4人目の奉仕部員は平穏に過ごしたい…   作:レッドクロス

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女主人公の家族がでますが、オリキャラです。

彼女の過去も明らかになります。

かなり暗い展開なので苦手な方はここでブラウザバックを推奨します。

今回は原作キャラは出ません。

ほとんど女主人公の1人語りで進みます。


他人は頼れないから平穏を脅かされたくない。

「ふ〜、今日はいろいろあったな…」

 

奉仕部のことなどで今日はいろいろあったなと思いながら私は帰宅した。

 

家に入り、洗面所で顔を軽く洗うと、脱衣所のタンスを開けて制服からいつも家で来ているジャージに着替えながら一息をつく。

 

 

 

 

 

私の家はどこにでもあるような普通の一般家庭だ。

家族構成は父と母、それに弟が1人いる。

 

職場や学校に通うだいたいの人間は『早く自分の家に帰って来たい』と思うだろう。

 

自分の家とは、家族か一人暮らしなら自分以外は誰もいない自分だけの空間だ。

厳しい現実からホッと一息をつけるような安らぎを与えてくれる空間だ。

 

でも、私にとってはこの空間は『自分の家』という名の地獄だ。

 

なぜなら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、帰ってきてるのならただいまくらいは言ったらどうなんだ? 愚姉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、無遠慮に脱衣所のドアを開けて、私に野太い声が飛んだ。

 

ため息を吐きたい気持ちをグッと飲み込んで振り返るとそこにはくちゃくちゃと行儀悪くガムを噛みながら、ジトリとした細い目を私の方に向けて、自身の太った身体をドアの淵にあずけている男がいた。

 

この男は私の弟の富良野信頼(ふらののぶより)だ。

 

信頼はニキビの出来た顔を書きながら、下品な視線を私に向けてきた。

着替えている最中なので今の私は下着姿だ。

ニヤニヤと笑いながら私に近づいて唾を飛ばしながら続ける。

 

「お〜… 女子高生になったらさらに胸は成長したな! にしても、中学生の頃は俺の『息子』でヒイヒイ言ってたのによ!」

 

 

「……」

 

 

 

しかし、私が反論せずに黙っていると信頼は近づいて私の胸を手汗だらけの手で触った。

 

 

「やっぱりデカくなってやがる! 使えないダメ姉だが、身体は良いからなぁ!」

 

 

信頼はそう言うとさらに下衆な笑みを浮かべた。

 

 

 

(我慢… 我慢だ…)

 

 

私にも当然ながら生理的嫌悪はある。

でも、それを抑えるためにそうして自分に言い聞かせた。

 

 

その後も信頼にいろいろ身体を触られた、胸だけでなく脚、脇もさらに下半身まで…

 

 

一通り楽しんで満足したのだろう、信頼はニヤニヤ笑いながら私に言った。

 

 

 

「あ〜、ここでお前を抱きたいが生憎と今は避妊具がない、買ってくんのも面倒だから今回はこれで勘弁してやるよ、だから早く晩飯の支度しろ、今日は俺の好きな唐揚げな!」

 

 

 

そう言うと、私を突き飛ばして脱衣所から手を振って出て行った。

 

信頼に触られた所が気持ち悪かったが、私は信頼に逆らうことは出来ない。

 

それに、これは私の平穏を守るためでもあるのだから…

 

 

 

それは何故か。

 

実は私はこの家の本当の娘ではないのだ。

 

といっても漫画などでよくある父親か母親の『隠し子』とか言うわけではない。

 

私の本当の親は信頼の父親の兄、つまり、今の父親の兄の子供なのだ。

 

つまり今の家族は、私にとっては義理の家族ということだ。

 

本当の私の父親、つまり今の父親の兄は私の本当の母親と一緒に私が産まれてばかりの時に交通事故で死んだそうだ。

 

事故処理の本当の父親と母親の葬式が終わった後、残された私の今後についての議論が始まった。

 

本当の父親と今の父親の両親、つまり父方の私の祖父母はもう死んでおり、私は母方の祖父母に引き取られた。

 

