、鶴見さんには、そんなものなどない。

 

自分の基準だけで物を見て相手のことを考えることをしない。イジメ問題を解決すると言っている割に彼女はそれにすら考えが及ばないと言うのか。  

 

それにしても、雪ノ下さんの愚直なまでに自分のやり方を信じて疑わない、その姿勢は葉山君にそっくりだな。彼も話し合いで和解させるという解決策が正しいと思ってそれ以外の考えを聞き入れてないから。

 

もしかして雪ノ下さんが葉山君を嫌悪しているのは過去の因縁だけではなく、同族嫌悪的なものもあるからではないだろうかとも思ってしまう。

 

雪ノ下さんは認めないだろうけど、葉山君と雪ノ下さん、2人の考えは双子のようにそっくりだ。

 

自分が正しいと常に信じていて周りを見ているようで見ていない。テニスコート、チェーンメールでもそのような兆しがあったしね。

 

見れば見るほど、みんなの行動が矛盾している。私から見たら『鶴見さんのイジメは所詮別世界の話だ』と無意識にみんなが思っており、この問題を本気で解決しようと思っているとは思えない。

 

まあ、自分の正義感に酔いしれてる人とそれについて行ったら人しかいないのだから当然だと思うけど。

 

 

 

 

 

 

まあ、あの中で1番鶴見さんのために動いているのは比企谷君だろうか。彼は何かの心境の変化があったか、元々根っこの部分が『困っている人を放っておけない』という正義感に溢れた人なのかは分からないけど、鶴見さんを助けようとしていた。

 

だからこそ、私が林の中で鶴見さんに近づいた時に貴女はあんなに嫌悪感を剥き出しにした顔をしたのだろうね。隠し切れてない嫌悪感が『近づくな』と私にサインを出していたよ。

 

貴方の考えに賛同しても良かったのかもしれない。でも、私にはそれが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

比企谷君。私は貴方のことを信じてないんだ。貴方の解決方法で私の平穏が脅かされないとは限らないでしょう?

 

 

私は常に自分のことしか信用していない。比企谷君の解決方法は大体の想像はできるけど、イジメっ子たちが納得しなければそれまでだし、もしかしたら高校生に虐められたと教師や親に密告する可能性も捨て切れない。

 

私はそれが怖い、恐ろしい。そうなった場合は責任があるのは余計なことをして引っ掻き回した私たちにある。

 

そうなると他の人はともかく私には守ってくれる人がいない。

 

みんなと違って『家族』という城がない私はそうなった場合は破滅の道を辿るしかない。それは私は恐ろしくてたまらない。

 

想像するだけで怖い、恐ろしい、恐ろしくてたまらない。

 

 

雪ノ下さんたちも、葉山君たちも、平塚先生も、比企谷君もこの問題の解決するというのが、これほどまでに諸刃の剣である事に気付いてない。

 

 

人は誰しも、自分には、いや自分の周りには、そんなことが起きるはずがないと信じている。確信していると言っていい。昨日と同じ今日が、今日と同じ明日が、必ず来ると妄信しているが、そんなことはあり得ない。それは私が身をもって体験していることなのだから。

 

彼らは永らく生を謳歌してきた習性の表れで、そう思っているのかもしれないが、周りから迫害され、人の幸せのお溢れをもらって生きている私はそうは思えない。

 

貴方たちには理解出来ないかもしれないけど、私のような人間は、平穏が無事な時間が続いていほしいという願っている。

 

故に今回、私に何のメリットもないイジメ問題なんかにここまで奔走してるのは、わたしの『平穏に過ごしたい』という願いの現れなのである。

 

 

でも、誰もそれに気づいてくれない。まあ、気づかせる気もないし、気づいてもらいたくもないかと、私は自分の平穏のために動く。

 

 

 

 

「……比企谷君、貴方の考えは分かってるよ。確かに君の考えは見る人が見れば正しいことなのかもしれない…でもね、それは見てくれる人がいればのはなしだ。誰も見ていない時の行動はただの無駄な足掻きでしかないんだよ…」

 

 

 

 

 

私はそう呟くと、歩き始める。

 

 

 

鶴見さん、悪因悪果という言葉を知ってる?

 

自分がした事は自分に帰ってくるという意味だよ。

 

今は貴女が被害者なのかもしれないけど、以前は貴女も同じことをしていたのでしょう?

 

おそらく貴女が本当に求めているものは加害者たちからの謝罪でも和解でもなく、今のこの現状から抜き出させてくれる人、もしくは本当に心の奥底から信頼できる友達なんでしょうね。

 

 

 

でもね、仕方ないとはいえ相手を傷つけておきながら自分だけ悲劇のヒロインのように振る舞って助かろうなんてそんな虫のいい話なんてないんだよ。

 

ならば、貴女もその報いを受けなくちゃ、その先に何があるのかは貴女次第だよ。

 

でも、貴女は『友達なんていらない、一人で大丈夫』って昨日の夕食の時に言っていたから、何が起こっても一人で乗り切れるんでしょうね。

 

まあ、貴女のその先の事なんて知ったことではないけど。全ては元を辿れば貴女のせいだということを忘れないでね…

 

私は行動する。全ては私の求める平穏のために…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物語の中心の少女も助けようと思惑を重ねる少年少女も気づかない。

 

 

彼らをじっと見つめる傀儡子の心の中を。

 

 

 

どこまで話すか。どこまで聞かせるか。

 

 

 

ゆっくりと傀儡子は彼らを観察し、道筋を組み立てて行動する。

 

 

 

傀儡子は平穏に過ごしたい。

 

みんながこうやって問題を解決しようと動くのも、きっと自分を救うための手段の一つにするために。

 

 

 

 

 

もちろん彼女は忘れない。

 

 

比企谷たちの思惑と留美が本当に求めてるものを。

 

 

 

それすら全て考慮に入れて、彼女は計画を組み立てる。

 

 

そして、それぞれの思惑を利用し自分の思い描いたシナリオ(計画)を遂行するためのマリオネットを作り上げる。

 

 

 

 

全ては、己の脅威の排除のために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タネは全て巻き終えた。後は結果をご覧あれ。

 

 

 

 

全てが富良野の思うがままに動いていた。

 

 




後書き


今回はここまでです。


いつも以上にめちゃくちゃで申し訳ありません…





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