インフィニット・ストラトス~アイズ・オブ・ソウル~   作:真神牙

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第十話 安息

___白い空間だった

先ほどの白式の中で見た空間と似た世界だ

この空間に僕は見覚えがある

「これは過去の記憶か」

走馬灯か何かか、随分と縁起の悪い夢だ

だが最後に見る夢がこれなら悪くないのかもしれない

「____優しいんですね」

少女が僕に語り掛けている

「僕がかい?」

「はい、こうやって毎日私に話を聞かせてくれます。外を知らない私に外のことを教えてくれて、そういうのを優しいって言うのでしょう?」

「……僕が居るところなんて本当の外に比べたら狭い所さ」

それはこうやってIS学園に来た今でもそう思う

「それでも私にとってはすごく広い世界です、私は外に出ることが許されないから……私が外に出ることは世界にとって良くないことだから」

「君は僕を優しいというけど、君の方が随分と優しい性格だと思うよ、■■とは思えないほどさ」

「私はその自覚はないんですけどね」

そういって少女は苦笑して

「……お話また聞かせてくださいね」

それは出来ない約束だった

「あぁ、また明日来るさ」

____明日が彼女の____

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは?」

「ここは保健室だよ、どうやら気が付いたようだね?」

声のした方を見ると椅子に腰かけ本を読んでいる霖之助の姿が見えた

(なんだ?さっきの夢は?)