私の本当の父親は結構大きな会社を経営していたため収入は多かった。

そのため父親の遺産は相当多くあり、それに加えて母親の資産も含めた遺産は相当額あり、私の学費などは賄えるようになった。

 

生活費などは祖父母に頼ることになるが学費は自分で賄える蓄えがあったらしい。

 

でも、その母方の祖父母も私が8歳の頃に病気で相次いで亡くなってしまったのだ。

 

さらに悪いことにその母方の祖父母には身寄りが他におらず私は再び独りぼっちになった。

 

本当ならば、ここで私は施設に引き取られるのだが、ここで名乗りを上げたのが私の本当の父親の弟、つまり私の義父である。

 

義父は『そいつが引き継いだ、俺の兄の遺産を俺たち家族が貰う代わりにそいつを引き取る』と言い出したのだ。

 

義父は私を引き取った母方の祖父母が病死する前に祖父母に言い、祖父母は私のことを大切に育ててくれていたため、私に身寄りがなくなり施設に引き取られるより、まだ義父にひき取られた方がマシだと思ったのか義父の要求を飲んだ。

 

 

そうして、私は母方の祖父母が病死した後、今の家に引き取られたのだ。

 

 

 

でも、ここからが私にとっての辛い日々の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

私はこの家では世間で言う『ネグレクト』もしくは『虐待』という扱いを受けている。

 

旅行や外食に連れて行かれないのは当たり前、親が参加する学校行事にも、義弟の信頼の時は参加するが私の時は参加したことはない。

 

旅行などに行った時にも、残された私に何もしてくれないため、私は買いだめしておいた食料を料理して食べてなんとかしている。

 

自分の部屋なども与えられていない。

 

私の服や下着などは最低限しか与えられておらず、その服や下着は部屋がないため自分のタンスなどはないため脱衣所のタンスに入れている。

 

ダイニングの隅に制服は掛けて、納戸に高校生になってから自分でバイトをして買った教科書や参考書を邪魔にならないようにしまい。

 

連絡用に買ってもらった型落ちの安い携帯の充電器を廊下のコンセントに刺している。

 

寝るときは納戸から使ってもいいと言われた、古い布団を廊下に敷いて寝ている。

 

 

家族として見られたことは唯の一度もない。

 

 

私が引き取られてからすぐにそれらは行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祖父母の葬式が終わった後、義父は私を家に連れてくると私を育ててくれていた祖父母から受け取った金の入った通帳を自分の家族、私にとっての義母と信頼に見せつけた。

 

義母は予想以上の金に大喜びして当時3歳だった信頼を抱きしめていた。

 

この時は、私はまだ『愛情』を育ててくれていた祖父母からもらっていた、だからこの家の人たちが、私の新しい家族だと思っていた。

 

私は喜んでいる義母たちを見て嬉しくなった。

 

だから、私は義父に信頼のように抱きつこうとした。

 

でも、それは甘かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬、何が起こったのか分からなかった。

 

 

 

 

義父は私を拳で殴ったのだ。

 

 

5歳の私が大人に殴られて無事ではいられるはずもなく私は壁まで吹っ飛び、頭を打った。

 

 

 

頭が割れるような痛みが走り、激痛に頭を抑えて蹲る。

 

 

私が頭を上げて呆然と義父を見ていると、義父は私に指を突きつけて吐き捨てるように言った。

 

 

『勘違いするな! お前を引き取ったのはこの金のためだ! お前なんかのためにこの金はもったいない! この金はウチの信頼のために使うのだ! 金が手に入った今はもうお前に用はない! 本来ならば今すぐ施設に捨てたいが、そうなると世間から俺たちが白い目で見られる! だから、この家にいさせてやるだけだ! お前など厄介者以外の何物でもない!』

 

 

 

義父はそう言うと、信頼を抱いている義母が私を見下ろしながら言った。

 

 

『全く居候になる身のくせに、身の程知らずも甚だしいわね、あなた、信頼、沢山のお金が入ったから景気付けに焼肉にでも行きましょう。 この子のお金から抜き取れば良いでしょう』

 

 

義母はそう言うと私を頭を踏みつけて言った。

 

 

