双子マスターカルデアにジオウが来たようです。   作:木綿豆腐

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双子マスターカルデアにジオウが来たようです。

「……これで、最後の呼札だな…」

 

「石は使うなってエミヤに言われちゃったしね…」

 

「だ、大丈夫ですよ先輩方!きっと新しいサーヴァントの方が来てくださるはずです!」

 

ここはカルデアの召喚施設。

曜日クエストで貯めたマナプリズムを呼札に変換した男主人公(リッカ)女主人公(立香)は5枚のうち4枚を麻婆豆腐に変えてしまうという未曾有の事態に絶望してた。

 

「ダメだよ…だってこの流れだとまた麻婆豆腐が来るんでしょ…知ってる」

 

「やだ…私たちの幸運値…低すぎ…?」

 

「ええと…その…」

 

もはやみんなの後輩、マシュ・キリエライトもフォローが間に合わない。

 

もはやクー・フーリンが他人事とは思えない。

 

ある意味自害と何ら変わりない爆死を繰り返し、その度麻婆豆腐の辛さと世の中の不条理に涙して来た。

 

なぜ、何故我々は麻婆豆腐にここまで苦しまなくてはいけないのだろうか。

 

背後霊があの愉悦神父なのだろうか。

 

「マシュ、頼みがある」

 

「は、はい!何でしょうか…っ!?こ、この姿勢は少々照れ臭さを感じます…!」

 

突然、リッカが立ち上がり壁際までマシュに詰め寄った……平たく言ってしまえば壁ドンである。

 

「わたしも、いいかな?」

 

「ひゃぁっ!せ、先輩!?」

 

まるで滝を登る鯉のようにマシュの下半身を抱きめつつも上半身まで登る立香。

 

「「自害しそうになったら止めてね」」

 

「そ、それは勿論!ですがこのようなことをする必要性はあったのでしょうか!?」

 

「…あー。いいからさっさと召喚しようぜ?いつまでそれやってんだ」

 

茶番(コント)に歯止めが効かなくなって来そうな雰囲気を察知したのはキャスターのクー・フーリンだ。

 

彼はマシュたちの最初の冒険の時からずっと一緒に、傷つきながらも戦って来たカルデア一番の古株である。

 

召喚施設に同行しているのも彼らを案じているからに違いない。

 

また、彼自身フレンドリーな為、マスターたちが新規サーヴァントとのコミュニケーションに詰まった場合のフォローを任されている。

 

「…ふぅ、落ち着いた。ありがとうマシュ。キャスくーちゃんも」

 

「ありがとねマシュ、キャスニキ」

 

「キャスニキはともかく、キャスくーちゃんはやめてくれねぇかリッカ!?」

 

食い気味のツッコミだが顔は笑っている。

それはこの場にいる全員に当てはまることだった。

 

人理焼却の危機が迫っているとはいえ、ずっと神経を張り詰めていては、いずれ何処かでパンクしてしまう。

 

それがレイシフト先で起こってしまえば、どれ程の危険に見舞われるか分かったものではない。

 

息抜きというのはとても重要なことである。

 

「よし、それじゃドンデン返しを期待して回そうか!」

 

「それは言ったら起こらないタイプのフラグなのでは我が弟よ!」

 

「ハッ!」

 

クスッ、と笑いが溢れる中、

和かに、ゆるーく召喚が行われる。

 

(これなら仮に麻婆豆腐が現れてもあいつらは精神を保っていられるだろな)

 

(これなら先輩方も大丈夫そうですね)

 

爆死のショックで自害しようとする彼女らを止めるのはいつもキャスターのクー・フーリンとマシュの役目であるが、今回はその必要は無さそうで一安心。

 

……そう、思ったのがいけなかったのか。

 

「「星5確定演出だぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」」

 

「「!?」」

 

マシュの盾の上で旋回する三つのリングが虹色に輝き出している。

 

これは、ジャック・ザ・リッパーやアルテラを召喚した際にも現れた現象。

 

「おいおいおいおい…!今のあいつらにゃそりゃ逆効果だろ…!」

 

「まさかこれまでとは真逆の理由で止めに入る事象が存在するとはおもいませんでした!」

 

興奮死。マシュとクー・フーリンの脳内にこの単語がよぎる。

 

初めての星5はジャック・ザ・リッパーだったが、その時はまだレア度の基準をよくわかっていなかった為そこまで大事にならず、アルテラを引いた時は敵対してすぐに召喚したので気まずい空気により有耶無耶に。

