双子マスターカルデアにジオウが来たようです。 作:木綿豆腐
『…この年になって女子の部屋にお呼ばれするとは思わなかったな…正確には姉弟の部屋だが』
「え、そうなの?意外。なんか、すごくやり手なイメージがあったんだけど…」
『…そうだな、別の私なら、そういうこともあったかもしれないが…』
「別の…オーマじいちゃんにもオルタがいるの?」
『正確には別世界の、だが…確認できるだけでも大体20人前後くらいはいる』
「そんなに!?」
カルデアの廊下。
そこは、生き残った職員だけでなくサーヴァントも行き来する公共の場。
人理焼却前から人が途切れないことで有名なその廊下で、とある人物達が妙な存在感を醸し出しながら闊歩していた。
人類最後のマスターの
もちろん通行人は彼ら以外にもいる。
しかし、マスターはサーヴァントとの絆を育むのも立派な仕事の一つ。
故に、カルデア職員はよほど緊急でもない限りはサーヴァントと談笑中のマスターとは話しかけないという暗黙のルールができていた。
「あ、おかーさん!」
「お、ジャックちゃん!どーしたの?」
しかし、それはあくまで職員内での約束事であるためサーヴァントには関係ない。
むしろ一部(マスターLOVE過激派)は積極的に割り込んで新人に釘をさしたりする。
その筆頭は清姫であるのだが…これはまた後ほど。
「あのねあのね!さっき種火をたっくさんとってきたんだよ!」
「本当?ご苦労様!いつもありがとう。毎回周回メンバーだけど、疲れてない?」
「んーん!ぜんぜーん!私たちは、おかあさん達のためならなんだってできるもんね!それに、何回も解体できるからすっごくたのしいんだよ!」
「そっかー!もーかわいいなぁうちの子は!」
「わっ、くすぐったいよぉ……えへへ」
突然立香に突進してきた露出度の高い子供。
この子は別にカルデアに元からいた誰かの子供ではなく、れっきとしたサーヴァントの1人なのだ。
最初はこの突進で転んでいた立香も、もう慣れたもので多少よろめく程度に収まっていた。
ここまではいつものカルデアの風景。
『…まさか、マスターはその年で子供を…?しかもそれなりに大きな…』
「!?」
ちょっと違うのは、人の心が分からないまま王様になってしまった平成の墓守がいたこと、ただそれだけである。
「え、いや、ジャックちゃんは私が産んだわけじゃないよ!?」
『だがその子はマスターを母と呼んでいるが?』
「うん!おかーさんはおかーさんだよっ」
「そうだけど、そうじゃないの!」
とてもややこしい。
「…我が魔王。マスターはまだ未成年だ。こんなに大きな子供が産まれるわけがないだろう?彼女はサーヴァントだよ」
『ウォズ…。確かにそうだな、うむ』
見かねたウォズがフォローをしに来た。
明らかに呆れている。
しかし口元には笑みが溢れている。
2068年では常に張り詰めていないと行けなかった為に、若き頃のような談笑が出来なかったのだ。
もしかしたら、カルデアに来て少し昔に戻ったオーマジオウに感動しているのかもしれない。
『…そうだな、うん。子供か…』
「オーマじいちゃん?」
「おじーちゃんなの?なら、わたし達にとってのひいおじいちゃんだねっ」
『おぉ…!うむ、うむ…』
「わ、我が魔王…いかがなされました?」
ズキューン!
そんな音が聞こえた気がする。
恋愛コンボでも入ったのだろうか。
いや親愛?どちらでもいいが。
『なら、ひいおじいちゃんとしてひ孫にはおもちゃをプレゼントしようか』
「は?」
失敬。
おじいちゃんスイッチだったようである。
オーマジオウは懐に手を入れ…スッと何かを取り出した。
【ライドヘイセイバー!】
自己紹介どうもありがとう。
『音の出る
「わっ、すっごい派手だね!ありがとう!」
「お、オーマじいちゃん…これ、本当にいいの?すっごい魔力を感じるけど…宝具なんじゃ…?」
『問題ない。それくらいならいくらでも出せる』
「我が魔王…」
まるで年金はいくらでもあるからなんでも買ってあげるよと孫に自慢げに話すおじいちゃんのようだ。
流石のウォズもこれには本気で呆れている。
しかしジャックもオーマジオウも無邪気に喜ぶので文句というか、小言を言うに言えない。
立香も立香で、やっぱりすごい英雄なんだと戦慄を隠しきれない。
「あのねあのね、ひいおじいちゃん、おねがいがあるんだけど…」
『なんだ?』
「わたし達をたかいたかーいしてほしいな!」
『それ程度なら、いくらでも』
「わーい!」
しかし、目の前に広がる光景は孫と祖父が戯れる微笑ましいものだ。
————カルデアは今日も平和である。