『バーカ! おまえなんかきえろ!』

 

 

義母の腕の中から見ていた信頼と私を見て、あっかんべーをして言った。

 

私の目から涙が出た、でも、私は頭の痛みから何も言えなかった。

 

義父はそんな私を見下ろすと、自分の妻と信頼に視線を移す。

 

 

『さあ、嫌なことなんて忘れて、外に食べに行こう!』

 

 

『そうね…』

 

『わーい! おそとでおしょくじうれしいな!』

 

 

 

私に向けたようなとは、打って変わったような笑顔で信頼たちに言った。

 

義母と信頼も私のことなど目に入ってないかのように義父の言葉に同調する。

 

 

『ま、待って… 私もおなかすいてるの…』

 

 

私は最後の力を振り絞って義父に手を伸ばす。

 

しかし、そんな私の手は…

 

 

 

 

 

 

 

『よるな! 汚らわしい!』

 

 

『ああぁぁっっ!!』

 

 

 

 

義父が踏みつけた。

 

踏みつけた腕からバキッと嫌な音が聞こえたと同時に踏みつけられた腕に激痛が走る。

 

義父は私に振り返ると、蹲る私を蹴飛ばした。

 

 

『腹が減っただと⁉︎ 居候の分際で飯まで集ろうっていうのか⁉︎ 飯食わなかっただけで死にはしないぞ! それに、俺と母さんと信頼の家族の邪魔をするな!』

 

 

義父は私にそう吐き捨てると『嫌なもん見たな』と義母と信頼に言いながら玄関を出て行った。

 

 

それからの記憶はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に私が目が覚めたのは病院のベッドの上だった。

 

 

私の担当医の先生が言うには、なんでも路上に血を流して倒れている、女の子がいると近所の人が発見して119番してくれたらしい。

 

おそらく、助けを呼ぼうと外に出て力尽きたのだろう。

 

幸い頭蓋骨にヒビは入っておらず、右腕を骨折した程度だったらしく、後遺症も残らないそうだ。

でも、全治1ヶ月の大怪我だと言った。

 

ホッとしたと同時に両親がいない今、助けを求めるチャンスだと思った。

 

私は両親にこうされたと言ったが医者は『嘘をつくな』と私に怒った。

 

その医者は『むしろ両親に感謝しなさい』と言ったのだ。

 

なんでも、私が病院に運ばれたと知らせが行った時、飛んできたのだと言った。

そして、『何が何でも、こいつを助けてください』と言ったのだと言う。

 

普通ならば喜ぶべきなのだろうが、私は喜べなかった。

なぜなら、まだ8歳だった私でも、義父にされたその時のことは忘れられなかったからだ。

 

 

 

 

 

その時、義父と義母が部屋に入ってきた。

 

 

そして、義母は私に抱きつき、義父は『良かったな』と私の頭を撫でた。

 

医者はそれを見て『君は良い両親を持って幸せだね』と私に微笑むと病室を出て行った。

 

でも、医者が病室を出て行った後、2人の態度は一変した。

 

私を抱きしめていた義母は私を突き飛ばすようにしてベットに倒し、義父は私の私の頭を撫でていた手を振りほどいた。

 

私が上を見上げると、そこにはあの時と同じ表情の義父母がいた。

 

背中に気持ちの悪い汗が流れる。

 

また殴られるのだろうかと思わず身を固くした。

 

 

 

 

義父が私に対して顔を近づけて言った。

 

 

『全く、お前って奴は本当に疫病神だ、よりにもよってウチの前で倒れやがって! それのせいで俺たちが虐待してるって警察から疑われたじゃねぇか!』

 

 

『そうよ、私たちの仕事や信頼の将来に影響が出たらどうするのよ』

 

 

義父に乗じて義母も言う。

 

 

さすがに病院ということもあり、義父母からは殴られなかったが、代わりに自分に対する罵詈雑言が降りかかった。

 

 

なんでも、私が倒れたところは富良野家の玄関先だったらしく、発見した人が、頭から血を流して腕が折られた幼女を見て、この富良野家の人たちが虐待をしているかもしれないと警察にも通報したそうだ。