何か自分以外の人の夢だった気がする

「俺は確か……」

おぼろげな記憶をたどる

「端的に言うとISが暴走して暴れていたね、君は」

「あぁ……っ!?そうだ、箒とラウラは!?」

「箒君なら君の隣にいるだろう?」

ベットの横を見るとずっと看病し続けてくれいたのかベットを枕に眠っていた

「んっ……一夏!?」

飛び上がり俺を見つめる

「ほ、箒?」

「よかった……無事で……」

安堵したように微笑む

「あ、あぁ……」

「それとラウラ君なら、ホラあっちの方に」

そういって扉の方を見る

そこには扉を盾のようにして覗いているラウラの姿だった

「!?」

目が合ったとたん慌ててドアを閉めて隠れようとするラウラに

「あぁ、もう!さっさと入って言ってきなさいよ!」

___ラウラの後ろからもう一人の幼馴染がラウラを引っ張ってきた

「ま、まだ心の準備が……」

「私たちに言えたのですから一夏さんにも箒さんにも言えるでしょう?」

そういってセシリアもラウラを後押しして

「あぅぅ……お、織斑い、一夏、し、篠ノ之箒、そのえっと……」

しどろもどろになっていたラウラだったが意を決したのか俺と面と向かい

「ご、ごめんなさい!」

そういって謝罪してきた

「「え?」」

「私はあなたに沢山酷いことを言ってしまいました、だからご、ごめんなさい!」

「あ、あぁ、別にいいけど、でも一体どうしていきなり?それに口調も変わってるし……」

「それについては私たちが答えよう」

そう言ってやってきたのは千冬ねぇと山田先生だ

「ラウラ・ボーデヴィッヒさんのIS……シュヴァルツェア・レーゲンにはVTシステム、その発展型が搭載されいたんです」

「VTシステム?」

「使用者にモンドグロッソ優勝者の動きのトレース、つまりはこの私の動きを真似するシステムだ、本来なら国際的に禁止されているソレがラウラのISに付けられていた」

「千冬さんの動きを!?」

「あぁ、そしてシュヴァルツェア・レーゲンに搭載されていたのはその発展型と言っただろう?その発展とは搭乗者の思考を操作する、即ち洗脳に近い技術だと判明した」

「なっ……洗脳だって!?それじゃラウラはずっと誰かに操らていたって事か!?」

「そうだ、ラウラはそのシステムに心当たりはあるか?」

「おぼろげながら……森近と大会前に会話したあとIS技術顧問のゲイリー・シロヒとの会話した後痛みを感じました、確かその時VTシステムの応用型『グンナル』とも」

「ISの……?」

「どうした山田先生」

「あっいえ、男の人がISの技術顧問になるのは珍しいと思いまして」

「あぁ……こいつがゲイリーという男だな?」

そういって見せた映像はラウラと霖之助と一人の男が出会ってる映像だ

「はい、この人がシロヒです」

『やはりこの男か、俺たちから見てもあの時点でのラウラは洗脳が解けかかっていた』

「これは推測だが鈴君との私闘での一件で洗脳が弱まっていたんじゃないかい?」

「このゲイリーという男だが、実際にデータを確認した結果、そういった男の存在を確認できなかった」

「え?」

『だとすれば偽名か?おそらく来歴や国籍も偽物ってところだな』

「そうだ、私たちは依然追跡しているが行方は不明、現状はドイツに再三の情報提供を要請中だ」

「そういったことで織斑君への態度はそのグンナルによる行動なんです」

「それでも私が言ってしまった事や傷つけたことに変わりません、だからごめんなさい」

「あぁ、でもそれを言うなら俺も……そうだ!俺のアレは一体なんだったんだ!?」

そう、俺はあの時何かにとりつかれたかのように暴れていたはずだ

「詳細は不明だが恐らくは二つのISコアによる拒絶反応、オルタナティブ・シフトだと思われる」

「二つのISコア?じゃあ白式にはISコアが二つ搭載されているのか?」

「いや……そんなはずはない、ないはずなんだが……その究明の為に次の休日に倉持技研に出向してもらえないか?」

倉持技研は確か白式を作ったところで打鉄の生産企業だったはずだ

「僕も同行しよう、闇照のデータのフィードバックもしたいしね」

「そういや闇照って」

「あぁ、白式と同じ倉持技研制作だよ」

「……白式や闇照みたいなIS作る企業がよく打鉄を作れましたわね」

「ぜ、全体的に見れば白式や闇照が特殊なだけだ……」

少し目をそらしながら千冬ねぇが答えた

「……それと篠ノ之、聞きたいことがある」

千冬ねぇが箒に向かい合ってそう切り出した

「お前はラウラのVTシステム……グンナルについて知っていたのか?」

「……いえ、ただラウラと剣を交えた時、見えた気がするんですラウラとシュヴァルツェア・レーゲンを取り囲む悪意のようなものを、それを見てしまったから私は……」

相互意識干渉(クロッシング・アクセス)に近い現象か?」

クロッシング・アクセス?確かそれって……

「IS同士の情報交換ネットワークの影響から、操縦者同士の波長が合うことで起こる現象だね」

(もしかして先ほど見た夢も?)

「話は以上だ、各自しっかり休養することだ、あぁ、そういえばもうすぐ臨海学習だがだからといって羽目を外し過ぎないようにな」

そういって千冬ねぇと山田先生が退出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もいないアリーナで私は思いに耽っている

(クロッシング・アクセス……本当にそうか?)

あの時の感覚はソレとは違うと理解している

___なぜわかる?クロッシング・アクセスを体験したことなどないのに?

最初から知っているかのように

いやそれはISそのものに言える事だ

まるで知ってて当然かのようにスラスラと感覚的に理解できてしまう

「姉さんが作ったからか?」

そう考えてると突然電話がなった

「誰からだ……!?」

電話主は篠ノ之束、私の姉だった

「……姉さん?」

『ハローハロー!アレ?日本だと夜だっけ?まぁいいや束姉さんだよ!箒ちゃん!』

「姉さん、どうして電話を?」

『うーん家族で電話するっておかしいことかなー?』

「姉さん……せめて教えてください」

一呼吸おいて

「ISとはなんなんですか?」

『___臨海学習で会おう箒ちゃん、そこで全部わかるよ、そしてこれだけは信じて?』

 

 

 

 

 

 

 

『私は箒ちゃんを絶対守るから』




ザルバ「次は臨海学習ときたか
    色々と準備をしてそれから……
    おっとこれは珍しい奴と出会ってしまったな
    次回『支度』
    そんな嫌そうな顔するなよ霖之助」

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