双子マスターカルデアにジオウが来たようです。   作:木綿豆腐

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幕間の物語
トリニティ。①


「トリニティマー?」

 

「そう!リッカ君ことマスターとマシュと最初にマの付く英霊……3人の"マ"力を結集させる礼装が完成したのだよ!」

 

「ちょっと何言ってるかわかんないっすね」

 

夜中0時。

 

普段のオレはこの時間帯はぐっすり眠っているはずなんだけど、目の前で酒瓶に囲まれながらニッコニコなモナリザ顔の天才に緊急連絡を受けたため、飛び起きカルデア制服に袖を通し迅速に工房にやって来た。

 

…よく見てみると、ダヴィンチちゃん以外にも寝っ転がってる共犯者(ウォズ)もいるようだが…意識はないみたいだ。

 

「…かなりお酒、飲みましたね」

 

いつも物が散乱しつつも清潔感はあった工房がみる影もない…ついでに酒臭い。

 

エミヤと婦長さんがブチ切れする案件じゃないかなこれ。健康に害を与えるような暴飲暴食はあの2人大っ嫌いだし。

 

「なにおー!この天才が、酔っ払ってるとでもいうのかー!?」

 

「キャラ!キャラ崩れていることに気付いて!」

 

「ふっ、既存のものは新しい法則の前に崩れ去ることもあるのさ。わかるかい?」

 

「わかりません。で?礼装がどうのこうの言ってましたがなにができたんです?」

 

これ以上は時間の無駄になりそうな予感がする。

幸い明日は休日と設定されてるから問題ないけど、健康のためにも早く寝ておきたい。

 

なにより、寝坊したらエミヤのご飯が食べられなくなる。それだけは絶対に嫌だ。

 

そういうわけでサッサと切り上げるのが吉。

本題を早く言うように催促する。

 

「むーつれないね。ま、いいさ!今日はそれが主題じゃないからね…という訳で(ガサゴソ)」

 

なんか酒瓶の山を漁りだした…。

 

「じゃじゃーん!ジクウドライバー!」

 

「!?」

 

ファッ!?

最近召喚したゲイツが持ってたやつ!

 

「ちょ、ちょっと待ってなんでダヴィンチちゃんそれ持ってるの!?ていうか作ったのそれ!?」

 

「天才に不可能はないからね!ウォズ君に実物借りて変身システムも完全コピーして見せたとも!外見だけだけどね!」

 

「すごい!さすが天才!酔っ払いでもその頭脳に狂いはなかった!」

 

「当然のことをわざわざありがとう。でも中々どうして嬉しいものだね、これは」

 

オレがちょっとオーバーに褒めると、お酒で赤くなっていた頬をポリポリかいて照れた様子を見せてくれるダヴィンチちゃん。

 

かわいい。だが男だ。

 

————しかしそれがいい。

 

————ちくわ大明神。

 

誰だ今の。

なんだ今の。

 

「しかしだ、今の時間にこんなことをやってしまっているのだから、お説教は確定だよねー」

 

「まぁ、当然そうなりますけど…何かあったんです?」

 

ダヴィンチちゃんがここまで酒に溺れるなんて初めて見た。やっぱり事務作業が多すぎてストレスになっているのだろうか?

 

「むふー!実はね、ちょっとした寝酒のつもりで私の美しさをつまみに飲んでいたら…なんと、止まらなくなってしまったのさ!」

 

「大丈夫?お医者さん呼ぶ?」

 

「おっとそれは勘弁だ。治療(物理)されてしまう……あと、そこの酒瓶の山の下にお酒を試しに飲んでみたらぶっ倒れたエリザベート君が埋まっているから助けてあげて」

 

「なにしてんのエリちゃん!?」

 

エリちゃん…アイドルがお酒に飲まれたらいけませんよ…マネージャーとして起きたらお説教です!

 

…と、取り敢えず引っ張り出さないと。

ダヴィンチちゃんは予想以上に酔っ払っているのかずっと笑ってばかりで手伝ってくれなさそうだし、一人で頑張るか。

 

「…てかサーヴァントが気絶するってとんでもないものよく用意しますね…」

 

酒瓶を整理しつつも、ふと疑問に思ったことを投げかけてみる。

 

あ、髪の毛が見えてきた。

エリちゃーん!

 

「なぁに、君が周回で稼いだ素材をチョチョイと拝借…あっ」

 

「はい?」

 

おっと、お説教相手が増えたぞう。

 

エリちゃんを引っ張り出しながら、ダヴィンチちゃんに顔を向ける。

 

「ま、待ちたまえリッカ君。君は今、冷静さを欠いている…ちょっとした出来心だったのさ…お詫びに呼あげるから許して?」

 

「……もう」

 

しょうがないなぁ…。

ダヴィンチちゃんも疲れてたみたいだし、オレの苦労が少し増えるくらいだからまぁ…。

 

「さぁて今日はお開きとしようか。効果の程は、明日試してもらうとしよう!あ、ウォズ君は私に任せて」

 

「了解。おやすみなさいダヴィンチちゃん」

 

「おやすみ、いい夢を」

 

その日はエリちゃんを立香のベット(本人は特異点攻略中)に寝かせ眠りについた。

 

☆☆☆☆

 

—————王様になる。

 

原点は小さい子供の時の夢。

時には馬鹿にされ、まともに考えろとも言われた。

 

しかし、私の意思は曲がることなく突き進む。

 

—————変身!