 

疑われた義父母はそんな事実はないと否定し、証拠ないため警察も引き上げたそうだ。

 

警察は、『この幼女は不運にも通り魔に襲われた』と結論付けたらしい。

 

 

近所にも虐待への噂が立ったため、その噂を消すために、義父は『英理華は私たちの兄の娘だ、ところが、兄が死んでしまったため私たちが引き取った大切な娘』と公言したのだそうだ。

 

もともと、義父母は私を引き取ったら頃合いを見て私を施設に捨てるつもりだったらしい。

 

 

でもそれが、今回の私のことでそれができなくなって私を育てるしかなくなった。

 

 

自分たちや信頼にまで被害が出るのは堪らないらしい。

 

 

義父母は散々私に恨み言を言うと、病室を出て行った。

 

 

気分を変えるために、ふと病室の日めくりカレンダーを見るとあの日から1週間経っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1ヶ月後、怪我が治り、私が退院すると、義父は『迷惑をかけたお詫びとして、今後の家の家事は全てお前がしろ!』と言った。

 

義父も義母も共働きなので家のことが疎かになりがちだった。

そこで私をタダで使える家政婦として目をつけたのだ。

 

 

祖父母の家でたまに家事を手伝っていたのが功を奏したのか簡単な家事は一通りこなせた。

 

私自身がもともと器用だったということもあり、この家の家事も1週間も経てばほとんどこなせるようになった。

 

でも、料理だけはなかなか上手くいかなかった。

 

器用だったとはいえ、料理は人によって好みが異なる。

 

義父から『家事をしろ』と言われた日の夕食で、私は祖父母によく作っていたカレーライスを作ったのだが、義父や信頼はカレーライスが嫌いだったらしく、『まずい物作るんじゃねぇ! 馬鹿!』と2人は言い私に皿ごと投げつけた。

 

さらに、義父は『俺たちの嫌いなモン作りやがって! あぁ⁉︎ これが引き取ってやった大恩人に対する態度かぁ⁉︎』と言い私をカレーが溢れた床に押し付けた。

 

信頼もそれに便乗して私を踏みつけて『やーい!やーい! 屑虫女!』と私に唾を吐きながら言う。

 

さらに義父は

 

『お前がまずいモン作るからこうなったんだ! 責任とって溢れたモン全部お前が食え! 信頼、嫌なもの見ちまったな、俺たちは外に食べに行こう』

 

と言い、信頼を連れて外に出て行った。

 

 

 

 

義母は私の作ったカレーライスを食べ終わるとさっさと自室に戻っていったので、助けてくれなかった。

 

 

残された私は義父母が見てない好きを見計らって溢れたカレーライスを急いで片付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日から私は考えた、どうしたらこの家で安全に過ごせるのか。

 

私を守ってくれる人はいない、私を助けてくれる人はいない。

 

ならば自分の身は自分で守るしかない。

 

 

その日のことから、私は義父母と信頼が好きなものを調べるようになった。

それだけでなく、家事にも積極的に取り組んだ。

 

 

これは、機嫌取りのためだ。

 

 

どうやっても、私がこの家にお世話になっている限り義父母には逆らえない。

間接的に義父母に溺愛されている信頼にも。

 

 

私がこの家にいる限り義父母と信頼の言うことを聞く、奴隷になるしかないのだ。

 

 

そう思ったら、この家に引き取られた当初に持っていた、『信頼のように義父母から愛されたい』などという感情は持たなくなった。

 

むしろ私の中にあるのは『愛されたい』という要求ではない別の感情だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは義父母、いや他人に対する『恐怖』だ。

 

 

幼少期からこのような扱いを受けていたが、義父母の言うことを聞いていれば、安全に過ごせた。

 

 

だからこそ、私はその『恐怖』から自分の身を守るために義父母と信頼の機嫌取りを積極的に行うようになった。

 

そのために、自分の処女も信頼に差し出した。

 

中学生となった信頼は思春期真っ只中だ。

 

だからこそ、その性欲を発散させるために、犯しても問題のない存在、つまり私に目をつけたのだ。

 