 

今回は……流石にアルテラと同パターンはないだろう。確率的に。

 

「いいか嬢ちゃん。今のうちに医務室に連絡しておけよ。万が一あいつらが倒れるようなら、サーヴァントとは俺が話をつけておく」

 

「りょ、了解です!」

 

「「こいこいこいこい!!!」」

 

虹のリングは一つに纏まり眩い光を放つ。

やがてその光が収まり、人型へと形を変えていき、

 

『——————』

 

"それ"は現れた。

 

黄金と黒で統一されたスーツに悪趣味な高級時計のような印象を受ける装飾。人で言うならば顔にあたる部位には、クラス名と思われる『ライダー』の文字が禍々しくあてがわれていた。

 

しかしながら、そこから放たれる威厳はこれまで出会って来た『王』とは一線を画すもの。

 

ただの『王』ではなく【魔王】

 

その場にいた全員が直感した。

……いや、雑務が忙しく、ここにはいない天才やドクター達にも映像越しに感じたことだろう。

 

あれだけ騒いでいた双子マスターもその迫力の前に沈黙せざるを得ない。

 

『—————』

 

しかし、その原因であるサーヴァントも同様に押し黙っている。

 

「…なあ、どこの英霊だかしらねぇが、マスターが目の前にいるなら一言くらい喋れってんだよ」

 

切り出したのはキャスターのクー・フーリン。

 

自身が最も得意とする獲物は持ち合わせていないが、それでもこのサーヴァントが危険な思想を抱え、マスターに襲い掛かろうものなら迎撃する。

 

と言う意思をマスターを庇うように前へ出ることで主張した。

 

「あっ…!」

 

それを視界に捉えたマシュも停止していた思考を復帰させ大切な先輩を守るため、クー・フーリンの横へ並び立つ。

 

こちらも盾が召喚したサーヴァントの下にあるため充分な戦闘は期待できない。

 

(けれど、それでも…!)

 

守るのだ。

 

『…ふむ。なるほど、状況は把握した』

 

「「!」」

 

言葉を、初めて口にした。

その内容は捉え方によってはどう答えれば良いか分からず困惑していたかのように思えるが…。

 

どうなのだろう。

 

『私自ら語るのも良いが…他に適任がいる』

 

「そ、それはどう言う…?」

 

『奴は来る。私のいる場所に、必ずな』

 

マシュの疑問に答えると同時、再び三つのリングが現れた。今度は虹ではなく金色に染まっている。

 

「…あっそっか、10回引いたからおまけでもう一回できるんだった」

 

呆然としたまま立香が呟く。

 

「…ちと、やべぇか…?」

 

このサーヴァントの言動が正しければ、敵か味方かわからない人物がもう一名追加されるのだ。決して顔には出さないが、内心冷や汗を流している。

 

そうこうしている間にもサーヴァントは召喚されてしまった。

 

マシュとクー・フーリンに緊張が走る。

 

 

「———祝え!」

 

 

が、それは空回りに終わった。

ズッコケ、まではいかないがなんとも言えない。

 

「時空を超え、過去と未来をしろしめす究極の時の王者!その名もオーマジオウ!人理を修復するためルーラークラスにて現界した瞬間である!」

 

「ライダーではないのですか!?」

 

「…うちにも弓兵なのにバリバリ前衛で戦闘する奴はいるけどな」

 

一気に空気が弛緩した。

 

『やはり来たか、ウォズ』

 

「えぇ、我が魔王。私は貴方に忠誠を誓った身。何処までもついていくさ」

 

『……そうか』

 

「…そっちの祝ってたのにいちゃんはなんのクラスだ?」

 

かなり親しそうな会話であり、忠誠を誓うほどの家臣を持っている。

 

が、オーマジオウの名は聞いたことがない。

 

自分より後の世代だろうかと考えつつも、黒のストールを巻いた胡散臭い男…ウォズに話しかけ、彼は答えた。

 

「おっとそうだね、私も召喚された身だ。一応の挨拶はしようじゃないか。…私は名はウォズ、クラスはライダー。過去と未来を読み解き、正しき歴史を記す預言者だよ」

 

———歴史が消えても仮面ライダーは壊れない。

 

この人理修復の旅において、彼らの存在は予想以上の活躍を見せることとなるが、それは少し、未来のはお話。

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