 

始まりの日。

化物が民を襲い、私は助けようとしたが…あまりにも無力であり、あっさりと目の前で命が奪われてしまった。

 

そんな時、傍にドライバーが自然と現れて…流れのままに変身。

 

これ以上の犠牲が出ないように私は戦い、正義の味方の力を継承した。

 

次に、病気で苦しむ民を助けようとして再び化け物と戦い、ゲームの力を継承した。

 

その後も幽霊や魔法、ライダーなのに車の力を継承したり、他ライダーと強敵が戦っている謎の空間に単身で乗り込み撃破し、その時空の正義の味方と邂逅したりと…語りきれない出会いがあった。

 

そして別れは突然だった。

 

19人のライダーの継承が終わった途端…クォーツァーなる組織が平成を否定し、今まで継承して来たと思っていたライダーの力は実は奪って来た物だと知らされて……。

 

それでも諦めまいと戦っている最中に…最悪の事態が起きた。

 

—————おじさんッ!しっかりして!おじさん!

 

目の前で、今まで自分を大切に育ててくれた人を亡くした。

 

それも、私を守る形で…。

 

—————事情はまるでわかんなかったけど…体が勝手に動いちゃってね…無事でよかった。

 

私、は…。

 

私は…っ!

 

私はッ!

 

 

—————『祝福の刻』

 

 

 

祝ってくれる人なんていない。

たった今目の前で死んでしまったから。

 

なのに、ベルトの声がいつもと違って、おじさんのように聞こえるのは何故だろう。

 

 

……結果として、クォーツァーの幹部の討伐は一人取り逃がした事以外は成功した。

 

 

しかし、対応が遅すぎた。

 

 

世界の人口は半分となり、世間は私を魔王と呼んで攻撃を始めたのだ。

 

話し合おうにも聞き入れてもらえず、やむなく武力行使に出るしかなかった。

 

…取り逃がしたクォーツァーの幹部が裏で情報操作したのだと気づいた時はもう味方はいない。

 

私は孤独の魔王として世界に君臨し続ける。

 

たまにくる地球外からの侵略者の排除やレジスタンスを撤退させる生活を、気づいたら50年近く経っていた。

 

変わったこともある。

ウォズと名乗った家臣ができた。

 

隙とも言えない隙をついてライドウォッチをレジスタンスの1人に奪われた。

 

この二つの出来事には本当に驚かされ、今でも鮮明に思い出せる。

 

しかしながら、50年で鮮明なのはこの二つの程度。

 

我ながら良く持ったなと思う。

 

私が耐えることのできたこと…それは、奪ってしまったライダーたちへの贖罪の面が強く、誰も覚えていなくても私が覚え続けることで、誰の記憶にも残らない…なんてことにはさせない為だ。

 

 

…いわば『平成の墓守』と言ったところだろうか。

 

 

……レジスタンスが過去に行くと知った時、なんて無駄なことをするのかと疑問を抱いた。

 

過去の自分なら倒せるという根拠はどこから湧いてくるのかが、本気でわからなかった。

 

故に見逃して様子を伺う。

 

するとどうだ。

過去の私が私の知らない力で私に膝をつかせたではないか!

 

……いや、時系列は逆だったか?

 

なにしろ、私の出来事なのか共有した出来事なのか年々判別がつかなくなってきている。

 

まぁ、それは置いておく。

 

重要なのは、過去の私が違う未来の可能性を見せてくれたという事。

 

そして、成し遂げて見せたのだ。

若き日の私は、私という物語を受け継ぎ20人のライダーを継承し、真の最高最善の王へと『変身』した。

 

嬉しかった。

漸く、私たちは前に進むことができたのだ。

 

もう、思い残すことはない…。

が、それはそれとして地球の危機には参上しようと思い『座』に登録される次第となった。

 

私が呼ばれるということは、最低でも人類の危機ということだし、気合を入れ召喚を待った。

 

そして、時は来たる。

 

私を呼ぶ声に導かれ…眩い光に包まれて————。

 

 

☆☆☆☆

 

「子イヌ?起きなさーい!」

 

「ッ!?」

 

目が覚めた。

変な汗がビッショリと体を濡らしている。

 

「エリちゃん…おはよう。二日酔いしてない?」

 

「サーヴァントなんだから大丈夫に決まっているでしょ、そんなことより着替えてらっしゃい!アイドルのマネージャーが汗臭いなんて許さないんだから!」

 

「ごめんごめん…、じゃあ着替えてくるから」

 

着替えを持って脱衣所へと向かう。

ついでにシャワーも浴びよう。

 

「って、なんで私子イヌの部屋で寝てるのよー!?」

 

「………」

 

説明めんどくさくなりそう。

まぁいいや。

 

「…オーマじいちゃん。報われたのかな」

 

本人そう言ってたし、話に出ていたっぽいゲイツは召喚できた。

 

けど、あまり話している様子がないんだよね。

 

「ちょっと聞きに行こうかな」

 

レイシフトメンバーじゃなかったはずだし、カルデアの何処かにいるはず。

 

なら善は急げだ。

 

オレはさっさと全裸になりシャワーで汗を流し、タオルで体を拭こうとして—————。

 

「ちょっと子イヌ!なんで私貴方の部屋、で寝て……」

 

「あっ……」

 

「えっ…!?」

 

———その日、カルデアに二つの悲鳴が響き渡り、一部機械が壊れたそうだが、オレは何も知らない。

 




②に続く。多分。
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