正直にいうと嫌だったが、自分の平穏のためなら処女くらい安いものだと割り切った。

 

それからの信頼の性処理は私が行なっている。

 

義父母にも、この生活のうちに身についていった観察眼を駆使して最大限の機嫌取りを行った。

 

義父の好きな酒を買ってきたり、義母の好きな俳優の出演するドラマのDVDを借りてきたり、様々なことを行った。

 

ここまですると、義父母の私に対する以前のような暴力はなくなった。

 

もちろん、お礼を言われることも労われることもないが、以前のようなことがなくなっただけで私は満足していた。

 

義父母や信頼のために尽くしていれば、あの人たちは私に関わらない。

 

1人でいれば何もされない。

 

暴力を振るわれることもなければ何をされることもない。

 

この時間こそが私にとって何よりもかけがいの無い愛しい時間に感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引き取られてからの新しい小学校に通っても、私は今の家族にされたことが忘れられなかった。

だから、自分に寄ってくる他人が義父母や信頼に見えて次第に他人を避けるようになった。

 

 

義父母からされた行いの恐怖を避けるために学校での友達は作らなかった。

いや、作れなかった。

他人と付き合うことで、またあんな思いを味わうくらいなら1人でいた方が良い。

 

 

それほど、根深いトラウマになっていた。

 

そして、自分にいじめなどの問題が起こるのを避けるために勉強に励むようになった。

 

家事がない時などは全てそのために費やした。

 

成績が良い生徒は次第に優秀な生徒として教師からも周りからも見られ、周りから一目置かれる存在として見られるため、教師や同級生から目をつけられることもなくなると思ったからだ。

 

小学生や中学生の時は信頼の使わないノートをこっそりくすねて勉強に取り組んだ。

 

それ以外にも義父母たちとの生活で培った観察眼をフルに駆使して教師たちの機嫌取りもした。

 

そのため、小学校でも中学校でも優等生として学校からは注目された。

 

でも、中学3年生の冬、それが裏目に出て私の恐れていた事態がとうとう起こってしまった。

 

私が平穏に過ごしたいという考えが完全に定着するきっかけになった『いじめ』だ。

 

いじめっ子たちが言うには、『お前、ぼっちの癖に〇〇先生に好かれてんのがムカつく』や『何でアンタなんかがアタシより成績良いわけ⁉︎』というものだった。

 

いじめの原因は所謂嫉妬だ。

 

まあ、いじめっ子たちの言い分もわからなくはない。

中学3年生といえば、殆どの生徒たちが始めて受験を控えてピリピリする時期だ。

 

もしかしたら志望校に向けて勉強をかなり前からしていた生徒もいたのかもしれない。

 

そして、その苛立ちから嫉妬も相まって私にあたったのだろう。

 

ぼっち、教師から気に入られる、私はいじめっ子たちからしてみれば格好の標的だった。

それから、私は毎日のように殴る蹴るの暴力をそのいじめっ子たちから振るわれた。

 

いじめのことを両親には相談していない。

 

どうせ相談したところで対処してくれるとは思えないし、下手すれば『信頼にいじめの手が伸びるだろ‼︎』と義父にまた殴られるかもしれない。

 

あれだけ私に目を掛けていても、教師たちも大ごとになって、自分の評価が下げられたくないからいじめのことを見て見ぬ振りをする。

 

従って、他人に助けを求めるだけ無駄だ。

だから、自分で何とかするしかない。

 

よくあるドラマや漫画とかではいじめの証拠を持ち出して教育委員会、もしくはネットに告発することは私はしない。

 

あれが出来るのは限られている。

 

失うものがない人。

すぐにでも1人で生きることが出来る人。

または、親など自分を守ってくれる人がいる人だ。

 

私にはその3つのどれもない。

 

それに告発を失敗したら私は家族からも学校からの世間からも袋叩きにあう。

 

だから私ができる1番良い方法はいじめが治まるのを待つことだった。

 

どっちみち、そのいじめが起こったのは、中学3年生だ。

 

いじめっ子たちとの付き合いももう終わる。

 

そう思えば良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、それより前に前述の3つのうちに当てはまる心の優しい人が私のいじめを証拠付きで教育委員会に告発してくれた。

 

その時の映像は、私が暴力を振るわれている時の映像だったため教育委員会も動かざるを得なかった。

 

大ごとになるのを防ぐために、学校ではすぐに緊急集会が開かれた。

 

その時は、流石に私の義父母も出席したが面倒くさそうな顔をしていた、私はいじめの解決より、義父にまた暴力を振るわれるかもしれないということに震えた。

 

でも、その心配はなかった。

 

緊急集会の時にいじめっ子の1人が資産家の子供であったため、子供のいじめの贖罪としていじめに対しての多額の慰謝料を払うと言ってくれたのだ。

 

そのことに義父母はニヤリと笑った。

 

その後は『さもいじめを許さない良い親』の顔でいじめっ子の親たちに怒鳴っていた。

 

おそらく資産家の払う多額の慰謝料に目が眩んだのだろう。

つまり、最終的には得をしたから私に暴力を振るう理由がないのだ。

 

暴力を振るわれなかったことに私はホッとした。

 

その後のいじめっ子たちは転校するなり退学するなりの悲惨な結末を迎えた。

 

そして、そのことが私の『平穏に過ごしたい』という考えが完全に定着するきっかけになった。

 

そうして、今の私の性格が形成されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緊急集会のあった日の夜、私はもう一つの事実を知った。

 

それはこの家に引き取られてからずっと私が気になっていたことだ。

 

それは『どうして義父は私のことをあそこまで蔑ろにするのか』ということだ。

いくら私が本当の娘でないとはいえ、あそこまでするなんておかしいと…

 

それを考えていると、幸か不幸か義父が自ら喋った。

 

その日は資産家の親から多額の慰謝料をもらったことに上機嫌になり義父と義母、そして信頼の3人で焼肉屋に行ったのだ。

 

当然、私は家で1人で自分の作った夕食を食べた。

 

そして、その日の深夜に義父母がリビングで酒を飲んでいた。

 

その時に義父が自慢するようになにかを義母に自慢げに語っていた。

 

おそらく、酔った勢いで義母に自慢していたのだろう。

 

廊下で布団を敷いて寝ている私には嫌でも会話が聞こえてくる。

 

私は思わず聞き耳を立てた。

 

それこそが私の知りたい事実だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

義父は昔から優秀で皆から慕われていた自分の兄、つまり私の実の父親を妬ましく思っていたそうだ。

 

そのため今までも義父は私の父親に対して多くの嫌がらせをしてきたそうだ。

 

でも、義父の思い通りに事は上手く運ばずに私の父親は大学の在学中に友人たちと立ち上げた会社が大ブレイクし、若くして一流実業家として成功した。

 

そして、一流実業家として成功した私の父親は当時、女優として活動していた私の母親と交際して結婚した。

 

そうして産まれたのが私だった。

 

でも、そう言った矢先に不慮の事故で私の両親は死んでしまった。

その時は義父はさんさん妬ましい兄が死んで『ザマァ見ろ!』と思ったそうだ。

 

そして今度、義父が目をつけたのは両親の莫大な遺産を受け継いだ私だ。

 

義父は自分の兄の残した遺産を狙ったのだ。

そして、祖父母が死ぬ直前に祖父母に私を引き取るから私の受け継いだ遺産をもらうと申し出たのだ。

 

莫大な遺産を横取りできた上に憎かった兄の子供の私を甚振ることができるため、この上ない快感を得たのだと言っていた。

 

義父はそれを自慢げに義母に語ると義母と共に高笑いをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを廊下から聞いていた私は義父に対して特に怒りは湧かなかった。

 

逆に冷静になった。

 

これが理由なんだと心にストンと落ちた。

 

なるほど、それならば納得だ。

 

そして思った。

 

ああ、やっぱり『他人は頼れない』のだと…

 

 

 

 

 

 

 

「おい! 早く飯の支度をしろ!」

 

っと… 昔のことを考えていたみたいだ…

 

いけない、こんな事を考えている暇はない…

 

早く夕食の支度をしなきゃ…

 

 

 

 




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